ミュージカル『フランケンシュタイン』@東京建物 Brillia HALL
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囲み取材編に続いて、初演から続投、3回目の『フランケンシュタイン』に挑むビクター・フランケンシュタイン/ジャック役:中川晃教さん、アンリ・デュプレ/怪物役:加藤和樹さんによる公開ゲネプロレポートをお届けします。
5年ぶりの『フランケンシュタイン』、独特の緊張感と高揚感が漂う劇場に響くオーバーチュア。音楽に導かれ、一気に作品の世界観に引き込まれます。
舞台となるのは19世紀ヨーロッパ。
はじめに観客に飛び込んでくるシーンは、まさに“生命創造の瞬間”。雷鳴轟く暗い実験室でうごめき悶える生き物、それは──という衝撃のプロローグ。
少し時を遡り、科学者ビクター・フランケンシュタインが戦場でアンリ・デュプレと出会うところから物語は始まります。

アンリ:加藤和樹さん、ビクター:中川晃教さん
“生命創造”に挑むビクターに感銘を受けたアンリは研究パートナーとなる
孤独を抱え、絶望していたアンリにとっての光のようなビクターの存在、二人が固い絆で結ばれた友となるのに長い時間は必要なかった。二人の間に働く強い引力、心の距離を感じさせるアンリがぐいぐいとビクターに引き寄せられていく過程が<ただ一つの未来>という楽曲に込められます。中川ビクターの強い信念とカリスマ性が放つ強烈な光、加藤アンリの微笑に宿る、出会いや手を取り合うことへの喜び。すべてが必然に見える。

エレン:朝夏まなとさん、ステファン:松村雄基さん、ジュリア:花乃まりあさん
ビクターの周囲の人々をご紹介いたします。常にビクターを気にかけ大きな愛で包み込む姉のエレンに朝夏まなとさん。エレンにとってはビクターはいつまでも可愛い弟だという説得力あふれる慈愛の眼差しが印象的。もう一人のビクターを愛する女性、幼き日に結婚を誓ったジュリアを演じるのは花乃まりあさんです。<独り言>でジュリアの真っ白な心を歌い上げます。なにがあってもビクターの味方でいる強さ、ビクターとの幸せを夢見るジュリア。ジュリアの父にして、両親を亡くしたビクターとエレンを、親のように育ててきたステファンは松村雄基さん。娘を思う父の愛、土地の名士としての威厳がにじむステファンです。

<孤独な少年の物語>エレンが語る幼い日のビクターのことを、アンリに歌い聞かせます(回想)
生命創造に興味を持ち、死者を蘇らせる理論を畳みかけるように歌うリトル・ビクターの澄んだ歌声とその歌詞の内容のギャップ。熱量を増し、やがて狂気が漂う様をしっかりと見せます。そんな母の死を受け入れられないビクターが起こしたある行動によって、フランケンシュタイン家に対して住民たちは恐怖を抱く。
ビクターの生い立ちを知り、自分が支えようという思いを新たにするアンリ。研究が上手くいかずに落ち込むビクターを励ますために酒場へ誘い出します。ここから物語は、怒涛の展開。

ビクターの執事ルンゲ:鈴木壮麻さん
なにがあってもビクターの味方、その言葉に偽りなし
自らの意思で無実の罪を被り、死刑判決を受け入れるアンリが歌う<君の夢の中で>。会見で中川さんがキラーナンバーと呼んだ、あの名曲です。イントロから泣ける!

絶望の中で生きていたアンリに希望を見せたビクター

笑みを浮かべ断頭台へ進むアンリ
アンリの死をきっかけにビクターに芽生える感情。続いてはビクターのビッグナンバー<偉大な生命創造の歴史が始まる>です。屈指の難曲でありながら、その楽曲からエネルギーを得ていくように高まっていく中川さんの歌唱。次第に高揚感が増し、狂気にも似た、一線を超えた科学者がそこに居ます。内なる衝動が歌となって表出する、もはや歌唱を超えているかのよう。アンリの死、新鮮な死体、アンリの蘇生、生命創造……ビクターの心に潜むものは。そんな奥行きもある楽曲です。
そして、冒頭のシーンへと繋がります。
蘇ったのは……アンリなのか。
アンリに似たその凶暴な生き物は実験室から逃亡し幕。
第二幕は、主要キャストが全く別の人物を演じるという仕掛けのある本作。
(まっさらな気持ちでのご観劇をという方はご観劇後にご覧ください)冒頭は、3年の年月が経ち、ようやく結ばれようとするビクターとジュリア。しかしビクターの心に影を落とすのは姿を消した怪物の行方。
ついにビクターの前に……怪物と呼ばれた男が3年の出来事を語り始めます。

怪物:加藤和樹さん
怪物が迷いこんだのは人間同士を格闘させるギャンブル闘技場。

<欲と血の世界>闘技場の女主人エヴァ:朝夏まなとさん

召使いイゴール:鈴木壮麻さん、闘技場の主人ジャック:中川晃教さん
手前)怪物:加藤和樹さん
虐げられた怪物が歌う<俺は怪物>、創造主たるビクターへの憎しみを込めた叫びのような楽曲とともに美しく懐かしいメロディの欠片が。
怪物が身に着けていたコートのポケットに残されていたビクターの実験ノートをもとに、ビクターのもとへたどり着いた怪物。ついに怪物の復讐が始まる。

<その日に私が>両親亡きあと母のように寄り添ってくれていた姉エレンの存在、愛の大きさを再認識するビクター。幼い日の記憶が蘇ります。

「お前ら人間こそが怪物だ」
深く絶望をにじませる加藤さんの声の凄み……
<後悔>こちらもビクターのビッグナンバーです。物語に引き込まれつつも、舞台最終盤でこの歌の突き抜けるようなパワーってどういうこと!?と戸惑ってしまうほどの力強さ。続く<傷>は、ここまでのドラマが集約されたような美しさと悲しみが詰まった楽曲。これでもかと畳みかける名曲たち。そして二人は最後の地へ向かいます。
心技体、中川さん、加藤さんの凄まじい熱量に、これは千穐楽なのではないかと思うほどの迫力を感じました。3度目にして、日本版『フランケンシュタイン』ここにあり、これまで携わったすべての方々が積み上げてきたものの真価を見せつけるような舞台でした。生命創造へのあくなき探求と倫理、崇高な志なのか、神への冒涜なのか。人類への問いが、二人の青年の愛と友情で描かれるミュージカル『フランケンシュタイン』はここからもまだまだ進化していきそうです!
ミュージカル『フランケンシュタイン』@東京建物 Brillia HALL
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おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人