ミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』in日比谷フェスティバル イベントレポート

ミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』カンパニーが日比谷フェスティバル ステップショーに登場！ 本作は、2025年6月、よみうり大手町ホールにて初演の幕が上がる新作ミュージカル。日本でもファンの多いアレックス・シアターの人気小説の初のミュージカル舞台化でも話題の作品です！ 日比谷フェスティバルで初お披露目となったミュージカルナンバーを、豪華キャストが高らかに歌い上げるパフォーマンスと囲み取材の模様をレポートいたします。

【ステップショー】

ゴールデンウィークの幕開けとなる週末、日比谷の街にミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』カンパニーの歌声が響く！！

～作品紹介～
とある架空の国で国⺠が選挙に無関⼼だったために、極端な政党が政権をとってしまい、チョコレートが禁⽌される…チョコレートとは、⽣活の中の「⾃由」や「楽しみ」であり、それらが⽣活から奪われたらどうなるのか。そこで立ち上がったのがチョコレートが大好きな二人の少年スマッジャーとハントリー。彼らは協力者となる大人たちの力も借りながらチョコレートのある世界を守るため、自由を取り戻すために戦う。

ステップショー出演者はハントリー役の東島 京さん、バビおばさん役の土居裕子さん、モファット役の平野 綾さん、ジョン・ブレイズ役の岡田浩暉さん、そして“様々な役を演じる”みなさん、浦嶋りんこさん、まりゑさん、小松季輝さん、佐藤 匠さん、中川 賢さん、陰山 泰さん、そしてMCは演出の石丸さち子さん。

まず披露されたのがチョコレートを密造しながら、チョコレート愛やワクワクを歌う＜チョコレート・パラダイス＞（ハントリー：東島 京さん、バビおばさん：土居裕子さん）



東島さんの伸びやかな声、そこに寄り添う土居さんの柔らかい声のハーモニーが心地よく、二人の関係性が伝わります。

ここで本作演出を手掛ける石丸さち子さんが登場。MCとして物語や楽曲の背景など解説をつけてイベントを進行！そこからも作品への愛がビシビシ伝わってきます。



石丸さん：「まさかあんな党が政権を取ることはないだろう」と大人たちが高をくくり選挙に行かなかったら、そのまさか起こり、お菓子やチョコレートを禁止する健全健康党が政権を握ってしまったところから話は始まります。子どもたちは素晴らしいパートナーのバビおばさんとともにチョコレートの密造や密売を始め──という物語です。

続いては、劇中では少し時を遡り“まさか”が起きたときの歌＜とんでもないことが始まった＞（全キャスト）

「本日午後5時よりお菓子やチョコレートを全面的に禁止する！」これにはチョコレートのCMで人気のモファット：平野綾さんはじめ、みんなパニック！やがて不穏なメロディとなり、暗黒の時代の始まりを感じさせます。

主人公のスマッジャーとハントリーがチョコレートを密造するためにレシピを求めて古本屋を目指す途中で紛れ込んだ市場の歌＜ガラクタ市場へようこそ（露天商バージョン）＞。





市場のエネルギー、浦島りんこさんのカッコよさがさく裂するパワフルなR&Bナンバー。

ここからはソロナンバーです。まずはチョコレートのCMで人気を集めたものの、禁止令により人気が急落し、今やホームレスに身を落とした女優のモファットが歌う＜愚かで美しいこの世界＞（モファット：平野 綾さん）



美しく切ないバラード。俳優の仕事、大切なものを奪われた悲しみやそれでも表現への思いを捨てない力強さを平野さんが歌い上げます。歌の中で、自らに起きたことと、人の営みを重ね合わせます。「役者を目指した頃の自分を思い出すことも、今の自分に重ねることもできる。役者としてこの歌を歌えることが幸せ」（平野さん）

スマッジャーとハントリーはチョコレートの密造、密売だけでなく、人が集えるチョコレートバーを作りたいとバビおばさんに相談。するとすぐに場所を用意してくれるなど行動力抜群のおばさんに二人はびっくり「いったい何者なの？」と問うと……＜あなたもきっと魔法使い＞（バビおばさん：土居裕子さん、ハントリー：東島 京さん）



バビおばさんの魔法の秘密は、情熱！土居さんがキュートに歌います。寄り添うハントリーとバビおばさん、お互いを見つめる視線がとても優しい。
「バビおばさんは、この歌で歌われている通りの人。子どもたちと一緒にいろんなお茶目なことをする、子どものまんまのおばさん」（土井さん）「そう、僕らの友達なんです」（東島さん）

党のやり方に対して立ち上がり革命に乗り出すのが古本屋の店主ブレイズ（岡田浩暉さん）。敵側に乗り込むために窓拭きを装って機会をうかがうブレイズのもとに、志を同じくする仲間が集まってくる＜切り抜けられるとしたら＞（ブレイズ：岡田浩暉さん、モファット：平野 綾さん、みんな）




赤いライトに照らされて、一緒に足を踏み鳴らしたくなるようなパワフルなナンバー。岡田さんのカッコイイ大人の歌声が響きます。
「若者たちの突破力と大人たちの経験や知識を活かすサポート力が混じり合ったときに起こる化学変化がこの作品の魅力」（岡田さん）。その人間力が伝わる革命のナンバーです。

党の手入れにあって連行された仲間スマッジャーとバビおばさんを思ってハントリーが歌う＜二人を守って＞（ハントリー：東島 京さん）。



大切なものが破壊され、自由も幸せも仲間も奪われたハントリーが切々と奪い、思いはやがて願いへ……心を揺さぶるビッグナンバーです。歌唱の後でそっと涙をぬぐう東島さんの姿も印象的。

最後はみんなで＜チョコレート・パラダイス＞アゲイン！幸せな気持ちになりますね！

こうして楽曲初披露となったステップショーは、舞台上も客席も笑顔と拍手で終了！
高橋亜子さんが紡いだ歌詞、オレノグラフィティさんによるリズムとメロディ、そしてキャストのみなさんの個性豊かな声で届けられる楽曲が描き出すキャラクターの心情に心が震える瞬間がたくさんありました。
ミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』。MCも務めた石丸さち子さんの演出でどんな作品になるのかますます楽しみになりました。

そして楽しみと言えば──
果たして、真の革命へ動き出したスマッジャーとハントリー、この世界の行方は！
ぜひ劇場でお確かめください！！

【囲み取材】

日比谷フェスティバル1回目のステージに続いて、囲み取材が行われました。



──ステップショー1回目を終えた感想を交えたご挨拶から。



ハントリー役：東島 京さん）
自分としては石丸さんの演出を受け、出来上がったキャラクターの声で、表情で、仕草でお届けしたいという理想があり、こうして未完成の状態を披露することに複雑な気持ちもありました。でも、この状態を見たお客さんが、本番ではどうなるのだろうと思って観に来てくださる。そんな未完成なものがお客様の心を動かすということが、この作品の、子どもたちが、大人と子どもの間で迷いながらも前に進んでいく姿がみなさんの心を動かすこととすごくリンクすると感じました。自分でもこんなにうまくつながるとは思っていなかったのでびっくりなんですけど(笑)。まだ本稽古が始まっていない状態にもかかわらず、役に入りすぎてボロボロ泣いちゃうという事態に(笑)。でもこれに満足せず、2回目はさらに涙を流していこうと思っています。
これから始まる本稽古で素晴らしいキャストのみなさんとともにさらに練り上げていくのが楽しみです。



ジョン・ブレイズ役：岡田浩暉さん）
革命ということで、もう力が入ってしまい(笑)。演じるジョン・ブレイズは、ちゃんと過去を反省している人物なので、次はもう少し冷静に革命していかないと。ここから始まる稽古、石丸さんからは予定調和でないリアルを追求したいと聞いています！革命側、大人側の代表として、頑張って食らいついていこうと思っています。



モファット役：平野 綾さん）
本稽古を前にこうしてみなさんの前で楽曲披露をさせていただき、いよいよここから始まるんだなという気持ちがわいてきました。それぞれの役と演じているキャストとのリンクがなんかすごくて！ 先ほどのステージだけでこういう作品でというのが十分に伝わったかなと思います。
オリジナルミュージカルの初演、たくさんの方に届けたいと思います。



バビおばさん：土居裕子さん）
今日のステージや、それに向けてのお稽古で「いいチームだなー」って思いました！ 演出の石丸さん、脚本、音楽、スタッフのみなさん、そして出演者……我が家のような居心地の良さです。お菓子がなくなって革命と聞くと、子ども向けのファンタジーだと思われるかもしれません。もちろんチョコレートが禁止されてどうしようということにお話が包まれているのですが、その奥にあるものもキャッチしていただきたいと思います。



演出：石丸さち子さん）
この子どもも大人も楽しめる間口の広い、かつ奥深さもあるお話をなんとかミュージカルにしたいとずっと思っていました。今回、脚本の高橋亜子さん、音楽のオレノグラフィティさんという最強タッグ、素晴らしいキャストとともにいい作品を届けたいと気合が入っています。

──ベビーカーに乗った小さなお子さんも手拍子をしていたんですよ！




──新作ミュージカル、ざっくりとお話を教えていただけますか。

石丸さん）
「まさかあんな党が政権を取ることはないだろう」と大人たちが高をくくり選挙に行かなかったら、そのまさか起こり、お菓子やチョコレートを禁止する健全健康党が政権を握ってしまったところから話は始まります。チョコレート検閲者のような者が現れ、違反すれば矯正施設に送られる。それでも言うことを聞かなければ、暴力です。
それに対抗しようとするのが子どもたちだというところがこの話の面白いところ！
戦う理由は“チョコレートが食べたいから”そして“こんなに美味しいチョコレートがなくなったら、未来の子どもたちがかわいそうだから”。そして子どもたちはバビおばさんや古本屋のブレイズさんとともにチョコレートの密造や密売を始め、みんなで幸せを広げていきます。しかし手入れにあって仲間がとらえられてしまい、革命を考えるようになる──というお話です。
演出的には、みんなが走り、転換もするてんやわんやな感じ。でも繊細なところはキュッとリアルな芝居でお見せします。
胸が締め付けられるようなところも、甘酸っぱい気持ちも、ワクワクも頑張れ！も、ジェットコースターのようにいろんな気持ちになって、最後、温かい気持ちになっていただけると思います。

──もしもチョコレートが禁止されたら？



岡田さん：チョコレートケーキが一番好きなんだね。
東島さん：僕もそうですね。ガトーショコラがなくなっちゃうのはちょっと厳しいですね。



平野さん：確かにチョコレートを食べてない時期ってないかも。ついついつまんでしまう。チョコレートがない生活を考えたことがなかったですね。
土居さん：考えられないですよね！

──東島さんより、公演を楽しみにしているみなさんへメッセージを！




東島さん）
世界初演を担う不安やプレッシャーもありますが、僕には、このみなさんとなら絶対に大丈夫だという謎の自信があります。この作品は観る方それぞれ、過ごしてきた人生によって受け取り方も変わってくる。その後の人生に大きく影響を与える可能性をもった作品。そうなるようにカンパニー一同で頑張りますので、ぜひ劇場に足をお運びください。

◆

笑顔いっぱい！カンパニーの雰囲気の良さが伝わる会見でした。
イベント参加のみなさんに加え、スマッジャー役の北川拓実さん、フランキー役の木村来士さんが加わって届けるミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』の開幕は6月5日！ よみうり大手町ホールで世界初演の幕が上がる！！

STORY
国民が無関心な隙に、健康推進を掲げる‘健全健康党’が政権を取ってしまった。そして発令された法律が…≪チョコレート禁止法≫

すべての甘味が禁止され、こっそり食べれば逮捕され、個性のない人間に作り変えられる矯正施設へ送られる・・・。チョコレートの宣伝をしていたモファット(平野綾)をはじめ、国民すべてが途方に暮れる。

そこで立ち上がったのは、チョコレートが大好きなスマッジャー(北川拓実)とハントリー(東島京)。二人は、古本屋のブレイズ（岡田浩暉）、お菓子屋のバビおばさん(土居裕子)の協力を得て、チョコレートの密造に乗り出した。しかし、同級生で‘健全健康党’の青年部リーダーのフランキー(木村来士) に密造が暴かれ、スマッジャーとバビおばさんは逮捕されてしまう。

ハントリーは不安に駆られながら、ブレイズと共に救出作戦を練る。

一方、スマッジャーは厳しい拷問の中、本当に守るべきものは何かに気づき始めていた。

やがてスマッジャーとハントリーは再会を果たし、ブレイズたちと共に、真の革命へと動き出す。

果たして二人は何を武器に戦うのか？そして革命の行方とは——？

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イベント写真：オフィシャル提供
おけぴ取材班：chiaki（囲み取材撮影・取材・文）