2025年、9月のプレビュー公演を皮切りに、10月の日生劇場での本公演、続く11月~12月の5大都市全国ツアー公演で日本全国に届けられるミュージカル『SPY×FAMILY』。
原作は、遠藤達哉さんが2019年3月より「少年ジャンプ+」(集英社)で連載中のコミック、スパイアクション&ホームコメディ「SPY×FAMILY」。「スパイ&超能力者&殺し屋が互いの秘密を抱えたまま仮初めの家族になる」というユニークな設定とスタイリッシュでキュートなキャラクターたち、シリアスとコメディが絶妙にブレンドされた世界観、巧妙なセリフ回しとアクションとギャグを織り交ぜたストーリーテリングといった唯一無二の魅力により読者の圧倒的な支持を獲得した大人気コミックが、2023年3月、帝国劇場でミュージカルとして初舞台化。生身の俳優たちによって息を吹き込まれたキャラクターたち、とりわけ実際の子役キャストが扮したアーニャ役の愛くるしい姿は、多くの原作ファンとミュージカルファン双方を魅了しました。
脚本・作詞・演出のG2さん、ロイド・フォージャー役Wキャストの森崎ウィンさん、平方元基さん、ヨル・フォージャー役Wキャストの唯月ふうかさん、和希そらさん、そしてアーニャ役の4名、泉谷星奈(いずたに らな)さん、月野未羚(つきの みれい)さん、西山瑞桜(にしやま みお)さん、村方乃々佳(むらかた ののか)さんもご登壇の製作発表会見が行われました。
【2025年の公演に向けて】
森崎ウィンさん)
こうしてまた日本オリジナルの素晴らしい原作をもとにした日本発のミュージカルをお届けできることに、僕自身ワクワクしております。そしてなにより、今、袖に控えているアーニャの登場が待ち遠しい気持ちでいっぱいです。
平方元基さん)
初演のお話を伺い、先ほどからすごいプレッシャーです(笑)。いろんなことを経験されたみなさんのお力をお借りして頑張っていきたいと思います。自分自身久しぶりのミュージカルなので、楽しみながら作品に没頭していけたらと思っています。
唯月ふうかさん)
多くの方から愛されているこの作品に、再び、ヨル・フォージャーとして出演できること、いろんな思い出があった初演を経て、再びこのカンパニーの一員として参加できることをとても嬉しく思っております。殺し屋として、そして母親として、しっかり説得力を持たせられるように精進したいと思います。はは、がんばります!
和希そらさん)
私もG2さんのお話を聞きながらハラハラドキドキしています(笑)。先輩方についていきながら、全身全霊で役を務めていきたいと思います。
──G2さんに伺います。初演のご苦労と今回の構想をお聞かせください。
G2さん)
一つ挙げるなら、原作のクオリティの高さ、原作のファンの方をがっかりさせないということと、ミュージカルにする以上はミュージカルファンの方にも存分に堪能していただく。その2つを両立させることに苦労しました。実現させるために舞台装置、機構も、5つの盆に巨大な建物を乗せてぐるぐる回すというプランを立てましたが、それに対してプロデューサーの二人が「これでいきましょう!」と言ってくれたのが大きな支えになりました。またキャストスタッフの熱気も凄まじかったです。
僕はそれを苦労だとは思っておらず、みんなが知恵と情熱を傾けると、クオリティは自然に上がる。舞台は総合芸術だと再認識しました。すべてがいい思い出です。
だからこそ前回をなぞるような作業はしたくない。前回考え抜いた、漫画のコマ割りのように見せながら、歌もちゃんと聴かせるための装置は、あれ以外考えられないので同じ形となりますが、そこに宿す魂は新たに作っていきたい。新キャストのみなさんも思ったことをどんどん言ってほしい。元基くんは得意だよね?
平方さん)
はい、どしどし言わせていただきます(笑)。映像で拝見してびっくりしたのが、こんなに詰め込めるんだということ。原作が強いので、そこを超えていくのは俳優としては難しいと思うんですよね。でもメチャクチャ笑ったし、舞台も本当に面白かったです。
森崎さん)
正直、“僕ら、すげぇ頑張ったな”って思います(笑)。ものづくりの裏側には、見せない美しさというのもありますが、でも初演はすごかった。先ほど、G2さんからセットが少し小さくなると聞いてそれがすごく嬉しいです。なぜなら裏で走る歩数が減るからです(笑)。そうすると早替えでも余裕が生まれるかなと。
平方さん)
歩数単位で大変だったの?
森崎さん)
ロイドは変装もするので2歩減れば、それだけ早く舞台に出られるんですよ。
平方さん)
ドキドキしてきた。
唯月さん)
大変だった分、カンパニーの結束が強くなりました。まるでひとつの大きな家族のような感じで、初日が開いたときはみんなで雄叫びを上げました。今回もどんなカンパニーになるのか、どんな色が新しく付け加えられるのか楽しみです。
──好きなシーンは。
森崎さん)
2幕でヨルさんの弟ユーリが登場する場面です。ユーリとロイドが話をしながらお互いの胸の内を詮索し合うところの音楽とお芝居と回る盆の融合が緻密過ぎて、前回、(ロイド役をWキャストで務めた鈴木)拡樹くんが演じているのを観たとき「なんて美しく出来上がっているんだ!」と思いました。あの詰め方、個人的にすごく好きです。特に、酔っぱらったユーリにロッティと呼ばれたロイドが「ロッティ?」と繰り返すところが面白くて(笑)。
唯月さん)
私はアーニャが一生懸命頑張る2幕の三者面談のシーンが好きです。胸がクッとなって、母性ってこういうことなんだなと実感しました。すごく思い出深いシーンです。
平方さん)
僕はロイドとヨルさんがキスする/しないのシーン。長尺で壮大なシーンですが、ここもまた音楽と台詞と歌が緻密に作られていて好きなんです。そして個人的にはヨルさんがお酒を飲んで酔っ払ってしまうところも好きなので、お二人がどう演じるのかも楽しみにしています。
和希さん)
私は、場面というより、ロイドさんもヨルさんもそれぞれ自分の任務、スパイや殺し屋モードに切り替わるときのギャップが魅力的だと思っています。
【まさかの共通点が明らかに】
──これは初演時にもした質問ですが、「人はみな 誰にも見せぬ自分を 持っている」という作品の世界観にちなみ「私、こう見えて、実は○○なんです」というちょっとした秘密を教えてください。
森崎さん)
二年前にも同じこと言ったかもしれませんが、こう見えて、僕は、飛行機が大好きでなんです。本当はパイロットになりたかったくらい。

平方:えっ!僕も!
森崎:えっ!マジで?
平方:ちっちゃいときからパイロットになりたかった!
森崎:戦闘機とかではなく、旅客機の。
平方:一緒です!

森崎:うわっ! 推しの機体とかありますか?
平方:ありますよ。350-1000。
森崎:うわぁ!僕はa380。全部2階建てで……
平方:知ってますよ!

森崎:いや、本当にめっちゃ嬉しいです。こういう話をするとだいたい引かれるんですよ。
平方:引かないです、推します!
森崎:マジですか! めちゃくちゃいいフライトシミュレーターのゲームがあるので、紹介します!
──平方さんはいかがですか。
平方さん)
僕は……、質問、なんでしたっけ(笑)? あ、秘密ですね。私、実はこう見えて魔法使いです。期間限定、場所限定ですけど(笑)。
森崎さん)
『SPY×FAMILY』では魔法は使えないから注意してね(笑)。
唯月さん)
私は、こう見えて、総合格闘技が大好きです。みなさんが魂を込めて、命をかけて戦っている姿に感動しますし、一人ひとりの選手にストーリーがあってカッコいい。そして、格闘技に向き合う姿勢が、私たち俳優に通じるものがあると思います。
──ヨルさんのアクションでも……
唯月さん)
バックチョークとかしてしまうかも(笑)。

森崎さん:わかる人、ここに何人いるだろう。
唯月さん:確かに!
和希さん)
私は、こう見えて、絶叫マシンが苦手なんです。でも最近、平気になる裏ワザを見つけました。隣の人を持ち上げるんです!

言われたとおりに試してようとするお二人
【気分は新作】
G2さん)
僕の中で『SPY×FAMILY』は永遠の新作のような感覚で、今回も新作として取り組みたいと思います。ちなみに前回は、隣の隣の彼が、全貌を知ったときに僕のところにきて「こんなのできます!?」と言ったところからのスタートでした。素晴らしい原作があるのは大きな幸運なのですが、それをミュージカルとして成立させるために、スタッフキャストの力を集めて取り組んできました。非常に手の込んだ舞台ですので、帝国劇場での仕込みも大変でした。なんとか通し稽古が終わった瞬間、幕の向こうでスタッフキャストが「うわぁ」「やったー」という鬨の声を上げたことをよく覚えています。
あのエネルギーを決して忘れないようにしたい。劇場に合わせてセットはちょっと小さくするものの、演出の手法としては完全再演。そこに元基くん、和希さん、アーニャの4人をはじめとする新たに加わる人の力がしっかりと活きるようにやっていきたいと思います。気分は新作です!
【アーニャ役のお披露目】

泉谷星奈さん、月野未羚さん、西山瑞桜さん、村方乃々佳さん
──ここでオーディション、長期のワークショップを経て決定した4名のアーニャ役のみなさんをご紹介させていただきます。
泉谷星奈さん)
変顔も得意なので、みなさんを楽しませる面白いアーニャになりたいです。
(アーニャに決まったときは)「えっ、やばい、泣いちゃう」って言ってしまいました。私は、それぐらいアーニャに受かりたかったんだなって思いました。で、お母さんに抱きついて、泣いちゃいました。
月野未羚さん)
特技は青森弁です。アーニャが大好きだから頑張らなくっちゃ!
(アーニャに決まったときは)「合格しました」って聞いた瞬間、私もははも目が真ん丸になってぴょんぴょんして喜びました。妹も来て、一緒にぴょんぴょんしました。
西山瑞桜さん)
「本当にアーニャだった、また観たいな」って思ってもらえるように頑張ります。(アーニャに決まったときは)嬉しすぎて「キャー!本当!?」って叫んじゃいました。
村方乃々佳さん)
私はアーニャが大好きなので、アーニャになれてとっても嬉しいです。(アーニャに決まったときは)「よっしゃー!」って、すっごい叫んで喜びました。
──アーニャ役のみなさんの将来の夢、尊敬する人は。
村方さん)
将来の夢はお母さんです。お母さんは大変そうだけど、いつも優しくお世話してくれるので、私もそんなお母さんみたいなお母さんになりたいなと思っています。尊敬する人はお母さんです。
西山さん)
前は小学校の先生だったんですけど、子どもの世話は大変だなって思ってやめました。将来の夢は、今、探し中です。
尊敬している人は谷川俊太郎さんです。今、国語で「スイミー」を習っていて、外国のお話だけど谷川俊太郎さんが日本の子どもたちも楽しく読めるように訳してくれたのですごいなって思いました。
月野さん)
将来の夢は女優さんとアイス屋さんです。見てくれた人を元気にできる女優さんになれたら素敵だなって思うのと、アイスが大好きだからです。尊敬する人は王林ちゃんです。おじいとおばあが青森に住んでいて、私もよく行くんですが、王林ちゃんは青森の観光大使で、歌もダンスも上手で、ランウェイを歩くのもかっこいいし、おしゃべりも上手で、なんかぜーんぶすごいなと思うからです。
泉谷さん)
私の将来の夢は女優さんです。保育園の先生と小学校の先生にもなりたかったんですけど、女優さんになればそのふたつの役もできるかもしれないと思って女優さんにしました。尊敬する人は共演したみなさん、たとえば大竹しのぶさんと目黒漣さんです。(お二人の)舞台やライブを見て、私も舞台に立ってみたいと思って『SPY×FAMILY』を受けました。
──選考過程について。
G2さん)
オーディションではまず12人に絞り、そこから2か月ほどワークショップを重ねました。
主に振付師と歌唱指導、演技指導の先生方に見ていただき、ときどき僕も顔を出しました。一緒に過ごす中では、12人、誰も落としたくないという親心しかなかったですね。
アーニャは舞台の子役の中でも、かなり低い年齢になります。前回は、そこが冒険でもありましたがとても新鮮でした。やればできることを教えてもらいました。そして大人たちが大変なとき、アーニャたちがそこに居るだけで力が出るんです。だから大人として子どもたちをガイドするというより、子どもの力を頼って本番を乗り切るようなところがありました。今回もみなさんの笑顔に期待しています。
──アーニャとの共演について。
森崎さん)
アーニャが目の前にいるだけで本当にほっこりします。前回、「間に合わないかも」と思ったときもアーニャが来た瞬間に「大丈夫だ!いける」と思えたんです。今回のアーニャにプレッシャーをかけるとかではないのですが、なんかすごい力を持っているんですよね。子どもの存在が世界平和に大きくつながっている──ロイド・フォージャーの信念に通じるものがあると、改めて今日、実感しました。
唯月さん)
本当に、ここに存在してくださるだけで「ありがとうございます」という気持ちです。アーニャさんたちが“はは”って言って近づいてきてくれたとき、ギュッてしてくれたとき、その体温や呼吸、眼差しを受け取ることで母親ってそういうことなんだなと実感しました。ですので、稽古場でも常にアーニャさんを視界に入れて動くようになりました。そんな自分自身の変化にもビックリしました。“疑似”ですが、アーニャさんから愛情をいっぱいいただいて、私もアーニャさんたちにその愛情を返せる“はは”になれたらいいなと思います。よろしくね。
平方さん)
『SPY×FAMILY』という作品にとってアーニャという役は宝物のようだなと思います。先ほどからお話を聞いていて、大人たちの前で堂々と「私はこうなりたい」って夢を話せるのが本当に素晴らしいと感動しています。こうしてアーニャたちを前に、僕自身もどんな“ちち”になれるのか、今からすごく楽しみです。いろんなお話をしていきましょうね。よろしくお願いします。
和希さん)
私は、お子様がいらっしゃる舞台が初めてです。これまでは大人が演じる子どもの父というような立場を演じていて。今回、こんなに可愛らしいお子たちがいて、そこでどんな母性が爆発してしまうのか楽しみにしています。みなさんからの刺激を受けながら、“はは”として生きられるよう頑張りたいと思います。
◆アーニャの扮装写真も撮影されたとのこと、公開が楽しみですね! 続投キャストと新キャストの融合で、2025年のミュージカル『SPY×FAMILY』が立ち上がる! ウェスタ川越でのプレビュー公演は9月20日より、日生劇場では10月7日より上演、その後、全国ツアー公演となります。
初出時より訂正いたしました
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人