奏でるのは、“これまで”と“これから”6月16日(月)よりシアタークリエで上演される、海宝直人さんの舞台芸能活動30周年を記念したアニバーサリーコンサート、「“ever”Naoto Kaiho Stage Entertainment Activities 30th Concert」。開幕を前に、海宝直人さんの囲み取材が行われました。(記事最後に舞台セット写真を掲載しております)
──30周年おめでとうございます!今振り返って、どんな30年でしたか?
まだあまり30周年の実感がありませんが(笑)。
思い返すと、初舞台が小学校1年生のときの『美女と野獣』、そこから本当にたくさんの作品や人との出会いに恵まれた30年。その出会いが繋がってここにたどり着けたという思いが第一にあります。
今回のコンサートもそこをフィーチャーし、タイトルは「ever」、これまでとこれからを感じていただきたいと思ってそう名付けました。 今まで応援してくださった方には役との再会に、最近僕を知ってくださった方ゲストのファンの方には出会いの機会になったら嬉しいです。
──本コンサートでは構成演出も手掛けました。こだわりは?
セットや衣裳、いろんなことについて、クリエイターのみなさんとお話し、僕の中で浮かんだアイデアを膨らませ、立体的にしてくださるという作業ができたことはすごく刺激的でした。大変でしたが楽しかったです
こだわりは、劇場に入ってまずセットを見ていただいた瞬間に世界観を感じていただけるところ。そこから始まる物語性のあるコンサート、音楽で30年を表現していければと思いながら作りました。
──毎日日替わりで、ご縁のあるゲストの方がご出演されます。
たとえばデビュー作の『美女と野獣』からはダブルキャストでチップを演じていたウエンツ瑛士さん、ビースト役の鈴木壮麻さん、ベル役の堀内敬子さんもいらっしゃいます。当時のことは覚えてますか?
覚えてますね。子役時代はもうめちゃめちゃやんちゃで、大人たちに怒られながら、でも可愛がってもらいながらやっていました。トークではそんな思い出話もできたらなと思います。
──ターニングポイントについてお聞かせください。
19歳の時に、『ミス・サイゴン』にアンサンブルで出演させていただいてから大人の俳優としての心構えを持つようになりました。特にアンサンブルは、自分で役に名前をつけて、どんな生い立ちで、どういう家族構成で、なぜこのベトナムに辿り着いたのか、サブテキストを自分たちで作っていく作業が必要。先輩方の力もお借りしながら、役を自分で構築していくことを学びました。
また、約1年のロングランだったので、気持ちの鮮度を保ちながら演じていくということも学びました。
その後、2015年、25歳のときに『レ・ミゼラブル』のオーディションに受かり、マリウス役を演じたも印象的です。
それまでは僕はソロで歌声を聴いていただけることが少なかったので、ソロがもらえるようなキャラクターを演じたいという思いが強かった時期でした。子どもの頃から大好きだった作品で、帝国劇場で、マリウス役を生きる。ひとつの目標にたどり着いた、大きなターニングポイントです。
──今ではその歌声に多くの方が魅了されています。海宝さんご自身が思う長所短所は。
歌については自分の中では次から次へと課題が見える。満足できる瞬間は本当にありません。
もっとこう表現したいけどできなかった、もっとこうやって歌いたかった、でも自分の技量が足りない。その連続です。
長所であり短所は凝り性。自分がやりたいものに対して、とことん突き詰めるオタク気質なんです。それが強みでもあり、ジレンマでもあります。
今回もやりたいことがすっごい膨らんでしまい、ご迷惑をおかけしているかと(笑)。これまでの出演作のメドレーを用意していますが、それが結構な分量。共演者には負担をかけているとは思いながら、みんな素晴らしいスキルをお持ちですし、僕ら演者が大変な思いをして苦しめば苦しむほど、お客様に楽しんでいただけるということを知る仲間たちなので、みんなで一致団結して頑張ります。
──これからの目標や夢は。
今回、構成・演出もやらせていただいて、大変なところもあり、なかなか眠れない日々を過ごしていますが(笑)、みんなで何かを作ることはすごく楽しい。すぐにということではなくてもモノを作っていく、演出的なことができたら楽しいだろうなと思っています。
そして、この30年がそうであったように、ここからまた新たな人や作品に出会っていきたいです。近年、新作にチャレンジする機会を多くいただいていたり、また、韓国発の作品がトニー賞を獲ったことにも刺激を受け、これからも初演作品への挑戦、日本から作品を発信することにも携われたらと思っています。
──シアタークリエでの上演について。
楽屋から舞台へ向かう階段では、『RENT』のときここで出番を待っていたなとか、ここに座って曲を聴いていたなとか。ほかにもステージの表にも裏にもたくさんの思い出のある劇場なので、そこで上演できることはやっぱり嬉しいです。
改めて、シアタークリエで30周年を迎えられることをとても幸せに、嬉しく思います。だからこそお客様に最大限に楽しんでいただけるショーをお届けします!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人