<作・演出 鄭 義信コメント>

作品について
1970年前後、高度経済成長と大阪万博に沸く関西の地方都市。そこで慎ましくも懸命に生きる在日コリアン一家と、彼らが営む焼肉店「焼肉ドラゴン」に集う人々の人間模様を、生き生きと描き出した本作。2008年の初演では、開幕直後から口コミで大きな評判を呼び、東京・ソウル公演では連日スタンディングオベーションを巻き起こすなど、観客から熱狂的な支持を受けました。その年の日韓両国で数々の演劇賞を受賞し、2018年には鄭 義信自身がメガホンを取り映画化もされました。
芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)とのコラボレーション
本作は、2008年に新国立劇場が芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)とのコラボレーション企画として、鄭 義信に書き下ろしを依頼し制作されました。2002年、2005年上演の『その河をこえて、五月』(平田オリザ・金 明和 作/李 炳焄・平田オリザ 演出)に続く、同劇場との2度目のコラボレーション企画となります。

『焼肉ドラゴン』2011年公演より
撮影:谷古宇正彦
ものがたり
万国博覧会が催された1970(昭和45)年、関西地方都市。高度経済成長に浮かれる時代の片隅で、焼肉屋「焼肉ドラゴン」の赤提灯が今夜も灯る。
店主・金 龍吉は、太平洋戦争で左腕を失ったが、それを苦にするふうでもなく淡々と生きている。
家族は、先妻との間にもうけた二人の娘・静花と梨花、後妻・英順とその連れ子・美花、そして、英順との間に授かった一人息子の時生......ちょっとちぐはぐな家族と、滑稽な客たちで、今夜も「焼肉ドラゴン」は賑々しい。ささいなことで泣いたり、いがみあったり、笑いあったり......。
そんな中、「焼肉ドラゴン」にも、しだいに時代の波が押し寄せてくる。