2025年8月10日、日比谷・シアタークリエにて幕を開けたミュージカル『ジャージー・ボーイズ』。BLACK、YELLOW、GREENに続き、ついにNew Generation Teamが登場しました。
メンバーは、フランキー・ヴァリ:大音智海さん、トミー・デヴィート:加藤潤一さん、ボブ・ゴーディオ:石川新太さん、ニック・マッシ:山野靖博さん。いずれも長く作品に携わり、今回の本公演でもその実力を余すところなく発揮されているみなさんです。限られた公演回数ながら(当初は1回限りの予定が即完売につき追加公演が決定)、彼らが日本版『ジャージー・ボーイズ』の歴史に新たな一章を刻む瞬間が訪れました。
まずなによりも伝えたいのは、この4人がこのステージに立ったという事実。そして、それを実現させた『ジャージー・ボーイズ』カンパニーの素晴らしさです。ゲネプロの客席には、これまでの公演に出演してきたキャストや関係者が集い、幕開けから舞台を盛り上げていました。そんな愛に満ちた劇場空間で、共演者たちとともに物語を生きる4人の姿に、まずそれだけで胸がいっぱいになるのでした。
もはや歌や演技についてあれこれ語るのは野暮かもしれませんが(素晴らしかったのひと言で十分!)、夢の舞台に立ったNew Generation Teamの公開GPの模様をレポートいたします。
これまで幾度となく目にしてきた景色が、新鮮に映る。すべての瞬間が愛おしく、目の前で繰り広げられるドラマに浸りながら、うれしくて楽しくて仕方がない──そんな“冷静ではいられない3時間”を過ごしました。
それぞれが長く作品に携わり、ザ・フォー・シーズンズを間近で見つめ、声を重ねてきた4人。その経験の積み重ねを土台に、オリジナリティあふれる人物像を立ち上げていく。個性を生かしながらも、グループとしての調和を築き上げる藤田俊太郎さんの演出の魅力も、改めて実感するNew Generation Teamの公演でした。
【春】トミー・デヴィート:加藤潤一さん
優しい声と人懐っこい笑顔が印象的なトミー像。そこから垣間見えるグループやリーダーへの執着、孤独、明るさと影のコントラストが鮮やかです。ノーマン・ワックスマン(畠中洋さん)が楽屋に現れた際の表情は、虚勢でも開き直りでもなく、トミーの率直さが滲み出ていました。「抜け出したかった」、育った地域の流儀に従った結果として彼の筋道が、鮮明に浮かび上がります。
【夏】ボブ・ゴーディオ:石川新太さん
のびやかな歌声と、丁寧でまっすぐな芝居が印象的。レコーディング費用をトミーが工面するシーンでの「誰も頼んでいないのにね」という一言が、さらりと自然に出ることで、逆に残酷さが際立ちます。年を重ねたボブとしては、無邪気さからは想像できない包容力を見せてくれました。
【秋】ニック・マッシ:山野靖博さん
魅惑の低音ボイスでハーモニーを支え、人間関係でもバランサーとして絶妙なポジショニングをとるニック。冷静に作品やキャラクターを見つめてきた山野さんならではのニック像がそこにありました。『Big Girls Don’t Cry〈恋はヤセがまん〉』での「Silly boy~」がシアタークリエに響き渡る瞬間は、まさに鳥肌モノ。去り際の余韻も……。
【冬】フランキー・ヴァリ役:大音智海さん
下手通路から姿を現し、第一声を発した瞬間に客席が感極まる──そんな現象が起きました。中川晃教さん、花村想太さん、小林唯さん、歴代のフランキー・ヴァリ役者たちと声を重ねてきた大音さんのフランキー役は、“JBドリーム”そのもの。その夢を現実にし、さらに確かな表現で記憶に残す姿。ほかの誰とも違う、大音さんならではのフランキーです。純粋な少年が見せる意外な強気、情に厚く、頑固さもある人間味。音楽に導かれて生きる等身大のキャラクターの説得力が、歌声とともに劇場を包み込みました。
ザ・フォー・シーズンズの4人とともに『ジャージー・ボーイズ』の世界を作り出すキャスト陣も、温かなまなざしとがっぷり四つの芝居で4人を鼓舞。

柴田実奈さん、原田真絢さん、ダンドイ舞莉花さん、町屋美咲さん
全チームと組む、4人の女性キャスト(Swing:三浦優水香さん)にも心から拍手を贈りたい!
New Generation Team公演を寿ぐ演出
こうして日本版のミュージカル『ジャージー・ボーイズ』の作品としての完成度、強度と人気を新たな形で示したNew Generation Teamの公演。そこには長く作品を愛するファンがグッとくる演出も。チームカラーを冠しないNew Generation Team、赤いジャケットで第一幕が幕を下ろし、第二幕が始まると──現れたのは青いジャケットを纏う4人。そして、ラストでは、ロックンロールの殿堂入りを果たした彼らは、白いジャケットを身に纏い、髪にも白いものが──階段を降りながら、時を超える“あの演出”再びです。
BLACK、YELLOW、GREENで幕を開けた2025年の公演、そこにRED、WHITE、BLUE……『ジャージー・ボーイズ』のこれまでが結実したNew Generation Teamであること、視覚的にも、精神的にも示される。敬意に満ちた演出に胸が熱くなる!!
2016年のセンセーショナルな初演から、コンサートバージョン、全国ツアーなどなど、常に新たな頂を目指し、そのたびに新たな景色を見せてくれる『ジャージー・ボーイズ』の旅はまだまだ続きます。 New Generation Teamは、きっとゴールではなくスタート。ここからどんな色彩を放つのか──そして、次はどんな夢を見せてくれるのか。観客もまた、彼らとともに旅を続けたいと願うのです。
2日間、2公演を経て、4人はそれぞれのTeamへ帰っていきます。そこで彼らが、そして観客が見る景色は──公演は9月30日まで、日比谷・シアタークリエにて!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人