1996年に宝塚歌劇団で日本初演、2000年の東宝版初演から観客を魅了し続けてきたミュージカル『エリザベート』。東宝版25周年を迎える2025年版では、エリザベート役に望海風斗さんと明日海りおさんを迎え、トート役は古川雄大さん〈全公演地〉、井上芳雄さん〈東京公演〉、山崎育三郎さん〈北海道・大阪・福岡公演〉が演じます。
自由を愛し、類なき美貌を誇ったハプスブルク帝国最後の皇后エリザベートと、黄泉の帝王“トート=死”の愛を、滅びゆくハプスブルク帝国を背景に描く壮麗な名作。ミヒャエル・クンツェさん(脚本/歌詞)、シルヴェスター・リーヴァイさん(音楽/編曲)、小池修一郎さん(演出/訳詞)という才能豊かなクリエイターが作り出した本作。新たなキャストとともに、進化し続ける『エリザベート』の新章が幕を開けます。
【囲み取材レポート】
渋谷・東急シアターオーブにて初日を迎えるミュージカル『エリザベート』、東宝版25周年公演。エリザベート(シシィ)役の望海風斗さんと明日海りおさん、トート役の井上芳雄さん、古川雄大さんが取材陣の前に衣裳を纏って登場し、それぞれが“新生エリザベート”への思いを語ってくださいました。
――いよいよ初日を迎えます。今のお気持ちは?
望海さん)私たちは本当に初めてなので、客席にお客様が入り、皆さんがどう感じてくださるのか、その温度感がまだわかりません。まずは落ち着いて、一つひとつ丁寧に積み重ねていこうと思っています。
明日海さん)私も初めてのシシィ役で、まだ必死でいっぱいいっぱいです。でも(舞台稽古を)客席から見ていると、完璧な“エリザベートの世界”が仕上がりつつあって。以前からのキャストの皆さんもさらにパワーアップされていて、すごく熱い舞台に近づいていると感じます。私も挑戦を続けていきたいです。
古川さん)稽古でもタイプの違うお二人の新エリザベートから、たくさん刺激をいただきました。お二人が本当に素晴らしくて!ほかにも新キャストの方も多数いらして、稽古場最終日には「新しい“エリザベートカンパニー”が出来上がった」という実感がありました。たくさんの方に、『エリザベート』を愛してもらえたらと思っています。
井上さん)東宝版初演から25周年の記念すべき年に公演できることを嬉しく思います。僕自身も、トートを演じるようになって10年ほどが経ちますが、これまでは東京公演はほとんどが帝国劇場での上演でした。今回は、初めてシアターオーブでの上演、そして新しいエリザベートお二人もお迎えすることもあり、新鮮な気持ちでお稽古を重ねてきました。渋谷の『エリザベート』がどうなるのか、お客様の反応も含めて楽しみです。
――2人のエリザベート、3人のトートでの稽古はどんな雰囲気でしたか?
望海さん)本当に必死でついていくのが精一杯でした。でも、トート役のお三方がそれぞれのトート像をしっかり持っていて、大きな懐で受け止めてくださいました。
古川さん)望海さんと明日海さん、めっちゃ仲良いですよね。
井上さん)宝塚の同期だしね。助け合ってる感じがあるよね。
古川さん)最初、「もしシシィのお二人がバチバチだったらどうしよう」って、ちょっと思ってたんですけど(笑)。仲良くてよかったです。
(会見場は笑いに包まれる。)
明日海さん)でも芳雄さんと古川さんもすごく仲良しですよね。
古川さん)どういうことか僕らのファンの方には「僕たち二人は仲が悪いんじゃないか」って言われて(笑)。
井上さん)仲悪いというか、あまり話したりしないってね(笑)。
古川さん)今回は「仲良くしてくださいね」ってファンの方からたくさん言われたので、必要以上に仲良くしています。
井上さん)そうなの?無理して?(笑)。でも今回、稽古や、とくに舞台稽古が始まってからも、深い話をいろいろできました。楽屋は、育三郎も一緒で、3人並んで、すごい楽しかった。
古川さん)楽しかったですね。
井上さん)あと、古川くん、いろんなものをくれるんです。主に食べ物を。
古川さん)全然もらってくれないんですよ。なぜかずっと断られるんです。今後もお渡しします!
井上さん)断りますけど(笑)。でも仲は深まったなって感じはしてます。
――望海さんと明日海さんは宝塚音楽学校の同期。今回、Wキャストとして一緒に過ごした稽古期間はいかがですか?
望海さん)私たちは、音楽学校の寮で同室だったんです。二人部屋で。まだ学校に入りたての初々しい私たち、一緒に夢を追っていた頃の気持ちをすごく思い出しました。さゆみちゃん(明日海さん)が舞台に立っている姿を見ると、うるうるしてしまうこともありました。逆に、私が通し稽古を終えて戻ると、さゆみちゃんが泣いていたり。
明日海さん)いろんなものを背負って舞台に立ち、演じている姿を見たら、たまらなくなって堰を切ったようにね。
望海さん)本当に、一番近くで相談したり、感想を言い合ったり、甘えさせてもらったり、教えてもらったり、二人で過ごす時間がね──
明日海さん)幸せでしたね。これから公演が始まったら、自立しなきゃと思うとちょっと寂しいです。
――稽古場の雰囲気は独特だと聞きます。
井上さん)殺伐としているわけではないんだけど、ピリッとした緊張感があります。
古川さん)今回に限ったことではなく、『エリザベート』の稽古場は、いつも独特の緊張感があります。だから帰りたくてしょうがないんですよ(笑)。
井上さん)わかる!僕と古川くんはすぐ帰るんですよ。緊張感に耐えられなくて(笑)。帰りのエレベーターはいつも古川くんと一緒になります。
明日海さん)私も毎日、緊張して呼吸の仕方がわからなくって、時々、窓から外を見たりしています。でもそれが『エリザベート』という作品の持つ歴史の重みなのだろうと。
望海さん)最初は長く携わったスタッフ、キャストのなかに飛び込んでいくのが怖かったのですが、皆さんすごくおおらかで、私自身が馴染んで、自分のやりたいことが見えてくると、どんなトライも受け止めてくださる方ばかりなので、これが“エリザベートカンパニー”の大きさなのだと感じました。
──トートはトリプルキャストですが、ご自身の“色”を出す意識は?
井上さん)自由度が高く、トートもそれぞれの個性が出るように小池先生が演出してくださるので、自然とまったく違う仕上がりになっています。ちなみに古川くんは、言われた振りをあまりしないんです(笑)。僕は、言われた通り。でも、それも、各々のチョイスのひとつとしてありだと思います。
古川さん)僕は今回、いろんなものをそぎ落としてみようということで。身振り手振りではない、“内から出てくるもの”で表現してみました。そぎ落とした先にあるシンプルさを追求し、それを許していただき、自分なりのものはできたのかなと感じています。三人が、あえて違う方向を目指すというよりは、それぞれの考え、個性で作った結果として、三者三様になったのではないかと思っています。
──相手役によっても演技が変わるのでしょうか?
明日海さん)全然違います。自然に生まれたものを大切に、それを活かす演出にしてくださっているので、トートとの絡みは組み合わせごとにニュアンスも動きも違うんです。何度観ても違う『エリザベート』を楽しんでいただけると思います。
望海さん)シシィとトートの関係性って、人間同士ではない特殊なもの。稽古場では、3人のトートから出てくるものが違うので、それにどう対峙するかを考えるのが、すごく楽しかったです。一方で、だからこそシシィ自身が、ただ振り回されるのではなく、しっかりしていないと関係性も揺らいでしまうとも思いました。トートだけでなく、キャストの組み合わせの違いによる化学反応によって、違うものが生まれるのが演じていても楽しいです。
── 最後にメッセージを!
望海さん)まだどんなものになるのか想像もつきませんが、私たち自身が一番ドキドキワクワクしています。一回一回を大切に、公演を重ねていきたいです。
明日海さん)『エリザベート』は本当に唯一無二の魅力を持つ作品。毎日、素敵なキャストの皆さんと化学反応が起きています。心を込めて演じていきますので、ぜひ劇場で楽しんでください。
25周年を迎えた東宝版『エリザベート』。宝塚時代から互いを知る二人の新エリザベートと、回を重ねることで役を深める三人のトートをはじめとする豪華キャスト陣──その絆と化学反応が、新しい、2025年のミュージカル『エリザベート』に命を吹き込む。
歴史ある名作が新たな息吹をまとい、渋谷・シアターオーブから全国へと広がっていきます!
ミュージカル『エリザベート』ゲネプロレポート(エリザベート役:望海風斗さん、トート役:古川雄大さん)ミュージカル『エリザベート』ゲネプロレポート(エリザベート役:明日海りおさん、トート役:井上芳雄さん)★ライブ配&Blu-ray発売決定!★
東京公演千穐楽及び福岡公演大千穐楽を含む計3 公演の
ライブ配信(アーカイブ付き)が決定!また、
2025年版キャストのBlu-ray発売も決定しました!
ライブ配信対象公演東京公演:
2025年11月29日(土)12:00公演※東京公演千穐楽
福岡公演:
2026年1月30日(金)17:00公演
2026年1月31日(土)12:00公演※大千穐楽
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人