鳴り響いていた爆撃音が止んだ時、収容所には子供たちが閉じ込められていた。
絶望と希望の中、生き延びようとした彼らの7日間を描くミュージカル。2026年3月、韓国発のミュージカル『MURDERER』が本多劇場にて上演されることが発表されました。
原作はドイツの劇作家ゲオルク・カイザーによる『メデューズ号の筏』。戦時中の収容所を舞台に、極限の状況に置かれた子どもたちの7日間を描く異色作です。脚本・歌詞はチョン・チャンス、作曲はハン・ヘシン、そして演出を手がけるのは松崎史也さん。『MANKAI STAGE『A3!』』など2.5次元作品でも知られる松崎さんが、翻訳ミュージカルに初挑戦します。
松崎さんは本作演出に際し、「演劇は、とりわけ『死』を描くのに適した場所だ」と語ります。「登場人物の多くは年端もいかぬ少年たち。彼らの笑顔や叫びが、生の煌めきと人間の業をこれでもかと浮かび上がらせる」と続け、重厚なテーマを扱いながらも、「決して重いだけではない巧妙で大胆な脚本」に惹かれたとのこと。世界と繋がる演劇として、俳優たちと共に“きちんと苦しみもがきながら”作品を届けるとコメント。
出演は、橋本祥平さん(アレン)、山本咲希さん・黒川桃花さん(アン/Wキャスト)、工藤広夢さん(トミー)、新里宏太さん(エリック)、小西成弥さん(ピーター)、原周石さん・田仲ゆらさん(コギツネ/Wキャスト)、今拓哉さん(大人)。
戦争、尊厳、生き続けること──深く普遍的なテーマをミュージカルの力で描き出す『MURDERER』。演出家、キャストコメント全文は以下の通りです。
演出・松崎史也さんコメント
演劇は、とりわけ「死」を描くのに適した場所だ。
目の前で生きる人物の命が消えてしまう恐怖、喪失感は真実味を持って迫りカーテンコールになればその虚構から戻って来られる。
この物語は、はっきりとそれを描く。しかも、登場人物の多くは年端もいかぬ少年たち。彼らの笑顔が、叫びが、渇望が生の煌めきと人間の業をこれでもかと浮かび上がらせる。
これほどのテーマでありながら、決して重いだけではない巧妙で大胆な脚本に一読した後、是非にと演出を申し出ました。
演劇で世界と繋がっていけることはとても豊かで、幸せなこと。
頼もしい俳優たちと、きちんと苦しみもがきながら、お届けします。
アレン:橋本祥平さんコメント
アレン役を演じさせていただきます、橋本祥平です。
この作品は、生きることの意味や、人間の残酷さ、その中にある微かな希望を見つめる強い眼差しを問う舞台だと感じています。アレンとして、彼の持つ純粋さと葛藤、仲間を思う優しさ、そして小さな勇気を丁寧に紡ぎたいです。
観てくださる皆さまの心に、静かに、そして深く響く作品となるように、一つひとつの言葉と歌に祈りを込め、この物語と真摯に向き合ってまいります。
アン:山本咲希さんコメント
今は率直に、難しい作品だなと感じています。戦争とは、大人と子供とは、私たちが普段考えることから距離を取ろうとしがちな題材に向き合う時間になるのだろうと。アンは、私たちが成長するに伴い削ぎ落としてきた"子供の純粋な残酷さ"を一番持っているキャラクターだと思います。自らの価値観と向き合い続ける日々になりそうですので、心して取り組ませていただきます。
演出の松崎さんを筆頭に皆様とコミュニケーションをとりつつ、良い作品を創り上げたいです。
アン:黒川桃花さんコメント
今回演じさせていただくアンという少女は、6人の子供たちの中でも、特に“大人”の要素を色濃く持っています。時に大人びて見え、時に少女らしさを覗かせる。その揺らぎには、生への執念や葛藤が潜んでいるんだと感じました。
誰の心の底にもある、残酷さに目を向けさせてくれる作品です。彼女たちの痛みと向き合い、丁寧に、深く取り組みたいと思います。
劇場でお待ちしております。
トミー:工藤広夢さんコメント
トミー役で出演することになりました、工藤広夢です。
トミーは子供たち6人の中でも一際子供らしい子供で、抱えている不安も、希望も、とても素直で純粋です。周りの影響をとても受けやすく、信じやすい。それゆえの大胆な発想にも注目していただければと思います。
親友のエリックとの関係性を狭い空間でどう表現するか、子供たちは運命共同体なので、その中で皆とどう人間関係を構築していけるかなども、とても楽しみにしています。
エリック:新里宏太さんコメント
ミュージカル『MURDERER』でエリックを演じます。新里宏太です。2019年に韓国で上演されたこの作品に、今回出演させて頂けること、とても光栄です。
死を目の前にするこの子供たちの7日間。明日を生きられるかわからないこの7日間。今を生きる自分たちでは考えられないほどの恐怖に打ち勝つために、お互いがお互いに寄り添い、励まし、時にはぶつかり…。「生きる」ということはなにか。真摯に向き合っていきたいと思っております。
ピーター:小西成弥さんコメント
ピーターを演じます小西成弥です。この作品に出演できることをとても光栄に思っています。
極限の状況に置かれた子供たちが、希望を見つけようと必死に生きる姿が描かれています。人の弱さや強さ、そして仲間と響き合うことで生まれる力を、お客様にしっかりとお届けできるよう努めます。
どうぞご期待ください。
コギツネ:原周石さんコメント
初めまして。このたび、コギツネ役を務めさせていただきます、原周石です。
今回この『MURDERER』という作品において、コギツネという存在をどうお伝えできるのか、とてもワクワクしております。とても重く、深いお話しです、その中でどの様にお客様、皆様にお伝えしていくのか。演者、そして制作陣の方々と共に考え創り上げていくその過程を存分に楽しみ皆様にお届けできたらと思っております。 どうぞお楽しみに!
コギツネ:田仲ゆらさんコメント
『MURDERER』という作品に携われること、本多劇場に立たせていただくこと、そしてコギツネを演じさせていただける事に感謝の気持ちでいっぱいです。
踊ることが大好きというコギツネの魅力を、精一杯突き詰めていきたいと思います。出演決定の一報を聞いた時、嬉しさで胸がいっぱいになり、自分にできるかどうかの不安よりも、この作品に挑戦できることに心が踊りワクワクが止まりませんでした。全力で作品とコギツネに真摯に向き合っていく覚悟です。今から楽しみで仕方ありません。一緒懸命頑張ります!
大人:今拓哉さんコメント
『メデューズ号の筏』をモチーフとした本作。このハードでシリアスなテーマを極上のエンタメに仕立て上げる韓国ミュージカルの力を感じます。
そこに向き合うことは役者として多くの刺激と学びと喜びに満ちています。極限状態にある「子供たち」に唯一接点を持つ「大人」という役は「社会」の象徴でもあるのでしょう。深く重いテーマとしっかり向き合い、スリリングな時間を楽しんで貰えるよう若き仲間とともに励みます。お楽しみに!
作品について
劇作家ゲオルク・カイザーは、表現主義演劇を代表する劇作家で反戦意識の強い『カレーの市民』で一躍成功を収めました。日本では2024年、『兵卒タナカ』が上演され話題となりました。本作では──
爆撃の音が鳴りやんだとき、収容所には6人の子供たちが閉じ込められていた。彼らを発見した大人は「必ず助けにくる」と言い残し、わずかのビスケットと水を放り込み去っていく。極限状態の中、希望と絶望とともに生き抜こうとする6人の7日間を描きます。
戦争とは、大人の責任は、人間の尊厳とは、そして生き続けることとは? 大人たちが生み出した戦争の中、廃墟に残され生死と向き合う子供たちを通し、今、世界中どこにでも存在する深いテーマを、ミュージカルの力をかりて問いかけます。
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました