2013/07/01 『ジャンヌ』制作発表レポート

15世紀、フランスに勝利をもたらした17歳のヒロインは
なぜ異端の魔女として火刑台で死ななければならなかったのか。

悲劇のヒロイン、ジャンヌ・ダルクをバーナード・ショーが
社会と個人、男性と女性、そして神と人・・・
相対的な世界から、自らが信じる絶対的な世界へと挑もうとした一人の人間として描き、
ノーベル文学賞を受賞した戯曲を、鵜山仁さんが演出!

世田谷パブリックシアターがヒーロー(ヒロイン)不在の混迷の世の中に提示する
新しいヒーロー(ヒロイン)像、
『ジャンヌ』~ノーベル賞作家が暴く聖女ジャンヌ・ダルクの真実~
制作発表の模様をレポートいたします!


写真左より)中嶋しゅうさん、今井朋彦さん、笹本玲奈さん、伊礼彼方さん、浅野雅博さん、村井國夫さん

紅一点!主演の笹本玲奈さんと伊礼彼方さんというミュージカル作品でも
大活躍のお二人を囲む、鵜山作品常連のダンディーズ!
演劇ファンにもミュージカルファンにもたまらない “濃い” 顔ぶれです!

演劇好きにはおなじみともいえる “ジャンヌ・ダルク” 作品ではありますが、
こちらの『ジャンヌ』おすすめキーワードは
バーナード・ショー” 、“鵜山仁” 、そして “笹本玲奈” です!


では、キーワードにもご注目いただきつつ、会見の様子をどうぞ!
キャストのみなさんのコメントを “ジャンヌのイメージ” とともにご紹介いたします。

タイトルロール、ジャンヌ役の笹本玲奈さん

7月にはオルレアンを訪ねるという笹本さん「ジャンヌは憧れ」

「ずっと憧れ続けていたこのジャンヌ・ダルクの役を、
デビュー15周年となる年に演じることができて心から嬉しく思っております。
私はストレートプレイは2回目、ほとんど初めてのようなものです。
ここにいらっしゃる素晴らしい俳優の先輩のみなさま、
おじさま、お兄さまに助けていただきながら(笑)、
そして初めてご一緒する鵜山さんにたくさんご指導いただきながら、
「ジャンヌ・ダルクの真実」を全身全霊で演じることができたらと思っています。」

すでに鵜山さんと読み合わせをしているという、笹本さん、
改めてお芝居の基本に立ち返り発見することも多いとのこと。
さらにステップアップした笹本さんのジャンヌ!楽しみです。
そして、笹本さんと言えば・・・ジャンヌ役を経て、再び挑むエポニーヌ(『レ・ミゼラブル』)。
エポニーヌもまた “生きざま” “死にざま” のドラマですね。


イギリスの伯爵ウォリック役、今井朋彦さん

「男性にとっては女性というのは永遠の謎でございます。
ジャンヌはその謎がギュッとすまったエッセンスみたいな存在。」

「おじさんとお兄さんの微妙なボーダーライン上におります、今井でございます(笑)。
フランスの敵国であるイギリスの伯爵、軍人ですので、全国のジャンヌファン、
全国の笹本玲奈さんファンを完全に敵にまわすなと思いました。

でも、よく台本を読みますと、必ずしもイギリス側、ウォリックだけが敵だったわけではなく、
ある意味、よってたかってジャンヌを火刑台に送ったというようなところもあります。
僕はウォリック、イギリスの伯爵の立場から、
なぜジャンヌを火刑台に送らなければならなかったのかを、
きっちりと演じられたらと思っています。」

すでに、余裕すら漂う今井さん。飄々と、淡々と、そして傲慢に(?)
どんなウォリックを見せてくれるか非常に楽しみです!


オルレアンの私生児デュノア役、伊礼彼方さん(フランス側の貴公子!)

貴公子なんです!「ジャンヌは・・・素敵です!」

「貴公子なんですよね(笑)。台本のト書きに “美青年” 、“着飾っている” 、
“装飾品” などたくさん書いてあり・・・これは真面目にやらないといけないなと思いました。

僕が演じるデュノアはジャンヌに一番近しい存在で、
彼女が一番フラットでいられる存在なのだと思います。
(笹本さんとは)実年齢も近いですし、これから1か月半ぐらいかけ、
いい関係を作りたいと思います。
ちなみに!僕はおじさんではなく、お兄さん側です(笑)。

先輩方の経験や渋さなど、追い着けない部分もありますが、
若さで勝負して素敵なデュノア、
そして素敵な作品をみなさんと一緒に作りあげていけたらと思います。」

伊礼さんの若さあふれる貴公子!
でもきっと、美しいだけじゃない “何か” を秘めていそうな・・・
ストレートプレイでも活躍著しい伊礼さんにも期待です!


フランス王太子シャルル役、浅野雅博さん

「ジャンヌについては、女性が言っていることについていけば間違いないと思っています!」
すっかりシャルル目線!

「僕は確実にお兄さん側だと思うんですけど(笑)。
この濃ゆいキャスティングで稽古場がどうなるのか、わくわくしております。

シャルルは歴史的にもジャンヌの神々しい愛に満ちた行動に
一番恩恵を受けた人物だと思います。
史実にもある、ジャンヌが裁判でも最後までしゃべらなかったという、
ジャンヌとシャルルの2人の密室のシーン。
それは劇中でも出てくるので、彼女にどう惹かれ、
導かれたのかを作り込んでいく過程を僕自身楽しみにしています!」

浅野さんは確実にお兄さんです!
浅野さんと鵜山さんといえば『モジョ ミキボー』も記憶に新しいですよね!!


領主・将軍ロベールとジョン・ルメートル査問官役、中嶋しゅうさん

「ジャンヌは “頑固” のひとこと。玲奈ちゃんがやるジャンヌと向き合いたいですね。」

「(マイク操作に手間取ってしまい)確実におじさんだね、いや、おじいちゃんみたいだな(笑)。
大好きな鵜山仁という演出家と、大好きな俳優陣たちと、
日々楽しく過ごせたらいいなと思っています。
いい作品は、楽しい稽古場からしか生まれないと、僕は信じています。」


フランスの司教コーション役、村井國夫さん

「ジャンヌは非常に厄介な人物でいながら、シンパシーを感じずにはいられない。
玲奈が魅力的にやってくれればくれるほど、私たちの役も引き立つという(笑)」

「20世紀は戦いの世紀だと言われていますが、21世紀はどうなのか。
今でも世界各地でいろんな諍いがあり、多くの人が無為に死んでいくという状況があります。
(そんな状況で)心を打つセリフがこの戯曲の中にいくつもあります。
ショーの作品、心してかからなければと思っています。

鵜山さんとは、私は5本目。今井くんの次ぐらいに多いんじゃないかな。
『コペンハーゲン』という芝居で700ぐらいのセリフがあったのですが、
1000以上のダメ出しをされました。「お前、ほめることはないのか!」って
言った位ほめることがない人で(笑)。いつも刺激的で楽しい稽古場です。」

中嶋さんは『ジキルとハイド』、
村井さんは『ミー&マイガール』『ベガーズオペラ』などで笹本さんと共演。
お二人の笹本さんへのやさしいまなざしと、期待感が印象的でした!



デビュー15周年の笹本玲奈さんが大役に挑みます!


続いて強力スタッフ陣!翻訳の小田島雄志さん、

レポ終盤に小田島さんの作品の魅力解説も!

バーナード・ショーの作品の中で『ジャンヌ』が一番好きです。
ジャンヌ・ダルクに対する愛情があるんですよね。
この作者が作中人物に愛情を感じさせるものは、僕にはほかに思いつきません。」

そして、演出の鵜山仁さん、

世田谷パブリックシアター初登場です!!

「人の一生、80年のスパンを超えた価値観や考え方で世の中や人生を
作っていかなくてはならない、そんな時代。
そんな時に、我々の遺伝子、DNAをジャンプをさせてくれる、
世の中に風穴を開けてくれる存在が、ヒーローやヒロインだと思います。

そして、口幅ったいですけど、舞台の表現で世の中を変えていけると信じています。
こんなことで世の中は変わるのか、
僕のやっていることは狭い意味でのエンタメなんじゃないかと考えることもあります。
でも、今回、僕も含めてここに集まっているおじさんたち、お兄さんたち、
そして紅一点・笹本さん、ほんのちょっとずつでも、
人間が生きる世界の風通しをよくする力を世田谷から発信しようという思いでいます。

最近、古典や近代古典が持つ長く広いスタンスが面白く、その力に毎日感動しています。
仕事をしながら多少自分の背丈が伸びたような実感もあります。
そのエネルギーにも力を借りて、膨大なセリフだったり難しい面はいろいろありますが、
そのハードルの高いところを元気よく跳んで、
みなさんにメッセージやエネルギーをお伝えしたいと思っています。

また、こういう広い長いスタンスの芝居ができるのは公共劇場ならでは、
別に持ち上げようってわけじゃないですけど(笑)。」

7月に帝国劇場で上演されるミュージカル『二都物語』ともつながるメッセージ、
“生きざま” と “死にざま” 。あわせて観劇すると楽しさ倍増の予感!






<作品について>
神の声に導かれ、フランスに勝利をもたらしたオルレアンの少女。
その後、異端とみなされ火刑台に送られた、ジャンヌ(1412-1432)の物語。
原作は『ピグマリオン』(『マイ・フェア・レディ』の原作)の作者としても知られ、
社会主義運動家としても活躍、「イギリスの知性」と称えられた
バーナード・ショー(原作『Saint Joan』)。

1920年5月、時のローマ教皇により、
死後500年近く経ちジャンヌが聖女の列に加えらえたことに想を得て執筆された戯曲。
3年後の1923年にNYで初演、
翌年ロンドンで幕を開け英米ともロングランヒットを記録しました。

ただの歴史劇に終始しない、スリリングなセリフの応酬や奇想天外な展開、
演劇の醍醐味を存分に味わえるこの作品で
バーナード・ショーはノーベル文学賞(1925年)を受賞!!

戯曲後半は法廷劇のスタイルをとり、
最終幕では、ジャンヌの名誉が回復した1920年当時のイギリス紳士が舞台に登場し、
死後のジャンヌと語り合うシーンがあるなど劇構造も注目です!

日本での上演は1926年築地小劇場、
その後63年、69年に劇団雲による上演(ジャンヌ:岸田今日子、シャルル:仲谷昇、
デュノア:山崎努、コーション:高橋昌也、ほかにも名古屋章、橋爪功といった錚々たる顔ぶれ!)
以来、実に44年ぶりとなります!


ある本によると、ジャンヌは最後まで剣を抜かなかった。
なので剣を十字架のように抱いているのです!

小田島さんによる作品の魅力解説!!

「ジャンヌ・ダルクを最初に英語で書いた男は、おそらくシェイクスピアです。
シェイクスピアの『ヘンリー六世』(鵜山演出)を見ましたが、
あれに出てくるジャンヌは悪霊を呼び出す魔女です。
ところがバーナード・ショーは愛情を込めた。
なぜかというと、ショーはアイルランド人なんですね。

アイルランド人はイングランド人と非常に仲が悪い。
そしてイングランド人とフランス人は百年も戦争をした、やっぱり敵同士です。
敵の敵は味方なんです。

そして、アイルランド人は、まず、フランスでうける!
作家でいえばバーナード・ショー、ジェームズ・ジョルス、そしてサミュエル・ベケット。
みんなパリでうけます、それでイギリスに輸入される。
だからショーもオルレアンの乙女に非常に興味を持ったんだろうと思います。

僕自身もこの作品すごく好きなんですけど、
僕が見たのは50年前の岸田今日子ちゃんの『ジャンヌ』。
今回、笹本さんで観られるなんて、こんなに嬉しいことはないです。長生きはするもんです。」

『ジャンヌ』翻訳のエピソードも語られました。

「本当は(会見に)翻訳の中川龍一さんが来てくれればよかったんだけど、
今日はどうしても来られないという・・・だいぶ前に亡くなってしまったので(笑)。
6場のうち3場まで中川さんが訳して、その後4~6場を僕が引き継いだんです、
なので“ジャンヌ”が中川さんの訳、“ダルク”が僕の訳と思ってください(笑)」


続いて質疑コーナーより



44年ぶりの上演について、そして壇上の伊礼さんから飛び出した
「この作品の宗教性はどう受け止めればいいのか」という質問について、鵜山さんより

「44年上演されてこなかったのは、社会劇とか政治的なメッセージが強い作品には
流行りすたりがあるんですよ。
そういう話題が我々の生活にとって大事に思える時と、そうでない時があるということです。
大事に思える時が幸せな時代かと言われればそうでもなくて。。。

『ジャンヌ』は、自分は何のために生きているのか、そのガイドになるような作品だし、
そういうエネルギーをライブで表現することが必要とされている “時代” なのだと思います。

“明日死ぬとわかったら今日どういう芝居をするか” これは井上ひさしさんのセリフです。
今日をどうやって生きるか、生きるってことをのっぴきならないこととして
自分に突きつける面白さ、大変さ、素晴らしさ。
どうやら僕は最近こういうことを、夜よく眠れないほど身近に感じ、考えているんです。

また、宗教にはいろいろな面があるけれど、
今の僕にとっては一番のポイントは死んだ後のことを考えて生きる、
死んだ後も死んでいないような表現という面です。

ジャンヌは死んだ後のことを考えて生き、命がけで表現をした人。
最終場面は死んだ後のジャンヌが登場する、まさしく死んでからの生き方が描かれています。
ですので、そちらも、お楽しみに!」



混迷を切り開く力となり得る“演劇”の力を感じに劇場へ足を運びたくなる制作発表会見でした!

鵜山さんつながり、笹本さんつながり、フランスつながりで『二都物語』『レ・ミゼラブル』
バーナード・ショーつながりで『ピグマリオン』
井上ひさし作品、鵜山さん演出の『イーハトーボの劇列車』
アイルランド出身のフランスの劇作家ベケットの流れにのって、別役実作品『象』(上演中)
新しいヒーロー像という同テーマを感じさせる世田谷パブリックシアター公演
『神なき国の騎士』(仮題) ―「ドン・キホーテ」より― ・・・
様々な視点から、『ジャンヌ』を軸に自分なりの連作もの観劇を計画しても楽しそうです!!


【こぼれ話】
小田島さんから・・・
「以前、オルレアンに行きましたが、どこを向いても、
そこらじゅうジャンヌ・ダルクなんです。
一緒に行った記者が「この町はジャンヌ・ダラケですね!」と。
僕もダジャレ好きだけど先を越されました(笑)。負けた。」
これにはダジャレ王・村井さんも(笑)

みなさん、なぜか階段状にヤラレていました(笑)


【関連情報】
朝日カルチャーセンター新宿教室にて、本公演の関連口座
『生きている「ジャンヌ」を』 開催!
主演の笹本玲奈さん、演出の鵜山仁さん、翻訳家の小田島雄志さんが、
舞台稽古の様子や役作り、そして『ジャンヌ』という作品について語ります。

日時は8月10日(土)13:30-15:00。詳しくはこちら


【公演情報】
『ジャンヌ』~ノーベル賞作家が暴く聖女ジャンヌ・ダルクの真実~
[東京公演]
2013年9月5日(木)~24日(火)
世田谷パブリックシアター

[兵庫公演]
9月28日(土)、29日(日)
兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

[豊橋公演]
10月5日(土)
穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

[札幌公演]
10月9日(水)
札幌市教育文化会館 大ホール

<スタッフ>
作:バーナード・ショー
翻訳:中川龍一 小田島雄志
演出:鵜山仁

<出演>
笹本玲奈/今井朋彦/伊礼彼方/大沢健/浅野雅博/馬場徹/
石母田史朗/金子由之/今村俊一/酒向芳/石田圭祐/新井康弘/
小林勝也/中嶋しゅう/村井國夫

公演HPはこちらから



おけぴ取材班:chiaki(文/撮影) 監修:おけぴ管理人

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