『スリー・キングダムス』@新国立劇場中劇場
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サイモン・スティーヴンスが描く“戦慄のサスペンス”『スリー・キングダムス Three Kingdoms』日本初演が、いよいよ初日を迎えます。
ロンドンのテムズ川で発見された女性の変死体。この殺人事件を追うイギリス人刑事、イグネイシアスは、捜査を進めるうちに、ヨーロッパ全土に広がる国際的な犯罪組織の存在にたどり着きます。ドイツ、そしてエストニアへと舞台を移し、事件の真相に迫る一方で、自身の過去の行いを突き付けられ、事態は思わぬ展開を見せていく…というスリリングな物語。
演出を手がけるのは上村聡史さん。新国立劇場 中劇場の空間をどう使い、どう見せるのか、注目が集まります。
開幕を前に、公開フォトコールとオールキャストが意気込みを語る初日前会見が行われました。
フォトコールでは幕開きのシーンと、イグネイシアスとチャーリー、二人のイギリス人刑事が事件の真相を追ってドイツへ旅立ち、そしてドイツで刑事シュテッフェンに会うというシーンの2つが披露されました。シンプルでスタイリッシュな舞台装置、そこに浮かび上がるトリックスター。続くシーンも、光の演出で、その影もが語り掛けてくるような舞台に圧倒されました。そして、何より──ひたすらに美しい!

漆黒の闇に姿を現すトリックスター(音月桂さん)

やがて景色が──
こうして物語の幕が上がる

二人の刑事イグネイシアス(伊礼彼方さん)とチャーリー(浅野雅博さん)が現れる

ドイツへ旅立つ朝

イグネイシアスの住むフラット、妻キャロライン(夏子さん)との会話

導かれるようにドイツへ

ドイツへ向かう空港の喧騒

フランク・シナトラの「Come Fly With Me」を歌い上げるトリックスター

ここはドイツ!

挨拶を交わす──“多言語を日本語で”の面白さの始まり

チャーリー(浅野雅博さん)

シュテッフェン(伊達暁さん)
【初日前会見より】
伊礼彼方さん(イグネイシアス)この素晴らしいメンバーと一緒に、こうして初日を迎えられることを嬉しく思います。
非常に難解な作品。僕が演じるイグネイシアスの“脳内”を、周りのキャストがどんどん具現化していく。最終的に“イグネイシアスという人物は本当に存在したのか?”と思ってしまうような不思議な構造です。
そして、今回は“人の芝居を待つ”経験をしています。皆さんが手練ればかりで、出るたびにシーンを持っていってしまう。その力に影響されて、仕掛けてもらって、どんどんイグネイシアスとして迷走していく感覚があります。
稽古場では、上村さんが“どこまで決め”、“どこから自由にしてよいか”を1ヶ月かけて探りました。つかみどころのない作品で、答えにたどり着けない。でも、僕にとっては上村さんの導きやキャスト、劇場空間が指針になってくれています。
いよいよ劇場入りしてからは、天井があるこのセットでの芝居をし、音の反響、一つの空間に閉じ込められている息苦しさを感じます。そこからまたなにか感じ取ってもらえるといいな。まだまだ試しながら、おそらく千秋楽まで悩み続けると思います。
音月 桂さん(トリックスター、シュテファニー ほか)この作品は、明確な答えや正解が用意されていない。観た方の数だけ真実が生まれる作品です。稽古では、上村さんや共演者の方々からの“ヒント”に身を委ねて、新しい発見がたくさんありました。
“考えるより感じる”作品。不条理な世界観に浸り、観終わった後に語らうところまでがこの作品の一部だと思います。
トリックスターの役作りを通して、俳優として、自分を自由に解き放てたような気がしています。トリックスターは、楽しくて、お客様と同じ目線で舞台を俯瞰して観ることができる。自分だけ違う次元にいる感覚です。
このようなチャレンジをできる環境に感謝しています。
(※トリックスター役は戯曲には存在せず、演出家とともに作り上げた役どころ)
伊礼さんからは「ミュージカル好きの方には“音月桂の一人『エリザベート』”と思って観てもらうと楽しめる(笑)」という紹介も飛び出し、会場を沸かせました。その答えは──劇場で!
夏子さん(キャロライン ほか)五感を開いて、“分からないこと”を楽しんでいただけたらと思います。
伊達 暁(シュテッフェン)イギリス、ドイツ、エストニアを旅する物語。英語・ドイツ語・エストニア語を日本語でどう演じ(表現し)、どう伝わるのか──“多言語コミュニケーション”も見どころです。
浅野雅博(チャーリー)伊達さんがおっしゃったように、日本語で上演されますが、ヨーロッパの西から東へと大きく横断する物語を表現する──その妙技。僕は何もしていませんが(笑)、楽しんでいただければ。
佐藤祐基さん(アンドレス・レバン[トム]ほか)伊礼さんの“燃えかすっぷり”が最大の見どころ。僕らがどれだけ燃えかすにできるか、です。
竪山隼太さん(アレクサンドル・リヒテル ほか)登場人物は皆どこか“愚か”。人間は、不完全で不安定で、でも必死に生きている。それを俯瞰で見ている(トリックスターという構図)──音月さんは時に“神様のようにも”見える、独特の世界観があります。
坂本慶介さん(クラウス・ブラント ほか) ラストシーンの印象は、お客様によって受け止め方はまったく違うと思いますが、とても美しい、気持ちいいシーンです。
森川由樹さん(クリスティナ・スーヴィ ほか)女性キャスト3人のセリフ。誰かのセリフが、同時に被害者ベラの心だったり、ほかの誰かの心だったりを現しているように感じられます。「誰の心」「誰のセリフ」「誰の脳内」なのかを、ちょっと感じながら楽しんでいただけたらと思います。
鈴木勝大さん(通訳 ほか)上村さんの演出は“攻めている”。読むだけでは思いつかない芝居、その広がりを楽しんでもらえたら!
八頭司悠友さん(トミー・ホワイト ほか)僕は最初のシーンに登場して、次に出るのが約2時間半後。その間に、伊礼さんの顔が“まったく別人”になっているんです。2時間半で、こんなに人の顔って変われるんだ。その顔、そして、その過程の緻密さにも、注目してください。
近藤 隼さん(ミスター・ペトロフ ほか)この箱。何もないようでいて、そこに俳優が登場することで多くの“変化”が起きる舞台空間。照明・衣裳・音楽・効果音……視覚的にも聴覚的にも楽しめる要素が詰まっています。
◆キャストが、それぞれの視点で作品の魅力を語った会見。
伊礼さんの“燃え尽きるイグネイシアス”、音月さんの“次元を超える存在としてのトリックスター”、多言語を日本語で表現する挑戦、照明・音響・空間に閉じ込められたように感じさせる舞台効果──。
観客一人ひとりの“解釈”によって完成する作品を体感しに、新国立劇場へ!
『スリー・キングダムス』@新国立劇場中劇場
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ものがたり
刑事のイグネイシアスは、テムズ川に浮かんだ変死体の捜査を開始する。捜査を進めるうちに、被害者はいかがわしいビデオに出演していたロシア語圏出身の女性であることが判明する。さらに、その犯行が、イッツ・ア・ビューティフル・デイの名曲「ホワイト・バード」と同名の組織によるものであることを突きとめる。イグネイシアスは捜査のため、同僚のチャーリーとともに、ホワイト・バードが潜伏していると思われるドイツ、ハンブルクへと渡る。
ハンブルクで、現地の刑事シュテッフェンの協力のもと捜査を始める二人だったが、イグネイシアスがかつてドイツに留学していた頃の不祥事を調べ上げていたシュテッフェンにより、事態は思わぬ方向に進んでいくのであった。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人