こまつ座第156回公演、井上ひさし作・鵜山仁演出『泣き虫なまいき石川啄木』が、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて初日の幕を開けました。1986年の初演、2001年の再演を経て上演される本作は、井上ひさしが得意とした“評伝劇”のひとつ。啄木の死の翌年、身重の妻・節子が日記を読み返すところから物語が始まり、啄木最晩年の3年間を丁寧に辿っていきます。注目の作品の舞台写真(撮影:宮川舞子)が届きました。

西川大貴

北川理恵

西川大貴、眞島秀和
はたらけど
はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり
ぢっと手を見る
啄木を「どんな時代の人間も、人間であるかぎり、必ずぶつかるにちがいない実生活の苦しみのかずかずをすべてはっきりと云い当てて列挙していってくれた人」と語った劇作家・井上ひさしさん。私たちが、いま直面している問題に、何十年も前から気づいていたという啄木の言葉を、次の時代に一つでも引き渡すために、啄木の晩年の三年間にすべてを盛り込んで構成された作品──それが『泣き虫なまいき石川啄木』です。

西川大貴、北川理恵、山西惇

西川大貴、山西惇

那須佐代子、北川理恵、深沢樹

西川大貴、山西惇、眞島秀和
若くして亡くなった石川啄木を中心に、妻・節子、父・一禎、母・カツ、妹・光子、そして親友・金田一京助という6名が登場。貧しさ、家庭内の葛藤、病、人生への不安──啄木が抱えた「実生活の白兵戦」が、当時の東京・本郷での暮らしとともに描き出される本作。啄木の言葉を「どんな時代の人間にも通じる苦しみを列挙した人」と評した井上ひさしさんらしい、普遍的なテーマを内包した作品となっています。
【本作と出会えた喜びの声、続々!】
早速ご観劇されたおけぴ会員さんからのコメントも続々と届いています。
歴史上の人物から、ひとりの青年・啄木へ──啄木の人生について「知っているようで知らなかった」と語るお客様も多く、貧しさや家族の摩擦、病、孤独といった日常の描写を通して、教科書で学んだ“短歌を残した文学者”とは異なる、生身の人間としての啄木が立ち上がってくるという演劇ならではの驚き、実感がある舞台です。また重い題材でありながら「ユーモラスな場面が多く、非常に見やすかったです」「笑って泣ける舞台でした」という感想も多く寄せられています。重たい題材を扱いながら、観客の心をふっと軽くする瞬間が随所にあるのも、本作の魅力です。
啄木一家の描かれ方についても多くの反響があります。家族それぞれに主張があり、ときに激しく衝突するため、「観ていてずっとハラハラしました」という声もありますが、親友・金田一京助が登場すると空気が和らぎ、「ほっとできました」という感想が!
現代に響くテーマ──二幕についてはみなさんの感想にもより一層熱がこもります!「日本人の心の琴線に触れました」「歴史で学んだことと目の前の演劇が重なり胸が苦しくなりました」「忘れてはならない時代があったと感じさせられました」といった声が並びます。観客それぞれが自身の人生や家族の歴史を重ね合わせながら観劇されていることが伝わってきます。
そして、「全員が舞台上で生きているようでした」「役者さんたちの迫真の姿に胸を打たれました」という声、厳しい人物像であっても「どこか憎めない」「人間らしく愛おしく感じられた」という感想も!井上ひさしさんが愛情を注いだ登場人物の豊かさも注目です。
さらに本作は、歴史上の人物としての啄木ではなく、“ひとりの人間の生きざま”を追体験するような時間だったという声も。家族の問題、生活の苦しさ、才能への不安など、現代にもつながる普遍的なテーマが詰まっており、「自分も頑張ろうと思えました」「隣の人に優しくしたくなる舞台でした」という前向きな声や「こまつ座の真骨頂だと思いました」「日本演劇界の財産です。多くの人に観てもらいたいです」というこまつ座さんへの信頼も印象的。
観客の心に“これからを生きる力”をそっと残す舞台として、多くの方が本作と出会えた喜びの声を寄せてくださっています。
また「あとからじわじわと感動が湧き上がりました」という感想にも、なるほど!と思わされます。観劇直後は家族の言い争いや生活の苦しさが胸に残りつつも、思い返すうちに啄木の短歌に登場する情景──花を買いにいく姿、母を背負う場面、握った砂が手の間からこぼれ落ちる光景──が劇中で丁寧に描かれていたことに気づき、その発見が感動につながったというお声。「生活から詩へ」「日常から文学へ」という流れを自然に感じ取れる──これも本作の大きな魅力なのでしょう。

那須佐代子、西川大貴、眞島秀和

西川大貴、眞島秀和、山西惇、深沢樹、那須佐代子

西川大貴、眞島秀和

西川大貴、那須佐代子
出演は、西川大貴さん(石川一(啄木))、北川理恵さん(節子)、山西惇さん(父・一禎)、那須佐代子さん(母・カツ)、深沢樹さん(妹・光子)、眞島秀和さん(金田一京助)。
東京公演は12月21日(日)まで。同会場ではアフタートークも予定されており、12月13日・14日の回には出演者が登壇、10日には演出の鵜山仁さんが登場します。その後、盛岡(12月24日)、西和賀町(12月26日)でも上演されます。
啄木が生きた時代の息遣いと、現代にも響く言葉の力が詰まった本作。こまつ座が受け継ぐ“井上ひさしの世界観”を、ぜひ劇場で体感してください。
★スペシャルトークショー開催★12月10日(水)1時公演後 鵜山仁(演出家)
12月13日(土)1時公演後 西川大貴 山西 惇 眞島秀和
12月14日(日)1時公演後 北川理恵 那須佐代子 深沢 樹
※スペシャルトークショーは、開催日以外の『泣き虫なまいき石川啄木』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第ご入場を締め切らせていただくことがございます。【あらすじ】
明治45 年(1912 年)初夏、啄木の死の翌年、身重の妻・節子は療養のため千葉房総の知人の別荘の離れに長女・京子を伴い身をよせていた。夫・一(啄木)から、自分が死んだらすべて焼き捨てるようにと厳命された大学ノートに記された15冊の日記帳を大事に抱え、啄木最後の3年間の日記を読み始める節子。その節子の声と共に、舞台は、明治42年7月、東京市本郷区弓町床屋「喜之床」2階の6畳二間、啄木一家の住まいへと遡っていく。
貧しさ、肺結核という重い病に加え、妻と同居する母との諍い、転がり込んできた酒浸りの父、兄に批判的なクリスチャンの妹、・・・不幸という不幸、悩みという悩みを一身に背負った啄木の「実人生の白兵戦」が幕を開ける。
※本作品における「啄」の正式表記は「啄」ではなく旧字(「キバ」付)の「啄」です。
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました