ミュージカル『十二国記 ‐月の影 影の海‐』公開ゲネプロレポート

現代日本から、異世界へ連れ去られた女子高生・中嶋陽子の成長譚。ミュージカル『十二国記 ‐月の影 影の海‐』世界初演が開幕します! 初日前会見レポートに続いて、公開ゲネプロレポートをお届けします。(楽俊役Wキャストは太田基裕さん)





ヨウコ(中嶋陽子)を演じるのは柚香光さん。
異世界に連れてこられたヨウコは、自分の髪の色、容姿が変化していることに気づき、恐怖や困惑に呑まれます。それでもやがて生き抜く決意を固めていく──柚香さんは、迷い、怯え、ボロボロになりながらも、やがて覚悟へと至るヨウコの変容を鮮やかに体現。内側から湧き出るような凛々しさ、強さは圧巻で、立ち回りもダイナミック。装束の変化も見どころの一つです。




陽子(現代の中嶋陽子)を演じるのは加藤梨里香さん。
ごく普通の女子高生として“控えめ”に生きてきた陽子が、ケイキに連れ去られたことで物語が始まります。心に残る小さな後悔、両親への思い、揺れる感情を、加藤さんが等身大に表現。会見でも語られていたように、楽曲数もたっぷり!そして心の奥底の声が響きます。


<ヨウコと陽子>




異世界でも、ヨウコのそばには常に陽子も存在します。ヨウコと陽子の“対話”は、本作の核でもあり、二人の内面世界が交差し、自己を見つめ直していく過程が深く描かれます。自分はどう生きてきたのか、どう生きていくのか、自分の真の姿を求めて葛藤する二人に胸が熱くなります。




楽俊(らくしゅん)は太田基裕さん。
ネズミの半獣である楽俊に救われ、ヨウコはようやく“誰かを信じる”一歩を踏み出します。可愛らしいパペットの造形と動きは、過酷な旅の中でぽっと灯る温かさ。“人鼠一体”ともいえる操作と芝居、歌唱は必見です。ヨウコとともに歌う<ひとりからふたり>は、旅の転換点となる印象深い場面です。太田さんは、明るいトーンの台詞回しと、見事なパペット操作による小首をかしげる絶妙な角度やぴょこぴょこ歩くかわいらしさと真っ直ぐな歌唱で、観客からも愛される楽俊を立ち上げます。




そうなると気になるのが、Wキャストの牧島 輝さんの楽俊。「Wキャストの違い」というのはどの作品でも楽しみですが、本作はちょっと違うような。それぞれの俳優が、パペット操作と声を通して命を吹き込むことで生まれる、ネズミの半獣・楽俊。心を動かし、しゃべり、歌う──その一連の流れに、Wキャストならではの個性がどうにじみ出るのか。二人の手によって立ち上がる楽俊の“色合いの違い”が、観劇の楽しみをさらに広げてくれそうです。




蒼猿(あおざる)は玉城裕規さん。
妖しい気配を漂わせ、ヨウコの心を揺さぶる謎めいた存在。「一瞬だ、痛みなら」と囁き、時に挑発的に、時に甘く、ヨウコを惑わせます。玉城さんの独特の身体性、視線、声色が、この不可思議な存在に強烈な生命力を与えています。




舒栄(じょえい)は原田真絢さん。
慶国の王として登場する舒栄のナンバーは圧倒的パワー。原田さんの歌声は“歌で殴ってくる”ほどの力強さで、慶国を統べる者としての威圧感とカリスマ性が舞台上に立ち上がります。




延王(えんおう)は章平さん。
雁国にたどり着いたヨウコが妖魔と戦うシーンで、延王は颯爽と現れます。章平さんの纏う強さと温かさが共存した存在感が、延王という人物を力強く形づくっています。




ケイキは相葉裕樹さん。
陽子(加藤さん)を連れ去り、物語の扉を開く重要な存在。相葉さんによる、美しい身のこなしと静かな意志を湛えた佇まいが生み出す品格が、ケイキをよりミステリアスな存在に。ヨウコが旅の中で使う刀、水禺刀(すいぐうとう)も、もとはケイキが託したもの。はじめは刀に振り回されながらも、ヨウコが覚醒するにつれて自在に扱うようになる過程が丁寧に描かれています。重要アイテム!


世界を形づくる存在たち・旅の軌跡

ヨウコは旅の中で〈十二国〉における海客(かいきゃく、よそ者として差別されることがある)の存在や“国がどう成り立っているか”を少しずつ知っていきます。観客もまたヨウコとともに、未知の世界へ足を踏み入れ、その広がりを体験していくような感覚です。





そして現代日本のパートではクラスメイトや学校の先生、陽子の両親などを演じ、異世界では、ヨウコが出会う人々、それぞれの国の民たち、妖魔(人力の魅力!!)、さらには意識の中に現れる現代パートの登場人物たちまでと、休むことなく大活躍されているのがアンサンブルキャストの皆さん。本当に舞台上にいるか着替えているかでは?と思うほど、この壮大な物語の世界観を総力戦で創り出しています。




舞台装置・音楽──総合芸術としてのミュージカル

製作発表で注目を集めた舞台装置「モップ」。
細いひもが無数に垂れた舞台セット(ストリングカーテン)は、二つの世界を隔てる境界だけでなく、様々な表情を見せます。俳優がすり抜けると“壁”にも“境界”にも“空気の揺らぎ”にも見える、面と線が織りなす抽象と具象の間を自在に行き来する優れた効果を発揮する舞台装置です。モップすごい!
生演奏で届けられる、和とも異なる、どこか神秘的でオリエンタルな響きをもつ、深澤恵梨香さんによる音楽。広大な異世界を鮮やかに立ち上げ、物語に寄り添います。



最後に、「十二国記」は国名・人名・独自用語が多く、一度、耳で聞いただけではで覚えきれない部分もあります。もちろん知ってから見ると、一層理解も深まることでしょう。でもヨウコと陽子が倒れそうになりながらも“自分の足で進んでいく”姿は、それだけでも胸を打つものがあります。
原作を読んでから観るか、観てから読むか──どちらの順番でも、この壮大な物語の魅力は確かに皆様の心に届くはずです。
ミュージカル『十二国記 ‐月の影 影の海‐』
2025年12月9日 (火)~29日(月)@東京 日生劇場
2026年1月6日(火)~11日(日)@福岡 博多座
2026年1月17日(土)~20日(火)@大阪 梅田芸術劇場 メインホール
2026年1月28日(水)~2月1日(日)@愛知 御園座

【スタッフ】
原作:小野不由美『月の影 影の海 十二国記』(新潮文庫刊)
脚本・歌詞:元吉庸泰
音楽:深澤恵梨香
演出:山田和也

【キャスト】
◆ヨウコ(中嶋陽子):柚香 光
◆陽子(中嶋陽子):加藤梨里香
◆楽俊(らくしゅん):太田基裕・牧島 輝(Wキャスト)
◆蒼猿(あおざる):玉城裕規 ◆舒栄(じょえい):原田真絢 ◆延王(えんおう):章平
◆景麒(けいき):相葉裕樹

新井海人 伊藤俊彦 今村洋一 岩城 舞 植木達也 桜雪陽子 岡山玲奈 木村和磨 木村優希 熊野義貴* 小林風花 小宮山稜介 篠本りの 鈴木里菜* 砂田理子 轟 晃遙 豊田由佳乃 船﨑晴花 町田慎之介 松村曜生 三浦優水香 三上莉衣菜 矢野友実 山名孝幸 吉田萌美
(五十音順)
*オンステージ・スウィング

企画協力:新潮社
製作:東宝株式会社
作品公式HP:https://www.tohostage.com/12kokuki/

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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