上演15周年記念公演『ピアフ』製作発表レポート

2026年に上演15周年を迎える、大竹しのぶさん主演『ピアフ』の製作発表会見が行われました。



フランスが生んだ“国民的歌手”エディット・ピアフの波乱に満ちた生涯を描く『ピアフ』。貧民街の路上から歌手としての道を切りひらき、愛に傷つきながらも歌にすべてを捧げたピアフの姿が、名曲の数々とともに立ち上がります。作:パム・ジェムスによる決定版戯曲を、栗山民也さんの演出で6度目の上演。主人公ピアフを演じる大竹しのぶさんが、15年にわたり深めてきた魂の表現が大きな見どころです。最愛の恋人マルセル・セルダンや、見いだした歌手イヴ・モンタンとの出会いを通して“愛し、生きること”の意味が胸に迫る舞台です。

6度目のピアフに挑む大竹しのぶさんが、長年の仲間や新キャストとともに作品への思いを語った会見の模様をお届けします。



エディット・ピアフ役:大竹しのぶさん

大竹しのぶさん)
「15周年」、もうそんなに経ったんですね──ピアフとの出会いから、女優として本当に大きなものをいただきました。今回が6度目の上演、劇場を出るお客様が「水に流して」を口ずさみながら帰っていくというお話を聞くたびに、ピアフの歌がどれほど人の心に残り続けるのかを実感します。
「あたしが歌うときは、あたしを出すんだ。全部まるごと。」このセリフが大好きで、今回も1公演1公演、全力で演じたいと思っています。みんなで素敵な作品になるように頑張ります。

──初演から15年、共に歩んできたキャストのお二人に伺います。



ピアフの幼なじみで親友のトワーヌ役:梅沢昌代さん

梅沢さん)
少女時代からの役ですが──古希も過ぎまして、あちこちたるんできております(笑)。でも精神だけはまだたるんでいませんので、トワーヌを一生懸命務めます。



ピアフの盟友・映画スターのマレーネ・ディートリッヒ役:彩輝なおさん

彩輝さん)
この舞台にまた立てることを本当に嬉しく思っています。この役と共に私自身も成長させていただいたと感じています。魂を込めて、皆さんと一緒に素敵に演じられたらと思います。


──続いてはピアフと愛を交わす男性たちを演じるお二人です。



ピアフが最も愛したボクサーのマルセル・セルダン役:廣瀬友祐さん(新キャスト)

廣瀬さん)
今回、新たにマルセル・セルダンを務めます。本当に光栄です。誠実に頑張りたいと思います。



ピアフが見いだした、後のフランスの国民的歌手、イヴ・モンタン役:藤岡正明さん(2013年公演以来13年ぶりのカムバック)

藤岡さん)
この作品の魅力は“割り切れない愛”にあると思っています。丸い愛、三角の愛もあれば、もっと歪な愛もあったり、整理できない愛そのものが、作品全体に漂っています。
“ピアフが語る愛とは何だったのか”を、お客様にも考えていただけるような作品、役づくりをしたいです。


【演出・栗山民也さんのメッセージ(大竹さん代読)】


2024年のパリ・オリンピックのその開会式をTVで見ていたら、最後にセリーヌ・ディオンが現れて、PIAFを歌った。
あぁ、やっぱり自由で過激で思いっきり素敵なフランスだなぁと、胸が熱くなった。
ベルヴィルという移民たちの多く住む貧民街の、その路上に産み落とされたPIAFが、高くエッフェル塔の上から世界を見下ろしながら、愛の歌をこの地球のみんなに送った。
この舞台は、PIAFという名の一人の女の「革命劇」なのだと思う。
来年1月、上演15周年記念公演として、日本のPIAFであるしのぶちゃんが、再び劇場を熱い情熱でいっぱいにしてくれるだろう。僕はもう演出家というより、一ファンとして、熱い拍手を送ろう。


──メッセージを受けて。



大竹さん)
栗山さんは「今の時代に通じるピアフをつくっていこう」と、15年前の初演当時から常におっしゃっています。前回の上演が初日を迎えたのは、ちょうどロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年2月24日。劇中の「戦争が始まりました」という言葉がこれほどまでにリアルに響くのかと強く感じました。それから3年以上、もうすぐ4年。いまも世界のどこかで戦争が続いているという現実を、栗山さんは稽古場で繰り返し話してくださいます。そうした思いもすべて込めて、愛の歌をこの地球のみんなに届けられるよう、力を合わせて臨みたいと考えています。


──作品の魅力とメインで演じるお役を教えてください。



彩輝さん)
ピアフは孤独に見えますが、実は“愛を与え続けた人”だと思います。私が演じるマレーネ・ディートリッヒにとっては、友人であり母のようでもある存在。魂が惹かれ合うような関係だと感じています。場面ごとに息づくものを丁寧に届けたいです。



藤岡さん)
ピアフの周りの人々は、現代の僕たちより高い熱量で生きていたと感じます。そして愛の定義を示すのではなく、“整理できない愛そのもの”がこの作品の魅力だと感じています。

イヴ・モンタンは、一筋縄ではいかない人物。
強い熱情とか、未来への野望や希望みたいなものをしっかり持っていて、ピアフに見いだされながらも、どこかで“彼女を踏み越えてでも上に行こうとする”ような側面もある。

どれくらいピアフを愛していたのか、どれくらい利用していたのか──お客様にも、「彼はどういう気持ちだったんだろう」と思いを巡らせていただけるような役にできたらいいなと思っています。



廣瀬さん)
僕が演じるマルセルは“ピアフが最も愛した恋人”といわれます。まだ観劇したことがなくて語れない部分もあるのですが、映像で拝見したとき、大竹さんの演技こそがこの作品の魅力だと感じました。

(役づくりの準備を問われ)ボクサーのマルセル、彼の階級はミドル級(約72キロ以下)なので、そこに説得力が出るような体づくりを頑張っています。朝のランニングと縄跳びをして、少しでも本物に見えるように準備を始めました。



梅沢さん)
この作品は、ピアフが亡くなる前に人生を走馬灯のように振り返るような物語。スピード感のある展開ですけれど、お客様は必ずついてきてくれます。

貧しいからこそのたくましさ、愛を押し付けない優しさ──トワーヌはとても好きな役です。何年も会っていなくても、同じ時代を共に生きた人とは、すぐに時間が戻って当時の話ができる。そういう、トワーヌのような存在が一人でもいるというのは、誰にとっても本当に幸せなことだと思います。



大竹さん)
劇場でピアフの愛を受け取って、まるで“天からバラの花が降ってくるような気持ち”になってもらえたら嬉しいです。梅ちゃんが言ってくれたように、短いワンシーン、ワンシーンに出演者みんながエネルギーを注ぐ作品です。

ピアフを演じていると、歌が本当に素晴らしいものだということ、歌が持つ力を強く感じます。歌うことは祈りに近くて、客席に向けてというより、天と地を結ぶような役目を持っている──そのことをピアフから教えられました。

そして“必死に生きる”“必死に愛する”ということがどれほど素敵なのかも、演じるたびに思います。いろんな男性を愛しながらも、いつも孤独で寂しい。でもその奥には、マルセルへの大きな愛がずっとあって──。寂しさを抱えながらも、人としていちばん大きな喜びを持っている人だと感じています。


──初めて作品に触れる若い世代へ。

梅沢さん)
若い方には怖がる人生じゃなく、挑戦してほしい。今は、傷つくことを怖がる人が多い時代ですが、そんな方々にもこの作品が届くといいなと思います。また、戦争のシーンもありますが、戦争で人がどれだけ傷ついて、終わったらどれだけ喜ぶか。そこに込められたエネルギーを感じて、今もあちこちで戦争が起きているということに関心を持ってもらえれば。



廣瀬さんの直球のコメントに会場も沸きました

廣瀬さん)
生の“大竹しのぶさんのお芝居”が見られますよとお誘いしたいです。



大竹さん)
怖がらずに、ちゃんと愛しなさいって(この作品を)叩きつけたい(笑)。お稽古していても、相手役の方に「もっともっと私を愛して」って、言ったことがあって。今思うと、ちょっと怖いですよね(笑)。

藤岡さん)
今は“生きづらさ”のある時代。何がハラスメントか、何がリスペクトか、それらの線引きすら難しい。人と人とがかかわっていくなかで、何が最善なのか──僕は、この作品が一つの答えだと思っています。“人と人とが強く引き寄せ合うとこうなる”ということを見せてくれると。しのぶさんの「もっと愛して」という言葉は、二人の間に働く力を、同じ強さ、熱量で求めるがゆえに出たのだと思います。

彩輝さん)
ピアフが生きた時代も過酷でしたが、今も違う意味で過酷。そこを生き抜くためには、人間として、魂の解放は必要だと思います。それを劇場で肌で感じ、自由に受け取ってほしいです。


──エンターテインメントと平和について思うところは。

大竹さん)
私は出ていませんが、劇中で「リリー・マルレーン」を歌う場面があります。そこで栗山さんが「世界中の人たちの代表として、誰かの叫びとして歌ってほしい」とおっしゃっていて。そこには、それを観た人が“戦争がどれだけ多くの人を苦しめるのか”を感じられるように、という思いが込められているんです。芝居を通して、私もそうあれたらと思います。それから、私自身、歳を重ねるほどに、自分の意見を堂々と発信していきたい、という気持ちも強くなりました。

──最後にメッセージを。

大竹さん)
『ピアフ』は心をえぐられるような衝撃を届けられる作品です。
強いエネルギーと愛を、劇場で受け止めてください。



6度目となる大竹しのぶさんのピアフ。15周年の公演では、今の世に響く新たな“愛の歌”を響かせてくれることでしょう。本公演は、2026年1月10日~31日までシアタークリエにて上演されます。初演から15周年を迎える節目の年、開幕翌日の1月11日昼の部には通算上演200回を達成します。

東京公演終了後は、2月6日~8日に愛知・御園座へ、さらに2月21日~23日には大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。東京から全国へと熱い物語を届けます。
【公演情報】
上演15周年記念公演『ピアフ』
2026年1月10日~1月31日@日比谷シアタークリエ
2月6日~8日@愛知・御園座
2月21日~23日@大阪・森ノ宮ピロティホール

作:パム・ジェムス
演出:栗山民也

主演:大竹しのぶ(エディット・ピアフ)
出演:梅沢昌代(トワーヌ) 彩輝なお(マレーネ・ディートリッヒ)
廣瀬友祐(マルセル・セルダン) 上原理生(シャルル・アズナブール) 
藤岡正明(イヴ・モンタン) 山崎大輝(テオ・サラポ)
川久保拓司(ルイ・バリエ) 前田一世(ブルーノ) 土屋佑壱(ルイ・ルプレ) ほか

【STORY】
エディット・ピアフ-本名エディット・ガシオンはフランスの貧民街で生まれ、路上で歌いながら命をつないでいた。ある日、ナイトクラブのオーナーがエディットに声をかける。
「そのでかい声、どこで手に入れた」
「騒がしい通りで歌っても、歌をきいてもらうためよ!」
“ピアフ”-“小さな雀”の愛称がついたエディットの愛の歌はたちまち評判となる。
華やかで順風満帆な人生にも見えたピアフだが、私生活では切実に愛を求めていた。
ピアフが見出し、愛を注ぎ、国民的歌手へと育てあげたイヴ・モンタン、シャルル・アズナブール。ボクシング・チャンプのマルセル・セルダン、生涯最後の恋人となる若きテオ・サラポ・・・・。
最愛の恋人を失った時も―病が身体と心を蝕んだ時も―エディット・ピアフは愛を求めて、マイクに向かい続けるのだった。

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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