ミュージカル『ジキル&ハイド』、2026年公演の製作発表会見が行われました。
フランク・ワイルドホーンの名曲に彩られた超人気作! 2001年の日本初演以来、繰り返し上演され、今回、9度目の上演となる本作。新演出として生まれ変わることでも、大きな期待を集めています。
会見には演出の山田和也さんをはじめ、ジキル/ハイド役Wキャストの柿澤勇人さん、佐藤隆紀さんをはじめとする再演キャスト、初参加キャストが登壇。それぞれが本作への思いを語りました。
進化を続ける名作の魅力、そこに挑む俳優の覚悟を、会見の模様とともにお届けします。
「25年やっている感覚がない」──演出・山田和也さんが語る作品の力
2001年の日本初演から本作を手がけてきた演出の山田和也さん。今回で9回目の上演となることについて、「25年もやっている感覚はあまりない」と、笑顔を交えて語ります。また本作が長年にわたり支持され続けている理由について、山田さんがまず挙げたのは“音楽の圧倒的な力”です。
山田さん)
初演でジキル/ハイド役を演じた鹿賀丈史さんが“官能的な音楽だ”とおっしゃっていましたが、本当にその通りだと思います。どの瞬間を切り取っても音楽に強い力があり、キャストを導き、お客様をどこか別の場所へ連れて行く力がある作品です。
さらに、主人公が父の病を治したいという崇高な目的から始まった実験が悲劇へと転じていく物語についても──
山田さん)
愛情や信頼、友情の美しさ、そして社会の腐敗や権力者の横暴まで描かれていて、人生のすべてが詰め込まれているような作品です。だからこそ、観る方それぞれに必ず引っかかるポイントがあるのだと思います。
また今回の上演では、新演出として舞台美術も一新します。
これまで使用されてきた舞台美術は、前回公演の千穐楽をもって廃棄となりました。また同じものを作っても意味がない。シンプルで、今までとは違う見せ方を模索しています。台本やスコアは変わりませんが、キャストも半分ほど入れ替わります。新しい『ジキル&ハイド』になると思います。
キャストが語る、再演/初出演が決まったときの思い
──まずはひと言、ご挨拶を頂戴します。本作出演が決まったときのお気持ちをあわせてお聞かせください。
再び過酷な役へ──「余白を持って終わりたいが…」柿澤勇人さん
2023年公演に続き、ジキル/ハイド役を務める柿澤勇人さん。
前回の公演を振り返り、「体力的にも精神的にも、そして喉も含めてギリギリの状態だった」と語り始め──
柿澤さん)
ボロボロの状態で、何とか千穐楽まで生きてたどり着いたような記憶があります。だからこそ、今回は少しでも成長した姿を見せなければ、やる意味がないと思っています。今回は、新しい『ジキル&ハイド』、前回よりは少し余白を持って終わりたいけれど、おそらく無理。それくらい楽をさせてくれない役だと思っています。心して準備をし、シュガーくんをはじめとする新しいカンパニーの仲間と切磋琢磨して頑張りたいと思います。
再演が決まったときは、正直「またあのつらい、大変な日々が始まるのか」と思いました(笑)。
この役は、声を変えることから始まるんです。僕は、ハイドになったときに、どれだけノイズを入れるかにこだわりました。その分、喉に負担もかかるし、疲弊もする。稽古と休養を繰り返しながら、最後はフラフラになります。
でも、役者として表現の幅がとても広く、深い作品です。また挑戦できる喜びと、この作品に携われる幸せを感じています。
「時が来た」──念願のジキル役へ。初参加・佐藤隆紀さん
初参加となる佐藤隆紀さんは、「ミュージカル界のシュガーくんこと佐藤隆紀です」と自己紹介。

柿澤さん:ウケてないけど、大丈夫?
佐藤さん:大丈夫、ウケは狙っていませんので(笑)。自己紹介のセンテンスです!
ミュージカル出演11年目を迎える中で、「次に挑戦したい役」として長年思い描いてきたのがこの役だったとのこと。
佐藤さん)
イベントやコンサートなど、いろいろな場所で歌ってアピールしてきました。今日、その思いが叶って、本当に“時が来た”という気持ちでいっぱいです。そして、穏やかなイメージを持たれがちな私、シュガーが、二面性を持つジキル/ハイドをどう演じるのか。どれだけ“しょっぱく”“苦く”演じられるのか、ぜひ観ていただきたい。新演出の新しい風の中、僕自身がどう自分と向き合い、皆さんと作品を作っていけるか楽しみです。
出演が決まったときは、本当に嬉しかったです。ただ、話を聞けば聞くほど不安も大きくなっています。
セリフ量も多く、お芝居の比重がとても高い作品なので、自分にとって大きな挑戦です。お芝居を深める意味でも、全力で向き合っていきたいと思います。
二人のヒロイン、ルーシーとエマ──女性キャストの思い
まずは前回より続投となるルーシー役の真彩希帆さん。(真彩さんはお仕事の都合でご挨拶のみで降壇されました)
真彩さん)
2023年公演でもルーシー役を務めました、真彩希帆です。今回あらためてルーシーの楽曲に触れながら、『ジキル&ハイド』という世界の中で、自分自身が何を感じ、どう向き合っていくのかを楽しみに稽古していきたいと思っています。出産を経たことで、考え方や感じ方も変わってきていると思いますし、そこからまた新たなものを受け取れるのではないかと感じています。ぜひ劇場で、その変化も含めて楽しみにしていただけたら嬉しいです。
続いて、ルーシー役で初参加となる和希そらさん。
和希さん)
重厚感のあるクラシカルな世界観が大好きなので、この作品に携われることを本当に光栄に思います。
出演が決まったときは本当に嬉しかったです。ルーシーという役は、いつか挑戦したいと思っていた役の一つでした。再演を重ねてきた作品ならではの美しい伝統を感じながら、自分なりのルーシーを見つけていきたいと思っています。
エマ役で続投するDream Amiさんは、再演が初めてだと明かし──
Amiさん)
前回はグランドミュージカル初出演で、ずっと緊張していました。皆さんと馴染めたのもツアー公演に入ってから、今回はもう少し早い段階で馴染めればと思っています。
出演が決まったときは、もう一度声をかけていただけたことで、前回の自分の演技を認めてもらえたのかなと思えて、嬉しくなりました。前回は、グランドミュージカルの世界に戸惑い、苦しい時期もありましたが、4か月たくさんのことを学びました。また刺激的な経験ができることを楽しみにしています。
柿澤さん)
今思い出したんだけど、前回、山形公演でAmiちゃんも含めたみんなでプリクラを撮ったよね。大切にとってある!今回は、東京公演からプリクラ撮ろう!
最後は、エマ役で初参加となる唯月ふうかさん。
唯月さん)
歴史があり、多くの方から愛されているこの作品に出演できることを、本当に嬉しく思っています。その一方で、しっかりと責任を持って、この世界に飛び込んでいきたいという気持ちで今はいっぱいです。これまで多くの先輩方が演じてきたエマという役を、きちんと皆様にお届けできるように、そして先輩の背中を見ながら、しっかりとついていけるように、私もプリクラのメンバーに入れるよう頑張りたいと思います
いつか出演したいと思っていた作品ですが、「まだ早い」と思って口には出せませんでした。その夢が叶い、嬉しさと同時に身が引き締まる思いです。エマの美しい楽曲をしっかり歌えるよう、トレーニングを重ねていきたいと思います。自分らしいエマ像を見つけたいと思っています。
山田さんが語るキャストへの期待
山田さん)
柿澤さんは、今回で二度目になります。前回は石丸幹二さんとのWキャストでしたので、石丸さんがこれまで積み重ねてこられたものに、ある程度寄り添いながら演じていただいていた部分もありました。ただ、今回はリセットです。ですので、もうやりたい放題やってください。
柿澤さん)
皆さん、証人ですよ(笑)。もし僕がやり過ぎたとしても、全部山田さんのせいにできるということで……冗談です(笑)。
山田さん)
前回と全く違う柿澤さんが出てきたら嬉しいなと思っています。
山田さん)
シュガーさんとは、実はミュージカル作品でご一緒するのは今回が初めてなんです。ただ、去年の帝国劇場の最後のコンサートでご一緒したときに、とてもお話しするのが上手な方だなと感じました。柿澤さんもそうですが、お二人とも実はユーモアがとても豊かな方ですよね。そのユーモアをあえて封印して役に取り組む、あるいは封印しているのに、そこはかとなく滲み出てくる──そういう感じが、この作品にとってはすごくプラスになると思っています。だからシュガーの愉快なところも、きっと隠しきれないだろうなと、今から楽しみにしています。
山田さん)
真彩さんのルーシーは、ご本人もおっしゃっていましたが、前回公演から今回までの間にご結婚されて、お子さんが生まれ、母親になられました。同じ役に、人生の違うフェーズから向き合ったときに、何が起こるのか。それはとても興味深いです。
山田さん)
和希さんとは、今回、初めてご一緒します。オーディションなどではお目にかかっていましたが、退団後の活躍ぶりは本当に目覚ましく、今は多くのクリエイターから「ぜひ一緒にやりたい」と思われている存在だと感じています。
山田さん)
Amiさんは、前回が初めての大きなミュージカルということもあって、少しスロースターターな印象はありましたが、初日までにきちんと仕上げてくる。その過程を見るのがとても楽しい方です。今回は初めての再演になりますが、どこからスタートするのか。リセットしてゼロから向き合うのか、前回のゴールから先へ進むのか──その選択も含めて、とても楽しみにしています
山田さん)
唯月さんとも、実は今回が初めて。経験がとても豊富で、芸歴も長い方なので、まったく心配はしていません。これまで積み重ねてこられた多くの経験が、きっとこの作品の中で生かされると期待しています。
人間の二面性を語る──作品と響き合うトーク
会見では「自身のライトサイドとダークサイド」をテーマにしたトークも展開。
日常の中でふと顔を出す“もう一人の自分”について、それぞれがユーモアを交えて語り、本作が描く“人間の二面性”と自然に重なり合うひとときとなりました。ジキル/ハイド役のお二人のコメントをご紹介すると。
佐藤さん)
昔、剣道をやっていたんです。剣道の試合では「目で殺す」と思っていた瞬間を思い出しました(笑)。今は穏やかになり、そんなことはまったく思いませんよ(笑)。
柿澤さん)
僕は趣味がお酒とサウナなんですが、今はドラマの撮影と、自分で組んでいるユニット〈カキンツハルカ〉のライブツアーが重なっていて、11月頃からほとんどお酒を飲めていません。サウナも、今の髪色だと入ると色が抜けてしまうということで禁止されていて……。人間、趣味を二つ同時に奪われると、ものすごく不機嫌になりますよね。なので、たぶん1分もあれば、すぐハイドになります。もしかしたら1分もいらなくて、数秒でハイドに変身できると思います(笑)。
ほかにも数々の名曲・名シーンがある本作についても話題が及びました。
ルーシーの登場シーン、ジキルとハイドの二面性が際立つ楽曲「対決」、事件が連続して描かれる緊張感あふれるシーン、そしてエマとルーシーがそれぞれの思いを歌い上げる美しいデュエット。キャストそれぞれが、自身の心に残る場面を挙げ、本作の音楽的、演劇的魅力を改めて印象づけました。
最後に、柿澤さん、佐藤さんの締めのコメント&歌唱披露の様子をご紹介いたします。

製作発表ならでは、ジキル/ハイド役Wキャストのお二人による「時が来た」の歌唱披露が行われました♪
ひと言ひと言、かみしめるように歌い出す柿澤さん。
一瞬で、「この時」へ至るまでのヘンリー・ジキルの歩みを感じさせるところは経験者ならでは。
柔らかさの中に強さと希望をこめるシュガーさんの歌唱。
豊かな歌声でミュージカル界をけん引するシュガーさんの新たな挑戦にも、期待が高まります。
佐藤さん)
まだ稽古にも入っていない今だからこそ、大きなことを言わせていただくと、ただ“観に行ってよかった”というだけでなく、“本当に感動した、歴史に残る作品を観た”と思っていただけるような舞台をお届けしたいと思っています。皆さんの心の歴史の1ページに名を残せるような作品を目指します。この作品は東京だけでなく、全国各地を巡りますので、ぜひお近くの劇場でご覧いただけたら嬉しいです。
柿澤さん)
鹿賀丈史さん、石丸幹二さんをはじめ、諸先輩方が紡いできたこの作品を、新カンパニー、新演出のもと、山田さんとともに、新しく魅力的な『ジキル&ハイド』として生まれ変わらせたいと思っています。このメンバーであれば、それが必ずできると信じています。ぜひ楽しみに、期待して待っていてください。

歌唱披露後、熱い抱擁を交わすお二人
新演出、新たなカンパニーによって紡がれる『ジキル&ハイド』。
長く愛されてきた名作が、今、再びどんな景色を見せてくれるのか──期待が高まります。
公演は、東京公演が2026年3月15日(日)から3月29日(日)東京国際フォーラム ホールCにて上演。その後、全国ツアー公演として 大阪・梅田芸術劇場メインホールで4月3日(金)~4月6日(月)、福岡・福岡市民ホール 大ホールで4月11日(土)~4月12日(日)、愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで4月18日(土)~4月19日(日)、そして 山形・やまぎん県民ホールで4月25日(土)~4月26日(日) の順に巡演されます。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人