ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』@シアタークリエ
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生き別れた双子の兄弟ミッキーとエディ、そして二人の母親たちの選択を描くミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。社会階層の異なる家庭で育った二人は、偶然の再会をきっかけに友情を育みながら、それぞれの人生を歩んでいきます。寓話のようにシンプルな物語でありながら、「血」や「運命」だけでは割り切れない、人間の選択と感情の積み重ねが描かれています。
本作は1988年に再演され、2012年11月までの24年間にわたりウエストエンドで1万回以上上演されました。また、ウエストエンドやブロードウェイをはじめ、ドイツ、オーストラリア、韓国など世界各国で上演され、日本でも1991年以来、繰り返し上演されてきた名作です。大人の俳優が子ども時代から演じる構成によって、成長の過程や失われていくもの、そして得ていくものが浮かび上がります。再演を重ねてきた本作を、今の感性でどう立ち上げるのか──東宝製作作品としてはおよそ17年ぶりに上演される『ブラッド・ブラザーズ』の製作発表が行われました。
登壇されたのは、演出を手掛ける日澤雄介さん、ミッキー役Wキャストの小林亮太さんと渡邉蒼さん、エディ役Wキャストの山田健登さんと島太星さん、ミセス・ライオンズ役の瀬奈じゅんさん、ミセス・ジョンストン役の安蘭けいさん。今回、通称“こばやま”(小林さん&山田さん)、“あおしま”(渡邉さん&島さん)、Wキャストのペア固定で届けられますが、両ペアの魅力、作品の魅力、楽しそうな稽古風景に開幕がますます楽しみになる会見の模様をレポートいたします。
──ミッキーというキャラクターの魅力、ミッキーにとってエディという存在は。
小林亮太さん)
この作品では、大人の俳優がミッキーとエディの子ども時代、7歳から演じます。子ども目線で立ったときにわかったのは、大人のしがらみから解放されて、生活苦でも人生に立ち向かい、人生を謳歌しようとするミッキーの姿。彼を大人とか子どもとか関係なく、ひとりの人間として魅力的だと感じています。
ミッキーにとってのエディは、稽古に入る前には「エディがいることによって自分を肯定できるような、補完してくれるような存在」と言っていましたが、実際に稽古が始まると、エディは自分が笑えないところで笑ってくれるんです。目と目が合えば、言葉にしなくても通じ合い、一緒に生きてくれる──ミッキーが救われる、最高の友達なのだと思います。
渡邉蒼さん)
稽古で「子どもを演じるということは、子どものときを思い出すことではないか」と日澤さんがおっしゃいました。その通りで、ミッキーのような子どもは誰の記憶の中にも1人はいるのではないかと思うんです。自分の「楽しい」「かっこいい」にとことんストイックで、その姿勢は大人顔負け。そこが魅力的に映ります。
エディとミッキーは生き別れた双子で、二人を結ぶのは「血のつながり」──それ以上でもそれ以下でもないけれど、脚本を読むと、互いが持っていなかったものを運んでくれる、絶対に一緒にいるべき存在なのだろうと感じます。
──エディ役Wキャストに訊く、互いに感じる相違点と共通点。
山田健登さん)
島太星を僕は太(たい)ちゃんと呼んでいますが──太ちゃんとは10代から一緒にグループで音楽活動をしていましたが、お芝居は初めて。どんな感じでお芝居をするかと思っていたら、まぁ、良くて! 人柄がそのまま芝居に出ていて、あの独特のテンポ感、空気感は狙って出せるものではない。そんなことを日々、稽古場で感じています。
年齢的には先輩ですが、僕も負けないようにフレッシュに演じたいと思っています。
島太星さん)
『レ・ミゼラブル』で健登のお芝居を初めて見ました。本当にすごく素敵で、この作品で健登とお芝居できることを楽しみにしていました。だから稽古場では、すごく楽しい。健登って……これ言ってもいいのかな……めちゃくちゃやさしいんですよ。
皆さん)言っていい!
島さん)
びっくりするほど裏表なくて、健登から“悪の話”を聞いたことがない。
こんなにやさしくて完璧な人っているのかと思っていたのですが、お芝居を見たら、やさしい裏にはしっかりと葛藤、ちょっと暗い部分も存在していて、健登も本当に人間なんだなって改めて思いました(笑)。共通点としては、やっぱり僕たちは同じ人間なんだなっていうことです。本当に大好きな友ですので、両ペアご観劇いただけると嬉しいです。

山田さん)(山田さん思う島さんとの共通点を訊かれ)
共通点ですか、人間だということですかね(笑)

島さん)グッジョブ!
──安蘭さん、瀬奈さんが演じる対照的な母親というのも物語の大きな核となります。お二人は、今回初共演ということですが、お芝居の手応えは。
安蘭さん)
宝塚(歌劇団)在団中も共演したことがなかったので、本当に初共演。でも、自然に意思疎通ができるというか、なんだか不思議な感覚がありますが、どうかしら?
瀬奈さん)
私も、そう感じております。芝居だけではなく、お稽古や役に向き合う姿勢も、瞳子さん(安蘭さん)の背中を見て、私も頑張らなきゃと思う、毎日です。
──日澤さんは、コメントで「寓話のようでいてどこか生々しい物語」と表現されていました。再演を重ねる本作を、今回どのように描きたいと思っていますか。また、ここに注目してほしいというところは。
日澤さん)
ジョンストン家の双子の一人がライオンズ家に引き取られ、離れ離れになった二人が偶然出会ってしまうことで運命の歯車が回っていく。筋としてはシンプル、寓話のような作品の背骨は大切にしつつ、「運命」だけで片付けたくはないとも思っています。それを「生々しさ」と表現しました。
本作が持つ引きこむ力、それは登場人物それぞれが、一つひとつ自ら葛藤し、悩んで選択していく、その先に結末がある──その作り自体にある。そこで今回は、彼らの選択、決断に関わる人間の欲、愛、憎しみ、悲しみ、喜びを深く掘って演出したいと思っています。
見てほしいところは、子どもを手放す、子どもを迎える。二人の母親がこの大きな決断をくだしたのはなぜか。そこに滲むものをご覧いただきたい。もうひとつ、運命に翻弄される二人の友情や愛情、そして選択。大人になるってなにを得て、なにを失うのか。そこも期待してください。
──稽古場の様子をお聞かせください。
小林さん)
先日、稽古場で鬼ごっこをしました。なかなか稽古でフルスロットルの鬼ごっこをする経験もないので、楽しかったよね。
山田さん)
楽しかった。子ども時代に戻ってというか、大人でもがむしゃらにやったら、それって本当に大人も子どもも関係ないんだなって。
僕個人的には、会話の多い稽古場ですごく居心地がいいです。人見知りなのですが、稽古のスタートから「4月まで安心だな」と思ったことを覚えています。
日澤さん)
いつもはこんな静かじゃないですよ。みんなどうしたの?
(どうやらみなさんおめかしをしてご登壇されているため、ちょっと“よそ行き”の振る舞いだったとか(笑)!会見冒頭でも、渡邉さんから「今日は綺麗でかっこいい格好していますが、ミッキーは膝をすりむき、顔汚しまくりながら稽古しています」とお話がありました)
安蘭さん)
2組がまったく違うのがとても面白いです。相手チームと比べて全然違うという自覚はある?
小林さん)
正直に言うと、稽古初日に相手ペアを見たとき「うわぁ、いいな」と思いました。それはある種の嫉妬(笑)。でも1週間、2週間経って、たぶんまだ嫉妬もどこかにあるだろうけど、僕は二人(あおしま)のこともすごく愛おしく思えるようになりました。両ペアの違いがいい作用になってきたのかなと感じています。
日澤さん)
段取りや決めごとはありますが、この作品はフリーなところも多い。そこは両チームとも本当に自由にやってくれて、演出としてはすごく助かっています。
瀬奈さん)
2組の個性が全然違うことで、芝居の受け手としても、とてもいい刺激をいただいています。とても面白いです。
日澤さん)
あと稽古場では、サービス精神が旺盛な東山(義久)さんが、いろいろやってくれるんです。例えば、昨日の稽古で僕が、「ここから出てきてみましょう」とリクエストしたところ、“100点の出方”をしてくれました。それが瀬奈さんの目の前で、瀬奈さん思い切りくらって、笑ってしまったんです。笑いの絶えない稽古場です。
島さん)
僕は、昨日の稽古で、瀬奈さんとダンスを踊らせていただきました。すごく楽しくて、「本当に、こんなお綺麗なママがいたら」って思いました。
瀬奈さん)
もう1回言って!
島さん)
「こんなにお綺麗なママだったら」。綺麗だし、めっちゃもう……
瀬奈さん)
いいよ。もう無理しなくて(笑)
小林さん)
オレらの母ちゃんも綺麗だよな!
渡邉さん)
そうそう!
安蘭さん)
そうだよね。(島さんに)私もお母さんよ、忘れてるでしょ(笑)。
島さん)
あっ、お久しぶりです。お母さん(笑)。
日澤さん)
こんな感じで、稽古をしてます(笑)。
──渡邉さんはいかがですか。
渡邉さん)
まさに今、質問に答えるのも僕と太星くんが話さずに残りましたが、それが僕たちのミッキーとエディのイメージなのかなという気がしています。なんかフワフワしておりまして(笑)。兄ちゃんたち(小林&山田)のお芝居を見ていると、推進力があって、そこが「めっちゃクールだな」と思います。僕らは、お芝居をしていてもすぐに「うわー」ってなるんです。「こっち?」「あっち?」って。それは僕自身の子どものころにそっくり。きっと兄ちゃんたちのお芝居にも、お二人の子ども時代が反映されているんだろうなと思います。
そんなことを勝手に想像したり、自分の子ども時代を思い出したり、楽しい気持ちになります。子どもになるって面白いことだなと、最近感じています。
──最後に、一言ずついただけますか。
安蘭さん)
私は2003年上演の『ブラッド・ブラザーズ』を観劇しましたが、正直なところ、当時はわからなかったところがありました。でも、今、台本を読み、稽古をしながら、運命や宿命、宿命は行動することによって変えられるのか──そんなことも考えています。
令和の時代に、この物語を皆様がどう受け止めてくださるのか。なにか素敵なものを持って帰っていただけるように稽古を重ね、本番に挑みたいと思っております。
瀬奈さん)
私は特別養子縁組という制度を通して2人の子どもを授かっておりますので、「血がつながっていること」について、私生活で考えることも多々あります。そんな中で、1人目のときは、皆さんの反応が「すごいね」とか「偉いね」というものだったのが、その5年後に2人目を授かったときには、「おめでとう」という言葉に変わっていました。5年で、これだけ変化します。世間の常識、感覚が絶え間なく変わっていく中で、40年以上にわたり受け継がれているこの作品を、今、私たちが上演する意味がきっとある。それを探りながら、皆様と一緒に、最高の作品に仕上げていきたいと思います。
島さん)
今、僕は本当に幸せです。最近28歳になりましたが、実の母親のことは“母ちゃん”と呼んでいて、“ママ”なんて久しく呼んだことなくて。瀬奈さんとお芝居をする中で、本当のお母さんのように思えるんです。(安蘭さんを見て、もうひとりの)お母さんもいるんですけど。今は瀬奈さんとのシーンの稽古が続いているので(笑)。
この物語や、エディという人物を通して、人にやさしくしたいと思ったり、なにも知らなかった子どものころを思い出したり、毎日新鮮で、幸せです。楽しさも、心温まるところもあるけれど、ちょっと辛くなるところもある。いっぱい魅力が詰まった素敵な作品なので、両ペアご覧いただけると幸いでございます。
山田さん)
稽古を重ねるほどに、「なぜ、この作品がこれだけ長く続いてきたのか」を実感する瞬間が増しています。僕たちにしかできない表現で、誠実に、日澤さんの言葉をお借りすれば“生々しく”届けていきたいと思いますので、楽しみにしていてください。
渡邉さん)
時代や社会が変わっても、人間の心はとても複雑で、どこか意地悪であることは変わらない。人生の折々で「これこそが良い未来に繋がるだろう」と最善の選択をしているのに、なんだかうまくいかないことも誰にでもあります。その中で悲しいこともやっぱりあって。そういう悲しい出来事は、近くで見たら悲劇だけど、一歩引いて見ると喜劇に思える。なんだかそういう要素が『ブラッド・ブラザーズ』にあると思っています。
生き別れた双子というのは現実ではあんまり聞かないテーマですが、この物語には僕ら1人1人が持っている人間のおかしさ、哀れさが色濃く宿っています。リアルな人間ドラマを演じさせていただくという自覚を持って、務めていきたいと思います。劇場でお待ちしております。
小林さん)
この作品には「キッズゲーム」、子どもの遊び場という楽曲があります。僕は、演劇は遊びの延長線上にあると思っています。そこで僕らがいかに真剣に遊ぶがで、お客様に心のゆとり、遊び心を思い出してもらえる。最後には心にずしんとくる結末が待っていますが、そこまでの僕らの道のりを豊かなものとしてご覧いただけるように、精一杯、準備してまいります。ぜひ“あおしま”と“こばやま”を楽しんでください。
日澤さん)
脚本のウィリー・ラッセルさんは、なぜ大人が子どもを演じるような形にしたのか。そこには大きな必然があると思います。
我々は皆、子ども時代を経て大人になった。子どもから大人になるというのはどういうことなのか──それを2幕構成で見せるのが『ブラッド・ブラザーズ』です。
この双子の兄弟に人生には、皆様の生きてきた時間とリンクするところ、考えるところ、どこか必ず刺さるものがある。それを劇場から持ち帰っていただければと思います。
“こばやま”“あおしま”、僕は、Wキャストでありながら2本の作品を作っているような感覚で演出しています。どちらが先でも構いません(笑)、ぜひとも、両作品、劇場でご覧いただければと思います。
【歌唱披露】
Wミッキー、Wエディの4人による劇中曲「あいつに」も披露されました。
この曲は思春期に差し掛かったミッキーとエディの心境を歌う楽曲。リンダに好意を寄せられたミッキーが、自分のコンプレックスのために思いに応えられず、「エディだったらしゃれたことが言えるのに」と歌い、エディもまたミッキーに同じような気持ちを抱いている。
多感な時期、お互いがお互いのいいところを思って「あいつに似ていたらよかったのに」と歌います。二人の思いがシンクロし、ハーモニーを奏でる。すでに2組の魅力の一端が垣間見られたひとときでした。
ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』@シアタークリエ
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おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人