新国立劇場 小川絵梨子芸術監督 最終シーズン<フルオーディション企画>ラストを飾る『エンドゲーム』上演!

新国立劇場の2025/2026シーズン演劇として、サミュエル・ベケット作『エンドゲーム』が2026年5月20日(水)から31日(日)まで、新国立劇場 小劇場にて上演されます。(15日、16日はプレビュー公演)
翻訳は岡室美奈子さん、演出は新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子さんが手がけます。



本作は、小川芸術監督が就任時より継続してきた〈フルオーディション企画〉の最終作となります。2018年から続いてきた本シリーズは、すべての出演者をオーディションで選出することで、新たな俳優と演出家、劇場の出会いを創出してきました。今回の『エンドゲーム』では、1,016名の応募の中から選ばれた近江谷太朗さん、佐藤直子さん、田中英樹さん、中山求一郎さんの4名が出演し、全員が新国立劇場主催公演に初出演となります。

『エンドゲーム』は、ノーベル文学賞作家サミュエル・ベケットによる1957年初演の不条理劇。チェスの終盤戦を意味するタイトルが示す通り、逃げ場のない終末的状況の中で生き続ける人間の姿を描きます。荒廃した世界の室内で、盲目のハムとその世話をするクロヴ、そしてハムの両親をめぐる関係が、繰り返される日常の中で浮かび上がっていきます。

翻訳を手がける岡室美奈子さんは、本作について「戦争や災害のみならず、介護やヤングケアラーの問題にも直結している」と語り、『エンドゲーム』が現代社会とも深く響き合う作品であることを示しています。また新訳では、「原文に忠実で、かつ、わかりやすい訳」を心がけたとコメント。

演出の小川さんは、本作について「『世界の終わり』という状況を描きながらも、『終わらないためにどう生きるか』を探究する物語」と語り、終焉へ向かう時間の中でなお問い続ける人間の姿に希望を見出します。

また本作は、小川芸術監督の任期最後のシリーズ企画「いま、ここに──」の第二弾として上演されるもの。同シリーズは、変わり続ける世界の中で“いま、ここ”に生きる人間の姿を見つめる三作品で構成されており、『エンドゲーム』はその中心を担う作品となります。

8年間にわたり続いてきた〈フルオーディション企画〉の集大成として、そして小川芸術監督の任期を締めくくる重要な一作として、新たな俳優たちとともに立ち上げられるベケットの世界に注目が集まります。


翻訳・岡室美奈子コメント



自粛生活を余儀なくされたCOVID-19パンデミックを経て、ウクライナやガザなど世界のいたるところで戦争が起こっている現在、『エンドゲーム』はとてつもなくリアルな作品です。もともと『ゴドーを待ちながら』などベケットの演劇は戦争や災害が起こった土地で上演されてきましたが、『エンドゲーム』は『ゴドー』以上に現在の世界に応答しているように思われます。また、戦争や厄災のみならず介護やヤングケアラーの問題にも直結しています。しかしそうした諸問題を映し出すだけではなく、人間の連帯と孤独、物語の役割など普遍的なテーマをもった深い作品でもあります。 新訳では、盲目のハムの語りを大事にし、会話パートと語りのパートの文体を変える工夫をしました。ベケットと言えば、不条理劇=わけがわからないというイメージが根強くありますが、そうした固定観念を払拭すべく、原文に忠実で、かつ、わかりやすい訳を心がけました。ハムとクロヴの二人の関係の変化がお客様に伝わることを願っています。最後にクロヴがどういう決断をしたのか、想像していただければ幸いです。


演出・小川絵梨子コメント



サミュエル・ベケットによる『エンドゲーム』は、1957年に初演されました。描かれている世界は、どうやら『ゴドーを待ちながら』の時代よりもさらに荒廃が進んでおり、人間関係は一層の悪化を見せ、今まさに終わろうとしている世界に見えます。しかし描いているのは「意味を失った世界」や「世界の終わり」という状況だけでなく、「終わらないためにどう生きるか」を探究する物語でもあると思います。
ベケット作品の登場人物たちのように、時間と存在への無力感と対峙しながらも、それでもなお生きることの意味を模索し続ける姿は、科学技術が進み世界がより密接になろうとも変わらず、普遍的な人間そのものの姿です。ベケット自身、この『エンドゲーム』を「自分の作品の中で最も嫌いじゃない作品」と評したとされています。
また、私が特に心に残っているベケットの言葉に「Try again. Fail again. Fail better.」というものがあります。冷徹に見える現実の中に人間的な温もりが宿っているベケットの考え方に希望を感じます。失敗を繰り返し、終わりに近づく中にあって「どう終わりを迎えるか」あるいは「どうやって終わらせないか」という問いを絶えず問い続けること。この作品を通じて、生きる意義を「問い続ける姿勢」こそが人間の希望であることを描ければと考えております。
【公演情報】
『エンドゲーム』
2026年5月20日(水)~31日(日)@新国立劇場 小劇場
※プレビュー公演:5月15日(金)・16日(土)

作:サミュエル・ベケット
翻訳:岡室美奈子
演出:小川絵梨子

出演:
近江谷太朗、佐藤直子、田中英樹、中山求一郎

https://www.nntt.jac.go.jp/play/endgame/

この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました

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