ミュージカル『レッドブック』おけぴ観劇会
2026年5月29日(金)18時@東京建物Brilliaホール
一部エリア先着順で受付中
言葉が、人生をひらく瞬間──韓国で広く愛される人気作、ミュージカル『レッドブック~私は私を語るひと~』 が、ついに日本初演を迎えます。19 世紀のロンドンを舞台に、小説を書くことで自分自身を表現するアンナが、社会の偏見などと闘いながら「私」として生きる道を見つけ出す物語を多彩な楽曲に乗せて描くロマンティックコメディ。 製作発表には演出・上演台本・訳詞の小林香さん、そして咲妃みゆさん、小関裕太さん、田代万里生さんら主要キャストが集結。それぞれの言葉からは、ロマンティックコメディとしての魅力とともに、それ以上のなにかがあることが、はっきりと伝わってきました。
【歌唱披露】
PVも公開されている、アンナとブラウンのデュエット「愛は天気のように リプライズ」とアンナの「私は私を語るひと」、本邦初公開の「あらま!そんな!すごい!」の3曲が披露されました。
かわいらしい楽曲、胸を打つ名曲、ワクワクする楽曲……言葉を届けることに長けたキャストによって本作楽曲のもつ多様な魅力が伝わる歌唱披露でした♪
それぞれの思いをメロディに乗せて紡ぐ物語、ミュージカルって素敵だなという気持ちが自然に湧いてきます。

「愛は天気のように リプライズ」小関裕太さん、咲妃みゆさん

「私は私を語るひと」咲妃みゆさん

「あらま!そんな!すごい!」
田代万里生さん、花乃まりあさん
アンサンブル:栗山絵美さん、高井泉名さん、感音さん、坂元宏旬さん、石田彩夏さん
【製作発表会見】
咲妃みゆさん(アンナ役)
咲妃さんが演じるのは、周囲の偏見と闘いながら、自分の言葉で人生を切り拓こうとするヒロイン、アンナ。コメディの軽やかさの裏に流れる、強いメッセージ。アンナは決して“強い女性”として描かれるだけではありません。葛藤し、傷つき、迷いながら、それでも自分の声を手放さない人物を芝居巧者の咲妃さんがどう演じるのか楽しみな方も多いでしょう。作品の読み解きにも深みが──
「この作品はコメディ要素もふんだんに盛り込まれていて、楽しんでいただける作品ではあるのですが、根底に流れているのは“他者への尊厳”を大切にすること、そして他者への理解を深めた先に見えてくるものだと思っています。
アンナ役を演じることになり、改めて作品と向き合ったときに感じたのは、アンナだけでなく、登場する一人ひとりが、それぞれの人生の中で葛藤を抱え、乗り越えるべき壁に向き合っているということでした。そうした人間模様こそが、『レッドブック』という物語の核なのではないかと感じています。
とにかく愛情を持って、この作品に込められている“他者への理解”や“分かち合う心”を大切にしながら、アンナを演じていきたいと思っています」
咲妃さんはアンナと自身との共通点を「意思の強さ」と語ります。その強さは、ときに自分を苦しめるけれど、物語の中でアンナは、その強さを持ち続けたからこそ一歩ずつ成長していく──その姿に「彼女から、私も刺激を受けています」コメントする咲妃さんの、ヒロインを“演じる”というより、共に歩もうとする姿勢が印象的でした。
小関裕太さん(ブラウン役)
小関さんが演じるブラウンは、“紳士の中の紳士”、愛も恋も本で読んだだけの生真面目な新米弁護士。ある楽曲から人物像を語ります──
「『紳士の道理』(仮題)という、“紳士とは何か”を語るナンバーがあります。今、直訳された歌詞を読ませていただいているのですが、その言葉がまさにその時代と彼自身を表しているなと感じました。本当に真面目なんです。『名誉のため、愛のため、正義のため』という歌詞があって、“そのために僕はこうあらねばならない”“これが紳士なんだ”“紳士でいなきゃいけない”と、自分に課しているような人物なんですね。
でも、アンナはとても自由奔放で、自分を語る女性。彼女と出会ったことで、自分のペースをどんどん崩されていきます。それでも『この人のために何かできないか』と支援者として関わろうとするのですが、空回りしてしまう。そこがとてもチャーミングだなと思いました。
紳士であろうとしているのに、紳士でいられない。そこも愛おしいですし、やがてアンナの影響を受けて、『自分らしさって何だろう』と考え始める。紳士であることが絶対だと思っていた彼に、別の選択肢が生まれていく。その物語の行方も、ぜひ楽しみにしていただきたいです。
そこに至るまでの過程が本当にかわいらしいので、ぜひ楽しんで、笑っていただけたら嬉しいです」
理想と現実のあいだで空回りするブラウンの人物像を愛おしそうな眼差しで語る小関さん、ご自身も「隙がないと言われるけれど、実は隙だらけ」と微笑みます。完璧であろうとする姿と、そこからこぼれる人間らしさ。アンナを軸に描かれる物語という言葉からは、女性目線が強調されるところもありますが、ブラウンもまた“こうあるべき”という時代の価値観から解放されていく物語のもうひとつの象徴なのかもしれません。
花乃まりあさん(ドロシー役)
女性文学同行会「ローレライの丘」会長ドロシーという、華やかでエッジの効いた人物ながら、離れて暮らす息子への想いを抱える女性を演じる花乃さん。
花乃さんは自身も一児の母であり、「母としての部分を役に反映させられるのでは」と語ります。さらに注目は、宝塚音楽学校時代の同期・咲妃さんとのミュージカル初共演。「当時は“天才演劇少女”。今は“努力の天才”」、長い時間を経て、再び同じ舞台に立つ。その関係性が、アンナとドロシーのシーンにさらなる深みを与えそうです!
エハラマサヒロさん(ジョンソン役)
偽善者ぶった卑劣な文学評論家ジョンソンは“嫌われ役”と明言されながらも、エハラさんは明るくカラリと「ただ悪いやつじゃなく、人間的な部分も見せたい」と語ります。会見ではユーモアを交え会場を沸かせ、共演者をリラックスさせるエハラさん。笑いと毒。その両輪を担う存在として、物語に刺激を与えてくれる信頼感に期待が高まります。渾身のヘアスタイリングもお見逃しなく!
中桐聖弥さん(ジャック役)
ブラウン、ジャック、アンディ「紳士三銃士」の一人、ジャックを演じる中桐さんは「誰にでも紳士らしい振る舞いができれば」と語る。若さゆえのまっすぐさと、少しの不器用さ。小関さん、加藤さんとのトリオ関係も楽しみ!双子のジャックとアンディを演じる中桐さんと加藤さんは、実は同い年。「仲良くなるのに時間はかからなかった」というコメントからも“いい関係”がうかがえます。
加藤大悟さん(アンディ役)
アンディを演じる加藤さんは、「紳士という言葉の意味を今、探している」と語ります。正解のない問いを抱えながら、3人で“紳士像”を作っていく──「優しい気持ちになれる作品ですし、コメディ要素もあるので、普段ミュージカルをご覧にならない方も、ぜひ」!常に全力で発する力強い言葉、若手ならではの熱量が、このカンパニーの推進力になりそうです。中桐さんが小関さんとおしゃべりしたエピソードを披露すると、加藤さんが「ちょっとジェラシー」と笑いを誘います。いいトリオになりそう!
田代万里生さん(ローレライ役)
変に優雅で気品のある女装男性ローレライ役、物語のキーパーソンを担う田代さん、若き日の美輪明宏さんをイメージしたキャスティングという話題も飛び出しました。はじめてローレライの衣装を纏ったときに感じたことを問われ「見た目が変わると、人の視線が変わる」、その体験が役の深化につながっていきそうです。オススメコメントもさすが↓
「アンナとブラウン、ふたりのシーンが初々しくて、キュンキュンしたい方はぜひお越しください。間違いないなと思います。
そして、やっぱり人生って、皆さんそれぞれいろいろあると思うんです。『私の人生、こんなだったのかな』『あの選択、間違ってなかったのかな』『私ってどんな人間なんだろう』と思う瞬間もあると思います。そんな方には、本日、咲妃さんが歌われた、サブタイトルにもなっている『私は私を語るひと』という楽曲をぜひ聴いていただきたいです。『私には私がいるわ』という歌詞が、本当に素晴らしくて。僕はそこにぐっときました。背中を押してくれる人は、自分の中にいたんだ、と。その曲を聴きながら、そんなふうに感じていました。
少しでも迷いや悩みを抱えている方は、この作品を観て、そっと自分自身が自分の背中を押してくれるような感覚を受け取っていただけるのではないかと思います。そして、他者への理解や尊敬、リスペクトも描かれた作品。ぜひ、いらしてください」
小林香(演出・上演台本・訳詞)
日本版『レッドブック』を立ち上げる司令塔、小林さんは日本版へ取り組む際の核、2025年に上演する意味をこう語ります──
「言葉を大切にしているミュージカルです。
匿名性の高い言葉が強い勢いで氾濫している今、強い言葉だけが生き残り、弱い人の小さな声はかき消されてしまいます。そして、賢く奥ゆかしい人ほど、誰かを傷つけまいと言葉を飲み込んでしまう。そうして、誰が発したのかわからない強い言葉が増殖していく。
アンナは、自分自身のことを自分の言葉で語ることで、人生を自分のものにしていく女性です。
アンナのファミリーネームは“ノック”。最初は珍しい名前だと思いましたが、読み終えたとき、“扉をノックする”“壁を叩き、崩す”という意味が込められているのではないかと感じました。韓国で脚本のハン・ジョンソクさんにお会いした際にその話をしたところ、『その通りです』とおっしゃってくださったんです。
自分の言葉で人生を取り戻す。想像する力を、生き延びる力に変えていく。その勇気は、きっと私たち一人ひとりの中にもある。だからこそ、
『自分にとってのレッドブックとは何だろう』『私は何を書きたいのだろう』と、思いを馳せていただける作品にしたい。それが、今この作品を上演する意味だと思っています。
日本版は、外側は19世紀イギリスの物語でありながら、内側には韓国の魂が宿っている。その二つを、日本で上演する意味とともに一つにしていく。その作業の最中です。難解にするのではなく、笑いと朗らかさを携えて、今のお客様にきちんと届く形でお渡ししたいと思っています」
また、製作発表会見で扮装姿で勢ぞろいしたキャストを見ての手応えを尋ねられると──
「今日こうして一堂に会して、改めて『豪華だな』と思いました。これまでお一人ずつ撮影で拝見していたので想像はしていましたが、実際に並ばれると、本番は
少女漫画よりも美しく、コメディ漫画よりも面白くなるだろうな、と感じました。
撮影のとき、スタッフが本当にうわ言のように「綺麗」「かわいい」「かっこいい」しか言わないんです。この仕事に携わっていながら語彙が足りなすぎるのでは、と思うほどでした(笑)。それだけ皆さんの立ち姿や内面からにじみ出る美しさが際立っていたのだと思います。
また先日、とある方から『本当に賢い俳優さんが揃いましたね』という言葉をいただいたのですが、まさにそこなんです、と強くお伝えしました。フェミニズムの要素を含む作品は、ともすれば構えてしまう方もいらっしゃるかもしれない。でもそれをロマンティックコメディとして、わかりやすく、間口広く届けるためには、しっかり考えを分かち合える俳優さんと創作することが何より大切だと思っています。
今日皆さんのお顔を拝見して、袖にいるキャストも含め、この方々と一緒に作品を作れることを本当に光栄に思いました。今からとても楽しみです」
日本初演へ──会見全体を通して感じたのは、“知性”と“温度”の両立です。
フェミニズムの要素を含みながらも、間口は広く。ロマンティックコメディとして笑い、そして心に何かを残す作品。最後にキャスト陣はそれぞれ「心に刺さる作品に」「笑って帰ってほしい」「心に満開の桜が咲くような作品に」と語りました。ミュージカル『レッドブック』が日本でどんな渦を生むのか。開幕が待ち遠しいですね。
ミュージカル『レッドブック』おけぴ観劇会
2026年5月29日(金)18時@東京建物Brilliaホール
一部エリア先着順で受付中
【Story】
紳士の国・ロンドン。その中でも最も保守的だったヴィクトリア朝時代に生きる、 主⼈公アンナ(咲妃みゆ)は少し変わっていた。淑女として振る舞うよりも「私」として生きたい―。
真面目で“紳士”であることしか知らない新米弁護士・ブラウン(小関裕太)や個性的な登場人物たちとの出会いをきっかけに、アンナは、官能的な小説を書くことで自分を表現し始める。型破りで刺激的なその内容は、瞬く間に評判を呼び、多くの読者を熱狂させていく。一方で、「女性のあるべき姿に反している」「社会に悪影響だ」と非難され、 ついに裁判にかけられてしまう……。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人