ミュージカル『アイ・ラブ・坊っちゃん』@明治座
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1992年に音楽座ミュージカルで初演されたミュージカル『アイ・ラブ・坊っちゃん』。苦悩の底にあった夏目漱石が小説「坊っちゃん」の執筆を通して自己を回復していく姿と、それを受け止める妻・鏡子。史実とフィクションを織り交ぜ、漱石の日常と小説世界がシンクロする巧みなストーリーを多彩な音楽に乗せて描く名作が、G2さんの演出、豪華キャストの手で装いも新たに届けられます。開幕を前に、初日前囲み取材&公開ゲネプロが行われました。囲み取材と速報舞台写真をお届けします。

春風ひとみ 彩みちる 土居裕子 井上芳雄 三浦宏規 小林唯 松尾貴史
登壇されたのは、夏目漱石役:井上芳雄さん、劇中の「坊っちゃん」役:三浦宏規さん、鏡子役:土居裕子さん、「坊っちゃん」の親友「山嵐」役:小林唯さん、漱石の兄嫁・登世役:彩みちるさん、「赤シャツ」役:松尾貴史さん、「坊っちゃん」を支える「清」役:春風ひとみさんです。
【囲み取材レポート】
──いよいよ初日を迎えます。意気込みからお聞かせください。
井上芳雄さん)
音楽座さんの名作を東宝製作で上演するのは、今回で4作目になります。『アイ・ラブ・坊っちゃん』は、実在の文豪を主人公とした、音楽座さんの中でも少し特殊な作品です。これを明治座で上演できることを、ありがたく、嬉しく思っています。
創作過程は、僕たちは和物に慣れていないので、新作を立ち上げるような気持ちで稽古に取り組んできました。音楽座さんが培ってきた作品の力をお借りしながら、今の自分たちなりの『アイ・ラブ・坊っちゃん』をお届けできればと思います。
三浦宏規さん)
僕は和物が初めてで、袴や下駄など、慣れないことも多くありましたが、芳雄さんをはじめ先輩方にアドバイスをいただきながら、じっくり時間をかけて稽古することができました。
ここからは本番を楽しんで、お客様にご覧いただくだけかなと思っています!
土居裕子さん)
今回のキャストの中で、この作品を経験しているのは、元音楽座の藤咲みどりさんと私の2人だけです。30年前と同じ役を務めさせていただくことが感慨深く、胸がいっぱいです。そして、夏目漱石も観劇に訪れたという明治座で開幕できることを、光栄に思っています。
小林唯さん)
明治座さんの舞台に立たせていただくのも初めてですし、20歳頃に拝見した『アイ・ラブ・坊っちゃん』に、自分が関わることになるとは思ってもいませんでした。
新たな『アイ・ラブ・坊っちゃん』を創造する現場で、山嵐像を立ち上げる。多くの刺激を受けながら、日々楽しんでいます。

小林:すごく緊張しています。
三浦:緊張している声のトーンじゃないよね。すごく落ち着いている(笑)。

彩さんはマドンナ役の扮装で登場!
彩みちるさん)
宝塚歌劇団を退団して、初めての舞台出演となります。素晴らしい共演者の皆様に囲まれ、お稽古場は学びしかありませんでした。お稽古場でやってきたことを舞台に乗せてお客様に届けられたらと思っております。
松尾貴史さん)
何度やっても、ミュージカルには慣れません(笑)。自分だけが門外漢のような気持ちで、おろおろしながら、皆さんに助けていただいています。
スタッフ、キャストの皆さんが本当にプロフェッショナルばかりで、その中に混ぜていただいていることが、とても嬉しいです。毎日、酒がうまいです!
春風ひとみさん)
若い頃に拝見した音楽座の『アイ・ラブ・坊っちゃん』に、まさか自分が出演させていただけるとは思ってもおらず、それだけで感動しています。
裕子さんと同じ舞台に立てることも幸せですし、芳雄さんが本当にカンパニーを引っ張ってくださっています。清という役を、豊かに演じられたらと思います。
──皆さんの役どころ、もしくは作品の愛を感じる“ラブ”なポイントは。井上さん)
夏目漱石の妻・鏡子役の土居裕子さんとご一緒できることが、1番の“ラブポイント”です。役の間柄としてもラブですし(笑)。
30年前の初演と同じ役を務められるというのは、みんな聞き“流して”いますけど、「えっ?」と聞き“直した”方がいい。それくらいすごいことだと思います。舞台だからこそできることでもありますし、なにより土居さんだからこそできることだと感じています。
稽古場でも、この作品のことを知り尽くしていらっしゃる方ですが、それを決して押し付けることなく、見守りながら要所要所で「こうしていたかもしれない」「こうしたら伝わるかもしれない」と示してくださる。裕子さんとこの舞台に立てることを奇跡のように感じています。
──今回は夫婦役です。井上さん)
この時期の漱石は神経が繊細になっていて過敏、周囲に当たり散らし、怒鳴り続けてしまう。これまであまり経験のない役どころですし、現代の感覚ではなかなかシビアに映る部分もあると思います。映像作品だったら、最後に注釈テロップが付くような。
ただ、舞台の中では、僕が演じる漱石の激しさを、土居さん演じる鏡子がしっかり受け止めてくださる。その関係性によって単に「きつい人物」と映るのではなく、その奥にある夫婦の愛情まで伝わればと思っています。
土居さん)
鏡子さんはとてもおおらかな方で、色々なことがあったとは思いますが、漱石さんに怒鳴られても笑って受け流すような性格だったと伝えられています。だからこそ、お二人はうまくいったのかもしれません。
そして、漱石さんが亡くなった後、鏡子さんは娘の筆子さんに「いろいろな男性を見てきたけれど、やっぱりお父ちゃまが一番いいわ」と話したそうなんです。その言葉が、とても心に残っています。
芳雄さんが演じる漱石さんからは、ご本人の持つ優しさが感じられるんです。台詞の間(ま)に、温かさや冷たさ、ブルーやオレンジ、ピンクといった、さまざまな空気が立ち上がってくる。その空気を芳雄さんと一緒に紡ぎながら、お客様に受け取っていただけたら嬉しいなと思います。私の“ラブポイント”です。
──三浦さんの“ラブポイント”は。
三浦さん)
僕にとっては、ひとみさん演じる清の存在がとても大きいです。お芝居をしながら、その温かさやぬくもりを強く感じています。
上京して初めて親のありがたみを知る、という感覚に近いかもしれません。松山に赴任した坊っちゃんが、清という存在の大きさに改めて気づいていく──僕自身も上京してきた身なので、そうした思いが自然と思い出されました。
だから“ラブポイント”は、ひとみさんが坊っちゃんを見つめる目。ほかの登場人物が正面を向いている場面でも、清だけは坊っちゃんを見ている。その視線が、僕はとても嬉しくて。ぜひ注目していただきたいです。
小林さん)
僕は山嵐と、正岡子規を演じます。山嵐として、宏規の坊っちゃんと築いていく関係性が1つ目の“ラブポイント”です。(『レ・ミゼラブル』で演じた)アンジョルラスとマリウスの関係性に近いものを、勝手ながら感じていて、楽しみながら取り組んでいます。
一方で正岡子規としては、芳雄さんとの濃密なお芝居があります。夏目漱石と子規のかけがえのない友情、その関係性を芳雄さんと一緒に構築できることは、恐れ多くもあり、同時にとても感慨深いです。
井上さん)
僕らは同じ事務所の先輩・後輩でもあるので、最初は少し遠慮があったんです。強く言わなきゃいけない場面でも、どこか腰が引けているようなところがあって(笑)。
小林さん)
漱石と子規は対等な関係なので、そこはしっかり作っていかなきゃいけないなと。
井上さん)
漱石にとって子規は本当に大切な存在なので、その関係性もすごく熱いものになっています。
小林さん)
それが、もう1つの“ラブポイント”です!
彩さん)
マドンナと雪江の2役で、松尾さん演じる赤シャツ、そしてヴァイオリンの先生との間に生まれる、青春の恋の駆け引きや迷いが描かれているので、そこを“ラブポイント”としてお届けしたいです。
もう1役、漱石の兄嫁・登世としては、天から見守るような大きな愛で包み込めたらと思っています。こちらはまた別の愛のかたちです。
松尾さん)
赤シャツは欲望に忠実で狡猾な男なんですが……まあ、“憎めなくない”。二重否定ですね(笑)。
(周囲から「憎めるってこと?」とツッコミが入りつつ)そこを、できるだけ下品にならないように演じたいと思っています。
──春風さんの“ラブ”なポイントはいかがでしょう。
春風さん)
(少し照れながら)三浦さんです。
演出のG2さんからも「春風さん、泣かないで」というノートをいただいたのですが(笑)、三浦さんを見ているとまるで孫のようで、本当に愛おしくて……つい涙が。
きっと皆さんの中にも、なにがあっても、どんなときでも両手を広げて待っていてくれる存在があると思います。清という役を通して、そんな方を思い出していただけたら嬉しいです。
──坊っちゃんの舞台は愛媛県。土居さんは愛媛県宇和島市ご出身で、「うわじまアンバサダー」でもいらっしゃいます。地元のいいところは。
土居さん)
しゃべり始めたら止まらなくなりそうです(笑)。皆さんご存知のとおり、かんきつ類は本当に種類が豊富で、今の時期だと「紅プリンセス」というみかんがとても美味しいんです。
井上さん)
先日、番組でもご紹介されていましたね。「紅まどんな」と「甘平(かんぺい)」を親にもつ「紅プリンセス」。それにしても土居さん、これまでの質問より熱量が高いですね(笑)。
土居さん)
(笑)。ほかにも、じゃこ天やお魚もとても美味しいです。明治座さんでも愛媛の名産品が出店すると聞いていますので、そちらもぜひ楽しんでいただけたらと思います。
※【ミュージカル『アイ・ラブ・坊っちゃん】公演期間中、劇場3階にて、『坊っちゃんマルシェ』がオープン!(協力:愛媛県観光物産協会)
また、土居さんセレクト“じゃこ天”や愛媛の名物:鯛めし、うつぼ屋の坊っちゃん団子も入った芳雄・宏規・裕子のラブ♪が詰まった 坊っちゃん弁当も発売!──最後に井上さんからお客様にメッセージお願いします。
井上さん)
皆さんご存知の、夏目漱石の『坊っちゃん』をもとにしたミュージカルですが、本作ではその物語と同時に、『坊っちゃん』を執筆する漱石自身の人生も描かれていきます。
2つの物語はただ並行するのではなく、交わり、ぶつかり合い、影響し合いながら、互いに欠かせない存在となっていく。やがて漱石が生み出すフィクションが、漱石自身にとって“生きるために必要なもの”になっていく──その構造こそが、本作の大きな魅力であり、日本のオリジナルミュージカルの到達点とも言われる理由だと、日々実感しています。
そして、僕たちは“新しい形”を目指して、ぎりぎりまで稽古を重ねてきました。その成果を、初日の舞台で、まだ誰も──僕たち自身も知らない『アイ・ラブ・坊っちゃん』の世界としてお届けできるはずです。
ぜひ劇場でご覧ください。お待ちしております。
◆みなさんの“ラブポイント”が相思相愛でとっても微笑ましい会見でした。グッときて、のちに清々しい、ミュージカル『アイ・ラブ・坊っちゃん』、いよいよ開幕です。ここからはゲネプロレポートに先立って、速報舞台写真をお届けします。
【速報舞台写真】
ミュージカル『アイ・ラブ・坊っちゃん』@明治座
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おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人