“挑戦”として続けてきた「まつり」シリーズ
大貫祐一郎さん、生誕50年ライブに込める思い6月26日に50歳のお誕生日を迎えるピアニストの大貫祐一郎さん。その翌日、6月27日に、有楽町 I'M A SHOWにて「オオヌキ 50歳の生誕まつり」が開催されます。
2021年より開催された「アナリーゼのために」(“アナリーゼ(楽曲分析)”をテーマにした、新感覚ピアノコンサートとして、第一楽章から第三楽章まで開催)、2024年より始まった「春のショパンまつり」、「秋のバンドまつり」、“まつりシリーズ”といった、大貫さんならではの切り口、演奏でお届けする音楽を楽しむひとときのスペシャルバージョンとしても注目を集めるコンサートです。
ピアニストとして、音楽監督として、数々のステージを音楽で彩る大貫さんの、〈生誕まつり〉への思いを伺いました!記事ラストでは、2025年の春秋まつりの様子も振り返ります!
春の「ショパンまつり」、秋の「バンドまつり」。
ジャンルや編成を横断しながら、“楽しい”と“なるほど!(学び)”が自然に共存する独自のコンサートシリーズとして、多くのファンに親しまれてきた大貫祐一郎さんの“まつり”シリーズ。
大貫さんご自身は、このシリーズについて「挑戦です」と語ります。
「春は一人、秋はバンドで、お客様の前でソロライブをさせていただける幸せをかみしめながら、毎回どのように楽しんでいただけるか葛藤しながらの挑戦です」
毎回、多彩な切り口に驚かされるまつりシリーズ。プログラム構成を考える際には、“自分がお客さんだったら何を期待するか”を常に俯瞰して考えているそう。
「アンコールでマジックやり始めたらウケるかな?とか(笑)」
そんなユーモアも交えつつ、“緩急”を意識しながら、観客を飽きさせないバランスを組み立てていると続ける大貫さんが、その中でもお気に入りとして挙げたのが、「秋のバンドまつり」恒例のオープニング。
ショパンの《革命》をソロで弾き始め、途中からバンドメンバーが加わり、いつしかファンキーな「KAKUMEI」へと変貌していく流れについて、
「我ながらよく考えたなぁと思います(笑)」
と。確かに、あの高揚感はたまりません!!
そんな“まつり”シリーズのスペシャルバージョンとして位置づけられているのが、今回の〈生誕まつり〉です。
「今回は50歳の節目のライブですので、今までの集大成にしたいと考えています。アナリーゼ~ショパンまつり~バンドまつり、ごちゃまぜで構成したいですね!」
さらに今回の公演には、平原綾香さんと佐藤隆紀さんという実力派ゲストも参加。
大貫さんによると、実はお二人の共演歴はそれほど多くないそうで、
「日本、いや、世界でもトップクラスの歌声のお二人。どんな化学反応が起きるか、本番にならないと誰にも分かりません。私が客席で聞きたいくらいです!」
と、大貫さんご自身も期待を膨らませています。ご参加の皆さんも思いっきり期待を膨らませてくださいませ!
また、50歳の節目を迎える大貫さんにこんな質問も投げかけてみました──“音楽”や“ピアノ”の存在とは。
「ものすごくくさい言い方になりますが、ピアノを弾くことは私にとって息を吸う事と一緒なんです」
と率直な、そしてとっても素敵な言葉が返ってきました。
「私は元来口下手なので、ピアノだと言いたいことが言える感覚です。ですので体の一部って感じですね」
音楽とともに歩んできた人生が、そのままにじみ出るような言葉です。“口下手”というのは、にわかには信じがたいのですが(笑)。
そして、“これから”についても──
「常に新しいことにチャレンジしていく50代になりそうです。今までやってきたまつりシリーズをさらに違う方向に広げられたらうれしいですね!」と語る大貫さん。
また、今回の〈生誕まつり〉の告知に、“節目の年にふさわしい新たなチャレンジも織り交ぜながら、特別なひとときを創り上げます”とあります。そこにも探りを入れて見たところ、すでにスタッフと“新たな挑戦”について相談を始めているそうで、
「実現させるには相当大変なのですが……でもお客様に必ず喜んで頂けると思います。お楽しみに」と意味深なコメントも飛び出しました。
最後に、“まつり”初参加の観客へ向けては、
「演奏は真剣に、MCはずっとフザけてます。リラックスしてお楽しみください~!」
と、大貫さんらしいメッセージで締めくくりました。
“まつり”常連の皆様も、お初の皆様も、大貫さんとゲストのお二人が創り出す豊かな音楽の時間を一緒に楽しめるコンサートになりそうです!それと共に、当日は、みんなで大貫さんの50歳のお誕生日をお祝いしましょう!
昼夜公演ともに完売となった「オオヌキ 50歳の生誕まつり」ですが、6月1日正午より
《立ち見席追加販売決定!》です!
<春と秋をつなぐ大貫祐一郎さんの音楽時間、大貫さんプロデュース“まつりシリーズ”の歩み>
季節の移ろいとともに楽しみが巡ってくる、ピアニスト大貫祐一郎さんプロデュースの“まつりシリーズ”。春はショパンを中心としたピアノサロンコンサート、秋はバンド編成で届けるRUNOと、異なる表情を持つ二つのイベントが今年も開催されました。どちらも会場との距離が近く、音楽を囲むあたたかい空気が魅力です。本稿では、2025年の春と秋、それぞれの“まつり”の様子を振り返りながら、シリーズとしてのつながりもご紹介します。
大貫祐一郎サロンコンサート「オオヌキ 春のショパンまつり vol.2」
春──ショパンの名曲と、温かなやり取りに包まれる時間昨春に続いて開催された「オオヌキ 春のショパンまつり vol.2」。ガルバホール新宿に、ショパンの名曲をたっぷり浴びる心地よい時間が今年も戻ってきました。ピアニスト大貫祐一郎さんによる“まつりシリーズ”は、昨年11月に開かれた「オオヌキ 秋のバンドまつり『RUNO』」に続き、季節とともに楽しみが巡ってくるイベントとしてすっかりお馴染みになってきました。
春のまつりの序盤は、まさに「ショパンまつり」という言葉がぴったりのプログラム。曲名を知らずとも耳にすれば思い出す親しみのある名曲が並び、あらためてショパンの偉大さを感じます。大貫さんの軽やかなMCも心地よく、アットホームな雰囲気が会場に広がりました。
なかでも印象的だったのが、大貫さんが語った“マンネリの魅力”についてのお話です。毎回おなじみの“お約束”ともいえる小ネタや、「ありがとう いいくすりです」の声を客席と一緒に重ねる場面が生み出す一体感。初めての方の戸惑いと、経験者のちょっとした期待が混ざり合う空気──ただ静かに聴くだけではない“まつり”の粋がありました。
さらに、ショパンの♪革命を春と秋、二つの角度から楽しめたことも興味深い点です。秋のバンドまつりではバンドアレンジ版の♪KAKUMEIとして披露されたこの曲、春のまつりでは大貫さんがピアノ一本でバンドサウンドに挑むという大胆なアプローチで演奏されました。同じ楽曲が季節によって異なる表情を見せる、そのつながりはシリーズを追いかける楽しみのひとつです。
また、BS-TBS『美しい日本に出会う旅』特別編で実現した、井上芳雄さんとの長野・松本の旅から生まれた大貫さんのオリジナル曲♪KAIも紹介されました。浅間温泉の「界 松本」をイメージした曲は、自然の風景がふっと立ち上がるような穏やかさがあり、会場に優しい時間が流れました。歌人が旅の景色を歌に残すように、音楽で旅の記憶をかたどる、その才能をあらためて感じる瞬間でした。
最後はショパンの『エオリアン・ハープ』『大洋』、そしてミシェル・カミロ『From Within』で締めくくられ、春のまつりは多彩な音楽を満喫できる満足感の中で幕を閉じました。マジックやモノマネなど、大貫さんらしい遊び心も添えられ、肩の力を抜いて楽しめるコンサートでした。
「オオヌキ 秋のバンドまつり『RUNO』 vol.2」
秋──旅の思い出と、息の合ったバンドがつくる温度感季節が進み、11月には、秋のまつり『RUNO』がKIWA TENNOZに帰ってきました。春とはまた違った温度感のある、こちらも“まつり”らしい賑やかさに満ちたライブです。
幕開きは春でも取り上げられた♪KAKUMEI。バンドバージョンならではの迫力と躍動感に、自然と身体が音に導かれました。ドラマー則竹裕之さんは大貫さんの音楽性について「自由だけどちゃんとしている方」と表現し、ベースの寺尾陽介さんとはこの一年の共演を経て信頼関係がさらに深まったとのこと。それぞれが敬意を払い、穏やかな話しぶりのお三方。MCでは和やかに、演奏では一音ごとに集中が高まる、『RUNO』メンバーの鮮やかな切り替えも印象的です。
今回の『RUNO』のテーマは「夏の思い出」。大貫さんが今夏訪れたパリの記憶をもとに、ミシェル・ルグランの♪シェルブールの雨傘、♪思い出の夏など、どこか涼やかで少しノスタルジックな映画音楽が並びました。MCでは「とても暑かった」「ビールが美味しかったけれど、ユーロ高でなかなかの出費に…」という等身大の旅話も飛び出し、会場に温かい笑いが生まれていました。
♪La Vie en rose は、ピアノ、ドラム、ベースがそれぞれ即興を重ねていくスペシャルバージョンに。音楽がどこまでも旅していくようで、その後に登場したゲストヴォーカルの真瀬はるかさんがこの楽曲を振り返って「品川、銀座に出かけて行って、どこまで行くのかと思ったら、ちゃんと天王洲に帰ってきましたね」とコメントされると、客席も大きくうなずくという場面がありました。音が旅をしているような感覚になります。
その真瀬さんが登場すると、会場の雰囲気がさらに柔らかくなりました。♪虹の彼方に の伸びやかな歌声は、バンドの音と寄り添いながら美しく広がります。歌が前面に立つように演奏が調整されていることにも気づき、プロの細やかな息づかいを感じました。
そして春のまつりで聴いた♪KAIが、秋ではバンドと真瀬さんのヴォカリーズによる多層的なアレンジで再登場。春と秋をまたぐ形で楽曲が“育つ”様子を味わえるのは、まつりシリーズならでは。大貫さんによる超絶アレンジの音域の広さに、「今日から大貫祐一郎、改め、音域祐一郎ですよ(笑)」という真瀬さんのコメントには客席からもあたたかな笑いがこぼれました。
続くミュージカル『レ・ミゼラブル』からの♪夢やぶれてでは、しっかりと歌の力を届けつつ、会場に作品の世界観が広がり、ミュージカル俳優・真瀬はるかさんを堪能。
締めくくりはミシェル・カミロ♪From Within、アンコールでは再び真瀬さんが登場し、椎名林檎さんの♪人生は夢だらけ。華やかなサウンドに包まれながら、秋のまつりは温かい余韻を残して終わりました。
春と秋のまつりを並べて振り返ると、ジャンルや編成は異なっても、どちらにも共通して“人と音の距離が近い”心地よさがあります。お約束に笑い、同じ曲の違う表情に驚き、旅の話に頷き、音楽に身を委ねる──そんな時間が積み重なることで、このシリーズが季節の風物詩として根付いてきたのだと感じます。
さらに大貫さんから、「来年はちょっと特別なまつり開催」とのうれしいお知らせもありました。一年をかけて育つまつりシリーズが、次はどのような音を届けてくれるのか、今から楽しみです。
大貫祐一郎サロンコンサート「オオヌキ 春のショパンまつり vol.2」<セットリスト>
ショパン クターン第2番 変ホ長調 Op.9-2
ショパン エチュード 第12番Op.10-12 『革命』
ショパン ワルツ 第9番 変イ長調 Op.69-1 『告別』
ショパン ワルツ 第6番 変二長調 Op.64-1 『小犬のワルツ』
ショパン ワルツ 第7番 嬰ハ短調Op.64-2
ショパン 24のプレリュード 第7番 イ長調 Op.28-7
ショパン 24のプレリュード 第8番嬰へ短調 Op.28-8
大貫祐一郎 『KAKUMEI』
ミシェル・カミロ 『Pra Voce』
ミュージカル「ジキル&ハイド」より 『Someone Like You』
大貫祐一郎 界 松本(星野リゾート)イメージオリジナル曲 『KAI』
ショパン エチュード 第1番 Op.25-1 『エオリアン・ハープ』
ショパン エチュード 第12番 Op.25-12 『大洋』
<アンコール>ミシェル・カミロ 『From Within』
「オオヌキ 秋のバンドまつり『RUNO』 vol.2」<セットリスト>
KAKUMEI
パリの空の下
シェルブールの雨傘
思い出の夏
Home
La Vie en rose
虹の彼方に
KAI
夢やぶれて
From Within
<アンコール>人生は夢だらけ
写真提供:グランアーツ
おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人