『BOOP! The Musical』@東急シアターオーブ
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愛や自分探し、友情、一歩を踏み出す勇気──華やかで楽しくて最高にハッピー!古き良きブロードウェイミュージカルの魅力をそのままに、メッセージは2026年にアップデートされた『BOOP! The Musical』!出会いが生み出す物語に、終始、ワクワク。やがて大きな多幸感に包まれます。
囲み取材レポートに続いて、公開ゲネプロ(Wキャストは、ドウェイン:水江建太さん、トリーシャ:藤森蓮華さん、レイモンド:中河内雅貴さん、グランピー:東山義久さん)の模様をレポートいたします。
(一部、物語に触れます)
『BOOP! The Musical』©梅田芸術劇場

『BOOP! The Musical』©梅田芸術劇場

『BOOP! The Musical』©梅田芸術劇場
客席に入った瞬間から始まる“BOOP!”の世界
客席に入ったときから、『BOOP! The Musical』が始まっているかのようなしつらえ。
一気にベティー ブープ™のアニメの世界にいざなわれます。こうして開演を待つ間の時間も楽しい空間を作り出す世界観の盤石さ、始まる前からジェリー・ミッチェルの魔法を感じます。
幕開きは、1930年代、白黒のトゥーンタウン(アニメの世界)。
永遠のスターベティー ブープは、記者に「本当のあなたは?」と問われ、笑顔で「みんなが思い描く人」と答えるが──そこから、ベティーの自分探しが始まる。
“平凡な一日”を求め、誰もが自分を特別視する世界から飛び出そう!
発明家で祖父のような存在グランピーが開発した装置を使って、ベティーは2026年のニューヨークへタイムワープ!そこは“ニューヨーク・コミコン”会場だった!
初めて目にするカラフルな世界、観るものすべてがまぶしく映る街で、青い瞳の青年ドウェイン、ベティーの熱狂的ファンのトリーシャと出会い──。
2次元から3次元へ!礼真琴さんの“ベティー ブープ”
「色」に出会っていくベティーの驚きと喜びを表現するナンバーで見せるベティーの瞳の輝き、躍る心、声……アニメの世界では当たり前だった仕草やしゃべり方が、異質なものになる。それを嫌みなく、ちょっと風変わりだけど魅力的に見せる礼真琴さん。
声色はもちろん、手、足の動かし方や見せ方の角度まで計算しつくし、それでいてそれが“ベティーの自然”だと、すんなり受け入れられる。2次元から3次元への華麗なる変身!
コミコンで出会う人々から、ベティーのコスプレ、完コピをしているベティー ブープマニアとして注目集める(本人なのに!)一方で、ここでも誰もが自分を知っていることに愕然。そんなベティー(身バレを防ぐためにベッツィーと名乗る)に声をかけてくれたのが、こちらもベティー大好きなトリーシャ。
その頃、アニメの世界では、オスカー・デラコール監督と助手のクラレンスはベティーを必死に探し始める。オスカーの青柳塁斗さんとクラレンスの工藤広夢さんによるコンビの絶妙な掛け合いや、アニメの世界ならではの表情の作り方に、客席には笑いで起きます。お二人は現実世界でも違うお役で多数登場!青柳さんの見事な上腕二頭筋や、コミコンでの工藤さん演じるあるキャラクターの無表情もお見逃しなく。
(見逃しようもないと思うのですが)そして、ベティー不在に危機を感じ、彼女を探し出すためにグランピーもまた、愛犬パジーとともに現実世界へ旅立つ!
人と出会い、愛を知り、“本当の自分”へ
ベティーに強い憧れを抱くトリーシャには藤森蓮華さん。自分に自信を持てずにいるトリーシャのもろさと、アートへの情熱、葛藤を、一色ではないドラマティックな歌声に乗せて表現。ダンススキルに定評のある藤森さん、お芝居、歌唱でも鮮烈な印象を残します。ベティーとトリーシャに生まれる信頼関係、友情も尊い。
ベティーが心惹かれる、青い目をしたドウェインは水江建太さん。ジャズトランぺッターを夢見る青年が抱く、どこか満たされない思いを繊細なお芝居で立ち上げます。ベティーと出会い、変化していくドウェインの物語にも注目です。瞳に宿る美しさと影、才能……ベティーがこれまで感じたことのない感情を抱く相手として、説得力のあるドウェインです。
ともにベティーを太陽のような存在だと歌い上げるオスカー、クラレンス、ドウェインのナンバーは、アニメと現実、2つの世界がシンクロするミュージカルならではのシーンに。
トリーシャの叔母で活動家のキャロル・エヴァンスにはまりゑさん、キャロルが選挙マネージャーを務めるニューヨーク市長候補レイモンド・デマレストには中河内雅貴さん。
中河内さんは、妙に熱くて、どこか胡散臭さのあるレイモンドを好演。だからこそなんか気に障る人物としてインパクト大です!
献身的にレイモンドを支えてきたキャロルが歌う、2幕のソロナンバーではまりゑさんの上手さが凝縮、そして爆発です。心の中で、こぶしを突き上げたくなるような衝動が起こりました!
現実世界へやってきたグランピーは40年ぶりに宇宙物理学者のヴァレンティーナと再会。
ヴァレンティーナの登場時、「待ってました!」と声がかかりそうなくらいの柚希さんの存在感は、もう一人のスターの登場を印象付けます。東山さんは、終始チャーミングな中に、隠し切れないステップのキレが垣間見える。それでいて歌声は二枚目。ありとあらゆる魅力が詰まっています。
ベティーの愛犬パジー(マリオネット人形)に息を吹き込むJIJOさんの職人技にも唸らされます。ただただ可愛い!!
グランピー、ヴァレンティーナ、そしてパジーのパートも、思わず笑顔になるキュートと癒し満載です。柚希さんと東山さんの、これまで見たことのない役どころにもご注目ください。
Wキャストのドウェイン:松下優也さん、トリーシャ:鈴木瑛美子さん、レイモンド:渡辺大輔さん、グランピー:大澄賢也さんはどんなキャラクター造形を見せるのか。こちらも楽しみです!
こうしてベティーは現実世界で人と出会い、友情を育んでいきます。
ベティーが人に影響を与え、同時に、ベティーもまた影響を受けていく──
そしてドウェインがプロとして働きたいと思っているクラブでベティーが歌う1幕ラストの"Where I Wanna Be!"は、もう圧巻のひと言。
大スターベティー ブープ、ここにありと言わんばかりの大曲。ゴージャスさ、スターの求心力、心地よい圧に言葉が出ません。礼さんは、低音から高音まで自在に操り、表情や仕草でも観衆を魅了する。新たなミュージカルスターの誕生!
2幕に入ると、一人の女性としてのときめきや葛藤など、ベティーのリアルな心模様が描かれます。そこで、ベティーは何を選択していくのか。それは見てのお楽しみ!
ベティーに憧れ、あなたになりたいと言うトリーシャにベティーがかける言葉や、初めて抱く恋心、その心の異変の表現など素敵な言葉、表現がいっぱいの作品。また、不正や理不尽に対しての言動の力強さ──時代や国を超えて愛されるベティー ブープが確かにそこに居ます。
ジェリーマジック炸裂!カラフルな舞台空間とアンサンブルの熱狂
アニメの世界と現実世界、タイムワープの見せ方も秀逸。プロジェクションマッピングをうまく使いながら、「モノクロからカラーへ」によって視覚以上の、心模様の変化を重ねる物語の巧みさ、演出の妙にも心をつかまれます。
また、お衣裳も大きな見どころ。ベティーのファッションアイコン的なキュートな華やかさ、ダンスシーンで美しく揺れるラインやフレアなどバッチリ計算されつくしたシルエット、一瞬で変わる早替え。礼さんが、それを着こなし、最高の形で見せてくれるところも素敵!柚希さん演じるヴァレンティーナもかなり派手なお衣裳ですが、違和感なく着こなすのもさすがです。そしてほかのキャラクターや、アンサンブルのみなさんも一体裏には何着用意されているの!?というほど、白黒からカラフルまでたくさんの素敵なお衣裳が登場します。ニューヨークの街を舞台上に創り出すプロジェクションマッピングや、タイムワープシーンのトリック、そもそものところでアニメの世界の描き方などなど、本当に魅力の宝庫のような作品。
そして、幕開けの白黒の世界、現実のカラフルな世界の両方にエネルギーを吹き込むのがアンサンブルキャストのみなさんです。タップダンス、ジャズダンス、ヒップホップなど、ダンスパフォーマンス、振付で時代とニューヨークの街のエネルギーを劇場に創り出す、これもまたジェリーマジック。特に、1幕、2幕のオープニングは大迫力!一人ひとりがプロフェッショナルとして躍動する、人々が生み出す時代や場所の空気を感じるのもまた観劇の醍醐味だと、改めて感じさせてくれます。
ベティー・ミーツ・現代人!今を生きる物語へ
見て楽しいカラッと明るいハッピーミュージカルであるとともに、そこで描かれるのは甘い恋や美しい友情だけにとどまりません。人生という物語の主役は誰か──“誰かに見られる存在”として消費されてきたキャラクターが、主体を取り戻そうとする物語に、ジェンダーギャップや自分探し、生きづらさ、移民、政治腐敗など現代社会が抱える問題を説教臭さなく織り込みます。ベティー・ミーツ・現代人!

『BOOP! The Musical』©梅田芸術劇場

『BOOP! The Musical』©梅田芸術劇場
そして、あれもこれもすべてひっくるめて多幸感に満ちたラスト。明日も頑張ろうと、元気になるミュージカル!!ミュージカル、最高!ベティー ブープ最高!
老若男女問わず、幅広くお勧めしたくなる作品です。
『BOOP! The Musical』@東急シアターオーブ
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ドウェイン:松下優也さん

トリーシャ:鈴木瑛美子さん

レイモンド:渡辺大輔さん

グランピー:大澄賢也さん
おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人