いよいよ明日、7月25日、EXシアター有明にて開幕するミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』のプレスコールが行われました。コメントともにレポートいたします。
はじまりは、
僕が僕に宛てた1通の手紙と、
ひとつの嘘だった。
柿澤勇人さん(エヴァン・ハンセン役/W キャスト)

吉沢亮さん(エヴァン・ハンセン役/Wキャスト)
トニー賞6部門を受賞し、世界中で大きな反響を呼んだミュージカル『Dear Evan Hansen』が、待望の日本初演を迎えます。作詞・作曲は映画『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』で知られるベンジ・パセック&ジャスティン・ポール、脚本は『RENT』から大きな影響を受けたスティーヴン・レヴェンソン。日本版の演出は、小山ゆうなさんが手がけます。
主人公は、社交不安障害を抱え、学校でも家庭でも孤独を感じながら生きる高校生エヴァン・ハンセン。クラスメイトの突然の死をきっかけに、とっさについた一つの嘘が、多くの人を巻き込みながら思いもよらない展開を生み出していきます。人とのつながりを切望する青年の葛藤や成長を軸に、SNSによって情報や感情が瞬時に拡散される現代社会の光と影、喪失を抱えた家族や周囲の人々の姿を繊細に描き出します。
劇中では、「Waving Through a Window」をはじめとする心を揺さぶる名曲の数々が、登場人物たちの言葉にならない感情を鮮やかに映し出します。また、登場人物の内面を“影”としてダンサーが表現する演出も見どころの一つ。心理描写をより立体的に浮かび上がらせ、観るたびに新たな発見をもたらします。
エヴァン役は柿澤勇人さんと吉沢亮さん、母ハイディ役は安蘭けいさんと堀内敬子さん、ゾーイ役は木下晴香さんと松岡茉優さんがWキャストで出演(50音順)。現代を生きる誰もが抱える「誰かとつながりたい」という願いに寄り添いながら、孤独の先にある希望を描くミュージカルです。
【プレスコールレポート】
披露されたのは4つのシーン。
はじめは作品の幕開けとなる「誰か地図をもってる?/Anybody Have A Map?」「窓越しに手を振る/Waving Through a Window」
今日はいい日になる、理由はこうだ。──社交不安障害の治療のため医師に勧められ、エヴァンは「Dear Evan Hansen(親愛なるエヴァン・ハンセンへ)」から始まる自分宛の手紙を書き始める。物語の幕開けのシーンです。

ハイディ(堀内敬子さん)エヴァン(柿澤勇人さん)
新学期を前に怪我をしたエヴァン。ハイディは、クラスメイトにギプスに寄せ書きをしてもらえば?と提案。

エヴァンの同級生コナー(立石俊樹さん)シンシア(マルシアさん)ラリー(石井一孝さん)妹・ゾーイ(松岡茉優さん)
エヴァンの母ハイディは仕事に学校にと忙しい暮らしの中でも、息子を心配。子育てに正解はあるのか──そんな親の戸惑いを歌う「Anybody Have a Map?」。そしてそれはどこの家庭も同じ。マーフィー家もまた、機能不全に陥り、親も子も迷いながら生きているのです。堀内敬子さんとマルシアさん、2人の母親の声の重なりも印象的です。

エヴァンの幼馴染のジャレッド(須賀健太さん)同級生のアラナ(高野菜々さん)エヴァン(柿澤さん)

コナー(立石さん)、エヴァン(柿澤さん)
この一瞬の交わりが、大きな意味を持つことに

ダンサーが演じる影との関係も見どころ
そして、ミュージカルコンサートの定番楽曲であり、本作を代表するナンバー「Waving Through a Window」の本邦初披露! 楽曲世界を象徴するように、世界との隔たり、そして"つながりたいのにつながれない"自分と世界との境界を思わせる舞台セット。ガラス越しに見えているはずなのに、誰にも気づいてもらえないまま手を振っている──登場人物それぞれが悩みや不安を抱えながら日々を暮らしていることが、冒頭から表現されています。また、映像が投影されるパネルは、スマートフォンやPCの"ウィンドウ"も連想させます。
人と話す際の、必死に言葉を紡ぐぎこちない台詞回しと、心の声を歌う場面での滑らかな歌唱。そのコントラストによって、柿澤勇人さんは、人との距離に戸惑いながらも豊かな感情を抱えるエヴァンの内面を繊細に浮かび上がらせました。

エヴァン(柿澤さん)、ゾーイ(松岡さん)
語りながら思いが高まっていくエヴァン。
次は、「伝えられたら/If I Could Tell Her」
エヴァンがゾーイへの秘めた恋心を伝える楽曲が披露されました。同級生のコナーが自ら命を絶ち、コナーが持っていた「Dear Evan Hansen」で始まる手紙をきっかけに始まる嘘の物語。コナーと自分は親友だったと嘘をついたエヴァンが、コナーの妹であるゾーイに、コナーとのエピソードを話して聞かせるシーンです。決して良好とはいなかった兄との関係に複雑な表情を浮かべるも、耳を傾けるゾーイ。恋心を募らせるエヴァンの高揚感とは対照的に、松岡茉優さんの中低音が落ち着いた響きを添えます。兄を亡くした悲しみを抱えながらも、エヴァンの言葉に少しずつ心を開いていくゾーイの揺れる心情が、抑制の効いた歌声から丁寧に伝わってきました。
続いて、1幕ラストの「Disappear/消えていい人はいない」「You Will Be Found/誰かが見つけてくれる」です。

エヴァン(吉沢亮さん)コナー(廣瀬友祐さん)
自ら命を絶ったコナーが姿を現し、エヴァンに語り掛ける

ジャレッド(上口耕平さん)アラナ(宮澤佐江さん)エヴァン(吉沢さん)

スピーチの途中、エヴァンは自らの言葉で語り始める
心の中に潜むコナーの声に後押しされ、エヴァンは死んだコナーを追悼する「コナー・プロジェクト」をジャレッド、アラナと立ち上げます。エヴァンの「誰かが見つけてくれる」という想いのこもったスピーチがSNSで拡散され人々の心に感動を与える場面です。SNSの広がりや混沌を映し出す美術や映像、ステージングも、日本演出版ならではの見どころ。エヴァンの世界が少しずつ活気づき、色づいていく様子を視覚的にも印象づけます。コナーとの内なる対話を経て、自らの言葉でスピーチを始めた瞬間、エヴァンはそれまでの萎縮した姿から一変。吉沢亮さんは、その心が解き放たれる瞬間を全身で体現し、舞台上で鮮やかな存在感を放ちます。自然と客席の熱量も高まっていくことでしょう。その高揚がSNSを通じて広がり、エヴァンを取り巻く熱狂へとつながっていきます。

ゾーイ(木下晴香さん)シンシア(瀬奈じゅんさん)ラリー(新納慎也さん)

エヴァン(吉沢さん)ゾーイ(木下さん)
コナーと過ごした時間、二人の秘密の友情、二人で訪れたりんご園など、エヴァンが語るコナーについての思い出話は、息子を亡くし悲しみに暮れるコナーの家族を癒す。思いを寄せるゾーイとの距離も……。木下晴香さんのどこか達観したかのようなゾーイ。エヴァンに語る台詞から、言葉と感情を届ける技術の確かさを再認識!さらに感情が歌へと昇華されるとどんなゾーイになるのだろうという期待も膨らみます。
最後に披露されたのは、「大きな家 小さな私/So Big/So Small」。

エヴァン(吉沢さん)ハイディ(安蘭けいさん)
とっさについた嘘が原因で大きな出来事に発展してしまい、深く傷ついたエヴァン・ハンセンを、母親であるハイディ・ハンセンが大きな愛で優しく包み込む物語の終盤の楽曲。母一人子一人のハイディとエヴァン、ハイディは、息子が望むもののすべては与えられないと自らの弱さもさらけ出したうえで、それでもずっとそばにいると寄り添います。劇場全体が、安蘭けいさん演じるハイディの深い愛に包まれるような時間でした。
こうしてたっぷりと4シーンが披露されました。
ブロードウェイ初演から10年、ファン待望のミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』日本演出版初演!SNSで簡単につながれる時代だからこそ、本当に誰かと心を通わせることの難しさと尊さを問いかけてくれる作品。絶えず回り続ける世界の中で、居場所を探しながら懸命に生きる人々を描いた繊細な人間ドラマと、セット、照明、ライブ映像を映し出すことで生まれる高揚感、アナログとデジタルが融合したステージ──新劇場のオープニングラインアップにもふさわしい「今」を映し出す作品です。
小山ゆうなさんコメント(翻訳・演出)ブロードウェイの初演から 10 年が経ち、SNSをはじめとする仮想空間で発言される言葉や画像・動画が私達に及ぼす影響はより直接的になり、コロナ禍を経たことで人と人が繋がる事の意味合いも大きく変化しました。
2026年の今、日本で上演するのにベストの形を目指すべく話し合い、試み、修正を繰り返しながら稽古を進めてきました。
今まで『ディア・エヴァン・ハンセン』を愛してきた方々にも初めて触れる方にも楽しんでいただけることを祈っています。
EXシアター有明のオープニングラインナップ3作目。是非劇場へいらしてください。
柿澤勇人さんコメント(エヴァン・ハンセン役/W キャスト)カンパニー一同、長い期間を共に、一生懸命稽古に取り組んでまいりました。
お客さまに観ていただくことで作品が完成すると思いますので、早く我々の時間を共有したいです。
皆さまが最後のピースです。
忘れられない夏になると確信しております。
ご来場を心よりお待ちしております。
吉沢亮さんコメント(エヴァン・ハンセン役/Wキャスト)ブロードウェイでお芝居の素晴らしさに衝撃を受けた『ディア・エヴァン・ハンセン』を、いよいよ皆様にお届けできることを嬉しく思います。
人とコミュニケーションを取ることに憧れを持っていたエヴァンが、ほんの少し踏み出していく成長の物語を、たくさんの方に観ていただきたいです。
ミュージカルは2度目なので緊張していますが、最後まで走り切れるように精一杯頑張ります。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人