歌舞伎俳優・中村芝翫さんと演出家・井上尊晶さんがタッグを組んで挑んできたシェイクスピア劇シリーズ。その第3弾として、シェイクスピア四大悲劇の最高峰とも称される『リア王』が、2026年9月6日、新橋演舞場で開幕しました。襲名10年目の節目を迎える芝翫さんが、老いと孤独に翻弄されるリア王に挑みます。

後列左より 二反田雅澄、井上小百合、三浦涼介、朝月希和、大野拓朗
前列左より 小倉久寛、松下由樹、中村芝翫、村田雄浩
物語は、老王リアが国土を3人の娘に分け与えようとするところから始まります。長女ゴネリルと次女リーガンが巧みな言葉で父への愛を語る一方、末娘コーディリアは実直さゆえに思いを言葉で飾ることができず、リアの怒りを買って追放されます。やがて権力を手放したリアは、娘たちに裏切られ、嵐の荒野へ。王の転落と並行して、グロスター伯爵と二人の息子エドガー、エドマンドをめぐるもうひとつの親子の悲劇が進み、愛と欲望、忠誠と裏切り、老いと孤独、そして「人間とは何か」という問いが浮かび上がっていきます。
今回の舞台は、戦火によって爆撃を受け、廃墟と化した新橋演舞場から始まるという大胆な設定。舞台美術や、衣裳、小道具にも“和”の要素が取り入れられています。芝翫さん自身、「洋装でかっこよく『リア王』ができるんだなと胸を高鳴らせて稽古場にいったら、舞台は焼けただれた能舞台で、衣裳は着物」と驚いたそう。とはいえ、女性陣はドレスの上に打掛、男性陣もシャツを合わせるなど、単純な和装には収まらない独特の世界が広がります。花道や提灯といった新橋演舞場の空間そのものも取り込み、ここでしか生まれない『リア王』を立ち上げます。
リア王を演じる芝翫さんを中心に、長女ゴネリル役に松下由樹さん、次女リーガン役に朝月希和さん、末娘コーディリア役に井上小百合さん。グロスター伯爵役を村田雄浩さん、その息子エドガー役を三浦涼介さん、エドマンド役を大野拓朗さんが務め、さらにリアに忠義を尽くすケント伯爵役に二反田雅澄さん、道化役に小倉久寛さんと、多彩な顔ぶれが集結しました。翻訳は、イギリス史研究を土台にシェイクスピア作品に取り組む石井美樹子さんが手掛けます。
初日を前に、囲み取材と公開ゲネプロが行われ、出演者9名が登壇。1か月以上にわたる稽古を経て迎える開幕への思い、それぞれが感じるシェイクスピア作品の魅力、そして新橋演舞場ならではの『リア王』について語りました。
中村芝翫「シェイクスピア劇のシリーズも第3弾でございます。今回は翻訳の石井先生を含めて、座組一丸となって1ヶ月以上の稽古を重ねてまいりまして、大変に手応えがございます。私ならでは、そして新橋演舞場ならではの『リア王』を、多くのお客様に観ていただけますよう願っております」
松下由樹「私にとってシェイクスピアの作品は初めてで、このように和装で演じるのもとても嬉しく、また緊張もしております。いい舞台になるよう頑張ります」
三浦涼介「稽古を経て改めて、シェイクスピア作品の偉大さ、それを演じることの大変さを感じています。この素晴らしい劇場に入ってお稽古を数日重ねてまいりましたが、ワクワクドキドキが増してきました。本当に素晴らしい先輩方に囲まれて、演出の井上さん、キャストの皆さんと一緒に素晴らしい役を作って、エドガーとして立てることをすごく嬉しく思っております。最後まで精一杯演じますので、よろしくお願いします」
朝月希和「お稽古を重ねる日々の中で、シェイクスピアの描く、人間の芯をつくような台詞に本当に考えさせられております。この新橋演舞場の空間で、共演者の皆様、そしてお客様と見られる世界をとても楽しみにしていますので、千穐楽までどうぞよろしくお願いいたします」
井上小百合「400年以上前の作品ですが、今にも通じるような人間の浅はかさや愚かさ、でも美しくて尊くて儚い部分が描かれていて、『人間って何なんだろう』と考えていた1ヶ月間のお稽古でした。本当に美しくて強くてかっこいいお姉さま方が見どころで。対して私が演じる三女のコーディリアは嘘がつけなくて実直な物言いをしてしまい、苦戦もしたのですが、まっすぐ世の中を見てみようという考えに至りました。まっすぐ舞台に立って皆さんと向き合って、千穐楽を迎えられたらいいなと思っております」
大野拓朗「1ヶ月以上の稽古を通して、やっとシェイクスピア劇との向き合い方がわかってきて、もっと楽しめるようになってきたところでついに明日、初日を迎えることになりました。すごくパワーのいる作品で、セリフをしゃべるだけでも毎日毎日腹筋が筋肉痛になるような日々を過ごしておりました。和の要素を用いて、芝翫さんをはじめとするキャストの皆さん、スタッフの皆さんと、『リア王』という作品を皆様にお届けできるのが今から楽しみです」
二反田雅澄「シェイクスピアは台本を読んでいても難解なところがたくさんありまして、それをこの1ヶ月間の稽古で、演出の井上尊晶さんが細かく丁寧に僕たちに教えてくれました。ケント伯爵はとにかくまっすぐな男で忠義を尽くし、言わなくてもいいことを言っちゃってしまうような男。まっすぐに演じたいと思っています」
小倉久寛「70歳を過ぎまして、お芝居を50年ほどやらせてもらっている中で、初めてのシェイクスピア作品です。こんなに長くお芝居をやらせてもらっているのに、初めてのことがいっぱいあって。一番すごかったのが、立ち稽古の初日に芝翫さんが膨大なセリフをほぼ入れてきていたことで、『このリア王についていかなきゃいけないのか』と、すごくプレッシャーがかかりました。さて、どうなっているかは舞台に立ってみないとわかりませんが、一生懸命やらせていただきます」
村田雄浩「私にとっては3度目のシェイクスピア作品で、まさか新橋演舞場でシェイクスピア作品に参加させていただけるとは思っていなかったので、とても嬉しく、ありがたいです。『リア王』はシェイクスピア作品において最大の悲劇ではないかと思いますが、その中でも私の演じるグロスター伯爵はかなりの悲劇度を担っておりますので、ぜひご注目いただければと思います。ここからが勝負なので、頑張りたいと思います」
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました