2026年10月にシアタークリエで開幕するミュージカル『RENT』。新キャスト、続投キャスト、そして久々のカムバックとなるキャストまで、全21名が集結した製作発表が行われました。(
作品について)
会見では、「Seasons of Love」「Halloween」「Another Day」の3曲を披露。さらに、作品を象徴する言葉「No day but today」に重ねたそれぞれの思いや、『RENT』の音楽、作品への向き合い方を率直な言葉で語りました。互いの言葉を受け止め、笑い、思いを交わす姿からも伝わってきた、2026年版『RENT』カンパニーの熱気と愛。製作発表の模様をレポートいたします。
【歌唱披露】
製作発表は、カンパニーによる「Seasons of Love」で幕開け。イントロが響いた瞬間、一気に『RENT』の世界が立ち上がります。幾重にも重なる声、力強いソロ(COLINAさん、吉岡悠歩さん)、そして歌う仲間を見つめるキャストたちの表情。1年=52万5600分という時をどう生きるのか──作品を象徴するナンバーを、カンパニーが思いをひとつに届けます。
続いて、マーク役の鈴木福さんが「Halloween」を披露。仲間たちが去り、孤独の中で自分自身と向き合うマーク。ギターの音色に乗せ、移りゆく景色や時間をカメラ越しに見つめてきた彼が、自らの内面へと視線を向けていくようなナンバーを、鈴木さんが情感豊かに歌い上げました。
そして「Another Day」は、ロジャー役の木原瑠生さん、RIKUさん、ミミ役のBeverlyさん、遥海さんによる、この日ならではのスペシャルバージョン!
まずはRIKUさんと遥海さん。真正面から向き合い、ロジャーのひりひりとした感情とミミのパワフルなエネルギーをぶつけ合います。二人の間に生まれた感情の高まりを引き継ぐように、木原さんとBeverlyさんが歌い継ぎ、さらに激しくスパーク。鮮烈な歌唱で、4人4様のロジャーとミミへの期待を一気に高めました。
これはもう、いろいろな組み合わせで観たくなります!
【会見】
熱い歌唱披露に続いて、キャスト21名による会見へ。
初参加のメンバーから『RENT』を知るキャストまで、多彩な顔ぶれが集いました。
(Wキャストはアルファベット順。COLINAさん以降は様々な役を演じる中から、代表的な役名を紹介しています)──「No day but today」にちなみ、今のご自身が「これがあるから、今を全力で生きられる」と感じる大切なものは何でしょうか?鈴木福さん(マーク):
僕は今、『RENT』が本当に最高に楽しくて。さっきここで記者会見の写真を撮ってもらっているときにも、「あ、本当に僕、マークをできているんだ」って改めて感じました。これまでたくさんの先輩方の動画や製作発表の様子を見てきたので、その中に自分がいられていることもうれしいですし、稽古も毎日楽しいです。ほかに嫌なことがあっても、ここにいる間はとにかく楽しく、最高にやれているので、今は『RENT』が僕にとって生きがいになっています。
木原瑠生さん(ロジャー):
僕はウルトラマン(笑)。それと、もちろん今は『RENT』です。ロジャーとして生きているこの時間が、これからの僕の人生にとっても、とても素晴らしい経験になるんじゃないかなと思っています。
RIKUさん(ロジャー):
僕も、この仲間たちとともに過ごす時間が「No day but today」だなと思っています。みんなと一緒に稽古をして、ロジャーとして生きる中で、「こういう感情もあるんだな」「こんな気持ちになったことないな」と、新しい体験が日々たくさんあって、すごく刺激的です。今後の人生の中でも大切な宝物になっていくと確信しているので、みんなとの時間の1分1秒を大切に過ごしていきたいと思います。
Beverlyさん(ミミ):
私はやっぱりファミリー、家族です。フィリピンにいる家族だけじゃなく、今まで出会った大切な人たち、友達やファンの皆さん、それこそ今の『RENT』ファミリーも含めて。皆さんがいてくれることで、毎日頑張れるし、幸せだと感じます。
遥海さん(ミミ):
私は母がフィリピン人、父が日本人で、いつもどこにも属さないような感覚があり、ずっと居場所を探し続けてきました。でも、居場所って場所ではないんですよね。「誰かの心に自分が存在しているのであれば、そこが私の居場所なんだ」と思うようになって。皆さんと過ごす時間や大変な稽古を乗り越えられるのも、家族や親友、その人たちの心に自分の居場所があるから。だから私は「No day but today」で日々を過ごせています。
石井一彰さん(コリンズ):
僕はドトールのアイスコーヒーです(笑)。あとは、僕、ミュージカルが大好きなので、ミュージカルとドトールのアイスコーヒー(笑)。ちなみに今日はもう2杯飲んでいます。
加藤潤一さん(コリンズ):
一日を必死に生き抜いたあとの一杯です。すごくいい話のあとであれですけれど(笑)、本当にそれがあるから頑張っていられるっていう状態ですね。
坂口涼太郎さん(エンジェル):
私は、諦めたことの数です。何回もエンジェル役のオーディションを受けてきたんですけれども受からず、諦め続けてきました。でも14年ぶりに「なんか今かな?」と思って受けたら、選んでいただきました。自分のことを諦め続けたからこそ、今きらめけているんじゃないかという、「諦め活動」、略して「ラメ活」ということでお願いいたします(笑)。
髙橋颯さん(エンジェル):
僕はずっと家族を大事にできてこなかったので、この作品を通して、すごい愛情を皆さんから感じていて、「絶対に成長してやるぞ」って思っています。ごめんなさい、自分事でした(笑)。これ以上は長くなるので、ここで勘弁してください。
KIMIKAさん(モーリーン):
私もファミリーのためにこの業界に入ったので、自分の家族が一番です。でも今となっては、歌という居場所があって、「歌い続ける」という信念があることが、私を生かし続けてくれているのかなと思います。夢を諦めている方もたくさんいると思うけれど、「私でもできたから、どうかみんなもやってほしい」という気持ちで、その信念だけで今ここに立っています。
住田愛子さん(モーリーン):
私も両親ですね。小学5年生のときからスクールに通っていたんですけど、片道1時間半、車でずっと送り迎えをしてくれて。一番近くでずっと応援して支えてくれて、この『RENT』についてもすごく相談に乗ってくれています。両親が一番の味方で、大事にしたい、尊敬している人。本当に二人がいるから頑張れると思える存在です。
宮本美季さん(ジョアンヌ):
私は音楽一筋でやってきて、ミュージカルに出るとしたら『RENT』だけは本当に出たいという一心でした。それ以外は、ミュージカルに出たいと思ったことはなかったんです。自分の『RENT』に対する愛情は一つ筋が通っているなと思いますし、この気持ちを大事にしたいです。あとは、役どころで「プーキー」と呼ばれるんですけど、私の愛犬もプーキーという名前で(笑)。稽古で長いこと帰ってこないママを、ひたすら待っているプーキーのためにも頑張りたいと思います。
塚本直さん(ジョアンヌ):
私も音楽かな。音楽を続けてきたからこそ今の仲間に出会えて、たくさんの素敵な景色を見ることができ、いろんな大切なものができたなと思っています。音楽だけはやめずに頑張ってきました。私も涼ちゃん(坂口さん)と一緒で、『RENT』のオーディションを3回くらい受けて、落ちて、落ちて、落ちて(笑)。最初に受けたミュージカルのオーディションも『RENT』だったんです。そこで落ちて、他の作品で受かったときに、その作品で涼ちゃんと初めて共演したんです。
坂口さん:
『RENT』のオーディションに落ちて、でもそこから声をかけていただき、初めてのミュージカル出演につながったんですよね。これも、ラメ活ですね。
塚本さん:
そうですね。ラメ活です(笑)!
秋沢健太朗さん(ベニー):
僕はウサギを飼っていまして、ネザーランドドワーフの「どんこちゃん」という女の子です。いつも台本をいただくと、セリフを覚えてどんこちゃんに聞かせています。今回の『RENT』の曲も聞いてもらって、ちょっと耳がピッとなったら、「あっ、今日はうまくいったのかな」と思っています(笑)。
COLINAさん(ミセス・ジェファーソン):
私も家族です。本当の家族だけじゃなく、小学校などでつらい思いをしたときに救ってくれた友達も、海外で出会った友達も家族。『RENT』のメンバーも愛たっぷりで、本当に出会えてよかったなと思える方ばかりなので、もう家族だと思っています。そんな方たちと一緒に12月まで走れることが本当に幸せです。日々の差し入れも楽しみで、それも生きがいです(笑)。これからもどんどんお願いします!
Miaiさん(アレクシー):
私はケニアと日本のハーフで、小さい頃から日本でこの見た目で育ってきたので、どうやって目立たないようにするかを考えて、ずっと生きてきました。その中で自分を見失うことも多かったのですが、私を変えてくれたのがおじいちゃんの「他人の評価を気にする小さな人生。自分を信じる大きな人生」という言葉です。
「誰か」の言葉や評価を気にして行動していたんだと気づき、努力をして、自分を信じていける人生を歩みたいと思うようになりました。その言葉を思い返すたびに自分を強く持って進むことができて、気づいたら、こんな素敵なメンバーと一緒に初めてのミュージカル『RENT』に出演することができています。あの言葉のおかげだと思っています。
私は言葉にするのがあまり得意ではないので、これからの自分自身の経験で、誰かに寄り添ったり、自分の人生を肯定するような影響を与えられる存在になっていけたらと思っています。
小熊綸さん(ミセス・コーエン):
『RENT』への出演は3回目になります。みんなの言葉を聞きながら、自分はどうやって「Seasons of Love」を歌っているんだろうと考えたとき、「話を聞いてくれる人」だなと思いました。自分の気持ちや、何があったのかを聞いてくれる人って、たぶん限られている。私は歌いながらその人たちの顔が思い浮かぶので、その人たちが、私の「No day but today」、生きがいかなと思います。
聖司朗さん(スティーヴ):
今の僕にとっては、ステージの上、板の上に立っていることが生きがいだと思っています。そして、そこに立つことだけじゃなく、稽古や自分と向き合うこと、一緒に共演する人たちと向き合うことなど、いろんなプロセスを踏んでいく。数か月前まではまったく知らなかった、いろんな環境で育った人間たちが集まって、一つのゴールに向かっていく。そして、それをお客さんや記者、カメラの前で表現し、共有する。そのプロセスに自分の脳みそや心、体力を注ぎ込んでいく時間を面白いと思っています。
田村凌大さん(ゴードン):
僕を育ててくれた家族や先生です。今回が初めてのミュージカルで、歌を始めてまだ7年くらい。こんなに早く『RENT』で舞台に立てることがすごくうれしいです。稽古に入る前はめっちゃビクビクしていたんですけど、それがばかばかしくなるくらい皆さんいい人たちばかりで、すごく愛を感じます。今は安心していますし、この『RENT』が生きがいになっています。
吉岡悠歩さん(ミスター・ジェファーソン):
旅行が好きです。そして、このメンバーも超ラブです。ですが、今の自分があるのは、すべてを支えてくれているパートナーのおかげ。その存在が生きがいです。
KATSUHIROさん(スウィング):
普段はグループとしても活動しているので、音楽がモットーにありますが、今回『RENT』に出演させていただく中では、「学び」かなと思っています。初めてスウィングをやらせていただくので、本当に頭がこんがらがってくるんですけど(笑)、楽しく学ばせていただいています。それが自分の音楽活動に生きたり、今後、人としても成長していける一歩になったらと思います。

コリンズのお二人が「カズさん、僕らふたりは飲み物ですけど、大丈夫?」「いいか(笑)」とほかのキャストを笑わせるひと幕も。コリンズはカンパニーのお父さん的存在とのこと、稽古場での関係性も垣間見られます。
──長年愛されている名作ミュージカル『RENT』ですが、今、上演することの意義や、今だからこそ響く魅力をどう捉えていらっしゃいますか。 福さん:
今回、『RENT』を上演するにあたって、歴史や用語など、『RENT』の世界についてみんなで理解を深める機会が多く設けられました。そこで学んでいて感じたのは、コロナ禍で死を身近に感じたり、考え方の違いに直面したりする中でも、僕たちがいろんな人たちを受け入れ、幸せに、穏やかに暮らせるのは、先輩たち──『RENT』の世界を生きてきたような人たちが戦い、生き抜いて、今につないでくれたからなんだろうということです。
もちろん今もまだ戦っている人、自分の中で消化しきれないものや誰にも話せないことを抱えている人、それを受け入れようとしたり、愛について一生懸命考えている人もたくさんいると思います。
『RENT』は、夢を見ること、一生懸命生きることへのエネルギーがすごいミュージカルです。それを皆さんにお届けできるように、稽古を重ねて頑張りたいと思います。
──『RENT』の音楽の魅力と、それを表現するということ。木原さん:
僕がロジャーを演じる時に大事にしているのは、この時代を生きている人たちの「No day but today」という心をどれだけ大切にできるかです。僕自身、一日一日を必死に生きることをモットーにしてきましたが、それよりもはるかに生命力が高い人たち。本当にいつ死ぬかわからない、未来がどこに向かっていくのかもわからない、真っ暗な世界で生きている人たちがたくさんいることを感じながら稽古しています。
RIKUさん:
身も心も裸でいることを大切にしています。特に瑠生くんと僕が演じるロジャーは、表に出せない心の内を叫びとして歌うことが多い。稽古でご指導いただく中で大事にしているのは、素直になることや、自分にちょっとわがままになってみること。すべてを取っ払った、ありのまま、生まれた時と同じ状態でいることが大切だと思うんです。だから『RENT』の楽曲は、僕の中では「裸」です。
Beverlyさん:
『RENT』の楽曲から感じるのは、パッション、情熱です。ジョナサン・ラーソンが愛をめちゃくちゃ込めて作った音楽や、一つ一つの言葉から、めちゃくちゃパッションを感じています。
遥海さん:
私は「喜怒哀楽」かなと思っています。初めて『RENT』でミミ役を演じた時は、共感する部分がまったくないと思っていましたが、大人になればなるほど、共通する部分がたくさんあって。
去年の12月から3月にかけて、3か月くらいニューヨークに行かせていただきました。『RENT』でも描かれる12月、寒い季節のニューヨークで、ホームレスの方々の姿などを自分の目で見て、ジョナサン・ラーソンは「誰かの真実」を描いていたんだと感じました。
その時、自分がなぜ最終的には『RENT』のサウンドトラックに戻ってしまうのか、背中をポンとされたい時に、なぜいつも『RENT』の曲に戻るのかと考えたら、たぶん「誰かの真実」、そして「喜怒哀楽」が詰まっているから。自分は『RENT』の音楽や言葉に救われているんだと思います。
──エンジェル役を通して、観客の皆さんに受け取ってほしいエネルギーや感情は。 髙橋さん:
僕は、性格的にも内向的で、すごく受け身、受け取ってばかりのテイカーでした。いろんな人との出会いや経験を経て、まず自分を受け入れることで視野が広がって、目の前にいる人の気持ちや、どういう人なのかをわかりたいと思えるようになったんです。人の話を聞いて、愛おしいと思えることが楽しいし、幸せだなって。
そんなふうに思える瞬間がいっぱいできてきて。『RENT』を見に来る人たちにも、また明日も楽しいことがいっぱいあるだろうなと思ったり、お家に帰って「ただいま」って言いたくなる気持ちが生まれたら。
『RENT』は、すごく温かいし、優しいけれど、現実的なことも受け入れなければいけない。すごく人間的なことが深く根付いています。すべてをさらけ出して、皆さんの心が豊かになるような、そんな魅力がたっぷりです。
坂口さん:
颯ちゃんのエンジェルは本当に素晴らしくて、もう「天然由来の天使」なんですね。とても純粋で、颯ちゃんにしかできないエンジェル。
一方で、私にとってエンジェルは人生で一番やりたかった役。でもオーディションに3度落ちて、14年前に「この役は、私にはできないんだ」と諦めたんです。でも今回、人から「今なんじゃない」と言われたときに、「自分の人生の経験が、やっとエンジェルを演じられるところまで満ちたんだ」と思って。
私がエンジェルとして皆様にお伝えしたいのは、「何回落ちても天使になれるんだよ」ということ。いろんな経験をして、何回も落ちて、傷だらけでも、というか、傷があるからこそ誰かに深い愛情や優しさを届けることができる。颯ちゃんが「天然由来の天使」なら、私は「堕天使」。ちょっと化学調味料多めだけど、過剰においしい、みたいな(笑)。全く別物のエンジェルなんです。だから私、本当に落ちてよかったなって。
このメンバーと『RENT』ができることも、本当にラッキーすぎると思っています。この子たちに出会うために今まで落ちてきたんだって思えるし、しかも、颯ちゃんのエンジェルを客席で見られるんだ!って。
声を大にしてお伝えしたいのは、今回の『RENT』、ちょっとヤバいです。(日本版リステージを担う)アンディもそう言っているんですけど(笑)、『RENT』ファンの一人としてもすごいと思います。ぜひ、「天然由来の天使」と「堕天使」、それぞれのエンジェルを楽しんでいただきたいです。

舞台上からの「ハードル上がっちゃってるよ、涼ちゃん!」の声にも「いやいや上げてこう!私たちオンリーワンじゃん!」と坂口さん。
過去の自分も今の自分も、そしてカンパニーのみんなを抱きしめるような大きな愛を感じる坂口さんのコメント。目頭を押さえたり、涙をぬぐったりするキャスト、その隣にそっと寄り添う姿もあれば、「化学調味料多め」のくだりには笑いが広がって。こちらも笑ったり泣いたり、心が大忙しです。
会見を通して印象的だったのは、皆さんが率直に自分の思いを語る姿と、それを受け止める周囲の敬意と愛にあふれたリアクション。恐れることなく自分をさらけ出し、それぞれが思い切って飛び込んでいける。そんなカンパニーの空気そのものに、『RENT』という作品の根幹を垣間見るような時間でした。そして、皆さんとにかく明るい! エネルギーに満ちています!
新キャストも、続投キャストも、復活キャストも。楽しみいっぱいの2026年版『RENT』に期待です!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人