ミュージカル『SPYxFAMILY 2』@東京建物Brilliaホール
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【ミュージカル『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』Official Trailer】スパイ、殺し屋、超能力者──互いに正体を隠した《仮初めの家族》が帰ってきた!
製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
2023年に初演、2025年に再演されたミュージカル『SPY×FAMILY』の続編となる『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』。第1幕では、未来を予知する能力を持つ大型犬・ボンドがフォージャー家に加わる「爆弾犬篇」、第2幕ではクルーズ船プリンセス・ローレライを舞台に、ロイドとアーニャの家族旅行とヨルの護衛任務が交錯する「豪華客船篇」が描かれます。
今回は、ロイド・フォージャー役・木内健人さん、ヨル・フォージャー役・唯月ふうかさん、アーニャ・フォージャー役・真野麗花さん、シルヴィア・シャーウッド役・真瀬はるかさんが出演した公開ゲネプロの模様をレポートします。
舞台は、東国〈オスタニア〉と西国〈ウェスタリス〉が緊張関係にある世界。西国の凄腕スパイ〈黄昏〉は、東国で精神科医ロイド・フォージャーとして、心を読むことができる超能力者の少女アーニャ、殺し屋〈いばら姫〉という裏の顔を持つヨルと、互いの正体を隠した《仮初めの家族》として暮らしています。その目的は、東西平和を守る極秘任務「オペレーション〈梟(ストリクス)〉」遂行。
幕開けは「オペレーション〈梟〉~偽装家族~」から「よりよき世界のために」へ。
「こんにちはあるいはこんばんは」、シルヴィア役・真瀬さんのハリのある声に空気が引き締まり、元気いっぱいに飛び出してくる真野さんのアーニャは、登場した瞬間から応援したくなる愛らしさ。前作を振り返りながら、新たな物語へと鮮やかに走り出します。
「キタ!」がうれしい。音楽で広がる『SPY×FAMILY』の世界
今回、改めて感じるのが、かみむら周平さんの音楽の豊かさです。前作から耳になじんだ旋律から、ふんだんに盛り込まれた新曲まで、「ここでこの曲、キタ!」という高揚感と、「この人物をこんな音楽で描くのか」という発見があります。
脚本・作詞・演出のG2さんと、作曲・編曲・音楽監督のかみむらさんの仕事が密接に結びつき、物語の展開そのものが音楽を呼び、音楽が人物をさらに深く見せていく。登場人物たちの“心の声”が物語を動かす『SPY×FAMILY』だけに、その思いを台詞や歌に乗せて届けるミュージカルとの相性のよさも改めて感じます。
その魅力は、登場人物一人ひとりのナンバーにもくっきり。

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
ロイド役・木内健人さんの真っ直ぐな歌声は、冷静沈着で任務を完璧に遂行する〈黄昏〉にぴったり。「プロジェクトアップル」では真瀬さんと寸分狂わぬ洗練されたハーモニーを響かせます。ところが家族のこととなると、とたんに正解がわからなくなるのが面白いところ。任務として始めた父親役に大真面目に取り組めば取り組むほど、どこかズレていく。その不器用さも、木内さん演じるロイドの愛すべき魅力です。

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
アーニャがいなくなれば、ヨルの心配はあらぬ方向へ大暴走! 「ヨルの心配と妄想」では、ヨル役・唯月ふうかさんの表情豊かなお芝居と声、とても丁寧な言葉遣いの歌詞が面白さを倍増させます。一方、殺し屋〈いばら姫〉として戦う姿は圧巻。その振り幅の大きさも、ヨルならではです。

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
そして第1幕で強い印象を残すのが、磯野亨さん演じる学生テロリストのリーダー・キース。「キースの計画」では、力強いロックナンバーに乗せて自らの正義へと突き進み、リプライズされる同じ旋律が、追い詰められるにつれて切実な響きへと変わっていきます。怒りはやがて、若さゆえの暴走へ。その危うさまで音楽とともに鮮烈に刻みます。

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
そんな若者たちに戦場の現実を突きつけるのがシルヴィア。「戦争を知らないボウヤたち」で真瀬さんが響かせるゆるぎない歌声に、それまでの冒険譚の高揚感とは異なる、作品のシビアな一面が浮かび上がります。一方で、〈鋼鉄の淑女〉の異名を持つ彼女の包容力を感じさせる一面も。戦場の現実を知るからこその厳しさと、その奥にある温かさを、真瀬さんが丁寧ににじませます。続く「オレの名は黄昏」では、停戦から10年、名を捨てスパイとして生きる〈黄昏〉の信条を、木内さんが力強く歌い上げます。
もふもふのボンドが、そこにいる!
そして忘れてはいけないのが、フォージャー家の新たな家族、ボンド!

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
舞台ではパペットで表現されるのですが、大きくて、真っ白でもふもふ。まさにボンド! しかも、人間の俳優たちを相手にしっかりと“芝居”をするのです。身体の動きや首の傾げ方、アーニャたちへの反応から感情が伝わり、いつしかパペットを見ているという意識さえ薄れていきます。

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
未来を予知するボンドと、人の心を読むアーニャ。二人が互いの能力を頼りに危機へ飛び込んでいく展開も楽しく、ボンドにまたがったアーニャが街を疾走する場面は、第1幕の大きな見どころ。真野さんは台詞も歌もしっかり自分の言葉や感情にし、アーニャそのもの。さらに身体いっぱいから“わくわく”をあふれさせ、ボンドと一緒に物語をぐんぐん動かしていきます。
爆弾犬を使った暗殺の標的となるブランツ外相役の鎌田誠樹さんの、ある意味、身体を張った熱演もお見逃しなく!

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
そして〈ガーデン〉の店長からヨルへ「新たなお仕事」が。山野靖博さんの深い低音が響くだけで、舞台にはただならぬ気配が漂います。謎めいた存在感を生み出す楽曲も、あて書きとも思える旋律。これもオリジナルミュージカルならではです。
暗殺計画を阻止し、ボンドを無事に迎え入れたフォージャー家。福引で豪華客船乗船券を当てたアーニャ、同じ船にヨルは〈いばら姫〉の仕事で乗り合わせることとなり──物語はいよいよ「豪華客船篇」へ。
豪華客船で出会う、もうひとつの“ファミリー”

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
「れっつえんじょい」で華やかに幕を開ける第2幕。家族旅行を楽しむロイドとアーニャ、その一方でヨルは護衛任務へ。同じ船の中で、それぞれの物語が動き始めます。
ただし、家族旅行もロイドにとっては立派な“任務”。アーニャを楽しませるため「楽しく愉快な父親に!」と決意します。ところが、“普通の親”とは何なのか、“わくわく”とは何なのか、その最適解を考え始めた完璧なスパイは、どんどん深みにはまっていく。アグレッシブなアーニャに振り回され、過剰に反応する姿は滑稽なのに、本人はいたって真剣。この大真面目さこそコメディの真髄! 木内さんの伸びやかな歌声も、不器用ながら懸命に父親であろうとするロイドによく似合います。原作でも印象的な、精いっぱい頑張った挙句にアーニャに全否定されるお姿も!

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
一方、ヨルが護衛するオルカ役・有沙瞳さんと、その忠実な部下・ゼブ役・楢木和也さんが見せるのは、フォージャー家とはまた違う“ファミリー”の情。オルカが我が子への愛を歌う「愛しのグラム」では、有沙さんの豊かな歌声から母としての強さと深い愛情があふれます。
その二人をヨルとともに守るマシュー役・吉野圭吾さんは、プロとしての鋭さを見せながら、モップでお掃除しながらの戦いまで、緊迫した場面に絶妙な笑いを差し込みます。表の顔、市役所の部長さんの柔らかさとの対比も魅力です。

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
さらに、丹宗立峰さん、新井海人さん、増山航平さん、本間健太さんら個性豊かな殺し屋たちが次々と登場。「殺人者たちの協定」から「仮面舞踏会~殺しのワルツ~」へ、重厚なコーラスとスリリングな音楽、アクションが一体となり、豪華客船の優雅さと命懸けの攻防というギャップを際立たせます。なかでも鎖鎌のバーナビーとヨルの対決は必見。「こう来たか!」と思わせる見せ方も飛び出し、目にも鮮やかなアクションを繰り広げます。
生身の人間が『SPY×FAMILY』の世界を立ち上げる
このめくるめく物語を支える、舞台づくりにも注目です。
G2さんの演出のもと、舞台装置、映像、振付、アクションが組み合わさり、漫画やアニメで描かれるスケールとスピードを、生の舞台ならではの方法で見せていきます。回り盆を生かした舞台装置によって場面は淀みなく移り変わり、第2幕ではロイドとアーニャの家族旅行、ヨルの護衛任務、暗躍する殺し屋たちを絶妙なタイミングでつなぎながら、物語を加速させます。
そして、その世界を縦横無尽に駆け回るアンサンブルの皆さん。街の人々から学生テロリスト、諜報員、豪華客船の乗客、クルー、殺し屋へと次々に姿を変え、歌い、踊り、戦いながら世界を動かしていきます。それぞれの活躍を追うには、目がいくつあっても足りません!
セットや映像だけで世界が変わるのではなく、人が動くことで世界が動く。ボンドもまた、人の手によって命を吹き込まれる。生身の俳優たちが歌い、踊り、走り、戦い、パペットがそこに生き、それを観客が受け取ることで、『SPY×FAMILY』の世界が目の前に立ち上がる。その瞬間を共有できることこそ、舞台ならではの醍醐味でしょう。
「何のために戦うのか」──平和への願い

製作:東宝 ©遠藤達哉/ミックスグリーン・東宝
華やかな歌、笑い、胸躍るアクション。その一方で、本作を貫いているのが、平和を希求する思いです。ロイドが願うのは「子どもが泣かない世界」。シルヴィアは戦争を知らない若者たちに戦場の現実を伝え、ロイドは再び戦争を起こさせないために任務を続けます。
そしてヨルもまた、豪華客船での戦いのなか、自分は何のために〈いばら姫〉を続けるのか、その原点へと立ち返ります。「ヨルとロイド~それぞれの思い~」から「ヨルの決意」へ。情感豊かな唯月さんと木内さんの歌唱によって、殺し屋とスパイという壮絶な生き方の奥にある思いが響き合います。
さらにアーニャも、家族を守るために走り、ロイドも船内に仕掛けられた爆弾の解除へ。緊張感が頂点へ向かうなかでも、ふっと笑いが挟まれる。シリアスとコメディを自在に行き来する『SPY×FAMILY』らしさは最後まで健在です。
スパイも、殺し屋も、それぞれに信じるものを抱えて生きている。その背景にあるのは、再び戦争が起こるかもしれない世界です。だからこそ、その先にある何気ない日常が愛おしい。家族で出かけ、一緒に笑い、今日一日を無事に終える――そんな日常もまた、本作が描く“平和”なのでしょう。
そして今回のゲネプロとは異なる顔ぶれにも期待が膨らみます。ロイド役は森崎ウィンさん、ヨル役は真彩希帆さん、アーニャ役は泉谷星奈さん、古座野叶さん、シルヴィア役は朝夏まなとさんも出演。キャストの組み合わせによって、フォージャー家や物語にどんな新たな表情が生まれるのかも楽しみです。
スパイアクション、家族のコメディ、シリアスなドラマ、そして歌とダンス。生身の人間たちが全力で駆け抜ける『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』。前作から受け継いだ魅力と、続編だからこそさらに広がった音楽と物語。それを同じ空間にいる観客とともに完成させていく、舞台ならではの喜びにあふれています。
ミュージカル『SPYxFAMILY 2』@東京建物Brilliaホール
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おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人