笑いと狂気、死と暴力そして希望が錯綜する、
ギリギリの女たちによるシリアス・コメディ再び!
石田えりさん、松田美由紀さん、渡辺真起子さん、山口美也子さん、
花も実もある、毒もある(?) 豪華女優陣、
そして30歳の女性演出家・高羽彩さん(タカハ劇団)。
魅力的な5人の女性が、
ケラリーノ・サンドロヴィッチの傑作戯曲に挑む舞台『フローズン・ビーチ』。
プレ公演を控えて緊張が高まるお稽古場にお邪魔してまいりました。
(写真左より:渡辺真起子さん、石田えりさん、山口美也子さん、松田美由紀さん)
南の島にある、とある別荘。
8年ごとにそこで再会する女たちが繰り広げるのは、
行き違いと思い込み…。
1998年に劇団ナイロン100℃で初演され、
翌年の第43回岸田國士戯曲賞を受賞した
シリアス・コメディの傑作『フローズン・ビーチ』に
今回挑むのは、舞台・映像で活躍中のこちらのみなさまです。
ナイロン版では犬山イヌコさんが演じた市子役に石田えりさん、
市子の友人・千津役に松田美由紀さん。
歳を重ねても美しくセクシーな印象のあるおふたりですが、
今回の舞台ではひと味、いえふた味、
それ以上に思いがけない表情を見せてくれます!
子どものように何をしでかすかわからない市子。
とぼけた雰囲気と、爆発的な狂気が共存する役柄を、
なんともキュートに、そして恐ろしく演じてのける石田さん。
可愛らしさと狂気が同居する、
そのエキセントリックな存在感が圧倒的です!
市子の暴走を止めるしっかり者…のようでいて、
ヒステリックな “闇” も感じさせる千津を演じる松田美由紀さんもハマリ役!
幼なじみの愛(渡辺真起子さん)との関係、
甘えるような仕草や声、
時折見せる女性らしい “ずるさ” にドキッとさせられます。
実はこの人の闇が一番深いのかも…?
別荘の持ち主の娘、双子の愛と萌の二役を演じるのは渡辺真起子さん。
男前でかっこいいキャラクターの愛、
その内側に秘めた脆さがふっと溢れる瞬間を、
数々の映画、舞台で活躍する渡辺さんがどう魅せてくれるのか?
稽古場では、悩みながら役を作り上げていくお姿が大変印象的でした!
愛と萌の父親と再婚した盲目の女性・咲恵を、
ケラケラと笑いながら、独特の存在感で演じるのは山口美也子さん。
山口さんが登場すると、
舞台の上にカラッと乾いた軽やかな風が吹くようです!
前妻を追い出し、莫大な財産を持つ男と再婚した咲恵。
見えない目で見る、彼女の世界。
そこにはどんな“悪意”が映っているのでしょうか?
…と、ここまで「狂気」「事件」「暴力」「悪意」と
穏やかでない言葉が頻出したレポですが、
もちろんそこはKERA作品。
毒々しくもポップな笑い、
そしてほのかな希望、のようなものも感じさせる、
一筋縄ではいかない物語。
そこに4人の女優の“生々しさ”とも言える魅力が加わり、
一体どんなフローズン・ビーチが出現するのか、期待は高まるばかりです!
別荘の部屋を舞台に、
くるくると移り変わる女たちの関係性を演じる出演者たち、
その演技はまだまだ舞台の上で “化ける” 予感に満ちあふれていました!
笑いと恐怖が同時進行する作品世界を純粋に楽しむも良し、
ナイロン100℃版との演出の違いに注目するも良し、
4人の女優の演技バトルに息を呑むも良し…と、
様々な楽しみ方ができそうな舞台『フローズン・ビーチ』。
KAAT神奈川芸術劇場大スタジオでのプレ公演はいよいよ1月23日に開幕です!
その後7都市を巡る地方公演を経て、CBGKシブゲキ!!にての東京公演は3月10日から。
舞台の上で白熱する、女たちの毒と悪意、そして笑いを、お見逃しなく!
おけぴ取材班:mamiko(文/撮影) 監修:おけぴ管理人