2011年より恒例となった
『明治座 五月花形歌舞伎』。
今回“明治座でかぶく!!”のは
市川染五郎さん!
染五郎さんが演目への思い、公演への意気込みを語る制作発表が行われました。
市川染五郎さん
昼夜にわたり、大役に挑まれる染五郎さん、
「明治座に“見どころ”を探しに来てください。
ナビゲーションが氾濫している世の中、こういう風に見てください、ここを楽しんでくださいとガイドなしで一歩を踏み出しにくい昨今ではございますが、まず劇場に来ていただいて自分が興味のあるモノを探していただきたいのです。
また、芝居を見るだけでなく、歌舞伎に行くから着物でも着ていこう!そういうところから積極的に楽しんでいただくと、それもまた面白いかなと思います。
明治座界隈は美味しいお店もいっぱいありますしね。
そうして一歩を踏み出していただければ、倍返しはもう古いかな(笑)、何倍にもしてお返しするものをご用意してお待ちしております」染五郎さんにそこまで言われてしまうと・・・
これはもう、行かなくちゃ!ですよね♪
では、もう一歩進めて、昼の部・夜の部どちらがお好み?
それぞれの演目を軽~くご紹介いたしますと。
「全て初役、歴史の一頁を分かち合っていただけるとうれしい」 【昼の部】 バラエティ豊かな3つの演目!一、平成生まれの若手による
『義経千本桜』鳥居前 “平成生まれ”に軽くめまいを覚えましたが・・・(笑)、
歌昇さん、米吉さん、吉之助さん、隼人さん、種之助さんというフレッシュな顔ぶれで
三大名作の一つ『義経千本桜』に挑みます!
(ちなみに三大名作とは『仮名手本忠臣蔵』、『義経千本桜』、『菅原伝授手習鑑』)
二、大名と美女、太郎冠者と醜女という対比も微笑ましい
歌舞伎舞踊『釣女』三、明るくほのぼのとした人生ドラマ
『邯鄲枕物語』艪清の夢(ろせいのゆめ) 「(九世澤村)宗十郎のおじ様が演じられていたのを観て以来、憧れていた役です。
今回はおじ様の衣裳を着させていただきます」(染五郎さん) さらに宗十郎さんの言葉で目から鱗が落ちたエピソードが・・・
「『君の芝居を客席でみていると、背もたれから離れ前のめりになる。
それは違うよ』と言われました。ゆったりと座って観るのが歌舞伎なんですよね。
そんな大らかで古風な芝居にしたいと思います」(染五郎さん)【夜の部】 ガッツリ一本!三代猿之助四十八撰の内 『伊達の十役(だてのじゅうやく)』三代目市川猿之助(現・猿翁)が昭和54年に明治座で復活上演させた大人気作!!
“伊達の”ってもしかして?江戸時代に実際に起きた仙台藩伊達家のお家騒動を題材にした・・・というと、
まず思い浮かぶのは毒まんじゅうの小道具も有名な
『伽蘿先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』という方も多いはず!
物語の大筋はその通り!なのでございます。
“十役”ってまさか?!妖術を使ってお家乗っ取りを企てる悪の色気漂う
仁木弾正、
足利忠臣・
絹川与右衛門、
高尾太夫、腰元
累、執権・
細川勝元そして自らの子を犠牲にしてまで主君を守る乳母
政岡などなど
善悪もジェンダーも飛び越えた主要人物10役をひとりの役者が演じる!
早替え(一瞬にして替わる場面も!)あり、宙乗りありで魅せる演目です。
さらに冒頭には
役者本人が芝居の登場人物の関係を説明する「口上」もございます!
「この作品は早替わりありきの作品ではございません。
猿翁のおじ様にも『これは“政岡の芝居”です』と言われましたし、
私もその通りだと思います。
(この大役に挑む条件は)政岡を演じる力量があるか否かなのです。
これまでは、おじ様に『伊達の十役をおやりなさい』と言っていただける、
ただそれだけで幸せに感じておりました。
それがこのたび、復活上演をした明治座さんにての上演が実現する。
なにか因縁めいたものを感じますし、感無量です。
私はこの作品をほぼ新作歌舞伎だと思っております。
新作歌舞伎の最高傑作が作られたときの熱、エネルギーを再現、体現したいと思います。
若手も多く出演いたします、一日一日100%出し切る!そんなひと月にしたいですね」「猿翁のおじさまに演出をつけていただくのは・・・
俳優祭の『タイタニック』以来です(笑)」※
若さ炸裂!の義経千本桜、舞、人生ドラマ、歌舞伎の多彩な面を知る昼の部も、
スペクタクルな仕掛け、濃厚な芝居、その両方を楽しめる夜の部も、
どちらも“色彩美”、“音”、“ドラマ”・・・芝居見物の面白さがいっぱい詰まった
『明治座 五月花形歌舞伎』をお見逃しなく♪
※第三十一回俳優祭『鯛多二九波濤泡(たいたにっくなみまのうたかた)-タイタニック-』
市川團十郎・市川猿之助演出(平成12年)
おけぴ取材班:chiaki(文・撮影) 監修:おけぴ管理人