2014/05/20 ハロルド・ピンター×デヴィッド・ルヴォー『昔の日々』稽古場レポート

現代イギリス演劇界を代表する劇作家ハロルド・ピンターの “曖昧な記憶” に関する物語を『ナイン』『ルドルフ ザ・ラスト・キス』といったミュージカル作品やT.P.T作品で知られるデヴィッド・ルヴォー氏が演出
この極上の3人芝居に集った俳優陣もなんとも雰囲気ある面々。
そんな注目の演劇作品『昔の日々』、先日の製作発表に続き稽古場の様子をレポートいたします。


写真左より)ケイト役:若村麻由美さん、アンナ役:麻実れいさん、ディーリィ役:堀部圭亮さん
三人のアンサンブルが生み出す不思議な緊張感に心が惹きつけられます!


俳優さんがそれぞれウォーミングアップしている中、「オハヨウゴザイマス!」とルヴォー氏登場。少し談笑ののち、非常になめらかに稽古スタート。


演出:デヴィッド・ルヴォー

まず物語の紹介を・・・

 旧友が語る、忘れた過去の私。
 よびさまされる、私の曖昧な記憶と、夫の“ある記憶”
 覚醒忘却、過去現在、実在不在、・・・交差する3つの記憶。
 真実は、沈黙の中。
余計なものがそぎ落とされたシンプルで美しいセリフ、その奥にある登場人物の心の動きやその言葉に落とし込まれた大きな主題
まるで俳句のようだという表現が腑に落ちるピンターのセリフで綴られる物語です。



そんなセリフの奥にあるもの、それをひとつひとつ細やかにひも解いていくような穏やかで情熱的、相反する二つの印象が共存するルヴォー氏による演出。
思わず取材を忘れてその言葉に聞き入ってしまいそうになるほどです。

演出家席からでなく舞台空間に身を置いて、そこで感じながら意見交換をしていく。
その密なやりとりで作品世界が構築されていきます。
その後、演出家席に戻ってじっくりと見つめる。。。


気づくとこんな場面も!


何と申しますか、演技指導というというのはまた違う、稽古風景です。

「以前、日本へ向かう飛行機の中で・・・」かつての自らの経験を語り聞かせるなかで、その場面の登場人物の感情を想像させたり、生前のピンター氏とのやり取りを共有することでピンター作品を読み解くカギを提示したり。
演出家と役者の信頼関係、絆を強く感じる非常に大人な稽古場です。
それを受けて、戯曲を体現する役者のみなさんも麻実れいさん、若村麻由美さん、堀部圭亮さんとしびれる顔合わせ。


「ケイトのその言葉は彼女の中のとても深い井戸から汲みあげられた言葉なんだ」


「麻実さんはどう思いますか」


この作品、一組の夫婦と妻の女友達というシンプルな設定があるのですが、実際に目の当たりにした3人の関係というのはどこか危うくてとらえどころないのです。

この日行われていたのは第2幕の冒頭、ディーリィとアンナがいる空間に風呂上がりの妻ケイトが登場するという場面。
彼女をいつどのタイミングで視界にとらえるか、存在を意識するか、どこに向けて言葉を発するか・・・ひとつひとつ試行錯誤しながら進みます。





一人でもどの組み合わせの二人でも、三人でも・・・どこか官能的な空気を感じます。
“夫”と“妻の旧友”である二人ですが、この堀部さん演じるディーリィの視線に「ん?それだけ?」勘ぐりたくなるような気になる視線です。


ケイトを見つめるアンナ
この視線ですよ、この!!そしてその先には・・・


美しきケイト
若村さんの美しさは目をそらすことができないほど

この場面、若村さんの「お風呂上がりならタオル巻いてみましょうか」その言葉から急きょタオル登場。
非常に初歩的な感想すぎて申し訳ないのですが、若村さんの髪、濡れていないのにいかにも濡れ髪な佇まい。その何気ない色気が美しさを際立たせます。


そんなケイトを見つめるディーリィとアンナ

このお三方のたたずまい、距離感、声のトーン・・・どれをとっても絶妙バランス。
近づき、相手に手を伸ばすも、ふれようとするとその寸前でするりとすり抜けるような。交わりそうで交わらない、近そうで遠い動きやセリフから伝わる独特の緊張感が心をとらえて離しません。


旧友との再会から始まる物語

そして印象的だったのは麻実さんの「美しい子」という言葉の響き。ただそのひと言がイマジネーションを掻き立てるのです。前後関係はわからなくても、アンナとケイトの過去にも心がざわざわしてくるような。。。


こうして稽古が進む中、死生観にも関わる深いところを説いた後、やや緊張感が強くなり過ぎ、シーンがシリアスに大きく傾きそうになるとルヴォー氏がひと言「でも、これはコメディでもあるんです」
本番の舞台でどのような化学反応が起きるのか・・・演劇ファン必見の作品、いや必見という言葉が正しいかすら疑問に思えてくる、もしかしたら “必感” のほうが適当かも知れません。
とにかくこの世界を劇場で “感じて” いただきたい、そんな作品です。




東京公演中にはルヴォー氏の演出の秘密に触れる?!アフターイベント企画も!
6月7日(土)17時公演後には
デヴィッド・ルヴォー アフタートークショーご観覧
6月8日(日)13時公演後には
デヴィッド・ルヴォー オープン形式ワークショップご観覧(所要時間約1時間)

<おけぴ関連記事>
ハロルド・ピンター×デヴィッド・ルヴォー『昔の日々』製作発表会レポ



【公演情報】
『昔の日々』
2014年6月6日(金)-15日(日) 日生劇場
2014年6月19日(木)-22日(日) 梅田芸術劇場

<スタッフ>
作:ハロルド・ピンター
演出家:デヴィッド・ルヴォー
翻訳:谷 賢一

<出演>
堀部圭亮、若村麻由美、麻実れい

企画制作:梅田芸術劇場
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おけぴ取材班:chiaki(文・撮影) 監修:おけぴ管理人

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