2014/11/25 【舞台写真&感想追記!】新国立劇場『星ノ数ホド』稽古場レポート

【舞台写真掲載&寄せられた感想ご紹介】(12/8&11追記)


舞台写真が届きました。寄せられた感想を交えながらご紹介いたします。


右から鈴木杏さん、浦井健治さん

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色々なパターンでストーリーが少しずつ変わっていく初めての感覚の舞台でした。
自分の日常生活の中でも"あるある"と場面毎に感じながら観劇しました。
二人の演者さんの掛け合いは素晴らしかったです。
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何度も繰り返される場面の中で、台詞や仕草が変わる度に、その後の展開が変わっていくのが、最初は戸惑ったけど面白かった。
そのうち自分が主人公になったかのように引き込まれて行く、不思議な感じの舞台です。
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とても不思議な時間でした。自分が選んだこと、選ばなかったこと、“時間”という概念について。
混乱しそうな一歩手前で踏みとどまっている感じでした。
言葉では説明が難しい…。
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新しい舞台でした!
人生の可能性について考えさせられました!
もっと難しい舞台なのかと思いましたが、とてもユーモラスで面白かったです!役者さんの意外な一面も見られて良かったです!
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あの時こう会話をしていたら、どう進んでいたのかと何通りものパターンを考えることのできる不思議な舞台でした。
浦井さん鈴木さんお二人の演技も素晴らしかったです。最後だけちょっと違うパターンで終わったのもなんだかより一層想像の幅が広がった気がします。
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物理学者の登場人物の話にリンクした展開。幾つもの生き方の可能性がその場で繰り返されるのがポイントです。
それを予備知識として観ると、理解が早いかもしれません。
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終演後なんと言っていいかわからず、ぼんやりしたまま劇場を出ました。
ふしぎな空間だったと思います。
さまざまな時間が選ばれ、選ばれず、それでも元に戻ることはできない。
ひきこまれてしまうお芝居でしたし、叶うことならもう一度観たいと強く思います。
鈴木さんのマリアンの強さと可愛さと、ほんの少しの弱さが両立したうつくしさと、浦井さんのまっすぐな熱さがとても印象的でした。
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【稽古場レポート】


新国立劇場の大好評シリーズ「二人芝居 ─対話する力─」、第1弾の『ブレス・オブ・ライフ』、第2弾『ご臨終』、いずれも二人芝居の可能性と芝居の醍醐味、たくさんのうれしい発見に溢れていました。

続くシリーズ最終作『星ノ数ホド』は2012年にロンドンで初演され、翌年のオリヴィエ賞で最優秀新作プレイ賞を含む4つの賞にノミネートされた話題作。もちろん本邦初上演です!(今月、ブロードウェでも開幕!)
演出は小川絵梨子さん、出演はともに二人芝居初挑戦の鈴木杏さんと浦井健治さんと“若手”“注目の”“実力派”そんな形容がピッタリの若き才能が切磋琢磨する稽古場の様子をレポートいたします。



小川さんの稽古場、毎日ウォーミングアップのゲームから始まるとのこと。
この日ももちろん最初は演出家、役者、舞台監督、音響担当、制作担当など、そこにいるみなさんが肩書きを捨てゲームに挑みます!
そのルールは割愛しますが(笑)、要するにみんなで犯人(くじ引きで主犯1人、共犯2人が決まる)を推理していくのです。その過程が非常に興味深い!

潔白を必死で訴える人、なぜか疑われる人、陥れようとする人、冷静に事実関係を分析する人、あの人の勘は大体外れるから逆でいこうと不名誉な烙印を押される人・・・なんだかみなさんとっても熱いのです。

中でも印象的だったのは「今日は本気です!」と誰よりも意気揚々と臨戦態勢に入った浦井さん。
ゲーム後に教えていただいたのですが、どうやらゲームのポイントが累積されるシステムで、その時点では浦井さんはぶっちぎりのアレで(笑)。
その辺りにも本気の理由があったようです。
まだまだ挽回のチャンスありです!

そして何度目かのゲームの後、“人間観察”“人間関係観察”を楽しんでいた取材班を悲劇かつ喜劇が襲います。
「ルール、わかりましたよね!」
まさかの言葉、取材陣にも召集が。
その後の展開はなにせ極度の緊張のあまり記憶がうす~いので、割愛その2でございますが、その日持ち合わせたエネルギーの8割方を消費してしまったことは言うまでもありません。

こんなことでこの後のお稽古の様子をレポートできるのだろうか・・・やや不安になりましたが、それはまったくの杞憂に終わりました。

では、ここからは『星ノ数ホド』本編のお稽古のレポートをお届けします。


-ものがたり-(HPより)
物理学者のマリアンと養蜂家のローランド。
二人が出会ったのは雨のバーベキュー場。その時、彼には妻がいた。
あるいは、晴れた日のバーベキュー場で出会い、恋におちた。
いつしか別れてしまった二人が再会する時、ローランドは別の誰かと婚約していた。あるいは......。
あの日、違う受け答えをしていたら?あの日、二人の状況がまったく逆だったら?
さまざまなパターンを繰り返しながら物語は進行し、やがて二人に運命の日が訪れる......。



物理学者と養蜂家という設定、その職業が象徴するものや二人の距離感、それぞれの価値観など巧みで面白い戯曲です。
「演劇って感じる哲学だな」そんなことを思いました。


物理学者のマリアンには鈴木杏さん、養蜂家のローランドには浦井健治さん


まずお芝居に入った瞬間のお二人の集中力の高さに引き込まれ、それと同時に見ている側も初めて見るスタイルの戯曲の一風変わった展開に流されてはなるまいとちょっと力が入っていた序盤。
でも、なんだか楽しいぞ、これはあれこれ考えるよりもこの空気に乗っかっていったもの勝ちかもしれません!

目の前で繰り広げられるのはやりとりのひとつひとつはいたってシンプル。
雨のバーベキューで出会った二人が、天気の話や飲み物取ってきましょうかという会話を交わす。

それが「ピーン」という音とともに瞬時に“次なる次元”へ切り替わる。別次元といっても発する言葉、置かれている状況が微妙に異なるだけ。
なかなか言葉で表すのは難しいので、これはやはり実際にご覧いただいて体感していただくのが一番なのですが、そのやりとりの不可思議さとリアリティに戸惑いながらも気が付くとあっという間に台本にして数十ページが過ぎていました。


雨のバーベキュー場で出会った二人

この実験的ともいえる構造をもつ戯曲に挑む演出家は新国立劇場『OPUS/作品』も記憶に新しい小川絵梨子さん。

演出:小川絵梨子さん

小川さんの言葉を借りると、幾度となく繰り返される時空の遷移は「動いている車から動いている車へ乗り移るような感じ」とのこと。
それでいて切り替えのエッジは立っている。そのカギを握るのは二人のリアルなコミュニケーション、エネルギーのやりとりなのです。
相手が“今”放ったものをしっかりと受け止め、その上で一緒に時空を超える。

小川さんは本当に言葉が豊富で適切、なんというか、「理論的に励ます!」演出家さんです。


二人芝居ならではの濃密な稽古、技術と共に勇気も必要な作品なのかもしれませんね


ときには動くことをやめ、車座になって言葉や感情を確認

ともすればただの“たらればシーン”の羅列に陥ってしまう劇構造を丁寧に注意深く、それでいて大胆に立ち上げていく稽古風景は非常に刺激的。

鈴木さんと浦井さん、時空の遷移と格闘中のお二人ですがそのひとつひとつのシーンはやはり実力派の名にふさわしいキャラクター作りを見せてくれます。



いい感じかなと思った男性の口から「妻が」という言葉が飛び出した瞬間の小さな凹みと瞬時の気持ちの立て直し。そういった細やかな感情の機微が伝わり、マリアンがそこに生きているよう!



浦井さんはローランドという等身大の男性を魅力たっぷりに演じます。
見ているとマリアンに共感しつつ、気が付くとローランドに味方している、そんな矛盾を起こさせる魅力です。
深い役への洞察があってこそ!



人生、命、出会い、そういった人間の営みの小宇宙がそこにある二人芝居『星ノ数ホド』。
帰り道は冬の星空を眺めたくなる、究極的に演劇の力を感じる作品です。




ひとたび芝居が始まると、舞台上は役者二人の世界。

稽古場でのお二人の姿を見ていて、すごく孤独で想像を絶する恐怖感もあると感じました。でも、ふと周りを見渡すと演出家、舞台監督、音響さん・・・数多くのスタッフがその舞台を見守っています。

「演出家、舞台監督・・・」、あれこの並び、冒頭のゲームの件で登場した面々!!
日々のウォーミングアップで培った『星ノ数ホド』チームの心地よい人間関係がこの二人芝居を創り上げる礎になっているんですね!
稽古場を後にするとき、ぐるりと回ってあのゲームが思い出される取材班でした。

そして帰り際にかけられた言葉は「ゲームでは“主犯”おつかれさまでした(笑)」。
くじ引きで主犯を引いた自らの悪運も思い出されました(笑)。
それも星の巡り合わせですね。


【公演情報】
新国立劇場『星ノ数ホド』
2014年12月3日(水)~21日(日)@新国立劇場 小劇場

<スタッフ>
作:ニック・ペイン
翻訳:浦辺千鶴
演出:小川絵梨子

<出演>
鈴木杏/浦井健治

<ものがたり>
物理学者のマリアンと養蜂家のローランド。
二人が出会ったのは雨のバーベキュー場。その時、彼には妻がいた。
あるいは、晴れた日のバーベキュー場で出会い、恋におちた。
いつしか別れてしまった二人が再会する時、
ローランドは別の誰かと婚約していた。あるいは..
あの日、違う受け答えをしていたら?
あの日、二人の状況がまったく逆だったら?
さまざまなパターンを繰り返しながら物語は進行し、
やがて二人に運命の日が訪れる...

公演HPはこちらから

UK15
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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