【『マクベス』新ビジュアルが届きました】
息をのむ100分!
シェイクスピア4大悲劇の一つ『マクベス』を佐々木蔵之介さんがほぼ一人で演じきる、National Theatre of Scotland版 “One-Man MACBETH"、いまだかつてない舞台への期待膨らむ製作発表の模様をレポートいたします。
-HPより-
舞台は精神病院、登場人物は病室に隔離された患者。
病室の監視カメラが患者の動きをすべて捕え、病棟のモニターにすべて映し出される。
患者の中に内在した「マクベス」の登場人物が、「マクベス」の忌まわしいドラマを再現していく。
観客は、患者を通して「マクベス」を追体験していくこととなる。
登壇されたのは主演の
佐々木蔵之介さんと、この作品のオリジナル演出家のひとりである
アンドリュー・ゴールドバーグさん。
-スーパー歌舞伎セカンド『空ヲ刻ム者-若き仏師の物語-』、『ショーシャンクの空に』出演が記憶に新しく、常にチャレンジし続ける佐々木蔵之介さん。今回は自身初となる “ほぼ一人芝居” !しかも『マクベス』ということは…いったい何役を演じるのでしょうか。蔵之介さん)えーと、初めから数えると魔女3人、マクベス、バンクォー、ロス、マクベス夫人、ダンカン王、マクダフとその妻と息子…あと…。
アンドリューさん)ハムレットとリア王でしょう(笑)。まぁそれは冗談ですが、全部で20数役ほどになりますね。
-20数役を一人で、しかもマクベス夫人など女性も!
これまで一人芝居のオファーを断り続けた蔵之介さんがこの一人芝居に挑むと決意したその理由とは?蔵之介さん)覚えてないですね(笑)、やるって言ったかなぁ。
(オリジナル演出家の一人)ジョン・ティファニーが手がけたミュージカル『ONCE』が大好きなんですよ、僕。そのジョンとここにいるアンドリュー、そして素晴らしい俳優アラン・カミング(映画「チョコレート・ドーナツ」など)のカンパニーが創り上げた作品を、本場のスコットランド・ナショナル・シアターのスタッフと一緒にやる。演劇をやっている者にとって
こんなに貴重な経験、機会はそうはないので「それいいなー」とは確かに思ったんですけど、やるといった記憶は・・・。
その時、近くに魔女がいたのかな(笑)。
蔵之介さん)そういえば『空ヲ…』の時も、「なんで自分が歌舞伎の板の上に立っているんだろう」と思いながらやっていたような(笑)。ただ実際に公演を終えた今ではその経験は本当に大切な宝物ですし、感謝の気持ちでいっぱいなんですよね。
なので、今回も
一人で立って、その後どんな自分がいるのかを見てみたいという気持ちはあります。
-隠すことなく「今は不安と心配しかない」「ビビッています」と仰る蔵之介さんですが、この1週間ワークショップを重ねたアンドリューさんは確かな手ごたえを感じたようです。アンドリューさん)蔵之介さんとのワークショップで強く感じたことは
文化を越えて普遍的なものがあるということです。素晴らしいアクティング、蔵之介さんは僕にとっては外国である日本語で(台本を)読んでくださっているのですが、
セリフの繊細さがよく伝わってきました。また
彼の知性、台本の分析力も素晴らしく、この一週間でそれを発見できたことは非常にうれしいです。
アラン・カミングも今回の日本のプロダクションを楽しみにしています。彼自身も「このマクベスは自分の俳優人生の中で一番大変だった」と言っており、蔵之介さんに
「頑張って、GoodLuck」というメッセージを預かってきました(笑)。
-ワークショップについては蔵之介さんからも。蔵之介さん)心配と不安は依然としてありますし、むしろ漠然としていたものが具体的になりました。
でも、
かすかな一筋の光は見えました。膨大な台詞量ですし、体力・精神力両面でのタフさが求められる作品ですが、
『マクベス』のセリフってかっこいいんですよね。こんなセリフを言うことができる、それは役者みょうりに尽きます。
特に今回はマクベス夫人のセリフも言えるんです。そこにちょっと感動すら覚えています(笑)。
-ここからは精神病院を舞台に患者が『マクベス』を語り出すという作品の設定について。アンドリューさん)今回の “一人でやる” という設定、精神病患者を主人公にしていることに関しては『マクベス』という戯曲には随所で
狂気に関する言及がされていて、特にマクベス夫人が精神を患って夢想するシーンが有名です。この作品を作るにあたってインスピレーションを与えたのはあのマクベス夫人の狂気です。
精神を患った男が出てきて、彼は何か事件に関わっているらしいが加害者なのか被害者なのかはわからないんです。でも、なにかしら大きなトラウマを抱えていて、
舞台上に行われていることはそのトラウマから逃れ、もう一度生き直している。そういった要素になるのではと思います。そこがどう『マクベス』とリンクいていくのか、お楽しみに。
蔵之介さん)アランの資料映像を見ました。確かに一人でいくつもの役をやっているのですが、
演じ分けるというより一人の人間の中にある色んな心が出ているような印象を受けました。
もともとシェイクスピアは難解というイメージがあり、それを一人でやるのはご覧になるお客さんも「ちょっと難しいのでは」と思われるでしょう。
でも、
意外にも精神病院という設定でシェイクスピアの(古典的な)言葉、日本で言ったら江戸時代のような言い回しでしゃべりだす、それが非常にエキサイティングなんです。
アンドリューさん)これがその人にとって50回目の『マクベス』でも、初めての『マクベス』でも面白いものとして届けたいですね。ダイナミックなこの作品をきっかけに演劇に足を運んでいただき、シェイクスピアってこんなに面白いんだ!と思っていただけるとありがたいと思います。
蔵之介さん)この革新的な『マクベス』を日本で上演できること、そしてそれをこのクリエイティブチームのみなさんと一緒に作れることを嬉しく思います。楽しみと同時に(荷の重さに)逃げ出したい気持ちもあるんですけど(笑)。でも、『マクベス』には「ひどいのかいいのか、こんな一日は初めてだ」とか「きれいはきたない、きたないはきれい」などのセリフがあるように、
いいのか悪いのかどっちなんだ!というのが『マクベス』なんでしょう。
アンドリューさん)この主人公を演じるにあたって大切なことは、幅広いキャラクターを力強くかつ、繊細に演じることです。本当に20人分の俳優の仕事をしなくてはいけないので、
20人分頑張ってください!確かに難しいですが、
蔵之介さんが挑戦するに値する役だと思います。
2012年6月スコットランドで初演後、『NY・リンカーンセンター・フェスティヴァル』に招聘され、同年7月、実力派俳優アラン・カミング主演で発表されるや演劇賞各賞を受賞した『マクベス』。2013年のブロードウェイ公演を経てついに日本版上演です!
7月の本番、どのような『マクベス』が立ち上がるのか今からとっても楽しみです!
また、今回の日本公演はNational Theatre of Scotlandの全面協力で、オリジナルの美術、衣裳、照明、映像、音響デザイン、オリジナル演出による日本語版の上演で、スコットランド、ニューヨーク以外では初の上演となります。まさに物語の舞台となったスコットランドで生まれた新しい『マクベス』を母国語で味わえる、これってすごいラッキー!!
【こぼれ話】
会見が行われたのはバレンタインデー直前!ということで蔵之介さん、アンドリューさんから司会のブルボンヌさんへのサプライズプレゼントがありました。美しいバラ一輪!
おけぴ取材班:chiaki(文・撮影)監修:おけぴ管理人
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