2015/02/21 『十二夜』稽古場見学会レポート

3月日生劇場で開幕する『十二夜』の稽古場見学会が開催されました。


個性豊かなキャラクターを演じるキャストと演出家ジョン・ケアードさん

愛すべき登場人物たちのタテヨコナナメに錯綜する恋心が巻き起こす甘く切ない狂騒♪
春の訪れとともにやってくる甘酸っぱいロマンティックコメディの稽古場、まず、出迎えてくれたのは…。


「ようこそ稽古場へ!」

通し稽古の合間に作品への理解深まる演出家のケアード氏のレクチャー、とてもスペシャルな見学会!
「このように可動式の生垣のような間仕切りを用いた舞台装置です。本物に近い装置でシミュレーションしながら稽古をしています。
イギリスだと稽古場でこんな風にセットやコスチュームを稽古用に作ってもらうことはありません。日本のステージマネージメント、スタッフのみなさんの舞台への情熱の賜物です。
劇場とほぼ同じ状況で稽古できることは本当に素晴らしいことです。これは日本ならではなんですよ」

日本の舞台関係者のみなさんを誇りに思います!!なんだか嬉しくなった瞬間でした。


では、ケアード氏のコメントを交えながら、稽古レポをどうぞ!


オーシーノ公爵(小西遼生さん)が音楽に浸っているところから物語が始まります!
伯爵家の若き令嬢オリヴィアに恋をするも拒絶され思い煩うオーシーノ【オーシーノ→オリヴィア】

「この芝居が始まる10分前から音楽が始まります。オーシーノを囲む楽士はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ。最初に聞いていただくのは弦楽器の三重奏です。
このお芝居では愛や混乱が描かれますが、音楽が果たす役割は非常に大きく、音楽が芝居の一部であるかのようです」(ケアード氏)
※上演に際してはキーボード演奏も加わります

オリヴィアへの思いをとうとうと語るオーシーノ、小西さんのちょっぴり憂いを秘めた声のトーンで届けられる詩のような台詞の美しさにうっとりです。
音楽からのこの導入、耽美で幻想的な世界なのですが、どこか我々の日常とも地続きのような…時を経ても変わらぬ“人間”を描くシェイクスピア作品らしい『十二夜』はじまりはじまり!

続いて、物語の主人公!嵐で生き別れとなった兄妹を演じる音月桂さんの登場です!


船の難破でイリリアに流れ着いた妹・ヴァイオラ(音月桂さん)、船長(宮川浩さん)


護身のために兄の服に身を包んでシザーリオと名乗ることを決めるヴァイオラ

男としての生活は…


シザーリオはオーシーノ公爵にお小姓として仕えることになります


オリヴィアに僕の思いを伝えてほしい!シザーリオに思いを託すオーシーノ
でも…シザーリオは仮の姿、ヴァイオラの恋心はオーシーノに向かっているのです
恋する乙女に戻った瞬間、切ないっ!!【ヴァイオラ→オーシーノ】

「一つのシーンでテンポよく展開していく(オーシーノがオリヴィアへの使いを頼む)なか、最後の最後、オーシーノが去ったところでヴァイオラが秘めた思いを吐露します。それはお客さんにとってはサプライズになりますよね。それがシェイクスピアの面白さであり、そこで物語を飛躍させなければいけないのは演者にとっては難しさになります」(ケアード氏)

続いての場はオリヴィア宅へ。ここは個性派キャラクターの宝庫!


サー・アンドルー(石川禅さん)、道化フェステ(成河さん)、サー・トービー(壤晴彦さん)【アンドルー→オリヴィア】

オリヴィアに求婚する弱気なアンドルーを情けなく、でもかわいく見せる石川禅さん。オリヴィアの叔父トービーは昼間から飲んだくれ、そのなんとも言えぬふてぶてしさも突き抜けると魅力になるんだなと思わせる壤さんから目が離せません!そして物語の陰の牽引者ともいえる道化のフェステを演じる成河さんの歌声、軽快な動き、鋭い台詞は非常に強い印象を残します。人を食ったような飄々とした口調で語られる哲学的で示唆に富んだセリフの数々、圧巻です。


ノリノリ!

そしてこの館の主は…オリヴィア嬢!


父と兄の喪に服しているオリヴィア(中嶋朋子さん)のもとへやってきたシザーリオ(音月桂さん)

悲しみの淵にいたオリヴィアが一転!

恋に目覚めたオリヴィア!ですがその相手は実は。【オリヴィア→シザーリオ】

この瞬間、オリヴィアに春が来た!とばかりにパッとはなやぐ中嶋さんの表情にこちらまで自然に頬が緩みます。それまで拒絶、拒絶、拒絶の一点張りだったのが、かわいくっていじらしくって!再びシザーリオに会うために仕掛けるあたりも恋のなせるわざです。
でも、どうしよう!オーシーノが恋するオリヴィアに惚れられてしまった…。
非常に複雑な三角関係勃発!!

そして、お待たせいたしました。ヴァイオラの兄セバスチャンの登場!




妹と生き別れた兄セバスチャン(音月桂さん)

おおお!凛々しい!仕草、顔つきがガラリと変化!スイッチ入りました!!
またこのセバスチャンが友情に厚く、男気溢れるイイ男なんですよね。

最後にご紹介するのは稽古場の笑いをかっさらい、自然に拍手が沸き起こったこの方の場面です。

オリヴィアの執事マルヴォーリオ(橋本さとしさん)【マルヴォーリオ→オリヴィア】

執事ながら密かにオリヴィアに恋心を抱くマルヴォーリオ、ちょっと、いや、かなり(?)変わったお方です(笑)。(『十二夜』ちらしの橋本さんのお写真とのギャップが見事)
言いにくいことですが(笑)、みんなに嫌われているマルヴォーリオ。
平たく言うといじられキャラといったところでしょうか。


キレ者マライア(西牟田恵さん)の発案でとあるいたずらが仕掛けられることに

ターゲットはもちろん…


マル


ヴォー


リオ!

『十二夜』のなかでも有名な(?!)偽ラブレター事件です。
もうここは役者・橋本さとしさんの実力と魅力の集大成ともいえる名シーンです!なんかもう、嫌味なヤツ(←あえてこう言わせていただきます)なんですよ、マルヴォーリオは。でも、気づいたら好きになっていました(笑)。

こうしてまるでキャラ祭ともいえるような人々が入り乱れる物語前半。後半はいたずらの波紋と張り巡らされたというかこんがらがった恋の伏線の数々がどうほぐれるか、はたまたさらに絡みあうのか、こうご期待!といったところで稽古場見学会は終了となりました。

恋の狂騒にドキドキしたり、いたずらにクスクス笑ったり、物語の展開そのものにももちろん惹きつけられますが、それに加えてシェイクスピアならではの人間の本質を鋭く突くスパイスも効いている『十二夜』。

このように稽古場レポートでは濃厚キャラクターについてご紹介して参りましたが、ほかにも稽古場に飾られたセット模型の美しさ、オリヴィアら女性キャストのボリューム感のあるスカートに象徴される衣裳などなど見どころいっぱいです。
さらには常に音楽が寄り添い、1幕だけでもフェステをはじめ、オーシーノやアンドルー、トービーも歌い、そしてギターの調べに導かれるようにシザーリオ(ヴァイオラ)もうっとりと口ずさむ場面も!

百聞は一見に如かず、シェイクスピアマスターのみなさんはもちろん、ミュージカル好きのみなさんにも楽しんでいただける作品がお目見えするのは3月8日!もう間もなくです!

【気になるシーン!】

小姓シザーリオ(ヴァイオラ)を寵愛するオーシーノ
ヴァイオラの恋心を知ってか知らずか、というか知らずに超寵愛!

「気になるお方にそんなことされたら女子はドキドキしちゃうよ~」と思うものの、「そっか、男の子だと思っているからしょうがないか」。え、でもなー!!そんなキュンキュンシーンも満載です♪

【公演情報】
『十二夜』
東京公演:2015年3月8日(日)~3月30日(月) 日生劇場
大分公演:2015年4月7日(火) iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ
大阪公演:2015年4月10日(金)~12日(日) 梅田芸術劇場メインホール

<スタッフ>
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
演出:ジョン・ケアード

<キャスト>
音月桂/小西遼生/中嶋朋子/橋本さとし
青山達三/石川禅/壤晴彦/成河/西牟田恵/宮川浩/山口馬木也
生島翔/内田紳一郎/折井理子 /キムスンラ/河野しずか/佐々木誠二/扇田森也/平野潤也/真瀬はるか


『十二夜』公演公式サイトはこちらから


  
おけぴ取材班:chiaki(文/撮影) 監修:おけぴ管理人
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