【感想を追記しました!】
♪まず戯曲が文句なく傑作です。ごく小さい世界を設定して、濃密な展開で人間の抱える深淵を暴いていく手腕は凄いものがあります。
好配役で、皆さん演出家の期待に十分応えるいい演技を見せてくれます。
♪心、ざわつかされる(感覚の)舞台でした。
教育とは?教師とは?色々と考えさせられました。
現在の教育現場は複雑でよく解りませんが、井上芳雄さん演ずる若い先生の普段の教師像とかは見えたような気がします。
ベテラン教師役の近藤正臣さんは流石!!色々と考えられる&考えさせられる舞台を久々に見せて頂きました☆
♪楽しいはずの同窓会が、過去の秘密を暴いていく場となります。
日常生活では、胸にしまって表に出さない思い、疑念を、表に出すことにより、新たな世界、関係が生まれてくるのだと感じました。
小さい時から知っている少人数で過ごした友達だからでしょうか?ぶつかり合っても険悪にはならないのは。
そういう仲間の存在は有難いものですね。人間社会、人の思いには正解がない、
人は事実を正確に認識しているとは限らない、だからこそぶつかり合うことも大切だと思いました。
♪正しい教室。
このタイトルが観劇前と観劇後でちがう響き、意味を持つ、そんな舞台でした。
教育って答えが出るまでにすごく時間がかかるもので、そしてそれは1+1=2のような答えでもなく。教育だけでなく、物事の「正しさ」を改めて考えさせられました。
でも小難しい舞台ではなく、笑いあり、スリルあり、なんだか癒しもある観劇体験でした。<舞台写真掲載につき、ご観劇前のみなさまはご注意ください>【公開稽古レポート】
東京Zeppブルーシアター六本木での公演を皮切りに、名古屋・福岡・大阪、そしてパルコ劇場で上演される注目の舞台
『正しい教室』。
初日を前に公開リハーサルと囲み取材が行われました。
とある地方都市の小学校を舞台に、母校で教師をしている男が、事故で息子を亡くしたかつてのマドンナを励まそうと同窓会を企画。そこに来るはずのないかつての担任が現れたことで…。
次々と暴かれていく過去の事実。それぞれの想いが交錯し行き場のない鬱屈した想いが暴発していく。正しいのは誰か、何が正しいのか、そして過去の清算が始まる…!
はじまりはごく普通の同窓会、会場は母校の教室
皆を迎えるのは小学校時代には学級委員長を務め、現在では教師として母校に勤務する菊池真澄。演じる井上芳雄さんの立ち姿、真っ直ぐな物言い、人気者オーラがぴったり!

生徒にも保護者にも好かれている評判の先生・菊池真澄(井上芳雄さん)
役所に勤める漆原恵子、父親の工務店を継いだ坂田健太、レストランを営む不知火光、そこに集う面々も、それぞれに事情があったり思惑があったり。セリフや芝居にその登場人物の生活感がにじみでて、ひとりひとりの人生がちらちら見え隠れする絶妙展開!

かつての「番長」こと不知火光(高橋 努さん)

あだ名は「がり勉」坂田健太(岩瀬 亮さん)

ちょっとおませな小学生だった漆原恵子(小島聖さん)
比較的地元に近いいつもの面子に、まず加わったのは…はるばる大阪から駆けつけた水本康明。有川さん、気になります!非常に気になります!

かつては番長の子分だったアパッチこと水本康明(有川マコトさん)
「変わったねー」とか「変わらないねー」とか、そんなたわいもないことで盛り上がりつつ、瞬時に昔の力関係の復活あり、誰が誰を好きだった暴露あり、観ていてクスッと笑える同窓会あるあるが繰り広げられます。
そこに、この日の主役ともいえる、事故で息子を亡くした小西友紀が妹の蘭に付き添われてやってきます。温かく迎える同級生たち。

かつてのマドンナ小西友紀(鈴木砂羽さん)

妹の蘭(前田亜季さん)
どこにでもあるような、誰にでも思い当たるような日常の会話で構成される蓬莱戯曲。
自然なやりとりを通して、それぞれの人物がまるで自分の知り合いであるかのような親近感を与え、そして強く印象付けられます。テンポよく進んだ物語がここからギアチェンジ!
ある男の登場で誰もが予想していなかった本当の同窓会が始まる…
同窓会を一変させたのは彼らの小学校高学年当時の担任教師だった寺井新一郎。

厳しい指導から生徒に嫌われていた寺井新一郎(近藤正臣さん)
この寺井登場からの緊張感たるや…「なぜ来たのか」「何が目的か」。
触れられたくないデリケートなところにも容赦なく踏み込んでくる寺井、本当に感じ悪い!!
近藤正臣さん、なんとも得体のしれない不気味さとふてぶてしさで空気を変えます。
そこから先の展開は、もう何を書いてもネタバレになってしまいそうなので「ぜひ、劇場へ!」の言葉に変えさせていただきます。
なんというか、蓬莱作品はよくジェットコースターにたとえられますが、それに置き換えるなら、ここまでがカチカチとレールを上っていたことになりますね。
つまり、この後は加速度をつけて…。
スリルと笑いを交えながら、右に左に揺さぶられるように「うわぁ~~」「ぐわぁ~~」とそれぞれの真実が観客を襲います。
そこで冒頭のキャラクター描写がいい布石になっているんですよね!要所要所でビシバシ効いていきます!
ただただ物語に身をゆだねると、突然思いもよらない景色が見えたり、感情がわき上がったり、誤解を恐れずに言うととても「面白い」作品です。
正直しんどさも無いとは言いませんが、それも含めこの作品の魅力になっていますよ。
(演じる側はなかなかどうしてハードかとお察し申し上げます)
同窓会というシチュエーションで、2時間ノンストップで繰り広げられる『正しい教室』。
子どもの頃の記憶って人それぞれに変なことを覚えていたり、肝心なことを忘れていたりしますよね。そんな記憶のちょっとした隙間に思わぬ闇が潜むような、誰の身にも起きうるリアルなスリルはクセになりそう!!
「正しい」って何?それを考えつつ、これは体感型演劇だな!そして観劇後、じわじわとくる!そんな作品です。
舞台の緊張感から一転、和やかな囲み取材では…

過去多くのイケメン俳優と共演してきた鈴木砂羽さんをして「こんなこと…」
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おけぴ取材班:chiaki(文・撮影)、監修:おけぴ管理人