2015年の『レ・ミゼラブル』が開幕いたしました。
注目の新キャスト、マリウス役デビューを果たした海宝直人さんにお話をうかがいました。
--マリウスデビューおめでとうございます。
まずは本公演初日公演を無事務め上げた時のお気持ちからお聞かせください。海宝さん)実際にお客様の前で幕開きからエピローグまでマリウスとして旅をし終えたとき、ようやく
『レ・ミゼラブル』の一員になれたと実感し、大好きな公演に参加できている喜びを強く感じました。マリウスはずっとやりたかった役でしたし。
それと同時に改めてここからスタートするんだなと気持ちが引き締まる思いや、これからどんどん役柄を深めていけたらいいなとも思いました。
いろんな思いがわき上がってきましたが、やっぱりひと言で言うと
「幸せだなぁ」ですね。
--緊張はされましたか。海宝さん)いわゆる初日のドキドキ感を強く感じたのはプレビュー公演の初日ですね。
どのシーンも緊張しましたし、僕自身すごくエキサイトしました。
--新たに誕生した海宝マリウス、どのように人物像が創り上げられたのでしょうか。 海宝さん)マリウス像について演出補のエイドリアンに言われた「マリウスという人物はアンジョルラスと同じような思い、パワーを秘めているんだよ。ただ、アンジョルラスのようにそれが前面に出てはいないけれど根底には確かにある」という言葉が印象的で、それを常に心に留め置きながら稽古を重ねました。本番でも
マリウスが持つ“パッション”を大切に演じています。
登場シーンで持っている革命へのパッション、エネルギーはアンジョルラスと同じ。アンジョルラスはそのエネルギーのすべてを革命にそそぐのに対し、マリウスはコゼットと出会うことで変化します。
革命へのパッションも恋愛へのパッションも同じくらい、つまり「仲間と行くのか彼女と行くのか」というところになりますが、どちらにも同じくらいのエネルギーを向けている、マリウスはどちらに対しても誠実に向き合っているんですよね。マリウスはまっすぐで自分に厳しい人物ととらえています。
そして稽古最終日にエイドリアンに
「僕が君を選んだ理由は君が持つ男らしさ、マリウスは甘いイメージで実際そういう役作りも多いけれど、君には男性的な力強さを出してほしいと思った」と言われました。その言葉も忘れずにいたいと思っています。
--今回マリウスは海宝さんのほかにも原田優一さん、田村良太さんがいらっしゃいます。三者三様のマリウスになりそうですね。先輩マリウスお二人の存在は大きかったですか。海宝さん)稽古期間中から役作りも、立ち位置などの動きについてもお二人にはたくさんのことを教えていただきました。再演なので思い出し稽古的なところもあり、僕はわからないことばかりでした。そんなとき「ここはこうしてみたら」「自分はこうやっているよ」など、本当にたくさん助けていただきました。
--稽古、本番を経て、これまでは客席からご覧になっていた『レ・ミゼラブル』という作品について、新たに感じたことはありますか。 海宝さん)作品が持つエネルギーの大きさです。
実際に演じる側に立ってみると、演者としてものすごく作品に助けられます。
音楽、メロディが自然と役や物語へ導いてくれるんです。
本当に偉大な作品であることを実感しています。
--そしてプレビュー最終日には、その偉大な作品のオリジナルキャスト、コルム・ウィルキンソン氏がご観劇されましたよね。その時のマリウス役が海宝さん!海宝さん)うれしかったですね!
オリジナルのジャン・バルジャンですし、『レ・ミゼラブル』以外でもいろいろ聴いていましたし、僕らにとって伝説の人です。その方の耳に自分の歌声が届くというのが本当にうれしかったです。
--素敵な思い出になりましたね。
こうして『レ・ミゼラブル』2015公演の長い旅がはじまりましたが、なにか心がけていることはありますか。海宝さん)はい。長期間になりますので体調管理はもちろん、一回一回の公演を新鮮に丁寧にやっていきたいと思っています。
キャストの組み合わせがさまざまなので、回を重ねるごとに呼吸が合ってきたりということもあるでしょう。でも、逆に言うとアンサンブルまで毎回違う組み合わせなので、それによってABCカフェの(学生たちの)雰囲気も全く変わってきます。そこは集中していないとワチャワチャしているうちに終わってしまうような危険性があると思います。一回一回の公演でしっかりと関係性を作っていこうと思っています。
--ちなみに子役として活躍されていた海宝さんに、今回出演されている子役のみなさんはどう映りますか。海宝さん)ガブローシュくんたちを見て「いいなー」と思います。
やりたかったなーって(笑)。
--その目線ですか?!笑海宝さん)笑!
もちろんそれだけでなく、子役のみんなが海外の演出家からいろいろリクエストされ、それを通訳を介して聞いて「はい!はい!」って言いながら頑張っている姿は健気ですよね。
みんなとてもしっかりしているんですよ。すごいなぁと思いますね。
僕はよく怒られていたので(笑)。
--そうなんですか、ちょっと意外です!
さて、ここからはちょっと話題を変えて、今年は活動20周年のメモリアルイヤーですね。一年の始まりに「20周年だ!」という特別な思いはありましたか。海宝さん)「20周年だ!」とは思いませんでしたが(笑)、自分にとって勝負の年になるという意識は持っていました。20周年だからということではなく、『レ・ミゼラブル』、そしてそれに続く作品もあります。
間違いなく自分の人生の節目となる一年だと思っています。
--20年前にはこのような未来を思い描いていましたか。20年後を考えるお子さんはあまりいないと思いますが…笑。 海宝さん)どうだろう。でも、続けていきたいなとは思っていただろうから、そういう意味では思い描いていたのかな。
『レ・ミゼラブル』に出たいと思っていましたしね。叶っていますね(笑)。
--ターニングポイントとなるのは。海宝さん)間違いなくターニングポイントのひとつだと思うのは大人として舞台に立つということを考えた作品
『ミス・サイゴン』(2008年)ですね。その前に少し、年齢的に合う役がなかったところもあり、舞台を離れた時期がありました。何かあってやめたいと思って…ということではなかったんですけどね。
--そこから7年、さまざまなタイプの作品へ出演されていますね。 海宝さん)ありがたいことにそうですね。
今はいろんなものをやりたいんです。出演作を選んでいるという感覚はありませんが、改めて振り返ると本当に恵まれていたと思います。
人や作品との出会い、それがなければ今の自分はここにはいません。
--その幸運な出会いに誠実に向き合い、その経験を次につなげているからこその今でもありますよね。海宝さん)さまざまなタイプの作品、演出家さんとお仕事をする。そのたびにすごく悩み、模索してきました。共演者のみなさんや演出家さんなど、多くの才能豊かなみなさんにいろんなヒントをもらいながら一つ一つやってきたことが経験として積み重なっているというのは確かにあります。それは今もそうですし、これからも同じように悩みながら成長していけたらと思っています。
--今の海宝さんにとって「自分の強み」は。海宝さん)強みというか、
自分の人生の核になっているのは歌ですね。
休みの日でも歌わない日はないくらい大切なものです。
--では、舞台というのはどのような位置づけですか。海宝さん)舞台、なんでしょうね。
3、4歳から見ていますし、子役でもあったので僕にとっては“自然とそこにあるもの”、もっと言うと“ないことが考えられないもの”なんですよね。ちっちゃい頃から歌うのも好きだったので、姉と一緒にアニーごっこしているテープも残っているんですよ。
--ミュージカルごっこ!ミュージカルがそれほど身近なものだったのですね。それにしてもとても貴重なテープですね!
そして、現在ではミュージカルでの歌とはまた別にバンド活動(シアノタイプ)でも歌われていますよね。その2つが芸能活動20周年記念イベント(詳細&朗報はこちら)の構成になっているのですね。きっとそれぞれに違う海宝さんが見られるのですね。海宝さん)バンドとして歌うのとミュージカルとして歌うのはやはり違いますね。
海宝直人として歌の世界を表現するのと、役柄としてストーリーを伝えていくのはそれぞれ違う面白さがあります。
『レ・ミゼラブル』をやって、その思いはますます強くなりました。
--(コンサートでは)歌の途中にはMCも?海宝さん)トークは得意じゃないんですけど、毎回必死で頑張っています(笑)。
--必死でMCをする海宝さんもきっとファンのみなさんには新鮮で魅力的に映ると思いますよ!歌もトークも楽しみです。
では、ここからは話題を『アラジン』へ。いろいろと運命的な作品のようですね。海宝さん)ニューヨーク行きの飛行機に乗る直前にニュースでオーディション開催を知ったんです。
その旅の主な目的はニューヨークで『レ・ミゼラブル』を見に行くということでしたが、もちろん『アラジン』も見る予定に入っていました。
--そして、実際に見て、出演したいと思われたんですね。この作品の魅力は。海宝さん)元々『アラジン』はディズニー作品の中でも3本の指に入るくらい好きだったんです。
続編まで全部ビデオを持っていましたし!
その魅力はまずは音楽ですよね。アラビアンナイトが流れた瞬間にテンションが上がります!
そして、ジーニーですよ!
アニメーションからどうやってあのジーニーを?!と思いますよね、僕も思っていました(笑)。そこが素晴らしいエンターテインメントに仕上がっているんです。
いや、もう作品全体がザ・エンターテインメントです。
色彩もたくさんの仕掛けも楽しい、いわゆるディズニーの世界でハッピーになれる!ミュージカルの原点だと思います。そして
僕のデビューが劇団四季の『美女と野獣』、こうして20年経って同じアラン・メンケン作曲の『アラジン』に出られる!そういう意味でもご縁を感じますね。
--本格的な役作り、稽古などはまだこれからだと思いますが、この作品に関しては客演という立場ですよね。海宝さん)そうですね。劇団なので、やはり特別な空気感というのがあると思います。そこにしっかり馴染んでいきたいと思っています。
--では最後に、海宝さんの「これから」について伺います。どのようなことに挑戦していきたいと思っていますか。海宝さん)ミュージカルはずっと続けていきたいと思っているので、技術的にももっともっと高めていきたいですし、やりたい役もありますので、それに向けて必要なことをしっかりと積み上げていきたいと思います。
音楽面ではクリエイティブなこと、作詞作曲にもチャレンジしていきたいですし、映像の仕事も、ストレートプレイもやっていきたいです。
欲ばりですよね(笑)。でも、とにかく
今はいろんなことにチャレンジしていきたいです。
【プライベートに迫る!】--音楽好きの海宝さん、普段はどのような音楽を聴いていますか。海宝さん)日本のロックも洋楽も、オールディーズも、あまり偏らずに幅広く聴くようにしています。
ミュージカルにもいろんなジャンルの音楽、作品があるので、いろんな音楽に触れたいと思っています。
--おススメのミュージシャンは。海宝さん)うーん、誰にしようかな。
ラウル・ミドン(Raul Midon)とかいいですよ!
盲目のギタリストで歌も抜群にうまいんです。マウストランペットもすごいんですよ。
なんかもう全部が音楽、彼自身が音楽って感じで、それは「すげーな!」と思っています(笑)。ノリノリのカッコイイ曲も、メロディアスな美しい曲もどっちもいい!
--これから身につけたいスキルはなんですか。海宝さん)楽器はできるようになりたいなと思っています。
今はピアノとギターに触れてはいるんですけど、本当に触れる程度で。
人前で出来るようなレベルじゃないです、特にピアノは(笑)。
もっともっと練習して、いつか弾き語りとかできるようになったらいいなーと思っています。
--ちなみにお料理スキルなどは。海宝さん)料理は全然しないです(笑)。
やり始めたらハマりそうだな、ものすごくこだわり出しそうだなと思って手を出さないでいます(笑)。
--リラックス方法は。海宝さん)休みの日におっきいお風呂に行くことですね。
基本的に休みはダラダラしている方が多いですね。
この日も実は休演日、お疲れのところとっても楽しいお話を聞かせてくださってありがとうございました。おっきいお風呂で身体を休めて、また素敵な舞台を見せてください!
海宝さんご出演の『レ・ミゼラブル』おけぴ観劇会は5/17昼公演!
お待ちしています! 【おけぴスペシャルフォトコーナー!ビフォアアフター編】昨年11月の製作発表から熱く濃いお稽古期間を経て…素敵な新マリウスと新アンジョルラスが誕生いたしました。
2015年に『レ・ミゼラブル』の歴史に刻まれた新たなお二人です♪
海宝直人さんと上山竜治さんから…(製作発表時)
マリウスとアンジョルラスに!
『レ・ミゼラブル』、帝国劇場での公演も盛り上がっております!
そしてその後は全国公演へ旅立ちます。
みなさま、2015年のレミゼをお見逃しなく。
おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・文) おけぴ管理人(撮影)