演出家G2さんが描く濃厚で芳醇、そしてなんだかとってもワイルドな世界!
“激烈な愛、そして不朽の愛”を描き出したエミリー・ブロンテの傑作小説
『嵐が丘』が日生劇場に美しく、ダイナミックに立ちあがりました。
<舞台写真掲載につき、ご観劇前のみなさまはご注意ください>イングランド北部ヨークシャーの荒野に建つ“嵐が丘”という名の屋敷を舞台に繰り広げられる壮大な物語。初日を前に行われた公開舞台稽古の様子をレポートいたします。

絵画のように美しい舞台
【登場人物ざっくり解説】
嵐が丘と呼ばれる屋敷の<アーンショウ家>妹:キャサリン(堀北真希さん)
兄:ヒンドリー(高橋和也さん)→その息子ヘアトン(矢崎広さん)
アーンショウ家に引き取られ家族同様に育てられた孤児:ヒースクリフ(山本耕史さん)
全てを見守るアーンショウ家の家政婦ネリー(戸田恵子さん)
スラッシュクロス屋敷の裕福な<リントン家>兄:エドガー(伊礼彼方さん)
妹:イザベラ(ソニンさん)

写真左より)山本耕史さん、堀北真希さん
兄ヒンドリーは孤児ヒースクリフを虐げるが、キャサリンはすぐに仲良くなります。
子ども時代のお芝居にも素敵な仕掛けが♪

写真右より)堀北真希さん、小谷早弥花さん(ヒンドリーの妻)、高橋和也さん、山本耕史さん
美しく成長したキャサリンと下男におとしめられているヒースクリフ…だが絆は健在!

写真右)伊礼彼方さん
ところが裕福なアーンショウ家との交流が始まると…

そしてヒースクリフは…
このように進む骨太ストーリーはここからますます激烈に!
正直なところ現代の日本に生きる我々にとって「わかるわー」「あるある!」という展開とは言いにくいのですが、不思議とぐいぐい引き込まれます。
そもそもなぜあの人があの人を愛し?愛され?…と、考え始めるといろいろと頭フル回転ですが、それをも押しのけるほどの力強さがあるのです。
これこそは
原作の持つ力と芝居、そして物語に推進力を与える音楽、こうくるか!の舞台転換…さまざまな要素が相まっての
演劇の力がなせる業です。
ではここからは『嵐が丘』の世界を生きるキャストのみなさんをご紹介いたします。
ヒロイン
キャサリンの堀北真希さんは美しく、情熱的で、激しい!
そうとしか生きられない女性キャサリンを説得力十分に演じます。強くたくましく、凄まじいキャサリンです。
愛ゆえに復讐心に駆られる
ヒースクリフ!
屈折した男の心の機微を確実に見る者の心に刻む
山本耕史さんに圧倒されます。
物語の扉を開けるのは、
訪問者ロックウッド役の小林大介さん。
語り、歩く…その中で荒野の空気を感じさせる素敵な導入部です!!
ロックウッドに壮大な物語を語る
家政婦ネリーには戸田恵子さん。慈愛に満ちた語り口が心地よく嵐が丘の生き証人を静かに熱演です!チャキチャキのコメディエンヌ役で見せるのとはまた別の魅力炸裂です。

写真左より)小林大介さん(訪問者ロックウッド)、戸田恵子さん(ネリー)
高橋和也さん演じるヒンドリーもまた愛を渇望した一人なのかな、そんな哀しさも漂わせる高橋さんの怪演です。
舞台に登場した一瞬、こちらがたじろいでしまったのは
伊礼彼方さん演じるエドガー。
下のお写真をご覧いただければお分かりのようにド直球の良家のご子息!
もちろんヴィジュアルだけでなく、このエドガーが動揺したり、苦悩したりと…もしかしたら物語の良心かもしれない。そんな予感を抱かせるのです。

初登場シーンの衣裳も素敵ですよ♪(ぜひ劇場で!)
エドガーの妹イザベラ役はソニンさん。イザベラの物語が動き出すのは第2幕となりますが、でも内に秘めた強さは随所に垣間見られます。イザベラがまさかの…なのです。
キャサリンやヒースクリフの“次の世代”、
ヒンドリーの息子ヘアトンには矢崎広さん。引き込まれそうな瞳が印象的です。ヘアトン世代のドラマもきちんと描く、それが今回の上演の肝でもあります!

矢崎広さん(ヘアトン)
『嵐が丘』1幕より舞台写真を交えご紹介して参りましたが、こうして150年以上の時を経てもなお新たな輝きを放つ名作!
舞台ならではの絵画のように美しい装置・照明、豊かな生演奏音楽(ヴァイオリン、チェロ、マリンバ、フルート、パーカッション)が物語を力強くけん引します♪
製作発表でG2さんが仰っていた
舞台『嵐が丘』の決定版!(おけぴレポは
こちら)の意気込みが体現された舞台、お見逃しなく!!

ちなみに2幕のヒースクリフはこのような出で立ち…素敵♪(フォトセッションより)
前田文子さんの衣裳にもご注目ください!
公演製作 松竹株式会社
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人