宝塚歌劇 花組『ベルサイユのばら フェルゼンとマリー・アントワネット編』『宝塚幻想曲』観劇レポ<前編>



7月10日に初日を迎えた、宝塚歌劇 花組 梅田芸術劇場メインホール公演 『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』『宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)』

明日海りおさんほか、きらめく花組スターたちの麗しさがこぼれ落ちてくるような、舞台写真が届きました。

おけぴスタッフの観劇感想コメントとともにお伝えいたします。


※作品の詳細なポイント、物語の核心に触れております。『ベルサイユのばら』未見、という方はご注意くださいませ。





これまで、さまざまな切り口から描かれてきた宝塚歌劇版『ベルサイユのばら』。
今回上演されるのは昨年6月の明日海りおさんプレ・トップお披露目公演(中日劇場)と同じ「フェルゼンとマリー・アントワネット編」です。

アントワネット役が蘭乃はなさんから花乃まりあさんにバトンタッチされたほか、いくつかの役が交代。そして最大の特色はなんといっても8月の台湾公演に向けての二本立て構成ということ。

つまり「ベルばら」を1幕・1時間40分でみせるのです!

(1974年の初演時には二本立て公演だったという「ベルばら」。現在では「オスカル編」「オスカルとアンドレ編」「フェルゼンとマリー・アントワネット編」などに原作をわけて、一本ものとして上演されています。はたして1時間40分に収まるのでしょうか? …収まっていました!)




幕が上がり、小公子&小公女(笑顔キラッキラの真鳳つぐみさん/城妃美伶さん/飛龍つかささん♪)が歌うオープニングはいつもと一緒…と思いきや、おお、舞台上にはなんともレアな光景が!

通常なら「ベルサイユのばら」と輝く電飾が、「凡爾賽玫瑰」と中国語で! 
さらに、「ごらんなさい♪」の歌い始めワンフレーズも中国語!

これは台湾公演で客席が大いに盛り上がる様子が想像できますね♪

台湾公演の雰囲気を感じさせてくれるオープニングのあとはフェルゼン、マリー、オスカルが登場。仮面舞踏会での3人の出会いをセリフできかせます。
(パペット芝居なし、で、あっさり短め。でもこれが意外にわかりやすかった!)

仙名彩世さん、城妃美伶さんを中心とした可憐な“薔薇の精”たちのダンスと、明日海りおさんから美穂圭子さんへの歌い継ぎがなんとも豪華!

ブルーの衣装に身を包んだ明日海さんと花乃さんのダンスも、ちょっとした目線や、からだの動きだけでフェルゼンとマリーの恋心が伝わります。
(「ベルサイユのばら」の“形”にこだわった演出や振付は、よく歌舞伎に例えられますが、京劇の文化がある中華圏の観客にも受け入れられやすいのでは、と感じました!)

さらにシャンシャンを手にした芹香斗亜さん(アンドレ役)が階段中央から登場。
ダイジェスト版ながら、華やかなベルばらの世界を満喫させてくれるオープニングにまずは大満足!





物語がはじまり、まずはお馴染みカーテン前での「これは…革命でございます!(そして、オルゴールが…!)」の場面。

中日劇場で華形ひかるさんが演じていたド・ブロイ元帥は登場せず、代わりにメルシー伯爵(汝鳥伶さん)が。
フランス、そしてマリーとフェルゼンがおかれた状況が同時に説明されるのでとってもわかりやすい。
(メルシー伯爵が通して登場することで、短い中にも伯爵がマリーを想う気持ちに説得力あり!)

(この場面だけでなく、全体的にセリフが簡潔に短くなっていて、物足りなく思う方もいるかもしれませんが、台湾では字幕付きで上演されることを考えると「なるほど、これはわかりやすいかも」と納得。
マリーやオスカルが“目覚める”場面や、フェルゼンがフランスを去る決心をする場面もさりげないですが、とてもわかりやすく描かれています)








そして明日海さんフェルゼンで、絶対に観たかった、運河に浮かんだ舟の場面
短い場面ですが、フェルゼンとマリーの幸せな時間はここだけ。その儚い幸福感を存分に味わいたい!

明日海フェルゼン、期待に違わぬ美しさに加え、中日劇場公演のときよりもさらに男らしさが増して、なんとも凛々しい。マリーをすっぽりと腕につつむシーンでは劇場中がうっとりとため息をつきました♪

水色のドレスが良く似合うマリー・アントワネット役花乃まりあさん
王妃らしさと、恋をする少女のような表情を絶妙に混ぜあわせ、前回の大劇場公演(「カリスタの海に抱かれて」のアリシア役)とは全くちがう魅力を発揮。一作ごとに着実に“トップ娘役”として大きくなっているところを見せてくれました。
(高めの声の出し方もいい感じ!)






中日劇場公演では元気いっぱいのオスカルをみせてくれた芹香斗亜さん
今回は、ぐっと抑えた演技と同時に、原作のキャラクターに近い陽気さも感じさせるアンドレ役。出番はあまり多くないのですが、アンドレの熱い情熱が燃えています!

(芹香さんの体格もあいまってオスカル(女性)、アンドレ(男性)という対比がわかりやすくなったような)
(今回、歌が大進化!…短いですが「白ばらの人」も聴かせてくれますよ)






代わってオスカル役に抜擢されたのが、入団7年目の柚香光さん
金髪の髪を振り乱しながら戦う姿は、まさしく…「軍神マルスの子」…!!
(※今回のベルばらにこのセリフ・設定は出てきません)

歌唱やセリフにまだ不安定なところはありますが、やはりビジュアルの説得力が素晴らしい。ダンスを得意とする彼女ならではのバスティーユ陥落の場面には胸が熱くなりました。

(「今宵一夜」も、「アンドレ、見えていないのかー!」も、「この戦いが終わったら結婚式だ!」もないダイジェスト版・オスカル&アンドレの運命。少々物足りなくもありますが、だからこそ2人のビジュアル説得力が必要なのだ! とひしひしと感じました…。ちなみに中日劇場であれっ? と目をこすった「花祭りの男」での登場もありません)




幕が上がってから約45分でフェルゼンがスウェーデンに帰国。
ベルナール(瀬戸かずやさん、はまり役! 精悍でカッコいい!)ら民衆が武器を取るまでが50分弱ですので、この後のバスティーユ陥落からフェルゼンによるマリー救出(未遂)のくだりは比較的ゆっくりと描かれます。
(明日海フェルゼンの馬車シーン、もちろんございます!)


月組時代のオスカル役、アンドレ役も素敵だった明日海さんですが、おけぴスタッフ的にはこのフェルゼン役が一番ハマっているような気がします。

なんといいますか、きれいなお顔の下に隠された男気と誇りが、スウェーデン貴族「ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン」に合っていると思うのであります。

牢獄でマリーを見送る場面での「愛しているから行かせる」、フェルゼンの苦しみ。
よりいっそう深まった明日海さんの演技に泣かされました。

そして嬉しい驚きだったのが花乃さんマリー。
学年も若く、前回はロザリー役でしたので、王妃役をどう見せてくれるのかと期待と不安が入り混じるような気持ちでしたが、まるで少女のように天真爛漫な恋する場面から、夫への愛に気づくきっかけ、そして王妃として母として運命に立ち向かっていく姿を力強く、そして繊細に演じ切りました! 
特徴的な声も武器に、これからもさまざまな役柄を見せてくれのがとても楽しみ!





それではこの他、おけぴスタッフのプチ見どころポイントを一気にどうぞ…♪

・今回もまたさりげなーく組長&副組長ら上級生が混ざっている蜂起シーン、見ごたえあり!

・ジェローデル役・鳳真由さん堅実な役作り(オスカルとの関係については描写なし…スウェーデンへのお迎えはあり)。

・ほぼ役名だけではありますがアラン役の真輝 いづみさんら踊れる衛兵隊員たち。もっと活躍を見たかった!

美穂圭子さん&仙名彩世さんという“できる”親子すぎるジャルジェ夫人とオルタンス。こうなってくるとジャルジェ家のエピソードも見てみたかったなあ…(そんなことを言っていては一幕に到底収まりません)。

・そして…羽立光来さん演じる公安委員の怖さはピカイチです!





宮廷の華やかなシーンはほぼカット、ベルばらの醍醐味のひとつでもある独特な台詞回しも少なめ、とまさにダイジェスト版「ベルサイユのばら」ではありましたが、それでも観劇後に残るのは「あー、今日もベルばら観たなー」という不思議な満足感。

「いや、でもやっぱりあのシーンは見たかった」「あそこの設定は、◯組のあの公演と同じだった」と細かい観劇のツボを弾丸トークされた方も多いでしょう。

(宝塚100周年をはさみ3年にわたって上演された「ベルサイユのばら」シリーズも、これでひと区切りとのこと。次に出会えるのはいつの日になりましょう!)

残念ながら8月8日からはじまる台湾公演には足を運べないおけぴスタッフ。
今日、この日だけの「ベルサイユのばら」を目に焼き付けました!
(…と思っていましたら、台湾公演千秋楽in Theater のニュースが! 
詳細は宝塚歌劇団公式サイトをご確認くださいませ♪)

<後編>『宝塚幻想曲』はこちら!



<予告>
第二部『『宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)』観劇レポ』も後日UP予定!
お楽しみに♪


<公演情報>
宝塚歌劇 花組 梅田芸術劇場メインホール公演
『ベルサイユのばら フェルゼンとマリー・アントワネット編』『宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)』
2015年7月10日-7月16日
宝塚歌劇団公式サイト
梅田芸術劇場公式サイト

写真提供:梅田芸術劇場  撮影:岸隆子(Studio Elenish)
取材:mamiko,yone

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