人間はそれぞれが地球に生きるものとして等しい価値を持つ…。
井上ひさし流
“人間讃歌”の物語を5人の女優の競演でお届けする、こまつ座第113回公演
『マンザナ、わが町』の公開稽古の様子をレポートいたします。
真珠湾攻撃で大きく運命を変えられたアメリカ在住の日系アメリカ人たち。
カリフォルニア州マンザナ強制収容所を舞台に、そこに収容された5人女性たちがある朗読劇の上演をめぐり対立し、葛藤を繰り返す。
冒頭のお写真の通り、年代もキャリアも異なる女優陣の競演も大きな見どころです。
役柄も、アメリカで成功したい者もいれば、日本で出直したいと思う者もいる・・・そんな5人をご紹介いたします。
知的でリーダー格のジャーナリスト、ソフィア岡崎に土居裕子さん
日本への想いが人一倍強い浪曲師オトメ天津に熊谷真実さん
物語のカギを握るサチコ斎藤には伊勢佳世さん
アメリカでの成功を夢見続けているホテル歌手リリアン竹内に笹本玲奈さん
撮影現場で悔しい体験を重ねてきた映画女優ジョイス立花に吉沢梨絵さん
伊勢さん、吉沢さんはこまつ座初登場です。
披露されたシーンでは、歌ももりだくさん!
ちょっとアメリカ~ンな歌手役の笹本さんの華やかな歌唱と…
日本!な熊谷さんの浪曲が…
朧月夜で奇跡のコラボレーション!!という、エンターテイメント性も高いシーンにワクワク!
はじめは張り合っていた二人が、いつの間にかハーモニーを奏でている!
さらに土居さん、吉沢さんが加わって…
物語の本筋を離れますが、ミュージカル界を代表する歌声の競演!なんて耳福~♪
劇団イキウメの伊勢佳世さんも負けていませんっ!英語、日本語入り交じった見事な芝居歌をご披露!!
こうしてタイプや職業は異なれど、それぞれに凛とした美しさを持つ5人の女性の物語を丁寧に、そして静かに熱く導くのは鵜山仁さん。
鵜山さんのことばをご紹介いたします。
「これはアメリカ市民でありながら、太平洋戦争開戦により、昭和17年に収容所に入れられた女性たちの物語です。彼女たちは強制収容は合衆国憲法違反だとし、憲法の理念に信頼を置くことで、現実を乗り越えたという話です。
また、彼女たちが理念を信じることをよりどころにしたように、アートにも現実を乗り越える力があると信じています。
何年かかるかはわかりませんし、ひょっとしたら一世代では乗り越えられないかもしれません。でも、何世代かかけて現実を乗り越える、つまり、新しい見方、考え方を通じて人間の可能性を広げていくような発見ができるのがアートだと思うのです。井上ひさしさんの作品の中でも、そういったアートの、舞台の可能性をより強く謳った芝居が『マンザナ、わが町』です。
そして、この作品の舞台となる70数年前の状況と“今”はもちろん関わりがありますし、それと同時にこの作品には、これからの70年、100年、1000年先まで繋がっていくメッセージ、そしてエネルギーがあります。ぜひ、ご覧になっていただきたい作品です」戦後70年の秋、18年ぶりに上演される『マンザナ、わが町』。
太平洋戦争下に国籍や民族を越えて、ひとりひとりの人間として立とうとした5人の物語をぜひ劇場で受け止めてください。
【アフターイベント情報】
『マンザナ、わが町』スペシャルキャストトークショー★10月12日(月・祝)1:30公演後
土居裕子 熊谷真実 伊勢佳世 笹本玲奈 吉沢梨絵
井上ひさし戦後70年特別アフタートークショー★10月4日(日)1:30公演後!!追加開催決定!!
落合恵子(作家・クレヨンハウス代表)「声の小さきものの側から」
★10月19日(月)1:30公演後
浜矩子(エコノミスト・同志社大学大学院教授)「正義と平和が抱き合う先に」
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人