『ピアフ』伊礼彼方さん、碓井将大さん、川久保拓司さん座談会レポート

【舞台写真が届きました】


今年もまた、魂を揺さぶられる圧巻の舞台が開幕しました。




製作発表会見での梅沢昌代さんの言葉をお借りすると「まるで走馬灯のようにピアフの人生が浮かびあがるような作品」
そのワンシーンワンシーンを克明に記憶に残すキャストのみなさん、栗山民也さんの演出、そして大竹しのぶさん演じるピアフに再び会えた幸せをかみしめる感激観劇体験です!


【座談会レポート】


まもなく初日を迎える大竹しのぶさん主演の舞台『ピアフ』。再々演となる公演に初参加の伊礼彼方さん川久保拓司さん、そして初演からご出演の碓井将大さん、ピアフの人生に登場する魅力的な男たちを演じるお三方にお集まりいただきました。


川久保拓司さん、碓井将大さん、伊礼彼方さん

──お集まりいただきありがとうございます。まずは、伊礼さんと碓井さんはこれまでに何作がご共演され、川久保さんはお二人と初共演とのことですが。


川久保)
そうなんですよ、聞くところによると二人はもう何回も共演しているんだよね。それも…(笑)。


碓井)
はじめは『テンペスト』(2014年)、そこからSOUND THEATER『eclipse』(2014年)、『BOYBAND』(2015年)と、共演するたびに役の関係性が近づいていって、『BOYBAND』ではチューしましたからね(笑)。


川久保)
キスまでしたら、もう、他人じゃないよね。


伊礼)
そうなると、もう次はね(笑)。


碓井)
どうなるんだろう(笑)。



──そんな密なご関係のお二人に対して川久保さんは初共演。

川久保)
最初は二人とも男前でシュッとしていて、クールなイメージをもっていたんです。なんていうか「僕の半径1メートル以内には入らないで…」みたいな近寄りがたいところがあると思っていたら、すごく馴染みやすい二人で(笑)。
彼方くんは同い年だしね。


碓井)
同い年なんだ!


──驚かれていますが、それは…。

碓井)
川久保くんは若いイメージで、彼方くんは(笑)。


伊礼)
僕はだいたい22歳ぐらいに見られるんだよね。


碓井)
僕より年下じゃん…(笑)。



一同)
笑!!

──『ピアフ』という作品に関しては碓井さんが先輩ですよね。


川久保)
稽古場でも碓井くんが中心にいると場の空気が和むんですよね。バランス感覚もあり、天真爛漫な部分もあり、助けられています。


伊礼)
本当に大先輩ですよ!初演の時、19歳でしょ。そこから5年、俳優人生の大部分携わっているような感じだよね。


川久保)
中2で友達になって、今、高3くらいだからね。それはもう大親友だよね(笑)。


──親友のような作品、共演者のみなさんとの再会はいかがですか。


碓井)
僕がこんなことを言うのは変かもしれませんが、僕自身、年をとったなと思いますよ。
5年ですからね。
僕が演じるテオという役は27歳ですが、19歳の時に27歳を演じるってね。


伊礼)
だいぶ隔たりがあるよね。


碓井)
今は、もうすぐそこです。


──2016年の『ピアフ』のお稽古はいかがですか。

伊礼)
最初は、というか今もかな、変な言い方ですが手足を縛られている感じです。
同じように栗山(民也)さんの演出で何度も上演されている『スリル・ミー』のときにも感じたことですが、すでに計算され尽くした動線というのがあるんです。そこを僕自身の感覚で崩していこうとするんですけど、どうにも崩せないんです。


川久保)
僕は彼方くんのその姿勢にすごく刺激をもらっています。
稽古場で彼方くんが“今までの形”というものに対して一つひとつ独自のアプローチでトライしているのを見ると、初演、再演も素晴らしかったけれど、そこに僕たちが新しく加わったことで持ち込めるものがあるのではないかという気持ちになるんです。
稽古もだいぶ進んでいますが、ここからもうひと段階芝居を深められると思うんだよね。



伊礼)
そうそう、ここからももう一段階上にいけると思う!手足の縛りから解放されてね。


碓井)
いや、この現場で、このスピードの稽古の中で二人ともすごいと思います、本当に。
とにかくやらなくてはいけないことがたくさんあるんです。それを一から覚えていかないといけないのだから。


伊礼)
それで頭がいっぱいになっていると、初歩的な芝居のアプローチを忘れちゃうんだよね。
栗山さんに「最後の台詞、(ただの)台詞になっている」って言われて、すごく恥ずかしかった。実際、その時はそうなっていたし。



川久保)
そうなんだよね、それ、すごくわかる。
その点、碓井くんのテオとピアフのシーンはこれまで培ってきた関係性が出ているなと思いますよ。


伊礼)
最初からちゃんと芝居になっているんだよね。


碓井)
その中で、僕なりに少しでも壊していきたいとも思っているんです。


川久保)
3回目だからこその難しさもあるよね。


碓井)
僕はそれこそ初演のときは19歳で本当になにもわからなかったんです。
なにが行われているのか、誰がどのくらいすごいとか、萬長さんのそれまでのキャリアとかもなにも知らずに。
その初演で作品がすごく評価され、再演のときはいろんなことを知ったうえでの参加になって…前回の形にはめていこうとする自分がいた気がします。
でも、今となっては誰がすごいとかそういうことはわかった上で、それはどうでもいいって置いておけるんです。そこで、僕なりに壊していきたくて。

だから、今回、彼方くんが参加すると知り、それがずっと楽しみだったんです。何をやってくれるのかなって(笑)。


伊礼)
何を?どこで?


碓井)
ほとんどのシーンで、なにかやってくれるんじゃないかなと(笑)。
何回も共演しているから、彼方くんならここは一発いってくれるって(笑)。
これは、期待ですよ。



伊礼)
で、僕はその期待にお応えできているのかな?


碓井)
うん、十分破天荒にやっているよ(笑)!
さっき、いっぱいいっぱいと言っていたけれど、この作品の稽古では誰でもそうなるんだよ。



川久保)
台詞をしっかりと頭に入れてきたつもりでも、飛んじゃうんだよね。
芝居のテンポについていけないとパッと真っ白に。

碓井)
あと、しのぶさんの横にいると空気が濃いでしょ。息が吸いづらい感覚(笑)。


伊礼)
それある!
芝居に決めごとは一切なく、毎回新鮮。その分、毎回ドキドキなんだよ。しのぶさんのすごさだよね。


碓井)
あと、今回、あらためてすごいなと思ったのは、役に入ったときのしのぶさんの目。
変わるんだよね、独特の光を宿すような。
その瞬間、目の前にいるのはピアフで、だから自然と僕もテオとして接することができるんです。


──ピアフとテオの密なお芝居、楽しみです!
また、この作品のもう一つの魅力はそういった濃密な関係がスピーディーに展開するところです。その中でみなさんもメインの役のほか何役も演じられますよね。


川久保)
栗山さんからも「あっという間にさまざまなものが通り過ぎるから、瞬時にその場にそぐう芝居をはめていかなくてはならない」と言われていましたが、稽古をしていてその難しさを実感しています。その場その場できちんとその役になっていないとついていけないんですよ。僕は二幕に関してはピアフのマネージャーのバリエ役だけなので、一幕と二幕で全く違う面白さを感じています。


碓井)
川久保くんの一幕のシーン、体感的には1分くらいで終わるところもあるんです。
本当に一瞬、でも、芝居は流れていく。ああいう時って、役を捨てづらいですよね。



川久保)
そこは本当に反射神経勝負なところもあって。
でも、一瞬だからこそ記号のようにはなりたくないんだよね、下手をしたらそれっぽくやって終われてしまうから。
だから序盤にこの三人で一緒に出るシーンがあるんですが、そこをどういう関係性でどうやるか、二人といろいろと試すことができてすごく楽になったんです。

伊礼)
そうなんだよね。そのシーンが始まったときにピークに達していないと魅力がないし、伝わらない。その場に出てから上げていくようでは、上がりきるときにはシーンが終わっちゃう。その一瞬の役に、気持ちをどう持っていくかはすごく悩むし、そのモチベーションを維持するのもね。
でも、稽古をしていて気づいたのは、それに対する一番の方法はしのぶさんの芝居を見ることなんじゃないかなということ。
しのぶさんのあのテンポに乗って、寄り添ったり反発したり、しのぶさんのエネルギーを利用したほうがいいと思っていて。利用っていうと言葉が悪いかもしれないけど。
でも、それが一番早いと思うんだよね。


川久保)
その芝居のテンポに乗っかるというの、その通りだと思う。
なんていうかこの作品って大縄跳びみたいなんです。みんなすごいテンポで「次、入るぞ、よし、入った!はい、抜けた!」みたいに(笑)。
そのテンポを少しでも乱すと芝居が崩れちゃうんですよね。


伊礼)
うわぁ、それすごく適切な例えだね。それがこの芝居の面白さでもあるからね。
この作品ではいろんな役をやるのを楽しんで、それを見せていいとわかったときに道が開けたような気がして。全部の役で一つという考え方に変わったんだよね。
だからこそ、ひとつひとつの役を掘り下げていくことが大切になるんだけど。
まぁ、その結果、僕のメインの役はレイモンになりました(笑)。



碓井・川久保)
あれ、めっちゃ面白い(笑)!!

伊礼)
でしょ!


── みなさんが何役もされるところにもお芝居としての面白さの秘密が隠れていますね。これまで以上にそこにも注目です。もちろんレイモンにも。


伊礼)
実際、着替えとか着替えとか…裏ではかなりバタバタですけどね(笑)。


──では、最後に、みなさんがメインで演じる役についてうかがいます。それぞれピアフと愛で結ばれた男性ですが、その愛の形をどうとらえていますか。


碓井)
テオの愛は、捧げる愛かな。忠誠心ともいえるような。
ピアフをはじめはファンとして好きになって、現実に奥さんになってもそれを忘れずに、彼女が死ぬまで、いや、死んだ後も借金を返したりするので。
僕の中のイメージではテオは大木なんです。ピアフの横にいる揺るぎない愛、ピアフが安心して寄りかかれるような大きな木になれたらいいなと思っています。



伊礼)
僕はレイモンについてお話すればよいのでしょうか。
あ、シャルル・アズナブールですね(笑)。
シャルルはピアフが押し上げてスターになった男のひとり、当然そういう関係だと思っていましたが、それだけではなく大恋愛をしているんですよね。
そこでは、うまい言い方が見つからないんだけど、常に彼女を認め、肯定してあげるような男なんです。わかりやすく言うとイエスマンになるのかな。
なにに対しても「そうだね、わかった。それはぼくがやるよ」という支え方。テオとは違うけれど、それもひとつの愛情の形だと思います。世間にはスターとして受け入れられながら、近しい人に受け入れてもらえないところのあったピアフのすべてを受け入れる、そんなシャルルを思い描いています。


川久保)
稽古場で見ていてもシャルルとのシーンが一番苦しいよ。大好きなシーン。


伊礼)
え、レイモンより好き?


川久保)
いや、もうそれは風神雷神どっちが好きみたいな。どっちも好き(笑)!


伊礼)
ありがとう(笑)。川久保くんの役は、また違う愛だよね。



川久保)
僕が演じるルイ・バリエはどちらかというと家族愛に近いのかな。
はじめは自転車に乗った押しの強い男の子で、ピアフに「マネージャーにしてくれよ」と言って(笑)。そこからピアフと一緒にショウビズ界でのし上がっていくのですが、その過程でのダーティーな部分も含め、最後までマネージャーとしてピアフから離れずにいた男です。そこには仕事仲間として、ある意味家族としてピアフを思う強い気持ちがあるんです。
僕も、最後までこの人の歌を輝かせたいという気持ちで演じているつもりですし、それはほかの男たちとはまた違う、強い絆だったと思います。


──三者三様の愛し方ですね。
お話をうかがって、それぞれの濃密な人間関係とダイナミックな展開、大小の視点で楽しめる作品であることを再認識しました。再々演にしてまた新しい『ピアフ』誕生の予感です。
ありがとうございました!


2016年の『ピアフ』は2月7日にシアタークリエで開幕し、その後、大阪、広島、名古屋へと旅に出ます。
全身全霊で演じ、歌う大竹しのぶさんのピアフ、一期一会の忘れられない感激観劇をぜひ体感してください。

【公演情報】
エディット・ピアフ 生誕100周年 『ピアフ』
2016年2月7日(日)~3月13日(日)@東京・シアタークリエ
2016年3月19日(土)~21日(月)@大阪・森ノ宮ピロティホール
2016年3月23日(水)@広島・JMSアステールプラザ 大ホール
2016年3月26日(土)~27日(日)@名古屋・中日劇場

<スタッフ>
作: パム・ジェムス
翻訳:常田景子
演出:栗山民也
音楽監督:甲斐正人

<キャスト>
大竹しのぶ
梅沢昌代/彩輝なお
伊礼彼方/碓井将大/川久保拓司/大田翔
津田英佑/横田栄司/辻萬長
池谷祐子

<ストーリー>
エディット・ピアフ──本名エディット・ガシオンは、パリの貧民街で生まれ、路上で歌って生を繋いでいた。
ある日、ナイトクラブのオーナーがエディットに声をかける。
「そのでかい声、どこで手に入れた」
「騒がしい通りで歌っても、歌をきいてもらうためよ!」
“ピアフ”──“小すずめ”の愛称がついたエディットはナイトクラブで歌い、店に集うセレブリティをたちまち虜にする。
華やかで順風満帆な人生にも見えたが、私生活では切実に愛を求めていた。
そして、男を愛する度に「バラ色の人生」や「愛の讃歌」などの名曲を生んだ。
最愛の恋人を失った時も──
仲間が去った時も──
病が身体と心を蝕んだ時も──
エディット・ピアフは、愛した。生きた。歌った。

公演HPはこちらから


舞台写真提供:東宝演劇部
おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・文) おけぴ管理人(撮影)

ピアフ

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