人生は素晴らしい!
カラフルで真っ白な世界をつくり出すミュージカルの魔法♪ オフ・オフ・ブロードウェイの国際演劇祭で最優秀ミュージカル作品賞、最優秀作詞・作曲賞、最優秀演出賞、最優秀主演女優賞の4部門を受賞した日本のミュージカルが、待望の日本初上演!
脚本・作・演出の石丸さち子さん、音楽の伊藤靖浩さんが生み出したミュージカル
『Color of Life』観劇レポートをお届けします。
-あらすじ-
男は画家。大震災を機に、画題を見失ってしまった。
女は女優。心から愛した同性の恋人と死に別れたばかり。
二人は、飛行機で偶然隣りあわせになり、惹かれあい、NYの彼女の部屋で一緒に暮らし始める。二重国籍で同性愛者の彼女と、絵を描くこと以外に世界とつながる方法のなかった彼は。相手に向き合い、自分と向きあっていく。パレットの上で混じりあう絵の具のように、人生が響き合い、新しい色が生まれていく。
でも、やがて観光ビザの決めた90日の猶予が近づいてきて......。
出演者は二人。真っ白な衣裳を身にまとい、人生の中の一瞬の交わりの奇跡を紡ぐのは画家の和也役に上口耕平さん、女優のレイチェル役にAKANE LIVさん。(公演はもう一組、鈴木勝吾さんとはねゆりさんのNew Cast組も!)上口さんが演じる和也の第一印象は繊細、でも、内に秘めたる情熱は誰よりも熱い!AKANE LIVさんのレイチェルは弾けているのだけれど、ふと見せる表情が哀しげで抱きしめてあげたくなるような女性。
内向的と外交的、対照的な男女に見えるふたりが抱える内面はそれぞれ複雑で、その葛藤や秘めたる思いを表現するのが数々のミュージカルナンバー。相手を見つめたり自分を見つめたり、ゆき場のない強い思いを歌に込めたり、ワクワクをポップな曲に乗せたり…ミュージカルの魅力がいっぱいです。
お二人の歌唱の中で、とても印象的だったのはハーモニーの美しさ。互いの心情に寄り添ったり離れたりする繊細な関係がじんわりと伝わってくるのです。互いに惹かれあい大切に思いながらも、どこか入り込みすぎない(というか、入り込めない、入り込ませないのか)二人の距離感をなんとも絶妙に表すのです。これは役としても役者さんとしても、すごくよい関係が築けている、丁寧なお芝居作りがなされているからこそ生まれるハーモニーなのでしょうね♪
そんな二人の出会い、共同生活がスケッチのように描かれるのもこの作品の魅力。連続したドラマというより、○ヶ月後の二人、というようなスポットの当て方で届けられることで、より一層時の経過や、その時が限りあるものだということが印象付けられます。そのあたりの余白も見ている人それぞれに感じ方が委ねられているようで、面白い!
とても緻密に組み立てられているのに自由度が高く、演じる二人の個性でいかようにも変わりうるのに普遍性も持ちあわせている。観劇直後に作品に対して抱いた両極端といえるイメージというのは、この“余白”によるところが大きいのかもしれませんね。
こうして日本初上演の幕が開いた『Color of Life』、この作品にはさらにもっともっとたくさんの可能性を感じます!この日本初上演も、そこに至るまでのたくさんの方のご尽力があって達成されたことですが、それもゴールではなくスタート!そう思える、キラキラ輝く日本初演公演は31日まで@東京芸術劇場シアターイーストにて!
【おまけ】
この公演はノンストップの1時間45分。お仕事帰りにも気軽に観劇できて、自分のことを見つめ直したり、明日への元気をもらったり。リフレッシュにもおすすめです。
舞台写真提供:キティエンターテインメント
おけぴ取材班:chiaki(文) 監修:おけぴ管理人