市村正親さんのエンジニアファイナル(初日会見では…リターンの予感も?!・笑)、新キャスト加入でも話題の『ミス・サイゴン』2016が帝国劇場で開幕しました。
『レ・ミゼラブル』の製作陣、プロデューサー:サー・キャメロン・マッキントッシュ、作:アラン・ブーブリル、作曲:クロード=ミッシェル・シェーンベルグが、1989年に世に送り出した『ミス・サイゴン』。日本では、ロンドン、ニューヨークに続き1992年に初演、以降幾度も再演される大ヒットミュージカルです。2012年から上演されているドラマ性がより一層追求された新演出版は、来年にはついにブロードウェイでの上演も決定と話題が尽きることがありません!
ベトナム戦争末期のサイゴンで出会ったベトナム人少女キム、米兵クリス、そして彼らが出会うキャバレー経営者の通称エンジニアを中心に描かれるものがたり。それぞれの登場人物の人生、運命が交錯するドラマを珠玉のミュージカルナンバーで綴る、これぞミュージカルなのです!
エンジニア役のダイアモンド☆ユカイさん、キム役のキム・スハさん、クリス役の小野田龍之介さんが初日を迎えた10月20日夜公演のスペシャルカーテンコール&初日インタビューをレポートいたします!
スペシャルカーテンコールの司会はクラブオーナー役の麻田キョウヤさん!
【スペシャルカーテンコール】
麻田さん:本日初日を迎えたプリンシパルキャストからひと言ずつ挨拶をお願いしたいと思います。まずは初めてクリス役を演じる小野田龍之介さんです。
「クリス役を務めさせていただいた小野田龍之介です!」
「ありがとうございます!!
「夏から2か月のお稽古、そして先日のプレビュー公演を経て無事にこの瞬間を迎えられたこと、本当にうれしく、光栄に思っています。
この作品はとてつもないエネルギーのある作品なんだということを、お客さんとして見ている時も感じていましたが、出演して一段と強く感じています。日に日に、この作品の虜になっています。きっと最後には泣き崩れてこの作品から離れたくないと言い続けるんだろうなと思います。
ツアーもありますが、まずはこの帝劇公演をしっかり務めていきたいと思います。みなさま今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました」麻田さん:続いては、日本版『ミス・サイゴン』のオーディションがきっかけでロンドン公演に出演し、引き続き、日本でもキムを演じるキム・スハさんです。
「初めまして、キム役のキム・スハです。観客のみなさんに会えてとてもうれしいです。
まず、この舞台に立つことをお許しくださった神様へすべての栄光を捧げます。
そして私を信じてチャンスをくださったイギリスオリジナルチーム、東宝プロダクション、そしてキャストのみなさん、本当にありがとうございます。
私一人では決してやり遂げられませんでした。みんながいてくれたから頑張れました」「そしてお稽古場からキム3人で頑張ってきました。私たちは昆夏美ちゃんを待っています。大千穐楽まで頑張りますので、よろしくお願いいたします。本当にありがとうございます!」ミュージカル『ミス・サイゴン』キム・スハさん&中野加奈子さんインタビューひと言ひと言しっかりと思いを伝えるスハさんのスピーチを見守るみなさん
麻田さん:最後に、本格ミュージカル初参戦!我らがダイアモンド☆ユカイさんです!
「昔、30年前は、ロックンロールバンドを組んで「目指せ武道館!」でやっていました。50(歳)を過ぎて、「目指せ帝国劇場!」になるなんて予想もしていなかった。とにかく、この作品に出たくて、そしてこうして自分の大きな転機を迎えたんだなと感じています。
こうして真ん中に立っていますが、誰よりもみんなに支えられています。実際、エンジニアのなかでも一番頼りにならないエンジニア、こいつ大丈夫かなみたいな(笑)。だけど、とにかく全力投球で、50を過ぎても挑戦してまだまだ夢をかなえることができる!それがロックンロールの精神だし、アメリカン・ドリームの精神!
『ミス・サイゴン』は本当に素晴らしい作品です。何度見ても感動する!アメリカン・ドリームも日に日によくなっている(笑)!
いやいや、毎回全力でやっているんですけど、全力でやっても70、75、80点くらいきたかな。千穐楽には絶対100点いくから!これからも『ミス・サイゴン』をよろしくお願いします」「日に日によくなる」にはキャストから笑いも!
とはいえ、みなさまご心配なく。千穐楽には200点な勢いのユカイエンジニアのアメリカン・ドリームです!
ジジ役:池谷祐子さん
ジョン役:上原理生さん
トゥイ役:藤岡正明さん
タム役:重松俊吾くん
『M's Musical Museum Vol.3』藤岡正明さんロングインタビュー麻田さん:11月23日まで、12月、来年の1月は地方公演へ旅立ちます。非常にハードな作品ですが、より大きな感動をお届けできるように、我々一丸となって頑張ってまいりますので、どうか応援のほどよろしくお願いいたします!
【初日記念公開インタビュー】
スペシャルカーテンコールに続き、聞き手にミュージカル誌の山内さんを迎えての公開インタビューが行われました。
山内さん:初日おめでとうございます。無事に初日の幕が下りました。今の率直なお気持ちを。
ユカイさん:そうね、やっぱり無事にここに立っている自分をなかなか想像できなかった。
最初、始まったときは本当に俺大丈夫かなって。ミュージカル俳優としてはよちよち歩きしかできない状態、そこから2か月で歩いて走れるところまでやらないといけない。でもこうしてみんなに支えられ、今ここに立っています。感慨深いね!
昔は武道館だったけど、今は帝劇だぜ!!イエーイ!スハさん:この時が、本当に来るのかと思っていました。こうして観客のみなさんにお会いできたこと、私がこの帝国劇場でキム役を演じられることを嬉しく幸運に思っています。小野田さん:とにかくホッとしています。初日前、昨日の夜は眠れないのではと思っていましたが、そんなこともなく(笑)。それは、舞台稽古、プレビュー公演と、しっかり準備ができたので、すごくいい意味でリラックスして、この作品の世界観に身を委ねられたからだと思います。これは共演者、スタッフ、オーケストラのみなさんのおかげだと思います。山内さん:お稽古のなかで一番苦労したことは。
ユカイさん:苦労ね。あのね、毎日が苦労、でも別になんとも思っていないんですね。だってやりたくてやってんだからさ!
ただ、ひとつ挙げると痩せちゃうんだよね(笑)。稽古が激しいのか、精神的に苦しいのか…だって、毎日演出補のJPにつかまって、ずっとお説教でしたからね。ユカイさん:見てたじゃん、それを!
ユカイさん:なぜかわからないけど、食っても食っても痩せちゃうのよ。だから朝からウナギを食っていました!今日もウナギ食ってきました。山内さん:キム・スハさんはいかがでしたか。
スハさん:発音の部分が一番心配でした。ユカイさん:えー!俺より発音いいよね(笑)。スハさん:ありがとうございます。
小野田さん:伝説的な、僕も何度も見て、CDも聞いていていた作品ですので、クリスをやることになり、どうなるんだろうという思いはありました。でも、苦労はなかったんです。その理由は、僕はJPはじめ、スタッフのみなさんに完全に身を委ねて稽古を進めることができたからです。とにかくこの作品はプリンシパルもアンサンブルもひとりひとりにドラマがあります。その中で、みんなのエネルギーをもらいながら稽古が出来たので、毎回毎回楽しかったです。
あと、僕も最初は痩せていきました、本当ですよユカイさん:ダイエットに良いよね。小野田さん:ミス・サイゴンダイエット(笑)! 山内さん:小野田さん、この大役を帝国劇場で演じることへの想いは。
小野田さん:はじめて帝国劇場に立たせていただいたのが、ちょうど10年ほど前、15歳ぐらいの時でした。その時はまさか自分がクリスをやるなんて思ってもいませんでした。
そして、25歳になった今年… ユカイさん:え、25歳なの!うそー!本当?
小野田さん:本当です!『ミス・サイゴン』と同い年なんですよ。
ユカイさん:先輩だと思ってた!
小野田さん:自分の中でも節目の年に、こうして記念すべき年の『ミス・サイゴン』に携われたことは本当に幸せです。山内さん:最後にみなさんにうかがいます。役、作品を通して届けたいメッセージは
小野田さん:この物語にはベトナム戦争の中で生きた人々のドラマが描かれています。今のこの時代でも、世界のどこかで争いごとはあります。そのなかで常に、それがベストではなくても答えや生きる術を見つけて、懸命に生きているひとがたくさんいると思うんです。それを深く描いたのがこの作品です。ひとりひとり、舞台上にいるすべての人の生き様を感じていただけたらと思います。スハさん:小野田さんと似たようなお話ですが、私たちの周辺ではまだベトナム戦争のように悲しくて残忍なことが起きています。今日、ご覧になった私たちの悲しいストーリーを忘れないでください。みなさんの記憶に刻んでください。ユカイさん:二人とも若いのに大人みたいだな。素晴らしい。最後が俺で大丈夫?
物語って2つあると思うんです。ひとつはハッピーエンドで答えが出る物語。もう1つはフランス映画のように突然の幕切れとなり、その後どうなるんだろうなと考えさせられる物語。俺はどちらかというと2つ目のほうが好きなんです。
『ミス・サイゴン』はまさしくそのようなストーリーなので、結局、この作品を見てみなさんに何を感じていただけるかが重要なことなのかなと思っています。
自分のことを言わせてもらうと、30年間ロックをやって来てましたしが、エンジニアはまさしくロックンロールの精神です。どんなことがあっても絶対成功するんだ!と常に前のめり。本当のアメリカン・ドリームというのは夢をかなえることではなくて、夢をかなえるために頑張ること。そう思って、この歌を歌っていきたい。
素晴らしい仲間たち、このサイゴンファミリーみんなが創り上げている最高の舞台、俺はそんな舞台に立てて本当に幸せです。そして立つかぎりは120パーセント、もう、どんなことがあっても全力投球でやりますので、また、『ミス・サイゴン』を見に来てくださいね!!よろしくお願いします。山内さん:『ミス・サイゴン』はキャストの組み合わせが変わることで新たな発見も生まれる舞台です。1月まで公演は続きますので、ぜひまた劇場へお運びいただければ幸いです。キャストのみなさん、素敵なお話をありがとうございました!
最後に早速寄せられた感想から、ユカイさん、スハさん、小野田さんへのコメントを中心にご紹介。
◆見終わった後スッキリ出来るような作品ではありませんが、見たことがない人には是非一度見て欲しい、心に残る作品です。
素晴らしいナンバーの数々、帝国劇場ならではのダイナミックな演出、そして作品全体を通して描かれる「壮絶な愛」。ミス・サイゴンは決して色褪せないミュージカルです。
特に今回初参加のダイアモンド☆ユカイさんのエンジニアは当たり役、必見です!
◆まずはキム役のキム・スハさんの歌が上手くてびっくり。
ささやくように歌う時も力強く歌う時も声が通って台詞もわかりやすく本当に素敵でした!舞台の迫力、歌、キャスト、全て完璧。前知識なしでも感動する事間違いなし!
是非観て欲しい作品です。
◆ミス・サイゴンならではやはりヘリコプターの場面、場内に起きる爆音と爆風の移り変わり。舞台装置も素晴らしいが舞台転換の速さ一瞬の内に大使館の柵の内側と外側が替わって行く、演出の素晴らしさは圧倒される。ミュージカルとしては筈せない作品です。
◆キムという少女が貫いた愛の形は勿論ですが、「戦争」という、命の奪い合いを正当化できる事象の恐ろしさを、本当に丁寧に、忠実に力量ある役者さんや演出家さん・スタッフさんで描いているので、そこが最大の魅力だと思います。
◆戦争という素材は小説、映画、ミュージカルなどでよく使われる素材の一つです。お互いになぜ殺し合わなければならないのか、理由も分からないまま命を落としていく若者たち。戦争により愛する家族と離れなければならなかった人々。
緊迫な状況に追い込まれ、正義など考える余裕なんてない悲しい現実…『ミス・サイゴン』は戦争が引き起こした数多くの悲劇のうち極一部の内容です。
戦争というのがどれだけたくさんの人に傷を残したのか、改めて思いました。久しぶりに泣けました!心に残る舞台でした!!
◆辛いし、キツいし、ショッキングなミュージカルです。でも、何度観ても観た回数だけ違った答えが見える、頭と心をフルに刺激してくれる作品だと思います。ぜひいろんな世代の人に体験して欲しいです!
知念里奈さんの弱さと強さを同時に感じさせるエレンに泣かされました!
◆日本初出演のとなるキム・スハさんのキムを楽しみに観劇しました。
登場シーンでは、素朴な容姿(失礼)と健康的な身体が、ある意味リアリティがあって良いな、と思う。そして、ひとたび歌いだすと、一瞬で会場の空気を一変させ、観客の目を引き付ける存在感が。伸びやかで美しく良く通る歌声。感情表現も豊かで、今回、スハさんのデビューを観る事が出来て超ラッキーでした。
◆ミス・サイゴン、初見です。ダイアモンド☆ユカイさんがとてもはまり役に思いました。生に執着し、足掻き、足掻ききる姿は、時に醜く、時に滑稽で、なんと人間らしいことか。
◆新キャストのキム役のキム・スハさんの歌声がとても綺麗で透き通った声でした。声の線は細く繊細な感じですが、声量がすごくて感情の伝達が素晴らしい。この舞台のために初めて日本語を覚えたとは信じられないほど完璧な日本語でまたびっくりしました!感動して帰りの電車で即チケット調べました(笑)。
◆今回、ミス・サイゴンのカンパニーの仲間入りをした小野田龍之介さん、彼が10代の頃から、出演する作品を観ていますが、観させて頂く度に、ミュージカルの神様に愛されているであろう圧倒的な歌声に気圧されてしまいます。クリス、素晴らしかったです。
笹本玲奈さんは相変わらずの情熱的で、でも淡い白色の様なキムで、可憐で素敵でした。エンジニアを演じたダイアモンド☆ユカイさん、エンジニアというキャラクターに通ずる所があり、お茶目でどこか憎めないエンジニアを見せていただきました。ジョン役のパクソンファンさん、ジジ役の中野加奈子さん、もう、素晴らしいの一言に尽きました。圧倒的な歌声、震えが止まりませんでした。
ミュージカル『ミス・サイゴン』2016 製作発表写真速報!saigon2016
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人