宝塚歌劇 月組 シアター・ドラマシティ公演『アーサー王伝説』開幕!


王となる運命を背負い、葛藤する若きアーサー王を演じるのは
月組新トップスターの【珠城りょうさん】!


 フランス発のオリジナルミュージカルを、月組新トップコンビ主演で日本初演!

 トップスター就任後の初作品として、これ以上はないほどぴったりの役にめぐりあった【珠城りょうさん】を中心に、月組生の魅力・個性が大いに輝く舞台は、これからの宝塚歌劇の新たな可能性までも感じさせる意欲作となりました。

 東京公演を経て、いよいよ大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて幕を開ける宝塚歌劇月組公演『アーサー王伝説』開幕レポをお届けいたします。




 イギリスに古くから伝わるアーサー王の伝説を、ポップな音楽とスピーディな展開で描く本作。昨年同じ月組で日本初演され、帝国劇場で上演された東宝制作版も大ヒットとなったミュージカル『1789 バスティーユの恋人たち』と同じく、脚本・作詞・作曲はドーヴ・アチア氏。2015年9月にパリで初演されたばかりの、まさに“最先端”フレンチミュージカルです。

 膨大なエピソードからなるアーサー王の物語ですが、本作ではアーサーとその妻グィネヴィア、アーサーの異父姉で魔女のモーガン、そしてグィネヴィアと恋に落ちてしまう騎士ランスロットとの関係に焦点をあて、王となる運命と愛の間で揺れるひとりの男の成長物語が描かれます。

 この公演のために書き下ろされた新ナンバー「アーサー王讃歌」が加わったほか、ロマンチックな描写、個性豊かな登場人物の活躍など、宝塚らしい味付けも多数!

 次頁からは、キャストごとの見どころや宝塚ならではの演出など、その魅力にさらにクローズアップ! 舞台写真とともにお届けいたします。

(妖艶な魔女モーガンを演じる【美弥るりかさん】、眩しいくらいにキラキラした魅力を振りまくランスロット役【朝美絢さん】、そして! 悪役メリアグランスをパワフルに魅せた【輝月ゆうまさん】など月組生の魅力たっぷりです♪)








出会ってすぐに恋におちたアーサーと隣国の姫・グィネヴィア(愛希れいかさん)


【運命を受け入れ、乗り越える強さを持つアーサー王役・珠城りょうさん】

 トップスターとして挑む初めての公演で、この作品、この役にめぐりあえたことは「宿命」なのでしょうか。天海祐希さん以来2人目となる「入団10年以内でのトップ就任」が話題にもなった珠城りょうさん。置かれた立場と役者としての個性が本作でのアーサー王の人物像にぴったりとハマりました。

 スタイリッシュなデザインのコスチュームに身を包み、甲冑の下の筋肉まで感じさせるような“男役的”体格で、聖剣エクスカリバーをかざす姿は文句なしの「王者」。

 舞台の真ん中に立つのがほんとうにお似合いで、娘役さんをすっぽりと包み込むような抱擁シーンにはうっとりとさせられますが、その魅力の真髄は、強さや包容力と無理なく同居する“不安”や揺らぎ”を丁寧にみせる演技にあるのかもしれません。

 若くして王となる宿命を背負ったアーサー。戸惑い、苦しみながらも宿命を受け入れ、自らの力で新たな運命を切り開いていこうとする姿に胸が熱くなります。物語終盤にみせるアーサーの決断、そしてラストの凛々しい立ち姿に、これからのトップスターとしての輝かしい活躍が約束されたような、そんな印象を受けました。

 さらに特筆したいのが、珠城さん=アーサー王の「周りを輝かせる“主役力”」です。

 この物語のなかでのアーサーは“受け身”であることが多く、自らがかっこよく活躍して勝利をゲット! という見せ場はあまりありません。魔女モーガンにあっさりと騙され、愛に悩み、悪役を成敗するのは自分ではなく部下。ヒーローといわれてもピンとこないかもしれません。とはいえ、それこそがまさに“主役力”。主演男役がしっかりと真ん中に存在することで、周りのキャラクターがいきいきと動き出し、個性を輝かせる。これぞまさにさまざまな能力を持った“円卓の騎士”たちを集め、意見を出し合いながら国を治めたアーサー王の言葉「統治すれども君臨せず」そのもの! これからの月組で、さまざまな個性が輝くのがますます楽しみになりますね。


【ダンスだけではない、芝居力と歌唱でもきらめきを魅せたグィネヴィア役・愛希れいかさん】

 アーサー王に愛され、また彼を大いに苦しめることになる妻・グィネヴィア役を演じたのはトップ娘役として4年以上のキャリアを持つ愛希れいかさん。

 物語の序盤では、若く無邪気で自分の気持をストレートにアーサーにぶつけるキュートで快活なお姫様。ランスロットと出会い、恋を知ってからの葛藤する姿との落差が鮮やかです。美しい金髪のヘアスタイルも彼女の動きにあわせて、ときに楽しく弾け、ときに恋の悲しみを表すような陰影をその顔に与えて好印象! 

 劇団随一のダンス力を活かした動きの美しさはもちろんですが、アーサーとの出会いに舞い上がり歌うポップなナンバー「ひとりじゃ眠れない」も愛希さんの個性にぴったりで耳に残ります。

 パントマイムを取り入れた演出も話題のひとつの本作。以前にもショー作品のコッペリアをモチーフにした場で人形振りパフォーマンスを見せてくれましたが、今回はその動きがさらに進化。どんなに目を凝らしても人形そのものにしか見えない愛希さんの動きは必見です!







アーサーへの恨みをパワーに変える魔女モーガン。
芝居のうまさが際立った【美弥るりかさん】


【アーサーへの復讐に生きる、強く哀しい魔女モーガン役を好演! 美弥るりかさん】

 『1789 バスティーユの恋人たち』ではルイ16世の弟アルトワ公を妖しくエキセントリックに演じた美弥るりかさん。今回はその妖しい魅力がさらにパワーアップ。アーサーに対し、逆恨みともいえる感情を燃やして執着する魔女モーガン役を、美しく妖艶に大好演です!

 これまでにもショー作品での女装のほか『ME AND MY GIRL』のジャッキー役や『風と共に去りぬ』のベル・ワットリング役など女役を何度か演じている美弥さんですが、今回のモーガン役はなかでも一番の当たり役と言えそうです。声の高低を自在に使い分け、派手な衣裳を着こなし、恋人たちの運命を弄ぶさまは、まさしく女王様(いえ、ほんとうは魔女ですが)。まるでロックスターのように押し出しの強い役ですが、“オイシイ”キャラクター設定の上にあぐらをかかず、芝居力の高さを存分に見せてくれました。

 次回の大劇場公演『グランドホテル』では、人生最後の贅沢に高級ホテルに逗留し、生命の意味を見つめるオットー役を演じることが発表されている美弥さん。今回のモーガン役とは正反対の役柄でどんな演技を見せてくれるのか。今から楽しみでなりません。






【「芝居の月組」を彩る個性豊かな演者たち】



美しく勇敢な騎士ランスロット(朝美絢さん)もまた、愛と使命の間で揺れ動きます…

 グィネヴィアへの想いと王への忠誠心の間で揺れる騎士ランスロット役を切なく見せてくれたのは、来年5月に雪組への移動が決まっている朝美絢さん。アイドル的なビジュアルで人気ですが、本作では繊細な演技や歌唱力の進化も見せて成長ぶりをアピール。やはり芝居力が強みの雪組移動後の活躍にも期待です。




殺陣やメイクにも気合が入りまくるメリグランス役の輝月ゆうまさん。

 初めての大役で、与えられたチャンスに200%の力で応えたのが、悪役・メリグランス役の輝月ゆうまさん。珠城さん演じるアーサー王と対峙しても負けないくらいのド迫力! 「このふたりが対決する姿をもっと見てみたい!」と思われた方も多いのでは? 美弥さん演じるモーガンを背中にのせるリフトの大技もお見逃しなく!


 同じく大抜擢に見事に応えたのが、アーサーの兄・ケイを演じた佳城葵さん。つねに酔っ払っているダメ兄貴…という設定なのですが、これが思わぬ儲け役! 動きやセリフの間のとり方の的確さが光ります。次回公演『グランドホテル』ではどんな役がつくのか。観劇の楽しみがひとつ増えました。

 このほか、モーガンの分身ともいえる手下コンビを小悪魔的魅力で演じた早乙女わかばさんと海乃美月さん(悪巧みをする彼女たちのダンスとコーラスがとってもキュート! 愛希さんとこの2人が踊るフィナーレナンバーはクールなかっこよさ!)、安定の歌唱と演技でアーサーを導く魔術師マーリンを演じる千海華蘭さんらが舞台を支えます。

 短い場面でランスロットへの友情と王への忠誠心をみせるガウェイン役の紫門ゆりやさん、熱い動きが素敵なウリエンを演じる貴千碧さんほか、アーサー王のもとに集う円卓の騎士たちも、髪型やマントさばきに個性を見せてくれますので、ファンの方は舞台の隅々まで要チェックですよ!

 
 




【ショー的要素も盛り込まれ、目で耳で楽しむ『アーサー王伝説』】

 フレンチミュージカルの魅力のひとつでもあるポップスやロックテイストを取り入れた音楽は本作でも健在。題材がイギリス、ケルトに伝わる物語なだけに、民族音楽的な響きが取り入れられているのも新鮮です。

 また先述のとおりマイム的な動きのほか、杯を使ってのハンドダンスなど、ショー的要素も満載。

 王の妻が他の騎士と恋に落ちるというストーリー展開は、現在の日本の倫理観に照らし合わせて首をひねる向きもあるやもしれません。が、アーサー王の物語は5世紀頃に成立したと言われるイギリスの伝説。日本でいえば古事記のヤマトタケルの冒険物語のようなものと割りきって、スピーディに展開するショー的ステージを楽しむのも乙なのでは。

 もちろん、潤色・演出を手がけた石田昌也氏のメッセージ(プログラムに記載)にあるように、親たな王アーサーの誕生と、新トップスターの存在を重ねあわせ「許し、手放すことで何かを得る」という隠されたテーマを噛みしめる文学的見方にも十分耐えうる作品。観客ひとりひとりが、自分なりの楽しみ方を探せるのが宝塚ならではの醍醐味と言えそうです。

 東京の2倍の公演数となる大阪公演。これからさらに進化していくであろう『アーサー王伝説』は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて11月9日まで上演されます。

「芝居の月組」の底力を堪能。2017年の1月1日に宝塚大劇場にて初日を迎える『グランドホテル/カルーセル輪舞曲』への期待も大いに高まる新生・月組公演。みなさまどうぞお見逃しなく!



【公演情報】
宝塚歌劇 月組 シアター・ドラマシティ公演『アーサー王伝説』
2016年10月28日-11月9日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(map)


公演詳細(梅田芸術劇場)
梅田芸術劇場公式サイト
宝塚歌劇団公式サイト

おけぴ取材班:mamiko(文/撮影)   監修:おけぴ管理人

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