【開幕速報!】 ミュージカル『マーダー・バラッド』観劇レポート

 中川晃教平野綾橋本さとし、そして濱田めぐみ──。

 圧倒的な歌唱力を持つ4人の出演者が集まったミュージカル『マーダー・バラッド』。東京公演に先駆けて開幕した兵庫公演、初日直前に行われた舞台稽古の模様を速報でお届けします!!




 2012年にニューヨークのマンハッタン・シアター・クラブで初演。翌年オフ・ブロードウェイの劇場に移り、同じ年に韓国でスピード上演&ロングラン、さらに今年9月からはロンドン・ウエストエンドに進出(出演はケリー・エリス、ラミン・カリムルー…!)。各国で衝撃を持って迎えられた話題作が、ついに日本初上陸。

 NYのバーを模した舞台の上に現れるのは3人の男女と、彼らの運命を見つめるナレーター。4人の出演者が舞台上のバンド生演奏とともに歌いっぱなしのノンストップ90分を駆け抜けます!

 若き日に燃え上がるような恋におちたトム(中川晃教さん)とサラ(平野綾さん)。トムと別れたあと自暴自棄になっていたサラと出会い、後に夫となるマイケル(橋本さとしさん)。サラとマイケルの間には子どもが生まれ、平穏な日が続くかのように思えたが…。ナレーター(濱田めぐみさん)が「誰かが殺される」と歌うなか、再燃する恋の炎…男女の危険な三角関係…そしておこる殺人事件…。

 誰が、なぜ、誰に、殺されるのか?

 NY、韓国版と同じく、まるでバーの客になったような気分で物語を目撃できる舞台上の客席(ステージシート)も設置され、目の前で起きる“事件”に飲み込まれていくような感覚になるこの作品。

 そこで繰り広げられるのは、才能と才能のぶつかり合い! ガチンコ勝負!! 「“セリフなし、歌のみ”の舞台だからこその布陣」と誰もが納得した最強歌力を持つキャストの面々ですが、意外にもそこから浮かび上がってきたのは、4人の出演者の“役者”としての確かな存在感でした。


 



 本作の演出を手がけるのは、『炎 アンサンディ』『アルトナの幽閉者』などで演劇界から高い評価を受ける上村聡史さん。初めてのミュージカル作品演出となりますが、そこに立ち上がっていたのは、これまでの演出作と同じく“人間たち”のドラマでした。

 装置の転換も暗転もほぼなし、休憩もなしの90分でみせる3人(4人?)の男女の10年にわたる物語。登場人物それぞれが抱えるマグマのような情熱に押し流され、動き出すドラマに身を任せる快感…やっぱりこれはロックコンサートではなくて“お芝居”です!




 『グランドホテル』の死期が近づいた会計士オットー、そして『ジャージーボーイズ』の“天使の歌声を持つ”フランキー・ヴァリ役に続き、中川晃教さんが本作で演じるのは、危険で情熱的な男・トム。

 伸びやかな高音が印象的だった『ジャージーボーイズ』とは180度違う、ささやくような低音ボイスがとってもセクシーで、中川さんの新たな魅力にドキドキ…! 伏し目がちで暗い表情のなかに熱い情熱を感じさせる“近づいたらヤケドする”系男子! まさか来年の春にはスヌーピー(『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』)に変身するなんて…信じられません。10年ぶりに再会した恋人に「Sara♪」と愛しそうに呼びかけるナンバーの色っぽさ、必見必聴です。

 そのトムと危険な一線を超えてしまうサラ役を演じるのは、こちらもまた舞台出演のたびに違う顔を見せてくれる平野綾さん。百戦錬磨のミュージカル界の先輩俳優3人を相手に、ほぼ出ずっぱりで数多くのナンバーを熱唱。痛々しさを感じさせるほど、不安定に揺れ動くサラを体当たりで演じます。

 

 
 音楽と芝居との融合を鮮やかにみせてくれたのはマイケル役の橋本さとしさん。歌詞がセリフになって耳に飛び込む安心感、ロックにシャウトする歌声はもちろん、表情や動きでマイケルの切ない心を見せてくれるのは、やはり芝居力あってこそ。物語前半でみせる優しく知的な雰囲気と、サラを問い詰めるキレた迫力のギャップ。ギュインギュインと響く低音ベースにのせた叫びが胸に刺さります!!
 
 3人の運命を見つめるナレーター役で「良い意味で期待を裏切れるとおもう」と語っていた濱田めぐみさんは、オープニングの第一声から背中がゾクゾクするような存在感。クールに物語を進めているかと思いきや…舞台の奥で思わぬ激しい表情を見せていることも。彼女=ナレーターの役割は一体なにか。その謎が90分間ずっと頭を離れないはず。さりげなくサラと動きがシンクロする演出の恐ろしさもキーポイントです。


 


 この顔ぶれですから、歌がうまいのは当たり前(なんて贅沢!)。ロックでダークでエモーショナルなナンバーを歌いこなしたうえで、クルクルと変わる登場人物たちの感情をいかに客席に届け、“動機”に説得力をもたせるか。繰り返しになりますが、衣裳も装置もほぼそのまま、セリフもなし、90分で! です。これをやり遂げるのはきっと役者としての大きな挑戦。舞台の“上”からも観客の視線にさらされながらオーバーヒートしていく、刺激的な4人の関係は、これからさらに熱く燃え上がっていきそうです。


 妻を愛する夫、夫を愛しながら過去も忘れられない妻、再び目の前に現れたかつての恋人に夢中になる男、そしてこの3人を見つめる彼女の眼差し…。4人の緊張が限界に達したとき、起こる事件とは?

 なにもかもが終わったあとに、エンターテイメントの魔法も感じるミュージカル『マーダー・バラッド』。

 兵庫公演は11月6日までの上演。4日(金)14時公演終了後には出演者によるアフタートーク開催。5日(土)12時公演はスペシャルアンコール実施、15時半公演終了後にはバックステージツアーが開催されます。(東京公演は11月11日から)

 




ミュージカル『マーダー・バラッド』
2016年11月3日(木)−11月6日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール(map)
2016年11月11日(金)-11月27日(日) 天王洲銀河劇場(map)

訳詞・上演台本:森雪之丞
演出:上村聡史
音楽監督:島健

出演:
中川晃教
平野綾
橋本さとし
濱田めぐみ

<あらすじ>
ナレーター(濱田めぐみ)が歌う。「聖人と罪人の歌が聞こえる。美しい炎は引力がある、でも触ってはいけない」。

ニューヨークに住むサラ(平野綾)とトム(中川晃教)は、幼いころに出会い、燃え上がるような恋をする。サラは歌手を、トムは俳優を夢見ていた。だが、あまりに熱い恋は時がたてば冷めるもの。トムはサラに飽き別れを告げる。失恋したサラは傷をいやそうとダウンタウンのバーで酒におぼれる日々。そんなある日、酒に酔いふらつきながら帰る途中、詩の博士号を持つマイケル(橋本さとし)と出会う。マイケルは傷つきボロボロになっていたサラを抱きしめ、二人は恋に落ち、結婚する。
アッパーサイドに家を買い、家庭を築き、娘のフランキーが産まれる。だが、サラはいつしか、毎日同じことの繰り返しの日々にうんざりとしていた。育児と家事に疲れたサラは、かつて燃え上がる恋をしたトムを懐かしく思い出し、トムがダウンタウンに新しくオープンしたクラブ<キングズ・クラブ>を訪ねてしまう。サラと別れたことを悔やんでいたトムは、再会したサラを手放したくはなかった。結局二人は恋に落ち越えてはならない一線を越えてしまう。だが時間がたつにつれ、後悔の気持ちばかりが大きくなるサラ。一方のトムは嫉妬の気持ちばかりが強くなっていく。やがて、マイケルも二人の関係に気がつく。 
トム、マイケル、サラ…ついにキングズ・クラブに3人が揃う。

ナレーターが歌う。「クラブ、ダイヤ、スペード、ハート 勝負の決め手は自らの選択と、運命!」。
そして、キングズ・クラブで未解決殺人事件が起きた。殺したのは誰か?


公演情報詳細(兵庫公演/梅田芸術劇場)
梅田芸術劇場公式サイト

写真提供:梅田芸術劇場  写真撮影:森好弘
おけぴ取材班:mamiko   監修:おけぴ管理人

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