【舞台写真&感想で綴る】こまつ座 第115回公演『木の上の軍隊』観劇レポ



 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演中のこまつ座 第115回公演『木の上の軍隊』、沖縄県・伊江島で、戦争が終わったのを知らぬまま、2年もの間、ガジュマルの木の上で生活をした2人の日本兵の実話をもとにした物語。“かつて”を描いているようで、“今”をひしひし、ヒリヒリと感じさせる作品の舞台写真と、思いの詰まった素敵な感想が届きました。




◆初めてみた前回、すでに諸々の矛盾があきらかになっていたけれど、わずか数年の間に速度を増して危うい方向に向かってまっしぐら。そんな現代にぐさりと刺さる。
 山西さんはもう今更ですが、現実は舞台にあるように錯覚させる凄さ。普天間さんは素晴らしい表現力のある声だ。松下さんは舞台の進行とともに、まさにクレッシェンドという感じ。
 時宜を得た再演だと思いました。

◆出演者3人は当然として、松井るみさんの手による「木」がいいです。ヴィオラの方(有働皆美さん)もその音色も。
 戦争を人間から描くことに成功した作品。それは、本当に難しいことですが、見事です。
 このような題材には足が向かない方も大丈夫。なにかを押しつけてくることはないので、安心して見てください。

◆リアルな巨木の舞台セットの素晴らしさと終戦後2年間その木の中で暮らした兵士の心情を山西さん、松下さんが魅せてくれました。
 現在でも通じるものが幾つもあり、本当の意味での終戦ではない事を再認識させられる。

◆なんと言っても、山西さん。生き抜くための諦念と、日本国軍人であることとの狭間で揺さぶられる様子は、可笑しみや哀しみに溢れていました。
 松下さんの真っ直ぐな言葉と眼差しは、深く心に刺さりました。心情の変化が、実に人間臭かったです。
 木の登り下りが頻繁にあったことで、舞台の高さも楽しむことができました。
 お二人が木の上から基地を見つめる姿に、自分の内側がえぐられた気がしました。

◆観ている間もジワジワ感じることができたが、観終わってからのほうが感情が揺さぶられ、歩きながら泣きそうになった。2人の俳優さんがとても良く、普天間さんの語りや歌も良かった。そしてヴィオラが良い!
 とても良かった。観て良かった。




◆現実がスパイスになっているタイムリーな作品でありながら、エンタテイメントとしてもじゅうぶん心を揺さぶるものだった。
 上官と新兵のやり取りは軽妙で、ときにくすくす笑いが劇場に広がる。
 そして、最後につきつけられる葛藤に涙する。
 ぽろぽろとこぼれるというより、絞り出すような涙。
 見てよかった。

◆観なきゃ、一生後悔するところでした。
 美しく、楽しく、そこで本当に二人が生きているリアルがまざまざと感じられる舞台。美しい音と「樹」に、一気にその島に連れていかれました。
 案外、悲壮感を感じません。それぐらい展開や話題、季節の移りが目まぐるしく、笑いが起こる場面も多々ありました。全く押し付けがましくない。
 しかし、説得力ある心理描写。
 このキャストだからこその輝き。最高。

◆ニュースで見るだけの沖縄と違い、新兵の優しい思い出と共に上官側の感覚に近い自分の沖縄に対する距離感を感じつつ、見つめ続けなくてはならない現状を教えてくれました。

◆戦争物と聞いて浮かぶ、想定していたわかりやすさはなく、でも、そこに確かに生きていた人たちの生々しさを肌で感じとれるような作品でした。
 日常が塗り替えられてしまった新兵と、戦うためにやってきた上官の対比が印象的でした。
 カタルシスがある作品ではないですが、この作品の先の時代に私たちの今があることを、深く考えさせられるような内容です。

◆上官役の山西さんが上手い。権力者側の嫌らしさを感じさせながらの情けない可愛らしさに、笑ったり、妙に共感を覚えたり…。志願兵役の松下さんの沖縄訛りの言葉に故郷への深い思いをリアルに伝わり、戦争を知らない世代にも戦争のむごさに考えさせてくれる作品。




◆なんといっても、新兵役の松下洸平さんの演技がとても良かったです。
 擦れていないまっすぐさ、無垢な瞳の先に沖縄の景色が確かに広がって見えました。
 70年の時を超えて、今また同じことを繰り返しかねない私たちへの警鐘のように感じました。ぜひ、多くの方に観て頂きたい舞台でした。

◆ガジュマルの木と2人の兵士を照らす照明がとても美しく、場面場面で変わる照明に引き込まれました。またヴィオラの音色が優しく、また時に刺激的であり心に響きます。

◆舞台セットの巨大な樹木の大きさに圧倒されます。また照明が素晴らしくて実際に外にいるような錯覚に陥ります。
 特に夕焼けに照らされる巨大な樹木は本当に美しかった。

◆まずは圧倒される、ガジュマルの木。自分も登りたくなってしまうほど、包容力にあふれています。優しくて厳しい目でふたりの行く末と見つめ、明日への命として繋いでいくいわば主役。
 そしてそのガジュマルの木の精役の、普天間かおりさん。ストーリーテラーながら時にはウチナーグチで唄い、哀愁感たっぷりでした。
 主役のお二人、松下くん、山西さん、共に熱の入った演技に心底感銘しました。



左より)普天間かおりさん、松下洸平さん、山西惇さん


◆大きなガジュマルの木のセットに二人の兵士と語り部というシンプルな構成ですが、アメリカ兵の姿や基地の様子が目の前にハッキリと浮かぶような生々しさを感じました。
 この問題は過去のことではなく現在も続いていることだと改めて考えさせられた作品でした
 役者さんの演技に引き込まれあっという間の2時間です

◆新兵の信じる心、それを受け止める勇気と覚悟を問われる上官。
 見つめ、唄うガジュマルの精霊。
 語るビオラ。
 凝縮された舞台が戦争と向き合う大切な時間を作ってくれました。

◆実際には見えていない基地が広がっていく風景の重みが、終盤になるにつれて大きくなっていくのが怖くもあり、それを“自分の事”として受け止めていない私もいて、心に刺さる時間でした。

◆松下君の沖縄訛りの台詞と普天間さんの歌声、舞台セットや照明、時々聞こえる波の音など…のどかで美しい伊江島の雰囲気が伝わります。
 観劇後は、伊江島に行ってみたくなります。







 稽古場取材でその言葉、メッセージに圧倒されましたが、劇場で見る『木の上の軍隊』はさらなる迫力でした。ガジュマルの木の力強さ、言葉の力強さ、逃げてはいけない現実…。
 そして、この作品を見て「悲しかった」です。わかり合うことは難しいかもしれないけれど、ここで感じたことを私たちも信じていきたいと思うのです。
 公演は27日まで!



<イベント情報も続々UP!>


【公演情報】
こまつ座 第115回公演『木の上の軍隊』
2016年11月10日(木)~27日(日)@新宿南口・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA(観劇map

<スタッフ>
原案:井上ひさし
作:蓬莱竜太
演出:栗山民也

<キャスト>
山西惇
松下洸平
普天間かおり

有働皆美(ヴィオラ)

公演HPはこちらから

舞台写真提供:こまつ座 感想寄稿:おけぴ会員のみなさん
おけぴ取材班:chiaki(文・編集) 監修:おけぴ管理人

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