謝珠栄さん(構成・演出・振付)による、ストーリー仕立てのダンスと歌で構成されたオリジナルショー『Pukul』公開稽古が行われました。
様々な〝鼓動〞をテーマに、歌×ダンス×プロジェクションマッピングによって、壮大な時間の旅へ―。
唯一無二のショーに集いしは、謝さんが絶大な信頼を寄せるStarCasts!宝塚歌劇団にて経験を積み、その後も多彩な表現方法を身につけ輝きを増す宝塚卒業生のみなさん、そして力強く舞い、歌う、職人気質の男優たち!
前列左より)舞羽美海さん、彩吹真央さん、水夏希さん、姿月あさとさん、湖月わたるさん、春野寿美礼さん、蘭乃はなさん
後列左より)鶴美舞夕さん、田極翼さん、千田真司さん、大貫勇輔さん、岡幸二郎さん、坂元健児さん、島地保武さん、神谷直樹さん、舞城のどかさん
【タイトルの意味】
『Pukul』という言葉、初めて耳にする方が多いと思います。まずは謝さんからタイトルの意味についてお話がありました。
謝珠栄さん: インドネシア語の“鼓動(Pukul)”には“時間”という意味もあり、マレー語の“鼓動(同じくPukul)”も、時刻を告げるために鐘や太鼓などの鳴り物を打つ、つまり“時間”を意味します。同時に、日本語の“鼓動”が持つ意味、内に秘めたるエネルギーを外に出すことで動き出す…それらが重なり合って、『Pukul(プクル)~時を刻む愛の鼓動~』というタイトルになりました。
ここからは、まさに創作中の現場の熱気と未だ観ぬ新しい世界への期待あふれる稽古場の様子をレポートいたします。
【楽曲披露】
ACT1より、星たちの誕生などが描かれる一連のシーンが公開されました。
全日程ご出演のレギュラーキャストの湖月わたるさん、水夏希さん、蘭乃はなさん、舞羽美海さん、坂元健児さん、大貫勇輔さん、島地保武さん、岡幸二郎さん、千田真司さん、神谷直樹さん、田極翼さん、舞城のどかさん、鶴美舞夕さんに加え、日替わりで“現在を操る神”をスペシャルキャストの姿月あさとさん、春野寿美礼さん、彩吹真央さんが演じます。
この日は、スペシャルキャストの方がナンバー毎に交代で登場という公開稽古スペシャルバージョンでした。
(本公演ではどなたかおひとりが通して演じます)♪宇宙の鼓動、♪星たちの鼓動(スペシャルキャスト:姿月あさとさん)
岡幸二郎さん
姿月あさとさん
坂元健児さん
大貫勇輔さん
過去を支配する神(岡幸二郎さん)、現在を操る神(姿月あさとさん)、未来の神(坂元健児さん)の三神が現れ、時の矢(大貫勇輔さん)を放つ!
そして時の矢が放たれた瞬間から、決して後戻りしない時が刻まれる。歌のスペシャリストお三方と、大貫さんのダンスが、星の誕生の瞬間を表現。最初のエネルギーの山が、ドラマティックな音楽にのせて描かれます。
物語の始まり、生まれる瞬間の力強いエネルギーを感じさせる姿月さんの歌声と存在感。岡さん、坂元さんと、タイプの違う声との対比も鮮やかです!大貫さんが踊る“時の矢”は作品のカギを握る存在とも言えます。
♪星の一生(スペシャルキャスト:春野寿美礼さん)舞羽美海さん、水夏希さん、湖月わたるさん、蘭乃はなさん
「星が生まれて育ちそして消える。人が生まれて育ち消えるように。
存在が、消え去っても、未来へとその光伝えるために…」
現在を操る神(春野寿美礼さん)が星たちの一生を歌う。透明感があり、世界を柔らかく包み込むような春野さんの歌声。そこに美しいハーモニーも加わり、どこか哲学的で神秘的な瞬間が訪れます。
春野寿美礼さん
次第に音楽は激しさを増します。高まる鼓動!
♪銀河の回転(スペシャルキャスト:彩吹真央さん)岡さんの豊かで深みのある歌声で「回れ、回れ…」のエネルギーを受け、アディティア、回ります!
偉大な力を持った星、太陽アディティア(湖月わたるさん)を中心に形成された銀河。アディティアは、その頂点に君臨!
このナンバーの現在の神は彩吹真央さん。語りでアディティアの物語の始まりを告げます。力強く、揺るぎない、説得力のある言葉のなかに星々を見守るあたたかさも感じます。
姿月さん、春野さん、彩吹さん、三者三様の神々しさです。
彩吹真央さん
こうして太陽を中心に星たちは自らを形成していった…。
と、ここで公開稽古は終了。まさに物語が動きだすまでの胎動、鼓動のエネルギーが凝縮されたシーンでした。どうやらこの先、もっともっとスゴイことになっているとのこと!ショーの行き着く先は…。ガラリと雰囲気の替わるACT2も楽しみです。
~公演資料より~
ACT1では、インド舞踊やグルジニアンダンス等、アジアをはじめ各国の音楽や民族舞踊の要素を取り入れつつ、星たちの誕生と、美しくも時に脅威ともなる自然を神秘的に描く。
ACT2では、馴染みあるジャズやポップスで、この地球で命を授かった人々の人生をスタイリッシュにたどっていく。
宇宙がまだ何もない虚無の空間だった時、偉大なる創造主により“無”の空間が息づき始めた。
そこに過去、現在、未来の三神が出現、その三神の中に星が生まれてゆく…。
星はやがて銀河を構築し、我々の住む地球そのものが鼓動を始める。
地球という生命に訪れた氷河期という試練、それを乗り越えていく生命の鼓動、そして人間生命そのものの鼓動へと物語は流れてゆく…
【囲み取材】
謝珠栄さん: ショーの中には、アジアの民族舞踊がたくさんでてきます。大変ですが、みんないろんな舞踊に挑戦してくれていて、やっぱり信頼している元タカラジェンヌだけあると喜んでいます。
男性ダンサーも大活躍で、三神は高い歌唱力をもつみなさんにお願いしました。我ながら、いいキャスティングだなと思っています。
姿月あさとさん: 私は歌で参加します。人々が忘れてはいけない地球の根源、私たちなりに、今、伝えられる素晴らしいショーにしたいと思います。心を動かし、何かを感じていただきたいと願っています。
湖月わたるさん: 男性陣の力強いエネルギッシュなダンスと元タカラジェンヌたちの神秘的で優雅なダンスの出会い。さらにそうやって作り上げた世界と美しい映像の融合が観られる…私たち自身も今からワクワクしています。『プクル』を体感してください。
水夏希さん: 宝塚時代も謝先生の作品は自分との闘いでしたが、卒業しても尚…(笑)。想像を絶する闘いの日々です。ひとりひとりが自分と闘って、作品と向き合って、初日には大きく花開くと思います。そのエネルギーを通して生きることの素晴らしさをお伝えしたいです。『プクル』の生命讃歌を味わいにお越しください。
(このショーには、さまざまなジャンルのダンスが登場します)
島地保武さん
湖月さん: 男性ダンサーのみなさんには、大きな私たちをふんだんにリフトしていただいて(笑)。
水さん: 先生クラスのダンサーのみなさんに、いろいろと教えてもらいながら新しい筋肉の開発にいそしんでいます(笑)。
湖月さん: 民族舞踊は、身体の根本の使い方が違いますよね。日々、これまでにない箇所が筋肉痛に…。でも、それがすごくうれしいんです。身体が悦んでいるというか、幸せです!
水さん: 生きる悦びを感じますよね。
(おふたり…根っからのダンサーですね!)
湖月さん: ダンサーの方だけでなく、岡さん坂元さん、そしてスペシャルキャストのお三方の歌声が神々しくて、一気にプクルの世界へ連れて行ってくれます。そして、この作品、スペシャルキャストの概念を覆しますよね。
(確かに、スペシャルキャストというとピンポイントで登場して…ということが多いのですが、ガッツリ“現在の神”という重要な役割を担われます!)
姿月さん: まさしくその通りです(笑)。先生が描かれたメッセージをしっかりとお伝えするために、みなさんの踊りと融合しなくてはなりません。語り部として、“時の矢”の意味も踏まえて、存在したいと思います。
水さん: スペシャルキャストのみなさんとは、それぞれに宝塚時代からたくさんの思い出があるので、日替わりでご一緒できること、どんな変化が生まれるのか、とても楽しみです。
2017年の締めくくりに、心を動かしにいらしてください!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)、監修:おけぴ管理人