大阪公演に続き、東京公演も好評上演中のミュージカル『マタ・ハリ』。東京では、アルマン役加藤和樹さん、ラドゥー役佐藤隆紀さん、ピエール役西川大貴さんバージョンでの公開ゲネプロが行われました。
作品の詳細、大阪公演舞台写真、初日前囲みなどの様子は
日本初演!ミュージカル『マタ・ハリ』おけぴ開幕レポート【舞台写真掲載】をご覧ください。本レポでは、東京ゲネプロのお写真、印象的なシーン、後半はネタバレ御免!グッとくるシーンをご紹介いたします。
-ものがたり-(HPより)
1917年、第一次世界大戦の暗雲たれこめるヨーロッパ。
オリエンタルな魅力と力強く美しいダンスで、パリ市民の心をとらえて放さないダンサーがいた。名は、マタ・ハリ。
彼女の人気はヨーロッパ中におよび、戦時下であっても国境を越えて活動する自由を、手にしていた。
その稀有な存在に目をつけたフランス諜報局のラドゥー大佐は、彼女にフランスのスパイとなることを要求する。もし断れば、人生を賭けて隠してきた秘密を暴くことになる、そう、ほのめかしながら……。自らの過去に戻ることを恐れ、怯えるマタ。
同じ頃、彼女は、偶然の出来事から運命の恋人に出会う。戦闘パイロットのアルマンは、彼女の孤独な心を揺らし、二人は、ともに美しい夜明けのパリを眺め、人生を語りあう。
一方ラドゥーの執拗な要求は続き、一度だけスパイをつとめる決心をしたマタ。彼女の世話を続けてきた衣裳係アンナの祈りの中、公演旅行でベルリンへ向かい、ドイツ将校ヴォン・ビッシング宅で、任務を無事遂行する。しかし、謀略はすでにマタ・ハリの想像を超えて進み、アルマンへの愛に目覚めた彼女の運命を、大きく歪めようとしていた…。
【東京ゲネプロ】
第一次世界大戦下のヨーロッパを舞台に、人間の表と裏と…さらにその裏までもを描くミュージカル『マタ・ハリ』。 ひとりの女と、彼女の運命に大きく関わるふたりの男…、すべてを飲みこむ戦争と国家。光と影が印象的な舞台の様子をどうぞ。
東洋的な踊りでスターとなったダンサーにしてフランスのスパイ “マタ・ハリ”を演じる柚希礼音さん。
朝の光に包まれるマタ・ハリとパイロットのアルマン(加藤和樹さん)
彼女の本名マルガレータとしての時間を過ごすマタのかわいらしさがあふれるシーンです。
戦時下の華やかさに虚無感が漂う…みなの心の内はいかに?!
写真中央はヨーロッパ各国を自由に行き来できるマタ・ハリをスパイに仕立てて利用するフランス諜報局大佐ラドゥー(佐藤隆紀さん)。
マタ・ハリの人生が軸に描かれますが、そこに生きる女たち、男たち、一人ひとりにドラマがある。(カーテンコールでは、こんなに少なかったの?というほどアンサンブルキャストのみなさんは少数精鋭!時代の空気、そこに生きる人の闇…作品の背景をしっかりと印象付けることができるのは個々がキャラクターを生きているから!)
アルマンに偵察の命が下る 写真中央はピエール(西川大貴さん)
危険な任務への恐怖と闘う男たち。
権力の狭間で、己の欲求と闘う男 佐藤ラドゥーの深い歌声が響き渡ります。
マタ・ハリへの手紙をしたためるアルマン
命をかけた任務へ…極限の状態ながら、その柔らかい表情が印象的。
この先はネタバレ御免!グッときたシーンをご紹介してしまいます!
スパイとして利用するはずが、次第に心奪われてしまうラドゥー、公の顔と私の顔、ラドゥーが見せる2つの顔。
マタ・ハリとアルマンを待っていたのは過酷な運命。
悲しい恋物語ですが、観劇後にはふたりが過ごしたつかの間の穏やかな時間、ふたりの微笑みが思い出されるのです。
マタ・ハリを衣裳係として支えていたアンナ(和音美桜さん)。牢獄に囚われたマタとの柵越しの「いつものやり取り」はグッとくる名シーン!
誰もが知る伝説の女スパイ マタ・ハリの物語を通して、誰もが過酷な人生のドラマを生きていたことをはっきりと印象付ける舞台。「華やかな世界を生きるスターダンサー マタ・ハリの裏の顔はスパイ」、その構図にとどまらず、ひとりの女性・素顔のマルガレータとしての生き様をも色濃く描く三層構造に心が動かされます。
しかし…見える景色が全く異なるであろう2役ラドゥーとアルマンを日替わりで、加藤さんの心の内はいかに…。
とても美しい舞台、そして美しければ美しいほど悲しい。ミュージカル『マタ・ハリ』、公演は18日まで。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人