OSK日本歌劇団「レビュー 春のおどり」公演レポート




 今年もやっと、大阪に春がきました!

 OSK日本歌劇団「レビュー 春のおどり」が大阪松竹座にて上演中。トップスター高世麻央さんのサヨナラ公演でもあるステージを、劇場から届いた舞台写真とともにレポートいたします。(5月27日(日)まで。東京公演「レビュー 夏のおどり」は新橋演舞場にて7月5日(木) から9日(月)まで上演)



男役の集大成をみせてくれた高世麻央さん。
その魅力をたっぷり堪能できる和洋レビューの二本立て。高世さんの思いがつまったステージになりました!



第一部は、西川箕乃助さん構成・演出・振付の和レビュー『桜ごよみ 夢草紙』

 これまで高世さんが演じてきた役や場面を中心に再構成されたレビュー『桜ごよみ 夢草紙』の幕開きは、おなじみ「はるの~おどりは~ヨーイヤサー」の歌声に続いてのチョンパから。

 平安時代の宮中を思わせる衣裳に身を包んだ出演者たち。金の飾りを頭にのせた高世さん。娘役さんたちの十二単風衣裳と、髪を長く垂らす髪型も素敵です。手には桜の枝を持ち、春爛漫♪

 雅な雰囲気と、明るい音楽のギャップもOSKらしさ満開。仲間たちとの絆を歌う歌詞がサヨナラムードを盛り上げて、見ているこちらも泣いたり笑ったりと心が忙しく動きます。

 華やかなオープニングのあと、ひとり舞台に残った高世さん。満開の桜の前で舞う姿、降りしきる桜吹雪が美しい場面です。二番手男役スターの桐生麻耶さんが高世さんの後を引き継いで歌う演出、長い時を共に過ごしたおふたりに重なるような歌詞にぐっときます。


鏡に映る影のひとりを踊った真麻里都さん(写真右)も、今年8月に退団することが発表されました。
 三面鏡にうつる影と息を合わせて踊る「鏡の夢」、蝶のはかない愛を舞でみせる「蝶の道行」、高世さんが絶世の美女に扮する「楊貴妃」、そして「光源氏」への早替り…と、これまで上演されてきたOSKの和レビューからピックアップされた懐かしい場面の連続ですが、より磨かれた芸をみせる高世さんの貫禄と、若手スターたちが新たな立場でみせる魅力にあふれ、客席を飽きさせません。


 歌舞伎上演劇場らしい場面をと盛り込まれた「釣女」、そしてOSKらしい楽しさいっぱいの「民謡メドレー」では桐生さんのコミカルな魅力もたっぷりと。「蝶の道行」で高世さんの相手をつとめた舞美りらさんの背中を大きく反らす振りにも拍手が送られました。

 おけぴスタッフのお気に入りは、黒地に白い桜が映える衣裳の高世さんと、桜色の着物が可愛らしい娘役さんたちが二枚扇で踊る場面。扇投げが成功して大拍手!



最後はオープニングの場面に戻り、雅やかな和レビューの幕が降りました。






第二部は、ダンスの神様・生きる伝説! 名倉加代子さん作・演出・振付の洋レビュー『One Step to Tomorrow!』!!!
幕開きからラストまでノンストップ! ザッツ・エンタテインメント!! 名倉先生、最高です!!!!

 第二部の洋レビュー『One Step to Tomorrow!』は、まさしくノンストップのザッツ・エンタテインメント!

 幕が上がっていく瞬間、目に飛び込んでくるのは、跳躍し、舞台狭しと駆け回る出演者たちの宙に浮かんだ足元。幕が開くなりエネルギーいっぱいで、明日への希望と活力に満ちたオープニングです! 高世さんがピカピカの笑顔で歌う「♪One Step to Tomorrow!」の歌詞に早くも涙腺がゆるみます。

 続いて、桐生さんが「♪Over the Rainbow」を歌うなか、それぞれ6色の衣裳をつけた男役スターたちが登場。夢見るように優雅に踊っていると、赤い衣裳の高世さんが加わり、虹の7色が揃います。「いつか夢がかなうと信じていた」と歌う高世さん。劇場に大きな虹がかかったような美しい場面です。

 娘役さんたちの力強いダンスもOSKの魅力。舞美りらさんを中心に、赤いドレスに身を包んだ娘役さんたちが椅子を使って踊る場面がカッコいい!

 そのまま舞台は、指を鳴らしながらクールに登場する男役たちの群舞へ。高世さんが歌うのは、自身が作詞した「♪My Blue Rose」。情熱を胸に秘め、まるでシリウスのように静かに青く咲くバラ──高世さんが極めた男役像が、そこにありました。

 楊琳さん、真麻里都さん、虹架路万さんら男役スターが、桐生麻耶さん演じる長老に鍛えられまくるストームの場面に続いては、黒燕尾姿の高世さんが、鍵盤ハーモニカ(!)を奏でる「♪This Is The Moment 」。階段上で特別専科の朝香櫻子さん、緋波亜紀さんが踊り、高世さんが歌う。これはもう涙なくしてはみられないOSKファンの方が多いのでは。続いて高世さんと桐生さんが踊ったあと、楊さん、真麻さん、そしてほかのメンバーが舞台に加わります。抑えた振り付けの群舞。上級生組の品のある色気が絶品です。

 続いてのシーンはまさかの展開! ◯◯姿の娘役さんたち(ぜひ劇場でお確かめください)の元気に踊る「カントリーブギ」。明るいお色気に頭の中は「??」でいっぱい。でも、いいんです! かわいいから!(笑) 「ショーほど素敵な商売はない」の音楽にあわせたラインダンスに大拍手♪ 笑顔が素敵な娘役さんのことはつい目で追ってしまいます。 



ここから舞台は一気にサヨナラの雰囲気が高まります。
階段にひとり腰掛ける高世さん。赤い衣裳がまるで一輪のバラのよう。

 客席に語りかけるように「全てに感謝、Thank you OSK」と歌う高世さん。その声がとても柔らかく響きます。男役を極めると、最後には柔らかさにたどりつくのかもしれません。

 そして、名倉さん演出のOSKレビューといえばこれ! 「♪ジャストダンス」で舞台の盛り上がりは最高潮に。白手袋にハット姿で踊って、踊って、踊りまくる出演者たち。これぞまさにザッツ・エンタテインメント! 劇場の温度が一気に上がったのは気のせいではなかったはずです。

 以前にお話をきいたとき「ステージを作るときに一番大事にしている言葉は“あっという間”。時間を忘れて気がついたらもうフィナーレ。そのくらいのスピード感が必要」と語っていた名倉さん。その言葉とおり、ノンストップで駆け抜けるステージです。

 高世さんの大阪サヨナラ公演ではありますが、全体的に明るく、未来への希望を感じさせる演出。笑顔と涙で胸がいっぱいになる、愛あるステージにあらためて大きな拍手を! 



最後はもちろん、昭和5年から歌い継がれる「♪桜咲く国」でパラソルの花が満開に♪
「OSKの生まれ故郷、大阪松竹座で公演できることは当たり前のことではない。それは奇跡のような必然のような…。100周年に向けてOSKはこれからも一歩ずつ前進します」(高世さん)


 本拠地・大阪に別れを告げるトップスター高世麻央さんが、未来へとつなげた橋が見えるような気がした、2018年の「レビュー 春のおどり」。5月27日(日)まで大阪松竹座にて上演。東京・新橋演舞場「レビュー 夏のおどり」が7月5日(木) から9日(月)まで上演されます。




来年2019年の7月には京都・南座『レビュー in Kyoto「SUMMER SPECIAL」』も決定!



【公演情報】

OSK日本歌劇団 レビュー春のおどり
大阪松竹座
2018年5月19日(土)~27日(日)

OSK日本歌劇団 レビュー夏のおどり
新橋演舞場
2018年7月5日(木) ~9日(月)

第一部「桜ごよみ 夢草紙」
構成・演出・振付:西川箕乃助

第二部「One Step to Tomorrow!」
作・演出・振付:名倉加代子


出演:
OSK日本歌劇団

高世麻央
桐生麻耶/楊 琳/真麻里都/
虹架路万/舞美りら/愛瀬光/白藤麗華/遥花ここ/華月奏/城月れい/麗羅リコ/実花もも/栞さな/穂香めぐみ/桃葉ひらり/由萌ななほ/朔矢しゅう/
壱弥ゆう/椿りょう/りつき杏都/唯城ありす/結菜ほのり/雅晴日/羽那舞/凜華あい/琴海沙羅/紫咲心那

94期初舞台生:叶望鈴/依吹圭夏/純果こころ/有絢まこ/水葉紗衣/瀧登有真/優奈澪/涼乃あゆ/せいら純翔/知颯かなで

特別専科:朝香櫻子/緋波亜紀

※悠浦あやとさんは体調不良のため休演

大阪松竹座 公演情報
新橋演舞場 公演情報




 

 
おけぴ取材班:mamiko  監修:おけぴ管理人
舞台写真提供:松竹株式会社 大阪松竹座

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