劇団代表の渋谷天外さん、そして次世代を担う藤山扇治郎さんが公演に向けて意気込みを語りました。
上方喜劇の伝統を守り続ける松竹新喜劇。劇団創立70周年記念公演が、9月3日から12日まで大阪松竹座にて行われます。
演目は、劇団の財産ともいえる人情喜劇の傑作『人生双六』(職を失った青年が同じく失業して悩む男と出会い、お互いに5年後同じ場所で再会することを約束するが…)と、まげもの爆笑喜劇『八人の幽霊』(旅の宿の幽霊騒動でひと儲け!? 騙し騙され、最後に笑うのは…?)。劇団員そろっての70周年記念ご挨拶の一幕も。
「次世代へのバトンタッチ、その助走期間がやっと始まった」(渋谷天外さん)
その言葉のとおり『人生双六』では、これまで故・藤山寛美さんやベテラン劇団員たちが演じてきた役に、藤山扇治郎さんと劇団中堅メンバーの植栗芳樹さん・渋谷天笑さん(ダブルキャスト)が挑みます。
天外さん: 若い世代が彼らなりの感性でどんな芝居を見せてくれるのか。思いきった配役でどんなスパークがおきるのか楽しみです。僕は今回セリフが少なくて楽な役(笑)。一歩引いたところから、彼らの芝居を見たいと思います。…とはいえ、僕にもファンがいますから(笑)、物足りないと言われないように、出てくるだけで「さすが」と思っていただけるような存在感が出せれば。
「いつまでも若いと言ってられない。自分らが頑張らないと、あんたの世代で(松竹新喜劇が)終わった、と言われるで(笑)」(天外さん)
「(プレッシャー…)」(扇治郎さん)
扇治郎さん: 同世代の先輩方との芝居、(7月の東京公演でも同役を演じたが)また雰囲気が変わると思います。僕らにしか表現できないものがあるはずなので、それをお客様に楽しんでいただければ。(「人生双六」は)学生の頃に映像で見て、“新喜劇っておもしろい”と思うきっかけになった作品。ユーモアだけでなくペーソスがある。おじいさん(藤山寛美さん)が演じた作品のなかでも5本の指に入る名作だと思います。
「うちはみんな自分が一番だと思っている劇団。(大役を演じるとなると)いろんなところから火をかけられたり、矢が飛んできたりするかもしれない(笑)」(天外さん)
「それだけ気にかけていただいているということで…上は87歳から僕らの世代までほんとうに家族のような劇団。自分なりの『人生双六』をお見せできれば…」(扇治郎さん)
天外さん: (劇団を離れた時期を経て、1991年の新生松竹新喜劇結成に参加を決めたとき)周りからは「火中の栗を拾いに行く気か」と言われた。だけど、その栗を火に放り込んだのはうちの親父(二代目渋谷天外/劇作家・舘直志)。それならその栗の焼け具合を見てやろうじゃないかと。そんな気持ちで劇団に入ってからもうすぐ30年。いまようやく思い描いていた理想の形になってきた気がしています。スターシステムではなく、アンサンブルでみせる芝居ができつつある。ここで、うまく僕らのような“枯れ葉”が落ちて“新芽”が育ってくれれば。…とはいえ、僕個人としては少しおとなしくしつつもトルク(エンジンの回転力)は大きくなってるで、という気持ちです(笑)。
上方喜劇の伝統を受け継ぐバトンが見えたような気がした取材になりました!
松竹新喜劇「劇団創立70周年記念公演」は、9月3日(月)から12日(水)まで大阪松竹座にて上演! お見逃しなく♪
【これまでの松竹新喜劇公演を見たおけぴ会員のみなさまの感想コメントより】 「笑いながら人情にホロリ」
「チラシにあるとおり、笑いあり、涙あり、人情あり、でした」
「これぞ喜劇!」
「藤山扇治郎さんと寛美さんの声がそっくり! 扇治郎さんのこれからの活躍が楽しみです」
「とにかく楽しい。素直に笑えます。芸達者な方々の熱演に引き込まれます」
「わかっていても笑ってしまう、泣いてしまう。お芝居っていいなーと心からしみじみ」 7月に行われた東京公演取材会の模様はこちら♪
笑って、泣いて、ずっこけて…見れば心がホカホカあたたまる、レトロな魅力いっぱいの人情喜劇!
おけぴ取材班:mamiko 監修:おけぴ管理人