2月14日より浅草九劇にて開幕するミュージカル『最終陳述』。開幕直前の作品にご出演の5人の俳優さんをご紹介!とはいっても、韓国生まれのオリジナルミュージカルの日本版初演ですからね。まずは、簡単に作品紹介から……。
【時空を超えたロードムービー?!】
天文学者で哲学者、地動説を唱え、カトリック教会の異端審問で有罪とされた
ガリレオ・ガリレイと偉大な劇作家
ウィリアム・シェイクスピア。
イタリアとイギリスの地に、
同じ1564年に生を受けたルネサンスのスーパースター!
生前は会うことはなかった二人が、もしも天国で出会ったら…?!
韓国発の二人芝居ミュージカルが、魅力的なダブル×トリプルキャストで日本初演を迎えます!
あの世とこの世の間を旅する主人公ガリレオ・ガリレイが出会うのは、ガリレオより先に地動説を唱えたコペルニクスに、古代ローマの天文学者プトレマイオスなどなど…、さらにはなんとあの人も?!しかも、旅の水先案内人は、あのウィリアム・シェイクスピア!!
時空を超えたロードムービー的な魅力もある奇想天外な旅を、20曲以上の多彩な楽曲とお芝居で綴る『最終陳述』。旅の途中で何を思い、彼らはどこにたどり着くのか。
【二人ミュージカル】
しかも!それをガリレオ役の俳優と、そのほかすべてを演じるマルチマン、たった二人でお届けするというではないですか!それはもう、上を下への大騒ぎ?!実は本作、お堅いタイトルの字面とは裏腹に、エネルギッシュで疾走感のあるコメディ・ミュージカルなんです。
キャストも多彩。これまでは全く違うフィールドで活躍されていたみなさんの顔合わせによって、素敵な化学反応を生み出すこと間違いなし。
【お待たせしましたキャスト紹介です】
まずはガリレオ役トリプルキャストからご紹介。
LE VELVETSメンバーで無名塾出身の演技派テノール
【佐賀龍彦さん】佐賀龍彦さん
クラシック仕込みのノーブルな歌声は、学者ガリレオの実直さにピッタリ。魅力的な高音があの九劇の空間に響き渡ると思うと…なんて贅沢なの!!
また、もしかしたらグループ内ではあまり担当されない低音パートも、ガリレオとしての表現として歌われます。歌い手の佐賀さんをご存じのみなさんにも、新鮮に映るのではないでしょうか。
続いて、ミュージカル『テニスの王子様』『銀河英雄伝説』などの舞台出演に加え、歌手としても戦隊シリーズ主題歌や挿入歌が大好評の
【伊勢大貴さん】 伊勢大貴さん
熱量がすごい!ここまで演劇的なミュージカルへの出演は初めてということですが、感情を歌に乗せて届ける、その感情の圧がすごい!経験豊富な先輩のなかでも、持ち前のコメディセンスで確かな存在感を示しています。
そして『リトルマーメイド』エリック役ほか『ビューティフル』『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』にご出演、さらに『エリザベート』が控えるなどミュージカルを中心に大活躍中の
【山田元さん】『ビューティフル』公演時のおけぴインタビューはこちら! 山田元さん
グレコメでもひときわ目を引いたのは、ロシア帽のせいだけではございません!その端正な顔立ち、美しい立ち姿……が魅力の山田さん。
が、しかし!!この作品はザ・コメディでございます。さらにガリレオの苦悩や葛藤も描いているのです。つ・ま・り、もがき苦しむところから、ノリノリに弾けるところまで、あんな姿、こんな顔、そんなーー声?!の表現がお楽しみいただけるのです。
端的な言い方をすれば、オペラ、戦隊、ミュージカル王子の三つ巴(いやいや、トリプルキャスト)でお届けするガリレオ・ガリレイ。それはもうどうやっても、三者三様ですよね。それぞれの特長がいかんなく発揮される、マルチキャスティングのいいところがギュギュっと詰まった公演です!それはこれからご紹介するマルチマンも同様!
さまざまなキャラクターを演じ分ける“マルチマン”はこちらのお二人。
『レ・ミゼラブル』マリウスやアンジョルラス役、韓国ミュージカル『パルレ』には日本版のみならず、本場韓国でもソロンゴ役でご出演されている
【野島直人さん】写真左)野島直人さん
芯のある歌声、硬派な芝居から突如炸裂するお茶目さ!韓国ミュージカル、韓国文化を知っているからこそのマルチマンの大変さに真っ向から向かっていくガッツ!野島さんのマルチマン、舞台所狭しと走り回ります。
ピンクのパリス(『ロミオとジュリエット』)の衝撃、その後も『RENT』コリンズ役や『レディ・ベス』のロビンのゆかいな仲間たち、『オン・ユア・フィート!』などにもご出演の
【加藤潤一さん】 加藤潤一さん
小劇場出身で、劇団プレステージ所属の加藤さんならではの、瞬発力と破壊力(?!)、186cmの体躯でインパクト大。出てくるだけで空気を変えるパワフルなマルチマンです。面白パートはもちろん水を得た魚。それだけでなく、シェイクスピアとしてガリレオを見つめる目……その目が語るんですっ!加藤さんのお芝居や歌をもっと見たいわ、聴きたいわと思っていたあなた!思う存分ご堪能下さい。
豊かなハーモニー♪
談笑中のお二人
マルチマンズ
真剣そのものの山田さん…あれ、ペンを見つめている?!
台本・訳詞は藤倉梓さん(ミュージカル座 『GODSPELL』、朝ミュージカル『僕と彼女と物憂げな傘』など)、演出は演劇集団円の渡邉さつきさん。翻訳コメディ・ミュージカルですが、言葉にもしっかりとこだわった演劇的側面もお楽しみくださいね。
荘厳なものから、ポップス調、そして韓国ミュージカルですので、もちろん歌い上げからの歌い上げのミュージカルナンバー満載の作品、音楽監督はミュージカル界で引っ張りだこの福井小百合さん。さらに時空を超えたガリレオの旅の物語、その躍動感とドラマ性を高めるのは広崎うらんによる振付です。うらんさんの振付がつくと登場人物たちがメチャメチャチャーミングになるんです!!
【河谷萌奈美さんプチインタビュー】
そして、昨年の『SMOKE』に続き、ピアノ演奏で舞台を支えるピアニストのは河谷萌奈美さん。河谷さんのプチインタビューを決行いたしました♪
──現在、数多くのミュージカル作品でご活躍されていますが、そのきっかけは。 小さなころからミュージカルが好きで、将来、その仕事に携わりたいという思いをもち、大学は音楽科に進学しました。卒業後、知人に声をかけてもらったミュージカル『テニスの王子様』の稽古ピアノが初仕事です。ガリレオ役の伊勢大貴さんがご出演されていました。ありがたいことに、そこからいろいろと声をかけていただき、自然と活動の幅が広がっていきました。
──稽古ピアノ、その言葉のとおり、お稽古の際にピアノを弾くというお仕事です。歌稽古など、全体でのお稽古開始の前から作品に関わります。 初期段階から関わり、稽古を通して作品が成長していく過程を身近で体感できることは大きな楽しみです。もちろん楽しいだけではありませんが。実は、円滑に進む現場もありがたいですが、苦労が多い現場も、その分、密な時間が過ごせるので、やりがいは感じます。不思議と印象深いのは大変だった作品だったりします(笑)。
──今回のように、稽古場から引き続き、劇場での演奏も担当されるというのは俳優さんにとっても心強いでしょうね。 そう思っていただけると嬉しいのですが(笑)。
担当がお稽古だけだと、ある日、オーケストラのみなさんが合流したら、そこでお役御免。それが仕事とはいえ、やっぱりさみしいものです。微力ながら一緒に作ってきた作品、本番も一緒にできることは理想的な環境です。
──少人数の小劇場ミュージカル、呼吸の合わせ方など、本当に理想的だと思います。昨年の『SMOKE』でも九劇で演奏されました。 楽しかったですね。本番中の緊張感ややりがいはもちろん、休憩時間もみんなが同じ楽屋で過ごすので、普段関わらないスタッフの方とも交流をもち、それぞれの仕事を見ることができました。衣裳さんが、実際にこういうことをされているんだというのがわかって。作品の大小に関わらず、ミュージカルが総合芸術であることを改めて感じました。
──総合芸術!まさにそうですね。そして、ミュージカル音楽って心に働きかけます。 たとえばミュージカルでは、ヴァンプ(ヴァンピング)というものがあります。台詞をしゃべっている裏で同じフレーズを繰り返し演奏していて、ある台詞をきかっけに、それを抜けて次のメロディへいく。お客様には直接的にわかることではないかもしれませんが、そういう芝居とリンクした仕掛けがあるんですよ。ミュージカルナンバーだけでなく、音楽がとても効果的に用いられているんです。
──本作『最終陳述』の楽曲の特徴は。 まず、楽曲数が多いですね(笑)。そして、お芝居に乗って聴くと自然で耳馴染みがよいのですが、いざ、譜読みをすると拍子が急に変わっていたり、難易度の高いところが随所にあります。ガリレオの最後の旅を描いた物語、旅の過程で歌われたメロディたちがお客さまの心に刻まれ、それが最後の曲へと集約されていきます。もちろん一曲ごとの魅力もありますが、全編を一連の音楽ととらえたとき、ひとつの演劇作品として成立するような、とても演劇的な音楽です。
──いよいよ開幕です! ノンストップの作品。公演が始まったら、俳優さんとは運命共同体です。みなさんが安心できるような、信頼していただけるようなピアノ演奏を務めたいと思います。そして、お客様には、『最終陳述』というドラマを、存分にお楽しみいただければと思います。
◆ 物語の分岐点で観客に選択が委ねられ、演じる場面やナンバーが一部変わっていくマルチ演出で、キャストはトリプル&ダブルの日替わり組み合わせ。観る度毎に楽しさ、発見がありそうです!
ポップな楽曲に彩られ、テンポよく進むガリレオの旅。はたしてその行先は!?
開幕はもうすぐっ!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人