脚本・演出 :岸本功喜さん
『オリヴァー・ツイスト』をミュージカル化するにあたり、原作のどの要素を抽出し、ドラマティックな作品にしていくかというのは非常に悩んだ部分でした。脚本はかなりオリジナル色を強めていますが、それはディケンズ作品の解釈に対する試みでもあるかもしれません。これまでどちらかというと小さなお子様から楽しんでいいただけるファンタジー性の強い作品が多かったので、そのような視点でも大きな転機となる作品といえます。舞台は19世紀のロンドンで、当時と今では感覚も大きく違い、ディケンズの描いた世界を何処まで再現していくか、演出面ではそのバランスも大切にしています。役者の想像力を広げ、その上で生まれてきたもの、こう演じたいという彼らの意志を尊重しながら新しい『オリヴァー・ツイスト』の世界をつくっていきたいです。作曲・音楽監督:小島良太さん
重厚な原作がベースのグランドミュージカルなので音楽を作り込む要素がかなりたくさんありました。でもすばらしい歌唱力のキャストがこの世界観を存分に表現してくれています。聴きごたえのあるナンバーがいくつもあると思うので、お楽しみいただけたら幸いです。この新作は時代背景を象徴するクラシカルな雰囲気をまといたかったので、オーケストラ編曲する際に和声法や対位法などクラシック音楽のベースの技法を駆使しました。また舞台となるイギリスの作曲家から、規律正しい和声のヘンデルや美しいメロディのエルガーなどをお手本とした上で、現代的なミュージカルにまとめております。原作とは少し違う描かれ方をしているキャラクターがこの世界をどのように生きるのか是非ご覧くださいませ。ストーリー
孤児オリヴァー・ツイストは薄粥のお代わりを求めたために救貧院を追い出され、ユダヤ人フェイギンを頭領とする少年たちの窃盗団に引きずり込まれる。
裕福で心優しい紳士ブラウンローに保護され、また心優しい少女ナンシーとの出会いによりその純粋な心を励まされたが、ふたたびフェイギンやその仲間のサイクスの元に戻されてしまう。
次々と課せられる苦難に、果たしてオリヴァーの運命は――。