こまつ座第129回公演『日の浦姫物語』開幕レポート~舞台写真と感想で綴る~

★9/22スペシャルトークショー追加開催決定★
9月22日(日)13時公演後:鵜山仁・朝海ひかる・平埜生成・他

詳細はレポ最後に!





 井上ひさしさんの初期戯曲(1978年初演)『日の浦姫物語』が井上さんの没後10年目の年にこまつ座として初上演!もともとは文学座と女優・杉村春子さんのために書き下ろされた本作、今回演出を手掛けるのは文学座所属の鵜山仁さんです。

「せめて舞台の上からは傷つけ合う殺し合うではなく、生かし合う。そういうメッセージを発信することを、はばかりながら託されているような気がしています。改めて井上さんの大きさ、深さを噛みしめています」(鵜山仁さん、初日前囲み取材時コメントより)


フォトコール&初日前囲みレポートはこちらから


 説教聖が語る日の浦姫の数奇な運命の物語。井上ひさし流“グレゴリオ伝説”“女の一生”の行き着く先はいかに!!公演をご覧になったおけぴ会員のみなさんの感想を舞台写真を交えてご紹介いたします。



左から)毬谷友子さん、辻萬長さん
「日の浦姫物語」を語る説教聖と連れの三味線弾きの女


辻萬長さんの語りは圧巻!

「悲劇なのか喜劇なのか考えさせられ、「怖い喜劇」と言っていいのかなと思いました。でも 見終わると人生って苦しくても生き抜く価値がある!と思わされる力強い舞台でした。「観ることが懺悔になる」というセリフがありましたが 生きること自体が懺悔なのだと感じました。朝海さん、毬谷さんが素敵でした。そして 辻さんの聖に引きこまれました」

「何といっても井上さんの本が良い。舞台が躍動してます、言葉が暴走してます、暴走しながら、芝居に溶け込んでいって、活力になっていく。今日もその盛り上がりを見せてくれました。井上先生ありがとうございます」

「笑いました(笑)。話の内容が内容だけに、もう、ずーっと苦虫噛み潰した表情で見る事になるのかと思っていたのに面白かったです。ラストにあぁ、こうくるのか!という事も見応えある舞台でした!そして、朝海ひかるさんが可愛くて綺麗♪そこも、見どころです!」



左から)朝海ひかるさん、平埜生成さん
禁忌


因果


別れ

「朝海ひかるはすごく綺麗で、平埜生成はそれに負けないくらい素敵でした。壮絶な物語でありながら軽妙でおかしくもありました。舞台美術は素晴らしく、音楽もよかったです。とても楽しませて頂きました」

「40年前に書かれた芝居とは思えない現代に通じる戯曲と思います。井上ひさしの代表作と言ってもいい位の出来で、テーマはギリシャ劇によくある近親相姦、オイデプス王にある母子相姦や父親へのコンプレックスなどを正にパロディ化した可笑しさ。重たい悲劇も軽妙に描くとおかしさがこみ上げてくる。歌あり、語りあり、観る人に何かを感じさせてくれる演劇です」



左後から)宮澤和之さん、川辺邦弘さん、粟野史浩さん、沢田冬樹さん、木津誠之さん、石川武さん、越塚学さん、たかお鷹さん
左前から)櫻井章喜さん、赤司まり子さん、名越志保さん、岡本温子さん


「あの三谷幸喜氏をして「同じ土俵で戦ったら逆立ちしてもかなわない」と言わしめた諧謔王・井上ひさしの本領をこれでもかと味あわせてくれる舞台です。コインの裏表のような悲劇と喜劇のアクロバティックな統合に脱帽しました。観なきゃ損」

「昔話風のお芝居かと思いきや、シェイクスピアばりの言葉遊びを沢山含めた台詞の応酬でノリよくテンポよく進んでいきます。和服でロック音楽にダンスシーンまで!とはいえ、閉鎖的な島国日本、現代の貧困問題にも繋がる内容です。朝海ひかるさんが独特の声をさらに七変化させて、夢みる妄想少女でもあり、男前なスーパーリアリストでもある日の浦姫の、10代から50代までを魅力的に演じています。逞しくて、超キュート!」

「平埜生成くんのキレキレな動きと、異なる2人の人物と少年期から老年期までを演じる演技力の高さに驚きました」



凛々しい!!



「説教聖の夫婦を辻萬長さん毬谷友子さんというのが観たくて行ったのですが、やはりお二人ともいい声。また、物語は知っていたのですが、幕切れの演出は記憶にあるものよりもこちらの方がずっと温かくて、わたしは好きです。よかった」

「あらすじだけ聞くと引いてしまうような内容ですが、明るく、ファンタジーっぽく、そして、言葉の圧倒的な力でぐいぐい引っ張られて最後まで飽きませんでした。いつのまにか、私の心まで見抜かれているような……深いです」




「説教聖の存在で最後までぐいぐい引っ張ってきて、最後にそうくるか!という感じでした。ラストで劇場の温度が1-2度下がったみたいでした。人を冷静にみつめながらも温かい気持ちで描き続けた作家ならではのお話ですね」

「物語に触れるカタルシスと現実の不寛容な世界。私達は誰かを裁くことなど出来るのだろうか?キレイゴトとゲンジツを突きつけられ、日韓問題やSNS社会へと思いを馳せた」

「兄と妹の道ならぬ恋に起因する禁断の愛の連鎖を描く説教節部分は引いた視点で見ていられたけれど、最後、こちらに突きつけられた、あなたはそれをどう思うか、関係ないとしてぬくぬく楽しんでいていいのか、という問いにたじろいだ。演劇を見ることの意味を問い直させる作品だったように思う」

「こまつ座さんはチケットの受け取り、モギリ、物販、どれも担当者の方々から観客への愛が感じられます」


『日の浦姫物語』おけぴ通し稽古レポはこちらから




 やっぱり盤石の布陣!と感じさせる辻さん、毬谷さん、たかおさんらベテラン勢の緩急自在な芝居、文学座のみなさんのアンサンブルの見事さ、そして新しい顔、新しい声、新しい輝きを見せる朝海ひかるさんと平埜生成さん。平安時代、江戸時代、そして現代……入れ子構造の巧みさにも唸る『日の浦姫物語』、お見逃しなく!


<スペシャルトークショー開催>

9月9日(月)13時公演後:鵜山仁(演出家)
9月13日(金)13時公演後:朝海ひかる・平埜生成
9月19日(水)13時公演後:辻萬長・毬谷友子・たかお鷹
★追加★9月22日(日)13時公演後:鵜山仁・朝海ひかる・平埜生成・他
※アフタートークショーは、開催日以外の『日の浦姫物語』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第ご入場を締めきらせていただくことがございます。
※出演者は都合により変更の可能性がございます。




【公演情報】
こまつ座第129回公演『日の浦姫物語』
2019年9月6日(金)〜23日(月・祝)@紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

<スタッフ>
作:井上ひさし
演出:鵜山仁

<出演>
朝海ひかる/平埜生成/
石川武/沢田冬樹/櫻井章喜/粟野史浩/
木津誠之/川辺邦弘/宮澤和之/越塚学/
赤司まり子/名越志保/岡本温子/
たかお鷹/毬谷友子/辻萬長

辻萬長さんの「辻」は一点しんにょうが正式表記です。

公演HPはこちら

舞台写真提供:こまつ座
おけぴ取材班:chiaki(編集) 監修:おけぴ管理人

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