“江戸の芝居小屋”にタイムトリップしたような楽しさの詰まった
『平成中村座』。2000年、東京・浅草第一回公演以来、東京、大阪、名古屋、さらにはニューヨーク(アメリカ)、ベルリン(ドイツ)、シビウ(ルーマニア)で観客を沸かせてきました!
そして、2019年11月、小倉城天守閣再建60周年×博多座20周年の特別企画として九州(北九州市)初上陸!会場となるのは、福岡で唯一天守閣がある北九州市の小倉城お膝元の勝山公園に建設される仮設劇場。江戸情緒あふれる地、それは劇場だけでなく周囲の環境まで徹底しています。チケットをお持ちでない方も楽しめる商店街・二十軒長屋(テナントエリア)には平成中村座おなじみのお店から、九州ご当地ならではのお店も多数出店。お祭り気分も味わえます。
【製作発表会見より】
勘九郎さん)
父が残してくれた大きな大きな宝物のひとつ『平成中村座』がいよいよ九州初上陸を果たします。江戸時代の息吹を感じられる『平成中村座』、私も大好きなのでワクワクでいっぱいです。そしてNHK大河ドラマ「いだてん」の1年半にも及ぶ撮影が終わって初めての一か月興行、僕が演じた金栗四三さんの出身地である九州でいい芝居をして、九州のみなさんに恩返しできたらと思っています。
そして令和になったとき、たくさんの方から「『平成中村座』はどうなるの?」と聞かれました。多くの方が気にかけてくださっているんだと嬉しくなりました。『平成中村座』がブランドになっていると思うので、令和になっても『平成中村座』です。
七之助さん)
『平成中村座』をやらせていただくこと、そして九州初上陸ということで、やる気に満ち溢れています。父とも「いつか『平成中村座』で九州へ行きたい」と話していました。こうしてその思いが実現し、父の魂も一緒に九州へ参ります。
──平成中村座の魅力勘九郎さん)
いっぱいあり過ぎて困っちゃう(笑)。まずはテーマパークというか江戸時代に足を踏み入れるように、タイムトリップできる空間だということですね。これまでにも『平成中村座』でいろんな狂言をやりましたが、不思議と全部マッチする。そりゃそうですよね、どれも江戸時代に作られた作品なんですから。父の夢でもあり、僕たちもいろんな可能性を感じる小屋、それが『平成中村座』です。
七之助さん)
とても温かみのある小屋、俳優にとってもお客様にとってもお芝居が何倍も楽しくなります。お客様との距離も近く、俳優とお客様の熱、その相乗効果が生まれやすいんです。
──二十軒長屋が登場、一般のお客様にも解放されるとか。勘九郎さん)
今回の目玉です!これまでの五軒長屋が二十軒長屋になります。10軒は東京から、もう10軒はご当地の店舗が出店します。一般公開しているので、チケットをお持ちでない方も江戸時代からあった本物の美に触れていただけます。また、今回は飲食系も入ります。芝居町という言葉があったように、芝居を見て、ご飯を食べてお買い物。芝居が生活と一体となった町を体感してください。
七之助さん)
町全体が中村座、そこから小屋に入るとさらにガンとテンションが上がると思います。そこで見る歌舞伎はいつもの歌舞伎とはまた違うはずなので、そこを楽しんでください。
勘九郎さん)
そうそう、この『平成中村座』には江戸時代にはできなかった仕掛けがございます。舞台後方が開くんです!今回も「お祭り」と「小笠原騒動」で開けます。そこで見ていればただで見ることができます(笑)。大阪でやったときも口コミが広がり、千穐楽にはかなりの人だかりができたんですよ。
【演目もバラエティに富んだラインナップでワクワク】
昼の部は、エレキテルで有名な平賀源内が、福内鬼外の筆名で書いた江戸狂言の傑作
【神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)一幕】。女方の大役・お舟に七之助さんが初役で挑みます。恋心を表現する太鼓を打つ場もみどころ。強欲の塊・頓兵衛は蜘手蛸足など珍しい演技を見せます。続いて、中村屋ゆかりの演目
【お祭り(おまつり)】。清元節による華やかな舞踊。勘九郎さん演じるいなせな鳶頭は、いい男の象徴。粋な江戸っ子の気概をお楽しみいただけます。そして、近松門左衛門が書いた『冥途の飛脚』の改作
【恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)封印切 一幕】。他人のお金を預かる飛脚業。飛脚屋の養子忠兵衛(獅童さん)は愛嬌と滑稽さを見せる二枚目役。ライバル八右衛門(勘九郎さん)とのやりとりが芝居を盛り上げます。傾城梅川は七之助さんが演じます。
夜の部は
【通し狂言小笠原騒動】、九州の小倉藩のお家騒動と当地に伝わる白狐の昔話をもとにした芝居。物語の舞台となる、まさに地元での上演!勧善懲悪の物語はスピーディに展開し、狐の化身菊平の恩返し、密書の奪い合い、水車小屋での良助と小平次の激しい立廻り、水しぶきが客席に飛び散る本水のシーンもあれば、宙乗りも。歌舞伎の魅力が詰まった醍醐味いっぱい、ケレン味たっぷりのスペクタクルな芝居です。善心に立ち返る良助の古典味ある「モドリの演技」や、一人で2役を勤め、役柄の違いを見せる俳優の演技も見もの!
東京からも飛んで行きたくなるような魅力的な演目!本当にワクワクでいっぱいです!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人