1950年代のアメリカでブームとなったロカビリー音楽をテーマに、スターになるために悪魔と契約を交わすシンガーを主人公にして描かれる楽しく切なく情熱的な青春グラフィティ。ミュージカル『ロカビリー☆ジャック』にて主人公ジャックをサポートするマネージャーのビル役でご出演される海宝直人さんにお話をうかがいました。
-作品解説-
作・作詞・楽曲プロデュースを手掛けるのは森雪之丞さん、演出は岸谷五朗さんという『SONG WRITERS』コンビによるオリジナル・ミュージカル。作曲はミュージカル制作への参加は初めてとなる斉藤和義さん、さかいゆうさん、福田裕彦さんが名を連ねます。主演は屋良朝幸さん、共演は海宝さんのほかに昆夏美さん、平野綾さん、吉野圭吾さんらとても魅力的で、かなり濃い目の面々!2019年ラスト、そして2020年の始まりに贈る一大エンターテインメント作品が12月のシアタークリエで産声を上げます。
◆──本作のお話があったとき、どのあたりに惹かれましたか。 まず、オリジナル・ミュージカルであるというところに魅力を感じました。そして、クリエイターのお二人、森雪之丞さんと岸谷五朗さんとご一緒できることも大きかったですね。森雪之丞さんは僕のコンサートを見に来てくださったときにお会いして感想をいただいていたので、こうして雪之丞さんの作品に出演できることを嬉しく思います。岸谷さんも初めてご一緒しますが、俳優仲間から岸谷さんの現場は一緒にクリエイトしていく活気ある現場だと聞いているので、今から本格的に稽古が始まるのが楽しみです。
──ビジュアル撮影時に岸谷さんともお会いしたそうですね。 僕にとっての岸谷さんは、やはり子供の頃からテレビで見ていた俳優さんというのが第一にあります。僕は「みにくいアヒルの子」という学園ドラマを夢中で見ていて、そこで岸谷さんが演じた玩助(ガースケ)先生が大好きだったんです。撮影で初めてお会いしましたが、ガースケ先生がそこに居る!と思うくらいポジティブで気さくな方ですごく嬉しくなりました。岸谷さんが発する前向きなエネルギーのもとで新作ミュージカルに挑めることをありがたく思います。
──続いて、作品の設定や物語の印象をお聞かせください。 率直に面白いと思いました。それと同時にミュージカルにピッタリな世界観だなと。歌も踊りもたくさんある、見どころ満載の楽しいミュージカルになりそうです。そして、それぞれのキャラクターも濃く、それを演じる俳優もチラシをご覧になればお分かりの通りキャラに負けないくらい濃い(笑)。
──悪魔が出てくると言っても、このチラシを見る限り……。 そうですよ!吉野さんの悪魔ですから、なにかやらかしてくれそうな感じがしますよね。まだ多くは語れませんが(笑)。ただ、このチラシはイメージビジュアルということですので、本番でそれぞれどんな姿で登場するのかは見てのお楽しみです。僕が演じるビルもマネージャーなので、このヘアスタイルかどうかは。
──とても素敵です。屋良さんとの2ショットも決まっていますね。 屋良さんは初共演、撮影で初めてお目にかかりましたがカッコいいなと思いました。僕、ギターを持っていますが実際に弾くかは……どうなんでしょうね(笑)。
──海宝さんが演じるビルというキャラクターですが、今お話に出たように主人公のジャックに憧れ、のちに彼のマネージャーになる人物です。 今は仮台本を読み、少しずつビルに関係する楽曲が届き始めている段階ですが、これまでにやったことのない役だなという印象を受けました。ビルはジャックのブルースを子守唄にして育ち、良いことも悪いこともすべてジャックに教えてもらった。そんなジャックを兄貴と慕い、彼のために奔走する人物です。誰よりも彼の成功を祈り、ときには心を鬼にして進言するようなところもあります。基本的にドタバタコメディですが、その中でそれぞれの成長、友情や恋愛ドラマも描かれています。
──成功のために悪魔と取引をする。ジャックには共感しますか。 才能はあるけれど、うだつの上がらないシンガー。私生活も乱れている……それでも才能を信じて諦めきれない。そういう状況に直面することは無きにしも非ずかな。そこで悪魔と取引をするかは別にして、何かをつかむために何かを犠牲にしてしまう心理はどこかでわかるような気がします。幸か不幸か僕の前には悪魔は現れないので(笑)、上手くなりたい、こんな表現がしたいという切実な思いは、機会があれば海外へ行き何かをつかもう、ヴォイストレーニングへ通い技術をもっと磨こうと行動する原動力になっています。
──健全です!★ここで突然、Introduction★
1950年代に誕生し、エルヴィス・プレスリーら人気シンガーが牽引し一世を風靡したロカビリー音楽──。ロカビリーに魅せられた売れない歌手ジャックは、スターになるために悪魔と契約を交わす。それは“愛”を歌えないジャックにシンガーとしての成功を約束する代わりに、彼の中に“愛”が生まれ大きく育った時、命とともにそれをもらう…という契約だった。 一年後、成功の階段を駆け上がるジャックの前に、一人の女性シンガーが現れ、二人は一瞬で恋に落ちる。悪魔がささやく「こりゃ意外と早く“愛”を味わえそうだ…」。果たしてジャックの運命やいかに──!?
──「運命やいかに」、その先をもちろん海宝さんはご存知なのですよね。 はい、“ご存知”です(笑)。言える範囲では……楽しくワクワクしながら見ていただけると思いますよ。このイントロの続き「情熱的な若者たちの愛、友情、青春、予想のつかないどんでん返しの物語に、コミカルでキャッチ―かつ感動的な音楽が絡まる日本発!世界を席巻する一大エンターテインメントがついに開幕!!」まさにこの通り、この物語を非常によく言い表しています!宣伝に偽りなしです。期待してください。
──楽しみにしています。海宝さんは、これまでにもオリジナル・ミュージカルに携わってきたご経験があると思いますが、その醍醐味は。 クリエイトしていく過程です。なにせ前例がありませんので、役にしても自分のアイデアで広がりを持たせることができます。逆に言うとそれをしなくては作品が立ち上がらない。そこには楽しさとともに緊張感もあります。岸谷さんは稽古の中で台本にも手を入れながら作品を良くしていくとうかがっているので、そこもすごく楽しみです。
──今年はオリジナルの『イヴ・サンローラン』に始まり、『レ・ミゼラブル』、そして本作というミュージカル活動でした。 面白いですよね。はじめにオリジナル・ミュージカルの初演に携わりクリエイトの苦しみの中でワクワクを感じ、次は歴史ある作品、僕自身にとっても3度目の出演となる『レ・ミゼラブル』で決められた枠組みの中でいかに自分のカラーを出すかに挑み、そしてまたオリジナル初演ですから。
──『レ・ミゼラブル』について少しうかがいます。今回はおっしゃる通り3度目のご出演でした。 3度目の出演、3度目のマリウス役となる自分に何ができるのか。同じキャラクターで若手の三浦宏規くんが入ってきて、彼は新キャストで20歳、新鮮さで勝負しても相手は本物のフレッシュですからね(笑)。経験を積んできたからこその表現に挑戦した日々でした。
──そして再び新作クリエイトの楽しみと苦しみに挑むのですね。 今年の2つのオリジナル作品、キャラクターは真逆なんです。『イヴ・サンローラン』では自分の才能で周囲の人々を振り回す役でしたが、今回は相手の才能を信じて支え、奔走する側。それも面白いなと思っています。ご覧になる方も、その対比も合わせて楽しんでください。
──本作は音楽も注目のクリエイターが揃っています。 3人の作曲家の方による楽曲、それぞれの世界観を色濃く持っていらっしゃるアーティストの方々なので、一曲一曲の個性が際立っている素敵な曲ばかりです。それを俳優たちが表現することでどんな化学反応が起こるのか、どう物語として表現されていくか、僕自身もすごく楽しみです。これまでにない新しいものができる予感です。どうぞ開幕を楽しみにしていてください。
ヘアメイク:AKANE
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人